未来ファインダー100活用法―ワクワクする未来で、企業の価値創造を支援

業界・業種
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2024/2/21(水)

株式会社電通様

顧客のマーケティング全体に対するさまざまなソリューション提供に加え、デジタル時代の変革に対応する効率的な広告開発、最適な顧客体験のデザイン、マーケティング基盤そのものの変革や、さらには顧客事業の変革をも推進。また、マーケティング領域を超えて進化させた多様なケイパビリティを掛け合わせ、顧客と社会の持続的成長に貢献する統合ソリューションを提供。

※本記事ではマクロミルグループの電通マクロミルインサイトの取組み事例をご紹介します。

2023年12月、電通マクロミルインサイト(以下DMI)を含む電通グループ7社はグループ横断組織「未来事業創研」にて開発した「電通 未来ファインダー100」をリリースしました。

「未来事業創研」は、電通グループの未来予測や長期的な事業戦略の専門家が結集し、未来思考で企業のパーパス・ビジョン策定や、新商品や新規事業開発支援などをワンストップで提供しています。そのワークショップを主にDMIが企画・運営しています。

今回はリリースを記念し、未来事業創研のファウンダーである株式会社電通の吉田様とメンバーの弊社工藤との対談により、未来事業創研のソリューションとその可能性についてご紹介します。

株式会社電通 吉田 健太郎様
吉田 健太郎 ※以下敬称略

株式会社電通

第4マーケティング局 未来シナリオコンサルティング部/
未来事業創研ファウンダー シニア・プランニング・ディレクター

モバイル事業、スマホアプリ領域を中心とした市場分析、戦略プランニング、コンサルティングなどに従事。電通モバイルプロジェクトリーダーとして、CES/MWCに2011年から毎年参加し、TECHトレンドを把握。2021年 電通グループ横断組織「未来事業創研」設立。消費者庁 新未来ビジョンフォーラム フェロー、経営管理学修士(MBA)。

株式会社電通マクロミルインサイト 工藤 陽子
工藤 陽子

株式会社電通マクロミルインサイト

人と生活研究所

“人“を基点に、インサイトやトレンドに関するメソッド開発や、情報発信していく窓口「人と生活研究所」所属。 企業活動におけるウェルビーイング促進のための研究や、クライアントワークでは、エスノグラフィのような質的調査やワークショップデザインに主に従事。 JPPI認定ポジティブサイコセラピスト。

INDEX

背景・目的:次世代に、再び「未来が楽しみになる」世の中を

―「未来事業創研」の立ち上げの背景からお聞かせください。

吉田:
まず、未来に対するニーズの高まりがあります。今後特に日本では、高齢化や人口減少によって量的成長は厳しい時代になっていきます。また、コロナ禍を経て、生活者の中では “しなくてはいけない”当たり前が薄れ、一人ひとりが生きやすい状態やウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)なくらしを選ぶ流れにシフトチェンジしています。
社会が変化していく中で、企業側も今までと同じではなく、新しい未来に向けて次の成長ゴールや目的を持って進んでいきたい気運が高まっています。
こうした中、体制と専門性を強化するために、電通グループ各社それぞれで行っていた未来予測や長期的な事業戦略のプロフェッショナルのナレッジを集結させ、企業の未来の価値を見出す横断組織「未来事業創研」を2021年に立ち上げました。

もう1つの背景に、私の息子の言葉があります。息子がある時、「昭和って楽しそうだよね、昭和に生まれたかったな」と言われて。確かに、昭和という時代は、テクノロジーの進化、ゲームもどんどん高精細・リッチになり、未来はどれだけ面白くなるんだろうと思えた時代でした。でも、2000年以降に生まれた子供達は、未来の課題や悪くなることばかり見聞きしています。
未来が楽しみになる世の中に変えていくには、私たち大人がもっと希望のある未来を作っていかなければいけない。

