データのその先へーEC購買データ「EPR」活用で、グループ各事業の意思決定を推進

業界・業種
情報・通信

2024/5/30(木)

LINEヤフー株式会社様

インターネット広告事業、イーコマース事業及び会員サービス事業などの展開並びにグループ会社の経営管理業務などに携わっている。

“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。”をミッションに、日本のインターネットサービスを牽引してきたLINEヤフー。今回は、各サービスの事業展開とグループ経営管理業務を行うLINEヤフー株式会社様にて、事業管理統括本部 横断事業管理本部 横断事業管理1部 部長の松本様・同部2チームの日下部様から、マクロミルのEC購買データの活用を通じた事業管理の取組みについてお話を伺いました。

INDEX

抱えていた課題

  • LINEヤフーにて管掌している各事業が展開する市場全体、競合サービスの実態を継続的に把握する手段を持てていなかったこと
  • その為、市場や競合、顧客の動向を踏まえた事業戦略やマーケティング施策の意思決定を行う事に課題感があった

目的

  • 市場・顧客の動向をカバーした事業KPIを設定し、意思決定の質を上げること
  • 高精度かつタイムリーに市場実態を把握し、事業運営のPDCAをまわしていくこと

結果

  • 重要指標の1つとして取締役含む経営陣への報告での利用や、事業活動のPDCAに活用している
  • 競合/自社の使い分けなど消費者の実態を踏まえた施策意思決定を推進し、組織としてのデータ活用の気運を高めることとなった

組織の役割:経営と事業の間に立って、各事業の成長と全体最適の両立を図る

―皆様の組織体制と役割についてお伺いできますでしょうか

私たちはLINEヤフーにおける横断的な事業管理を行う部門に所属していて、各事業部門の皆さんと共に動きながら、予算管理、財務指標分析、市場分析など幅広く計数マネジメントを担当しています。

横断事業管理1部では、非財務指標の分析を通じて「経営」と「事業」の間に立ち、事業に対しては事業成長を実現する為のKPIモニタリングの体制づくりや規律ある投資意思決定を支える数値分析などを共に行い、経営に対しては事業状況を自社と市場の双方の観点から可視化することを行っています。

スタンスとしては、「チェック&バランス」という言葉を部内でもよく使っています。横断的な管理部門として、全社を俯瞰して全体最適の観点で考えること、各事業それぞれでは見えづらい事業間のカニバリゼーションリスクの確認やクロスユース※1のポテンシャルを見出そうとすること、そして、管理や報告にとどまらず課題提起して改善策の検討まで事業部門に伴走することを意識しています。

※1) お客様に複数のサービスを併利用していただくこと

松本様

横断事業管理1部 部長 松本岳彦様

相談の背景・目的:お客様のサービス利用実態を正しく把握し、施策意思決定

―そのような業務を行う中で、弊社にご相談いただいた経緯や課題意識についてお聞かせください

事業モニタリングの業務では3C視点で社内データだけでなく社外データも組合せながら分析を行うのですが、各サービスが市場でどのように浸透しているのか、メインに利用して頂いているのかを正確に把握する手段が無かった事が課題でした。

例えば、オンラインショッピング領域を考える時に、自社ログデータで自社サービスをどのように使って下さっているかを見ることは出来ます。一方で、そのお客様が他社様のサービス含めEC全体ではどの程度使っているのかを把握出来ないと、どのサービスをメインに利用されているかを誤解してしまう可能性があります。

これまでは、業界関係者へのヒアリングや出店ショップの方からの声、市場推計レポートや他社様の開示情報などをもとに意思決定を行っていました。しかし、「点」の情報では、精度や再現性、スピードの面で課題がありました。それゆえに、お客様の本質的なニーズを把握出来ず、予算策定や施策の検討、経営の判断を、限られた情報でせざるを得ないという状況でありました。

また、タイミング的にコロナ禍もあり、消費者のショッピング行動が変わる中で、ECの業界自体が盛り上がったタイミングでありました。その際に、自社サービスも伸びてはいたのですが、市場全体はどうなのか、他社様サービスはどうなっているのか知りたいといったニーズが高まり、データを探し始めたのが経緯になります。

日下部様

横断事業管理1部 2チーム 日下部太紀様

―EPR(ECデータ提供サービス)をご導入頂いた理由についてお聞かせ頂けますか

先ほどお話ししたように、既存の他サービスから乗り換えたのではなく、1からの市場調査の試みだったこともあり、様々な方法を検討しました。

データ候補としては、アンケートや家計簿アプリのデータ、調査会社のレポートなどもあったのですが、そのような中でマクロミルさんのEPR導入を評価した点としては、

  1. 精度の高さ(アクチュアルベースでデータの捕捉率が高い)
  2. 拡張性(1人1人の単位の分析を行える)
  3. データの検証や、分析プロセスへの寄り添い

