働く女性の心身の不調やWell-beingに対する次世代EMS技術の有用性を実証。 Femtech(フェムテック)の切り口で次世代EMS技術の社会実装を推し進める第一歩に
- 課題
- コンセプト評価
- サービス
- オフラインリサーチ ヘルスケアマーケティング
- 業界・業種
- 雑貨・化粧品
2023/11/7(火)
ポーラ化成工業株式会社様
ポーラ・オルビスホールディングスのグループ会社として、主に化粧品や皮膚に関する研究開発と化粧品の生産を行っている。
- 抱えていた課題
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- 「経済産業省 令和4年度フェムテック等サポートサービス実証事業」に採択された、次世代EMS技術により働く女性のストレス・メンタルヘルス、PMS(月経前症候群)、更年期障害に伴う心身の不調などの課題を解消するプロジェクトに関して、次世代EMSの働く女性に対する長期使用・単回使用の効果や有用性を検証する臨床試験を行いたい
- 目的
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- 臨床試験で次世代EMS技術が働く女性のストレス・メンタルヘルス、PMS(月経前症候群)、更年期障害に伴う心身の不調に効果的であることを実証すると共に、臨床試験の参加者に対してデプスインタビューを実施することで、次世代EMS技術の受容性を確認したい
- 成果
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次世代EMSの8週間の日常的な使用により、働く女性のストレス・メンタルヘルス、睡眠の質、月経前のメンタル不調、更年期に伴う疲れやすさなどで有意な変化を確認。また即時効果としても30分の軽めのウォーキング以上に心理面で有意な変化が確認された
これらのエビデンスを起点に、次世代EMS技術の社会実装に向けた検討を進めている
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次世代EMSの8週間の日常的な使用により、働く女性のストレス・メンタルヘルス、睡眠の質、月経前のメンタル不調、更年期に伴う疲れやすさなどで有意な変化を確認。また即時効果としても30分の軽めのウォーキング以上に心理面で有意な変化が確認された
次世代EMSのFemtech(フェムテック)としての有用性を検証
―今回、次世代EMS技術(※1)の有用性を検証した背景について教えてください
ポーラオルビスグループでは創業100周年にあたる2029年に向け、「多様化する『美』の価値観に応える個性的な事業の集合体」というVISIONを掲げています。これまでは個人に化粧品を提供することを中心に事業を行ってきましたが、今後は個人だけでなく社会に、そして化粧品の枠を越えた新たな価値の創出により、Well-being(※2)を提供・実現することを目指しています。
Well-beingといってもさまざまな考え方があるかと思いますが、弊社が取り組むべき1つの軸として、Femtech(※3)を通じた生物学的女性のWell-beingがあると考えています。これまでに、多くの女性の課題やニーズに対して、さまざまなテクノロジーが詰まった、化粧品という元祖Femtechとも呼べる製品を長年提供してきたからです。また、社会的にもこれまで表面化されづらかった生物学的女性特有の課題について議論されることが増え、Femtechというワードが政府の女性版骨太方針にも明記され、経産省がフェムテックに関する事業推進サポートを始めるなど、追い風が吹いているともいえます。
このような背景からFemtechに注目している中で、私自身が以前より着目していた次世代EMS技術が、多くの働く女性にとって有用なFemtechになるはずだという確信があり、経産省フェムテック実証事業に応募し、採択されたことを機にマクロミルさんとの連携が始まりました。
(※1)次世代EMS技術についてのイメージ図
- Well-being:身体的・精神的・社会的に良好な状態(WHOによる定義)
- Femtech:「Female(女性)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語で、技術を活用して女性のさまざまな課題を解決するプロダクトやサービス