株式会社電通 吉田 健太郎様

株式会社電通 吉田 健太郎様

―電通マクロミルインサイト(DMI)が参加している経緯を教えてください。

吉田:
DMIが生活者調査会社である中で、「人と生活研究所」として「人」と「生活」をキーにしており、未来を考えるときに生活者視点の相性の良さがあります。また未来事業創研立ち上げ以前から、未来ファインダー100の前身「未来予測ファクトカード」を一緒に制作していた経緯からの流れもあります。
実態としては、ワークショップの企画と運営にノウハウをお持ちで任せられるので、ワークショップを一緒にすることが多いですね。

工藤:
インタビューやアンケートで実際に生活者に一番対峙しているので、生活者の欲求やインサイトに強い自負はあります。10年以上前にデザイン思考の学びからエスノグラフィを起点にワークショップなどしていましたが、そのころから生活者の課題や望みを企業に視点導入し、一緒により良い社会をつくりたいというのは、個人的なテーマでもあります。

横断組織「未来事業創研」

横断組織「未来事業創研」

特徴:未来予測ではなく、ありたい未来・WILLを創る

―未来事業創研には、どんなご相談がくるのでしょうか?

吉田:
パーパス・ビジョン策定や新規事業や新商品開発の案件が多いです。ですが、最初から未来予測から考えたいと言われるわけではなく、予見が定まっていないケースも多いです。漠然と「今までのやり方では違う気がする」という相談もあります。

―企業の未来づくりにおける、未来事業創研の特徴を教えてください。

吉田:
まず特徴の1つが、未来予測をゴールにはしない、です。
というのも、未来予測は大抵人口問題や環境問題など悲観的な未来になりがちです。その課題・マイナスをどう解決するかという、課題解決型アプローチは、ゼロに近づくことはできても、プラスではない。言ってしまうと、楽しくはないですよね。

人を動かすドライバーは、楽しい・ワクワクするなどポジティブなものだと考えており、その姿勢で未来を一緒に描いていくことを、私たちは大切にしています。課題解決型の「Issue Driven」に対して、価値創造型の「Vision Driven」なアプローチです。例えば高齢化に対しても、高齢化の解決というより、高齢化の中で、どう豊かな社会をつくるかを考えます。

「未来予測からやるべきことを考える」のではなく「自分たちでありたい未来を描く」。やらなきゃいけない仕事から、本当はどうしたいのか、誰がどう喜ぶ姿を見たいのかを引き出していく。
コンサルティング会社さんが未来に向けた“ロジック”をつくるとしたら、自分たちは未来への“意志”をつくっている、とも言えますね。

未来事業創研のバックキャストアプローチ

未来事業創研のバックキャストアプローチ

プロセス:クリエイティブにありたい未来を可視化する

―「未来事業創研」では、どういう流れで「ありたい未来」を創っていくのですか?

吉田:
主にワークショップを通じて「ありたい未来」を構想していきますが、ゴールは、パーパス・ビジョン策定もあるし、新商品や新規事業開発の場合もあります。発想の刺激剤として、今回リリースした「未来ファインダー100」や、他にも生活者意識の“欲求”や生活行動に関するものなど、様々なツールがあります。

工藤:
ワークショップではツールを活用し、ありたい未来の暮らしのシーンを中間ゴールにすることが多いです。これを私たちは「ライフピース」と呼んでいますが、そのライフピースを通して新商品発想やビジョン開発につなげます。
ライフピースではなく、Future Personaという未来のターゲットをつくり、それをフックにすることもあります。

ワークショップでは、未来事業創研のメンバーがファシリテートしながら進行しますが、いつも参加者の方が描くライフピースが面白く、素敵ですよね。10年後の幸せってこんな感じかもしれない、と。

吉田:
僕らは肯定型のファシリテーションを大事にしているので、「〇〇さん、これすごいおもしろいと思うんですけど、本当はもっとどうしたいんですか?」と尋ねていくと、心の中に眠っていた思いが出てくる。

テーマによってカスタマイズしながら言葉と絵で制作する未来思考アプローチ

テーマによってカスタマイズしながら言葉と絵で制作する未来思考アプローチ

ライフピース
未来の人々のくらしや行動・価値観

Future Persona 未来のターゲットなど、発想の起点となる未来の人物像

Future Persona
未来のターゲットなど、発想の起点となる未来の人物像

―ライフピースやFuture Personaから考えるメリットは?

