マルチカントリー調査を軸に社内意識を変革!インサイト視点を共通言語に
- 業界・業種
- 家電・電機
2023/12/27(水)
カシオ計算機株式会社様
時計、電卓、電子辞書、電子楽器、電子文具などの精密機器・電子機器の製造・販売を行っている。
- 背景
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- カシオ計算機(以下、カシオ)では、2030年を見据えた方針において「ユーザー起点」を重視した戦略を打ち出している
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時計事業ではG-SHOCKを中心に、グローバルでの商品展開・ブランディングを強化し更なる拡大を指向。特に原点となるタフネス(※)を基軸に、市場ニーズの変化に合わせてポジションを確立していく方針である
- 防水や防塵・防泥など、あらゆる「タフな環境」を想定して、それを克服する耐久性能を備えるというG-SHOCKのコンセプト
- 抱えていた課題
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- 戦略方針の推進にあたって重要となるユーザー情報不足やデータ精度、利活用の普及が十分ではなかった
- 以前より実施していた基盤となるマルチカントリー(海外)調査(以下、基幹調査)も、同様に利活用しきれていなかった
- 目的
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- 基幹調査における網羅性と時系列性に鑑みた、精度の高いリサーチ企画への見直し
- 海外拠点を含む各ステークホルダーが利活用できる基盤の構築
- 成果
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- オンラインのマルチカントリー(海外)調査における、難度を考慮したリサーチ企画への変更と実施を経て、新しい利活用の型を提示することに成功
- 調査結果をBIツールに落とし込み、実際に分析をして利活用の型を示すことで現地拠点も含めて利活用が推進され、データを見ながらの率直なディスカッションとアイデアブラッシュアップが活性化
ユーザー起点での商品開発プロセス、マーケティング手法の変革に合わせた組織体制へ
―時計事業に関わる組織体制と役割についてお伺いできますでしょうか
私たちカシオが目指していることは2つあります。1つ目は当社の商品やサービスをより多くの人に使っていただき、感動や満足を提供すること。2つ目は、その結果としてサステナブルな事業成長を図っていくことです。
その中で2030年に向けた基本方針として、ユーザー起点での商品開発プロセスとマーケティング手法への変革を打ち出しています。その方針を受けて大きく2つの部門の新設と改変がありました。時計戦略部と戦略調査部です。
まず時計戦略部という部門のミッションは、消費者インサイトを理解し、様々なデータと組み合わせてカシオの成長につながるグローバル戦略を構築、経営層へのインプット及び全社営業・マーケティングの活動をガイドすることです。時計事業は海外に多くの拠点を持っているため、各国の消費者嗜好の比較・理解は不可欠です。
次に戦略調査部ですが、カシオのマーケティングをデータやリサーチの結果を活用する体制へと変革すべく、2021年4月に新設されました。多様な手法によりデータを収集・分析し、分析結果に基づき社内に課題解決への提案を行い、消費者の声をマーケティング活動に反映していくことがミッションです。
時計戦略部と戦略調査部は各々の役割を分担して、1つのチームとして動いています。具体的には時計戦略部が現状分析に基づく仮説を構築し、戦略調査部がメンバーの専門知識と経験を生かして、その仮説検証のためのリサーチ企画やクオリティの担保を行っています。マクロミルさんと迅速に動いていくことで変化の激しい市場をスピーディーに捉えることができ、戦略構築から施策の手引きまでを継続的かつ効果的に出せる連携が実現しています。
写真左から時計戦略部 大部雅貴様、戦略調査部 土屋百合香様
―それまで抱えられていた課題はどのようなものだったのでしょうか
時計戦略部と戦略調査部ができる前は慣習や経験、知見が重視され、データは社内報告や進捗確認のためにビジュアライズされるだけにとどまり、データやリサーチを活用するという文化は根付いていませんでした。担当者が調査と戦略を両立して考えるようになったのは、ここ1、2年の出来事です。
弊社はプロダクトアウトの文脈で、商品を軸に様々な施策を考えることは得意としてきましたが、マーケットは実際どうなのか、消費者のインサイトは何なのかといったことには、あまり目が行っていなかったように思います。
データ利活用の促進に向けて
―基幹調査の重要性と課題についてもう少し深くお聞かせください
先ほど申し上げたような課題感のある中、基幹調査と称している世界複数カ国で実施する大規模な調査プロジェクトにおいても、ユーザーの深い理解やインサイトを探るという目的での重要性が高まると同時に、そのデータを更に利活用しやすい形で取得する必要性が出てきました。
