
昨今、価値観の多様化やビジネス環境の変化などに対応するため、データ分析による根拠の必要性が高まっています。勘や経験に頼らずに経営をするためには、データを有効に活用することが重要です。この記事では、データ分析に成功した企業例やメリット・デメリット、成功のポイントを解説します。
参考:マーケティングリサーチとは?市場調査との違い、主な目的や手法を解説
データ分析とは
データ分析とは、データを収集・整理・加工し、仮説や目的に基づいて分析して意思決定に役立つ知見へ変換するプロセスです。それぞれのプロセスを経たデータの分析によって、現状の把握や将来の予測などができ、ビジネスの収益につなげられます。また、戦略立案・仮説検証・研究開発など幅広い分野で活用できます。
データ分析の必要性が高まる背景
データ分析の必要性が高まる背景には、ビジネス環境の変化と意思決定のスピードの加速、価値観の多様化などがあります。昨今、スマートフォンをはじめとしたデバイスの普及により、顧客の持つ情報量が増加しました。顧客の価値観も多様化しており、ニーズに対応するためにデータ分析が必要となっています。
また、商品やサービスの開発サイクルも早まっています。変化に迅速に対応するため、データ分析の活用が必要です。
【企業別】データ分析例
データ分析は、企業経営のさまざまな場面で活用できます。ここでは、データ分析に成功した企業の取り組みを解説します。
株式会社バンダイ様
株式会社バンダイ様は、市場全体や競合商品の購買状況を継続して把握するために、データ分析を導入しました。マクロミルの「消費者購買履歴データQPR™」を購買データの収集・分析に活用し、課題を抽出しています。
結果として、データに基づく事業活動の意思決定を推進し、メーカーとして課題解決の提案が可能となりました。他にも企画や商品開発など、多くのシーンにおけるデータ利活用に役立てています。
参考:消費者購買履歴データQPR™を活かした営業活動・マーケティング施策
トヨタ自動車株式会社様
トヨタ自動車株式会社様は、「3年間でデジタル化のトップレベルの実現」を目指し、DX推進を実施しました。マクロミルは企画から分析・システム開発まで一気通貫で支援し、AIやビッグデータなどをビジネスに活用しています。
また、データ分析によってインサイトの発掘にもつながりました。エンドユーザーにナレッジを還元するために、UXの設計や構築を意識したプロジェクトが進行しています。
参考:目的達成のため、企画・分析からシステム化、導入、活用まで一気通貫で対応できるビジネスパートナー
高砂シンガポール(高砂香料工業株式会社ASEAN拠点)様|ニューロリサーチ(ニューロ官能調査)活用
高砂シンガポール様は、フレーバーの好感度測定にデータ分析を活用しています。マクロミルのニューロ官能調査を実施し、脳波や心拍数、皮膚電気反応などの調査をしました。調査は匂いと味の2軸で実施し、さまざまなフレーバーの特性や生理反応など、データの相関関係を分析しています。
データ分析に生理指標を用いることで、アンケートやインタビューなどでは得られない、インサイトの評価にもつなげています。インドネシア人女性の嗜好を深く理解でき、市場のポテンシャルの高さを評価できました。
内閣府
内閣府は、消費動向を把握するため、高頻度で消費の動きがわかるデータを求めていました。マクロミルの消費者定点観測調査データ「Macromill Weekly Index(MWI)」を導入し、経済の動向の把握に活用しています。
また、消費のデータ分析にもMWIを活用しました。生活者の物価に対する肌感覚やリアルタイムの調査結果など、政府統計の家計調査にはない有効なデータが得られたとのことです。
参考:【Macromill Weekly Index活用事例】政府の景気判断にも活用。2011年から継続する消費者定点観測調査データ
カゴメ株式会社様
カゴメ株式会社様は、マーケティング戦略の高度化をするため、顧客情報を起点にデータ分析を行いました。マクロミルがデータを提供しているDMP構築を導入し、マーケティング分析にデータを活用しています。
結果として、データの統合や顧客の商品接点から優良化までの過程を可視化しました。DMPの構築によりSNSの活用ができ、広告費用対効果305%向上といった成果につなげています。
参考:【データ構築支援事例】事業を統合し全社で顧客を見るため、マクロミルと挑んだDMP構築
データ分析のメリット
データ分析は、課題の発見や売上予測などに役立ちます。ここでは、データ分析のメリットを解説します。