吉田:
例えばこの状況のように「たくさん話すときにぴったりな飲料とは?」を考えると、普通はお茶や水が出てきます。そこからアイデアを拡げると、甘い、苦い、スパークリングなど、どんどん手段の検討になっていく。ですが、もっと喉が潤う飲料や、もっと会話が楽しくなる飲料という視点が出てきても面白いですよね。ありたい暮らしやFuture Personaから望まれる商品を考えると、商品が提供する価値や便益、気分など、発想の幅が広がります。「こういう考え方はしたことがなかったから、新しいアイデアがいろいろ出ました」という評価は数多く伺います。

工藤:
人やくらしを思い浮かべて、この人を幸せにする飲料って何だろうと考える。そうすると、くらし全般に意識が行き、飲む行為に限定されず、カテゴリーの枠を超えたり、新しい価値創造が生まれますね

株式会社電通 吉田 健太郎様 / 株式会社電通マクロミルインサイト 工藤 陽子

株式会社電通 吉田 健太郎様 / 株式会社電通マクロミルインサイト 工藤 陽子

事例: 潜在的欲求を引き出すワークショップ

―実際のワークショップ事例や、印象的だったクライアント様の反応を教えて下さい

Case1:エンタメ会社に対するビジョン策定支援

経営層の方と一緒に未来の余暇を考え、可能性を可視化し、企業のビジョンへと落とし込む。

Case2:製造メーカーに対する未来の事業創造支援

細かい機能改善にいきがちな製品開発に対し、つくりたい未来とそれを実現する製品アイデアについて検討し、技術ロードマップを策定。

case3:研究所のビジョン策定支援

職員自身がつくりたいくらしを考え、その提供価値から、研究所として目指す姿を描く。ビジョンと行動指針を表現開発。

吉田:
Case1では、業界の閉塞感に対して、既存の余暇に捉われずどんな余暇を生み出せるか、新しい可能性が可視化されたと評価頂きました。
Case2では、いつもの技術からのシーズ発想では思いつかない製品アイデアが色々と生まれました。最終的なロードマップでも、技術的には今は難しいかもしれないが、それよりも社員の方が“絶対つくりたい”という意思を反映した製品アイデアが残されて、喜ばれていました。今までは実現性に焦点をあてがちでしたが、可能性を検討したい、と。みんなができるかもしれないと思い始めている思考の変容が見てとれるところに効果を感じています。

工藤:
潜在的に皆さんワクワクすること、面白いことを考えたい欲求はお持ちですよね。
私はCase3が印象的で、ワークショップ参加者だけではなく、職員の方全員につくりたい暮らしの姿を考えて頂く機会を広げ、関係人口広く行えたのが良かったです。ビジョン開発系はどうしても実際に参加してつくりあげた人と、発表されて受け取る人とに、距離ができてしまう。参加者の方が最後まで熱量高く、活発に前向きに議論されていたのも印象的です。

未来事業創研のワークショップ全般的に言えることですが、参加者の熱量が他のワークショップより高いと思います。「これまじでやりたい」と盛り上がっている光景を見ると嬉しくなります。
自分が望む未来を思い描いて、それを仲間と討議してより良いものになる。一緒に描いた望む未来を仲間と創っていく、仕事はそのための仕事なんだ、と仕事に意義が生まれることに価値があると思います。