といった観点でした。

EPRは独自のデータ取得の仕組みを持っていてデータ精度への高い期待がありました。また、仕組み上うまれるデータ特性がありましたが、それらを踏まえてどのようにデータを処理し、解釈するかといった私たちが実務活用する上での課題に対して、データ検証プロセスや活用方法の確立を入念にお付き合い頂けました。データを提供するだけで終わりではなく、導入前からの手厚いサポートがあったことで、今後また異なる課題が出てきたときにも親身になって対応いただける、中長期的なお取引関係を持っていける、と期待できたことがとても大きかったです。

―EPR(ECデータ提供サービス)は当初お客様へのご提供を開始したばかりのタイミングでもあり、私たちとしても皆さまとのやり取りを通じてサービスを成熟させていくことが出来ました

新たなサービスを構築する事にチャレンジされる中では大変なこともたくさんありますよね。

マクロミルさんとしてはサービスを育てていきたい、私たちとしてはこのような見方が出来たら有難い、これらの目的が一致して、同じ方向を目指しながらディスカッション出来たことは良かったと思います。

「共創」のようなイメージを持って頂いていたので、私たちからのサービスへの要望に対してもYes/Noだけではなく、どのようにすれば実現出来るのかというスタンスで考えて頂いていました。

EC購買データ EPRの詳しいサービス情報はこちら >

EPR活用による変化:タイムリーなレポーティング、施策のPDCAのスピードと質

―ご導入を経て、実際に起きた変化としてはどのようなことがございますか

まさに導入前の課題の裏返しなのですが、市場全体や他社様サービス利用も含めたお客様の動向を、タイムリーに毎週経営メンバーや事業部門に報告、ディスカッションできるようになったことが1番大きなことですね。

今までは、例えば他社様動向は最短四半期の開示情報などに限られていましたが、導入により、最短で週次単位でデータを見られるようになった事で、経営層への報告の質とスピードが上がりました。これによって例えば投資判断など重要な意思決定にも良い影響を出す事が出来ています。

事業部門とのディスカッションにおいても、もちろんスピードと質が上がりました。例えば、お客様にメイン利用者になって頂けるような施策を行った時に、実際どのような効果があったのかの可視化や、今後どのような施策を行っていけば良いのかの検討材料にすることが出来るようになりPDCAの質が上がりました。

―EPRデータを使うことで具体化した施策などはありますか?

当社が昨年リリースした会員プログラムであるLYPプレミアムと連動したコマース施策や、当社独自の特典施策など様々な取組みを実施決定する際の根拠データとしてEPRは欠かせないデータとなっています。

EPRのデータだけで意思決定することは少ないですが、お客様の動向を把握した上で、目指すべき方向や課題を明確にして、そのギャップを埋めるために施策を行うPDCAはどの事業にも当てはまることで、直近でも大きなキャンペーンを検討する際のデータとして活用していました。

松本様、日下部様

横断事業管理1部 2チーム 日下部太紀様 / 横断事業管理1部 部長 松本岳彦様

―ありがとうございます。重要な意思決定に使われている中で、データを活用する際に気をつけていること、工夫していることは何かありますでしょうか

事業戦略の礎になっているので、精度面は常に注意しています。データ取得の仕組み上でやむを得ない数値傾向の変化が生じる事もあるので、気になることがあればすぐにマクロミルさんのEPRチームの皆さんに相談するようにしています。

また、データは深堀しようと思えばいくらでも出来ますが、分析をするにあたって、仮説を予め持った上で見ていくことは当たり前のことですが大事だなと思います。

加えて、EPRは「購買データ」であり、あくまでお客様の消費行動ファネルの1番最後の結果であることは常に念頭に置いています。結果は結果として重要ながら、その裏にどのような心理変容が作用しているのかを合わせて考えていかないと本当の意味でお客様に影響があったのかは分からないと思います。まさに最近、EPRに紐づいている意識データセットの活用のご相談もしているのですが、「ファクト」と「インサイト」をセットで考えることが重要だと考えています。