―働く女性の課題と次世代EMS技術の関係について、もう少し深くお聞かせいただけますでしょうか
私が次世代EMS技術に着目していた背景には、もともと筋肉や運動と肌の関係について研究をしていたということがあります。そのような研究をする中で、筋肉と運動の重要性に魅了され、皮膚よりも筋肉や運動についてもっと深く研究したいと思うようになりました。
そんなとき、日本最高齢の女性フィットネスインストラクターの瀧島未香さん(タキミカさん)に出会い、当時89歳にも関わらず、その若々しくハリツヤのある肌、そして何より、そのものすごい熱量とバイタリティに感銘を受け、タキミカさんのような人を研究開発を通じて増やしたいと強く思いました。
そのために重要なのは運動や筋肉というわけなのですが、現代人は運動の必要性はある程度わかっているけれどなかなかできないという現状があるかと思います。運動や筋肉というと多くの人はボディケアのイメージを持つかと思いますが、メンタルケアにおいても非常に重要です。ストレスや不安障害、うつ病、女性特有のPMS(月経前症候群)や更年期障害に伴う気持ちの不安定など、さまざまなメンタル不調に対して運動は効果的という報告があります。
その一方で、特に働く世代の女性は忙しさや面倒くささといった理由で最も運動ができていないという調査結果があり、それが働く女性のメンタルヘルス課題を深刻化させているのではないかと気づきました。そこで、そんな忙しく時間のない働く女性でも、短時間・簡便・効果的に運動のメンタルケア効果を得られるソリューションとして、次世代EMSが活用できると考えたというのがざっくりとした経緯です。
次世代EMSはたった約14分の筋刺激プログラムで、運動後の爽快感を強く味わえる技術なので、それが女性にとっても大きな価値になることは確信していました。
高いケイパビリティを持った、一緒に挑戦をしてくれる信頼できるチームの一員
―次世代EMS技術の有用性検証の前からマクロミルで試験・調査をご依頼いただいていましたが、当時なぜマクロミルにご相談いただいたのでしょうか?また、マクロミルの評価点はどういった点でしょうか?
最初にマクロミルさんを知ったのは、4年ぐらい前に弊社の別担当者から紹介されたことがきっかけです。その時は臨床試験を受託する会社というイメージはなく、インターネットリサーチを実施している会社という印象でした。3年前に大規模な計測試験を実施したのですが、その時にマクロミルさんを選んだ理由は3つあります。1つはモニタ母集団の多さ、2つ目は対応の柔軟さ、3つ目はインターネットリサーチに強い会社であるということです。
複数の条件を満たす被験者を、素早くたくさん集めることができるモニタ母集団の多さ
1つ目のモニタ母集団の多さは、目的とする試験対象者にすぐにアプローチができて、スピーディに試験を実施できるメリットに繋がると思います。また、通常集めるのが困難な特殊な被験者を集めたい場合でも、一定の人数を集めることができます。
今回の試験では、被験者の条件として性別、年代、PMSや更年期障害の症状を一定レベル抱えている方、月経周期の条件を満たす方、そして、指定の試験会場に来ることができる方など多くの条件がありました。これら全てを満たす人を一定数集めることは非常にハードルが高く、モニタ母集団の多いマクロミルさんでも希望の人数が集まるかどうかという状態だったので、他の臨床試験受託会社さんでは難しかったのではないかと思います。
モニタ母集団の多さは、希望の試験デザインの実施可否に影響するため、私にとっては重視するポイントです。
柔軟な対応で実施ハードルの高い試験を実現
2つ目の対応の柔軟さに関しては、昨年の夏頃に相談した案件が、年末までに2ヶ月の介入試験の実施完了という、スケジュールが非常にタイトなお願いだったのですが、そのスピード感に応えられるのはマクロミルさんだけだと思いました。また、高齢者を対象とした臨床試験を実施予定なのですが、相談した当時はマクロミルモニタに高齢者は少ない状態でした。
そこで、条件を満たす高齢者を一定数集めるために、多くの高齢者をモニタ母集団として探してくれないかという無茶ぶりをお願いしたところ、座組から検討し、モニタを集めていただいて、現在は試験が実現できる状態まで整っています。このような柔軟な対応力は他の会社とは違うポイントだと思います。
