ポジショニング

1.チャンスの発見とポジショニングの変更

新商品の企画時、新商品をどのように差別化させていくのか。自社商品のポジショニングの変更を検討する際、どのような方向性でそれをリポジショニングしていけばよいのか。広告やキャンペーンによって、ポジショニングの変更は達成できたか。これらを考えていく上で、マーケティングリサーチをもとに、市場にあるブランドのポジショニングを直感的に理解できるマップを作成することが非常に有効となります。ここでは定量的なマーケティングリサーチによってポジショニングマップを作成する手法を紹介します。

2.商品属性やイメージの評価データによるポジショニング分析

自社ブランドと競合ブランドのさまざまな属性やイメージ項目についての評価データを用いてポジショニング分析を行う手法です。例えば下記のような質問からデータを収集します。

Q3.それぞれの缶コーヒーのイメージについて、あてはまるものを全てお答えください。
横方向に回答してください →















































































































ジョージア エメラルドマウンテンブレンド
ジョージア
ロイヤルブレンド
FIRE レギュラー
ボス 仕事中
ボス 休憩中
Roots ライブボディ
WONDA
モーニングショット
POKKA
オリジナルコーヒー
Salon de Cafe
ブレンド

上記の設問例では、各イメージ項目に対する評価は、例えば「FIRE レギュラー」を正統派と思うか否かの2択形式ですが、それぞれのイメージ項目について評定尺度法で、どれほど正統派と思うのか(あるいは思わないのか)までを質問することもできます。ただし、この場合、回答負担が大きくなるというデメリットもあります。

2-1. コレスポンデンス分析によるマッピング

コレスポンデンス分析とは、クロス集計表を元データとして、類似した項目同士を近くに配置するマッピングの手法です。クロス集計表から行うことができるため、手軽に直感的なポジショニングマップを得ることができます。まず上記の缶コーヒーの例であれば、表1のようにクロス集計表を出力します。

表1. 缶コーヒーのイメージ評価 クロス表

表1. 缶コーヒーのイメージ評価 クロス表

コレスポンデンス分析では、クロス集計表の似た傾向を持つ表頭項目同士(正統派な、個性的な、など)・表側項目同士(ジョージア、FIREなど)が近くに来るように、表頭項目と表側項目が原点から見て同じ方向性を持つように、全ての表頭項目・表側項目がマッピングされます。また、マップの中心には最も平均的な項目が布置されます。表1のクロス集計表をコレスポンデンス分析にかけた結果は図1の通りです。

図1.缶コーヒーのイメージ コレスポンデンス分析の結果

図1.缶コーヒーのイメージ コレスポンデンス分析の結果

マップの右側は洗練されたイメージ、左側は荒っぽいイメージであるようです。またマップの上側は缶コーヒーらしいというイメージで、下側は変わり種であるようなイメージが集まっていると読み取れます。従って、ジョージアなどは、正統派で本格的な、洗練されたイメージのブランドで、ボスなどは少し変わり種で荒っぽいイメージのブランドであるということがわかります。

このようにコレスポンデンス分析を行うと、クロス表から手軽に直感的なポジショニングの把握ができます。

2-2. 因子分析・主成分分析によるマッピング

コレスポンデンス分析では上記の設問例のようにMA(複数回答)形式で収集したデータでもマッピングを行うことができますが、評定尺度法によってデータを集めれば、因子分析や主成分分析を用いて「個人差」まで考慮したより精緻なマッピングを行うことができます。また、因子分析主成分分析を用いたマッピングでは、より軸の解釈がしやすいという特徴があります。

2-3. 商品属性やイメージの評価データによるマッピングの特徴

これまで紹介してきた商品属性やイメージの評価データによるマッピングは、まず回答者が答えやすく、アウトプットの解釈がしやすいという長所があります。一方で、得られる評価データは全て、どのような商品属性やイメージ項目についての設問にするかにかかっており、市場・製品カテゴリを十分に反映した設問項目を選ばないと、結果を実務に生かせない危険があります。このような問題点に対処するためには、予備調査(スクリーニング調査)などを利用して、MECE(モレなく重複なく)に商品属性やイメージ項目を準備することが重要になります。

3.類似度データによるマッピング

3-1.MDS(多次元尺度構成法)

複数のブランドや商品の類似度あるいは非類似度を直接質問し、得られた商品間・ブランド間の類似度データをもとにマッピングを行う手法としてMDSがあります。図3の例は、Panasonic, SONY, MITSUBISHI, TOSHIBA, SHARP, HITACHI, SANYOの7ブランドの中から2つずつ抜き出し、それぞれどれほど似ていると思うかを質問し、得られたデータからMDSを行なったものです。

図2. MDSの例

図2. MDSの例

MDSでは、似ていると回答された組み合わせが近くなるように、似ていないと回答された組み合わせが遠くなるようにマッピングされます。図3の例では、MITSUBISHI, TOSHIBA, HITACHIがほぼ同じ位置にマッピングされ、かなり近いということがわかります。一方で、SANYOは他のブランドから遠く離れています。それぞれの配置がどのような意味を持っているのかについては知ることができませんが、「何故このようにマッピングされたか」について考えることに意味があるといわれます。

3-2.類似度データによるマッピングの特徴

類似度データからのマッピングでは、質問する商品属性やイメージ項目を決める必要がありません。そのため、設問設計者の恣意が結果に混入する危険性を最小限に抑えることができます。また、製品同士がたがいに似かよっていて評定尺度で相互の違いを見るのがむずかしい市場で力を発揮します。ただし、類似度データだけをもとにマッピングを行なった場合には、軸の意味や方向性の意味を知ることはできません。できることはただ分析者がマップをもとに配置の意味について考えることだけです。これはMDSの短所ともいえれば、長所ともいえます。分析者が思い込んでいたポジショニングの軸から離れて、本当の生活者側から見たイメージについて考えることができるからです。MDSは問題発見型のアプローチといえます。

一方で、MDSの欠点は回答側の負担です。全ての組み合わせについて類似度を評価することは、評価対象となる商品数やブランド数が増えるほど負担が大きくなります。この点を改良した手法も存在しますが、回答者にとって「類似度」を回答するということ自体が難しいことであるともいえます。

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