ツール:未来へのチャンスが見つかる「未来ファインダー100」

―今回リリースされた未来ファインダー100について教えてください。

電通 未来ファインダー100

「電通 未来ファインダー100」は、未来の社会実態につながる兆しや情報を集め、国内電通グループ各社の知見により、8カテゴリー・100テーマ別に、より良い未来を構想するためのヒントをまとめた情報ツールです。
表面と裏面で構成されており、表面には、2040年の未来を考えるのに必要な定量データ(公開済みの信頼できる外部情報をもとにした市場規模予測など)と、その情報を踏まえた、2040年の「状態」や「社会課題」などの予測を記載。
裏面には、2040年の未来を人・社会・事業それぞれの視点で、現在起きている具体的な兆しの事例、2040年の未来で起こり得ること、そこにどのような機会が存在するのかを記載。
本ツールを活用したワークショップ、コンサルティングサービスを通じて、顧客企業の担当者を、2040年という中長期の未来の社会にいざない、短期的な発想に縛られることなく未来事業を構想することが可能となります。

https://www.dm-insight.jp/news/10703/
〈電通 未来ファインダー100(テーマ一覧)〉

〈電通 未来ファインダー100(テーマ一覧)〉

〈電通 未来ファインダー100(表面)〉

〈電通 未来ファインダー100(表面)〉

〈電通 未来ファインダー100(裏面)〉

〈電通 未来ファインダー100(裏面)〉

吉田:
2040年の未来に思考を飛ばすための情報を未来事業創研メンバーが編集したツールです。表面は外部データによる未来予測のポイントと未来事業創研が考える見通し、裏面はあるべき未来を考えるための「未来チャンス」を記載しています。単なる未来予測ではなく、「こんな面白い人たちが出てきそう」「こんな新しい社会が生まれそう」と、視点を広げる、発想をかきたてる刺激材になっています。未来を知るだけでなく、「こんなことがあるかも」が見つかるツールです。
工藤さんの担当カードも、結構ユニークですよね。

工藤:
実際にワークショップで考えている方のアウトプットを見ているので勘所はあります。ワクワクのあるポジティブな機会の発想に広がりそうな起点づくりを心掛けました。

展望:企業、世代を超えて「作りたい未来は自分たちで作れる」をすべての人へ

―これからの展望を教えてください。

吉田:
「今は問題ないが、5年後10年後どうしたら良いか」という課題をお持ちの企業様は多いかと思います。
バタフライ効果ってありますよね。方向性を未来に向けてほんのちょっとだけずらすことで、時間が経つごとにそのずらした幅が拡がっていく現象です。
できるだけ早く、少しでもいい方向にずらしていくことを支援することが私たちの存在価値です。突拍子もない未来をつくるというより、今の戦略ベクトルを1度、いや2度、できれば3度ずらす、そのためには現状のリソースに加えて、この要素を加えていきましょう、と。良い未来に向けて、ほんの少しで良いので、良い方向にずらした道筋が複数作られるようにしていきたいです。
今はイラストなどで未来のくらしや、商品アイデアなどをビジュアライズすることが多いですが、未来事業創研は色々なグループ会社があるので、今後はアウトプット、商品やサービスづくりまで携わっていきたいと思っています。

工藤:
私はバックキャストアプローチでアウトプットを出して世の中を良くしていくのはもちろん、人材育成目的での活用も有効と思っています。つくりたい未来を描くことは、自分の仕事を「より良い未来に向かうためのもの」にし、“自らやりたい”内発的な動機づけでモチベートする力があります。スキルセットとしてのシナリオプランニングや未来思考実践もありますが、単純に「モチベーションづくりやマインドセット」プログラムにも有効です。
そうすれば、製品やサービスというアウトプットと、つくり手自らのポジティビティで、未来の人とくらしは、もっとより良い方向にむかうと思っています。

「つくりたい未来」を描くアプローチや未来ファインダーの活用に興味がある方は、ご相談ください。

株式会社電通マクロミルインサイト 工藤 陽子 / 株式会社電通 吉田 健太郎様

株式会社電通マクロミルインサイト 工藤 陽子 / 株式会社電通 吉田 健太郎様

本サービスはマクロミルグループの電通マクロミルインサイト社にて
ご提供しているサービスになります。
ご興味お持ちの方は、以下よりお問い合わせください。

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