定点把握調査により観光KPIを策定。データに基づいたマーケティングを意識づけ、施策立案に活用

業界・業種
官庁・公共

2024/5/15(水)

仙台市役所文化観光局観光課・公益財団法人仙台観光国際協会様

仙台市および宮城県の有する観光資源を活用し、国内外からの観光客やコンベンションの誘致、物産品の販路拡張などに関する事業を、仙台市および仙台国際観光協会が連携して推進している。

課題
  • 観光戦略を立案し、各種事業に取り組んでいたが、観光客の実態把握のためのデータが不足していた
目的
  • 消費者データの1つとしてアンケートデータを取得することで、データに基づいた施策立案や効果検証の精緻化・高度化を図りたい
結果
  • データに基づくマーケティングの重要性がステークホルダー間へ浸透、データを共通言語とした議論が活性化
  • 市長や副市長への重要な報告でのデータ利活用にも波及

仙台市および宮城県の有する観光資源を活用し、国内外からの観光客やコンベンションの誘致、物産品の販路拡張などに関する事業を推進されている、仙台市文化観光局観光課(以下、仙台市)様と公益財団法人仙台観光国際協会(以下、協会)様。

今回は仙台市 企画調整担当課長 渡辺宗太様と協会 DMO担当部長(兼)観光地域づくり推進課長川口順弘様にデータに基づく観光KPIの策定を中心にお話を伺いました。

川口様、渡辺様

写真左から公益財団法人仙台観光国際協会 川口順弘様、仙台市役所文化観光局観光課 渡辺宗太様

仙台におけるデータ活用の重要性の高まり

―組織体制と役割、皆様のミッションについてお伺いできますでしょうか

仙台市エリアにおける観光地域づくり(※1)について仙台市と協会が密接に連携して推進しています。例えば、観光DMPについては仙台市が構築し、協会で運用するという役割になっています。

観光庁が提唱している「住んでよし、訪れてよし」な観光地域づくりを実現するため、仙台を訪れる観光客の実態をデータという科学的根拠に基づいて把握し、観光KPIの設計に生かしたり、マーケティングに活用したりすることをミッションとしています。

全国的な少子高齢化・人口減少という大きな変化の流れの中で、観光地域づくりは重要なテーマとなっています。

公益財団法人仙台観光国際協会 川口様

事実データだけでは分からないことを明らかに

―オンラインリサーチの発注に至った背景や、マクロミルにご相談いただいた経緯についてお聞かせください

令和3年より観光DMPの構築には着手していました。観光客の動態データを集約したもので、これをレポートにまとめ、仙台の事業者様へ共有・報告することを協会は重要な事業の一つとして行っています。

例えば、秋保温泉に訪問された観光客がとあるショッピングモールにも立ち寄るという移動データはDMPで事実データとして計測はされていますが、それがなぜなのか?というところまでは分かっていませんでした。

このような、より詳細なデータが必要だというタイミングで、協会、仙台市ともに観光地域づくりの体制基盤が徐々に整いつつある中、私たちのやりたいことに対してより具体的なご提案をいただけたマクロミルさんと協働でアンケート調査を実施することとしました。仙台オフィスをお持ちであり地域特性への理解も深く、高い当事者意識はもちろんのこと、根底には『仙台を一緒に盛り上げたい!』という熱い想いを感じさせるものでした。(※2)

仙台市役所文化観光局観光課 渡辺様

組織内外でデータを基に考えるカルチャーの芽吹き

―データを使って実際に起きたアクションはどのようなことがございますか

協会では四半期ごとにトレンドをレポートとして取りまとめ、セミナーを開催しています。満足度やリピート率などのデータを改善サイクル指標としても活用しています。内部では事業の検討の根拠にも利用しています。

仙台市では観光地の認知度と魅力度の二軸データを観光戦略のデータベースとして活用しています。データを題材に、商工会議所での講演も行いました。

両組織とも、内外にわたって広くデータの活かされるシーンが増えつつあります。

先ほどお話させていただいた通り、これまで宿泊数などの動態データは追ってきていましたが、様々なデータが集まってきたことで、モノ消費からコト消費へのシフト、つまり仙台の体験価値を高めるためにはどうしたらいいのか?を多面的に考えていこうというように、組織としても成果へのアプローチが大きく変わってきたという手応えがあります。

私たちのどの取り組みが観光KPIにどう貢献したのかという効果測定は、厳密な分析は難しいケースも正直あります。経験と勘と度胸も時には有効ですが、とはいえ当事者間の思い込みによるすれ違いを減らし、データを共通尺度とすることで同じ目線に立って認識し、意見交換できるようになってきたことは大きな前進です。

例えば仙台市では年度末に市長、副市長との政策に関する議論を実施しているのですが、今はあるテーマに対してディスカッションする際、市長のほうから「このデータはないのか?」と言われるまでになりました。

仙台市の観光統計情報

仙台市の観光統計情報はこちらよりご覧いただけます
https://www.city.sendai.jp/kankokikaku/toukei/toukei.html

令和4年度仙台市観光実態調査業務報告書【詳細版】

マクロミルによるレポートは「令和4年度仙台市観光実態調査業務報告書【詳細版】」よりご覧いただけます

―今後のデータ活用の展望についてお聞かせ頂ければ幸いです

仙台市としては次の戦略に生かせるデータ活用も考えていきたいと思っています。仙台市を超えて東北地方全体と連携した事業への活用など、実態把握とは逆方面からのアプローチですね。協会としては経時継続データの取得や仮説に基づくアンケートなど、進化・深化させていきたいと思っています。

より追求していく方向性としては、ある施策を行ったら、そのキャンペーンサイトに訪問者はどのぐらい増えたのかなど、最終的にはアウトカムの部分まで追跡していく、そのような気概を持ちながらデータをうまく活用していきたいですね。

常に深い理解と新しい視点を持って伴走してくれるパートナー

―マクロミルへの相談を検討している自治体や団体、事業者様向けのメッセージがあればお聞かせください

マクロミルさんはまだ我々の課題感が曖昧な状態だったとしても率直に相談すると、それではまずはこれとこれを比較してみてはいかがですかだとか、これを聴取してみてはどうでしょうといった、具体へのブレイクダウンがスピーディーです。

何のための調査なのかを深く理解して、アンケート設問を趣旨に合わせて文言レベルまでご提案いただけますし、真摯に向き合ってくださっていることに感謝しています。

時勢や時流によって必要なデータとその手法は変化していくものと捉えています。常に深い理解と新しい視点を持つマクロミルさんに、パートナーとして今後も伴走していただけるとありがたいです。

自治体様に限らず、データについてお悩みを抱えている方は、気軽にご相談してみてはいかがでしょうか。解決の糸口が見つかると思います。

―本日はありがとうございました

  1. 観光庁が提唱。地方公共団体や観光地域づくり法人(DMO)が中心となって、観光客と地域住民の双方に配慮し、多面的かつ客観的なデータ計測と中長期的な計画に基づく総合的な観光地マネジメントを行うことが重要とされています。
    https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/jizoku_kankochi/jizokukano_taisei/torikumi.html
  2. マクロミルでは仙台オフィスの社会貢献活動の一環として、仙台を軸に、データ利活用をご支援させていただく取り組みを推進してきました。これまでの仙台市観光課様、仙台観光国際協会様との取り組みについては、下記noteもご覧ください。
    https://note.com/macromill/n/n093e86082856

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