課題を発見できる
データ分析によって経営状況が把握できると、想定外の課題の発見につながります。情報量の収集やパターンの分析により、販売不振の原因やボトルネックの業務などの特定が可能です。データ分析により傾向や関係性を把握し、仮説検証を通じて課題の特定につなげられます。
売上予測を立てられる
データを活用すると、トレンドや市場などを把握できるため、売上予測を立てやすくなります。過去のデータを収集して客観的に分析することで、不確実性や誤差要因を減らして予測の精度を高められます。また、売上予測だけでなく、マーケティング施策の提案や商品・サービスの企画の立案なども可能です。
データドリブンな経営を実現できる
データドリブンな経営は、分析による根拠のある結果をもとに組織を運営することです。先入観にも左右されずに合理的な判断ができるため、価値観の多様化や変化の激しさにも対応できます。データをもとに適切なアクションを導き出すため、勘や経験に頼らない判断をもとに経営が可能です。
データ分析のデメリット
データ分析は、データを処理する業務負担や体制構築のコストがかかります。ここでは、データ分析のデメリットを解説します。
業務の負担が増加する
データ分析の業務には、情報収集や整理、加工などのプロセスが必要です。担当者にデータサイエンスやビジネスの知識が求められるため、業務負担が偏る可能性があります。分析以外の業務負担も増えるため、特定の人材に対する負荷を考慮しなければなりません。業務量を軽減する際は、データ分析のツールの導入をはじめとした対策が必要です。
コストがかかる
データ分析は属人化しやすい業務が多く、さまざまなスキルが求められます。担当者の採用や教育コストがかかるだけでなく、知識の差によるコミュニケーションコストも増えます。また、知識不足によって業務が円滑に進まない可能性もあるため、従業員の教育や採用のコストも考慮しなければなりません。
データ分析に成功するポイント
データ分析を実施する際は、目標や手法などを具体的に決めることが大切です。ここでは、成功するポイントを解説します。
目標を明確にする
データ分析は、明確な目標を決めてから実施しましょう。具体的な目標があると、データを収集する方法や分析の手法、その後の活用方法などが明確になります。また、客観的で合理的な判断もできるため、目標の明確化はデータ分析の効率を高めるうえで有効です。最初は大まかな目標でも問題ないので、施策を進めながら具体性を高めましょう。
仮説を設定する
仮説はデータ分析をする際の指針となります。目標を達成するために仮説を洗い出し、優先順位をつけて一部のものを検証することが必要です。過去の実績や経験がない場合は、仮説の可視化や簡易的なデータ分析を実施することをおすすめします。その中で仮説を組み立て、課題の解決につなげることが大切です。
データ分析の手法を決める
仮説を設定した後は、データ分析の手法を決めます。社内外から収集可能なデータであることを前提に、自社の課題の解決につながる最適な手法を選びましょう。たとえば、アンケート調査、インタビュー、行動観察など、それぞれ特徴が異なります。仮説の検証のために、分析対象の精査が必要です。
データを収集する
目的や目標を達成するために、必要なデータ量を収集することが必要です。データが不足する場合、適切な結果が得られなくなるため、情報の正確性も求められます。データ収集後は整形し、分析結果の精度を高めます。データの検証・精査や統合、フォーマットの統一などを行い、信頼性の高い分析結果につなげましょう。
BIツールを活用する
BIツールとは、データ分析の効率化に役立つシステムです。システムを横断したデータ収集やデータの可視化など、分析以外にも作業を効率化する機能を搭載しています。BIツールはデータ分析の専門知識がない場合でも活用できるため、全社での活用を想定して導入することも可能です。
まとめ
データ分析は、課題の発見やマーケティング施策の提案など、さまざまな場面で活用できます。多くの企業がデータ分析を行い、データドリブンな経営や商品・サービスの改善といった施策の成功につなげています。ただし、業務負担やコストがかかるため、BIツールを活用して作業を効率化することが必要です。
株式会社マクロミルは、多様な社会・消費者ニーズを分析し、クライアントに的確な消費者インサイトを提供します。「データ利活用支援事業(データ・コンサルティング)」をはじめとした、総合的なマーケティングの支援が可能です。データ分析を実施する際に、ぜひ利用をご検討ください。