時計市場の環境は消費者の多様化に伴い、随時変化しています。スマートウォッチ市場の拡大など市場が複雑化し、昔よりも時計を買っていただくのが難しくなってきています。こうした状況へ適応していくためにはユーザーの一層の理解を深める必要があり、基幹調査においても、ゴールに対し「そのデータをどう使うか、どう生かしていくか」ということへの重要性が必然と高まりました。
一方、今まで主観やプロダクトアウトで戦略を考えていたがゆえに、現場ではデータと肌感のギャップを感じているようでした。どちらが正しいと盲信するのではなく、リサーチ結果のファクトと肌感の双方を掛け合わせていき、より市場や顧客の本質に迫っていくことが重要と考えていました。
マクロミルさんへお声がけさせていただいたのは、このようにデータをより活用する体制へと変革していく中でリサーチのやり方から見直すにあたり、一緒にプロジェクトを進めてくれる会社を探していた時です。以前から基幹調査に相当する同種のリサーチを別で実施はしていましたが、先ほど述べた広範な課題を一気通貫で解決できるパートナーを求めていました。
―難度の高い多国間調査で、データ品質担保の具体的提案や BIツールの活用、パートナーとしての体制構築といった広い視点での提案がマクロミル選定の決め手だったと伺っています
そうですね、この基幹調査をより正しく活用できるものに変革することに加え、中長期視点でサポートいただけそうだという期待を持ちました。
海外におけるリサーチの知見がとても深く、制約条件や回答態度特性といったデータ品質に関わる点を考慮した、プロフェッショナルなアドバイスをいただけるのもありがたいです。我々が知らないような背景、例えばある国や地域の定性情報からスコアの特徴を説明補足いただくなど、大変参考になっています。
カシオ社内でも、長年担当が培ってきたリサーチの型とも呼べる枠組みがすでに確立はできていたため、今までの良いところは残しつつ、新しい価値軸を加えられるご提案や、信頼できる体制や豊富な知見はもちろんのこと、私たちとマクロミルさんのリサーチやデータ可視化の先にある、活用の視点が合致したというのが何よりの決め手でした。
写真左から戦略調査部 工藤裕貴様、青柳健治様
リサーチ結果が社内ステークホルダー間の共通言語に
―リサーチ実施後の社内でのデータ活用の実態はいかがでしょうか
経営層や現地拠点など各社内メンバーにプレゼンを行う中で、これまで以上に質疑応答やディスカッションが盛り上がりました。
これまで人によって異なっていた視点が、データという共通言語によって少しずつ統一化され、同じ目線で戦略についての議論ができるようになったことが大きな変化です。マーケティング部が担当しているブランディングやプロモーション分野での変化が特に顕著ですね。
またリサーチ結果は経営上のKPIの設定や、重点国のターゲット策定に使用されるなど、これまで以上に重要な基幹指標として全社戦略に活用されています。 このように結果が活用されているのは、BIツールや報告書などをわかりやすい形で整理して、誰でも気軽に手元でデータ確認、分析ができるようになったことで終わらず、その先の分析と示唆出しを具体的な形で示し、リードできたことが大きな要因です。そういった部分についても、マクロミルさんから全面的なサポートをしていただいたお陰です。
消費者インサイトから戦略を考える時計戦略部、施策を実行するマーケティング部、消費者インサイトを導き出す戦略調査部や、それらに並走してくれるマクロミルさんの視点が合っているからこそ、少しずつ社内で消費者データを使う文化が根付き、より大きな成功事例につながるのではと期待しています。
―ありがとうございます、引き続きお手伝いさせていただければと思います。今後の展望についてお聞かせください
前述した現場の肌感とデータとのギャップという課題を解決する過程で、なぜこのギャップが生まれているのかを追求したいですね。リサーチや現場との対話で検証していくPDCAにつながる活動も、更に活発化させていきたいです。
またユーザー起点のリサーチやデータの重要性はもちろんですが、メーカーとして良いものを作り出し提供していくという、プロダクトアウトの軸は大事にしつつも、新しい軸としてマーケットインの要素をうまく織り交ぜていく、つまり両方の軸を調和させていくことが、今後の成長のために重要ではないかと考えています。
写真左からコミュニケーションデザイン部 伊藤隆様、戦略調査部 今井友暉様、時計戦略部 大部雅貴様、
戦略調査部 土屋百合香様、工藤裕貴様、青柳健治様
プロジェクトに伴走してくれるパートナー
―弊社サービスへのこれからの期待や要望と、弊社へのリサーチ相談を検討している他社様向けのメッセージがありましたらお伺いできますと幸いです
基幹調査も含め、マクロミルさんには常に広い視点で前向きな提案をしてもらえていますし、我々が目指しているものを理解していただいているので、依頼した以上のことも先回りして迅速かつ丁寧に応えてくださいます。
ディスカッションパートナーとしても様々な相談にのっていただけており、チャレンジングなリサーチにも一緒に挑戦してくれる大変心強いパートナーです。 今後は弊社の商品、市場、顧客ならではの新しい顧客切り口を得るべく、さらに新奇的な調査を提案いただき共にビジネスを前に進めていければと思っています。
―ありがとうございました
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