―取り組みを通じて感じたマクロミルの印象はいかがでしたか

「ワンチーム」という言葉がぴったりの印象を持っています。先程申し上げたように、疑問が出てきたらいつもすぐに相談をしているのですが、1日の内に複数件の連絡をすることもあるくらい、「他社さん」のような関係ではなく、社内のメンバーのようなフラットな気持ちでコミュニケーションをしています。

今後の展望と期待:ファクト&インサイト、データのオープン化の推進

―今後のEPRデータ活用の展望についてお聞かせ頂ければ幸いです

大きく3つの事を進めたいと構想しています。

まず1つ目として、分析の対象範囲を広げていくことです。

当社ではグループ全体で様々な事業領域を持っています。私たちは当初ショッピング領域を中心にEPRデータ活用を開始して、その後トラベルやリユースと対象事業領域を広げてきました。今後はこの対象事業領域の拡張と、ウォッチする対象サイトを広げていくことで各事業領域におけるユーザー様の動きを幅広く見ていけるようにしていきたいと考えています。

2つ目に、先程お話した「ファクト&インサイト」の追求です。

EPRデータを活用していく中で見える事が増えた一方で、「なぜその変化が生まれたのか」「変化を生むためにはどのような施策が有効か」「変化をしたお客様とそうでないお客様は何が異なっていたのか」など次々と新たな疑問が生まれています。EPRに紐づいている属性や価値観のデータを利用することや、定性や定量のリサーチも組合せていくことにチャレンジしたいです。

3つ目に、社内でのデータオープン化です。

現在、データ分析は私たちコーポレート部門に閉じて行っているのですが、データを活用していく中で、「こういう事も見られないか」「こんなデータを出してくれないか」といった社内需要が急速に広がってきています。対応が追いつかない事情もあるのですが、事業部門の方から「自分の手元でもデータを見たい」という声も出てきていて、今後はデータをオープン化する事で活用の広がりをつくっていきたいと考えています。これを進めるにあたっては、誤った使い方でミスリードが生まれないように、パネルデータの分析のノウハウや注意点を伝える事が重要になります。時間はかかりそうですが、マクロミルさんがお持ちの分析ツールなども手段の1つとして検討しながら、取り組んでいきたいと思っています。

松本様、日下部様

横断事業管理1部 2チーム 日下部太紀様 / 横断事業管理1部 部長 松本岳彦様

―弊社サービスへのこれからの期待や要望をお聞かせください

まず、私たちの様々な課題や疑問に対して親身にサポートして下さっている部分は是非継続頂ければと考えています。「データ提供をする」で終わらずに、「課題を解決し我々のミッションの達成に貢献する」姿勢がビジネスパートナーとして価値を感じている部分ですので今後も期待しています。

加えて、あえて要望を挙げるとすれば、社内では新たなサイトデータの捕捉やデータ取得のニーズが高まっていますので、現在のEPRの仕組み上では難しい面についてもどのように解決していくことが出来るか、これはマクロミルさんだけでなく私たちの部門の課題でもあるのですが、一緒に考えていくことが出来たらと思っています。

マクロミルを検討されている方へ:課題があればまずは気軽に相談を

―マクロミルへの相談を検討している他社様へ向けメッセージがあればお聞かせください

私たちもそうだったのですが、ビジネス課題を抱えていて何らかのデータが必要、となっていても、それをどのように調査課題や分析課題に落とし込むと良いか、どのような調査手法を選べば良いのか分からず、行き詰まっている状況はよくあるかなと思います。

マクロミルさんは、すぐに解決策が見つからない課題に対しても、「まずは一緒に考える」スタンスがあり、加えて幅広い独自のサービス・ソリューションをお持ちです。調査結果やデータを納品した後も、データの取扱いや解釈の仕方をプロフェッショナルとして伴走し導いてくれます。同じような課題をお持ちの他社様は、まずは一度気軽にご相談してみることをおすすめしたいなと思います。

―ありがとうございました

松本様、日下部様

横断事業管理1部 2チーム 日下部太紀様 / 横断事業管理1部 部長 松本岳彦様

こちらの事例でご紹介したサービス

EC購買データ EPR >

オンラインでの購買者や購買行動をサイト横断でユーザーごとに分析できるサービスです。

誰が・いつ・どのサイト/ショップで・何を(自社)・何と(競合など)どのくらい購入したのかを時系列でみられ、数百を超えるECサイトの購買履歴が取得可能。

マーケットプレイス型やメーカー直営ECサイトにおける購買履歴データも含め、スマホのアプリログ、広告接触履歴、インターネットアクセスログ、位置情報などの行動データと掛け合わせた分析やアンケートで消費者の行動理由を深く理解できます。

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