数々の困難な依頼に対して尽力してくださり、きっちりと業務を遂行していただける姿を見て、単なる業務委託先ではなく、同じチームの一員としてより良いものを目指し挑戦してくれるという戦力を感じ、とても心強く思っています。仕事はどんなことをするかももちろん重要ですが、それ以上にどんな人とやるかの方が成果創出という点でも重要だと思っていますので、これからも困難を一緒に乗り越えてくれる方と一緒にプロジェクトを進めたいという気持ちがあります。
インターネットリサーチの会社であるからこそのノウハウ
3つ目のインターネットリサーチ会社である点については、3年前に実施した大規模試験では、来場による実測検査だけでなく、自宅でのインターネットリサーチも多かったため、そのノウハウが活かされると感じたからです。臨床系の試験受託会社によっては、計測には慣れているけれどインターネットリサーチは不得意なところも多く、その場合インターネットリサーチの品質に問題が生じる可能性があるかと思います。
マクロミルさんはインターネットリサーチに強みがあるので、設問設計をする際にもプロの目線でご意見・ご提案いただけて、より目的に沿った設計ができたと満足しています。外部委託の場合、基本的に我々が依頼したことをそのまま形にしてもらうという場合がほとんどかと思うので、そのような連携や、別案件のインターネットリサーチでも最終的なデータ活用も踏まえて構想から一緒に考えていただけたのは好印象でした。
また、インターネットリサーチのクオリティの高さに加え、臨床試験とインターネットリサーチを同じ会社にまとめてお願いできるのは、事務的な面でもやりやすいです。計測に関しても、マクロミルさんはさまざまな試験機関とのネットワークを有しており、いろんな計測にも対応いただけるので、これまでに課題と感じたことは一度もないですね。
次世代EMS技術の社会実装に向けた第一歩とさらなる研究開発へ
―ありがとうございます。今回の試験結果はどう活かされましたか?
社内で全く新しいこと(化粧品ではなくハードデバイスの展開検討)を進めていく上で、「社内でどう理解を得てプロジェクトを前進させるか」という点は1つの大きなポイントかと思います。その点で、社内メンバーを説得する上で試験結果が活かされたと感じています。
研究所なので、エビデンスを重視することは文化であり必須要件です。担当者である私が次世代EMS技術のすごさをどんなに熱量高く語ったとしても、エビデンスがないと説得力がないですし、エビデンスレベルが低ければやはり説得力はないですよね。そういった意味で、しっかりと組んだ試験デザインを実現できる体制を持ち合わせており、サービスの品質も高いマクロミルさんの貢献はとても大きいと感じています。
今回の試験では、数々の条件を満たす試験対象者に次世代EMS技術を長期および単回で使ってもらい、その前後でのストレス・メンタルヘルス、月経前や更年期の心身の不調、Well-being(幸福感)が良くなるという仮説に対して、期待通りの結果を得ることができました。また、試験終了後の被験者に対するデプスインタビューもマクロミルさんに実施していただきました。試験依頼主である私がインタビュアーだと、得られるコメントや回答にバイアスがかかってしまう可能性があるので、第三者に実施してもらう必要があったからです。そのような幅広いサービスを一貫で提供していることもマクロミルさんの強みだと思います。
―試験結果が貴社で活かされていることを嬉しく思います。マクロミルに今後期待したいこと、他社様へのメッセージがあればお聞かせください
モニタの母集団は多ければ多いほど良いので、引き続き増やしてもらうような取り組みをしていただけると嬉しいです。マクロミルさんは述べた通り柔軟な対応力と信頼感があるので、また何かお願いしたいときはご相談したいと思います。
他社様へのメッセージとしては、マクロミルさんは幅広い高品質なサービス提供だけでなく、新しい挑戦的な取組みに対しても実現に向けてコスト以上のサービスを提供してくださると思うので、同じように伴走型の調査・試験会社を探している方にとっては良いパートナーになるのではないでしょうか。
マクロミルさんは柔軟に対応してくれるので、難しいかもしれないと思ったこともまずは相談してみると良いのではないかと思います。
ポーラ化成工業株式会社 錦織秀様
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