
アンケートの語源はフランス語で、調査や問い合わせといった意味です。日本では、定型の質問を使った大人数向けの調査という意味合いが強くなっています。この記事では、アンケートの概要、質の高いアンケートと質の低いアンケートの違いなどを解説します。アンケートについて知りたい人は、参考にしてください。
目次
アンケートとは
アンケートは、得たい情報の知見や意見をお持ちであろう対象者や専門家に対して、調査を行うことです。紙に記入する形式が基本ですが、電話やはがき、Webを介したものも一般的です。日本では、多数のユーザーに定型の質問をする調査が多くなっています。

実施する目的
アンケートの目的は、売上を上げたい、顧客満足度を高めたい、リピーターを増やしたいなど、企業が抱える課題によって変わります。目的を明確にできない場合は、分析が甘いということになります。
アンケートと市場調査の違い
市場調査はアンケートと似た意味で使われますが、意味が異なります。市場調査とはマーケティングの施策を立てるために、市場を数値化して現状を把握することです。たとえば、どの程度の需要があるか、競合はどのようなシェアであるかなどが当てはまります。市場調査の一環として、アンケートが存在します。
参考:市場調査とは?メリットや代表的な8つの方法、実施する手順まで詳しく解説

アンケートの種類
アンケートにはどのような種類があるのでしょうか。2つの調査と、それぞれの調査方法を解説します。

定量調査
定量調査は、多人数を対象に行うアンケート調査です。結果が数値化されるため、おおまかな傾向をつかむのに向いています。選択肢を選ぶだけのものが多く、気軽に回答できます。多くのデータが必要であるため、回収・集計に時間がかかることに注意が必要です。定期的に実施すると、消費者の変化を把握できるでしょう。
定量調査のおもな種類
具体的には以下のような方法が挙げられます。
定性調査
定性調査とは、対象者1人ひとりから、意見を直接聞くアンケート調査です。多くの回答を集めようとする定量調査に対して、定性調査は質を求めます。数値には表れない個々の考えがわかり、意外な改善点に気付けるなど、質の高い意見を得られます。ただし、準備に手間や時間がかかり、多人数への調査には向きません。
定性調査のおもな種類
具体的には以下のような方法があります。
- グループインタビュー調査:調査対象者を6〜8人ほどのグループにわけ、座談会形式でインタビューをする
- デプスインタビュー調査:調査員が長時間にわたって、対象者にインタビューをする
- 行動観察調査:対象者の購買時や生活時の行動を観察する
- 覆面調査:調査員が客に扮し、接客レベルや店舗の清掃などを確認する
参考:定量調査と定性調査とは?定性調査の基本や方法、定量調査との違い、使い分けを解説
マクロミルではクイックにお手元で定性調査が可能なセルフ型インタビューサービス「InterviewZero」も運営しています。
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アンケートの質問の形式
アンケートにおける質問には、おもに2つの形式があります。それぞれの特徴を解説します。

選択形式
3択や4択など、複数の選択肢から選択してもらう方式です。対象者の意見を明確にしやすく、回答する側にも負担をかけずに済みます。大量のデータを得やすく、全体の傾向も掴みやすいというメリットがあります。

自由記入形式
対象者に自由に意見を記入してもらう方式です。選択形式よりも回答の手間と時間はかかりますが、多種多様な意見を得られます。積極的な回答によって、企業が気付きにくい改善点を得られることもあります。

質の高いアンケートと低いアンケートの違い
質の高いアンケートと質の低いアンケートには、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴を解説します。

質の低いアンケート
質の低いアンケートの特徴は以下のとおりです。
- 設問が抽象的である
- 事前の調査が足りない
- 設問がMECEではない
MECEはミーシーと読み、漏れがなく重複もないという意味のフレームワークです。質の低いアンケートは、多くの回答を得たとしても、得たデータの活用法や改善点、実施すべき行動などを明確にできません。
質の高いアンケート
質の低いアンケートの逆が、質の高いアンケートです。質の高いアンケートの特徴は以下のとおりです。
- MECEな設問がある
- 数値化するなど定量的に記載できる
- 事前に的確なリサーチをしている
購入回数や購入頻度によって質問内容を変えるなど、具体的な回答を得られるようにすることが大切です。
アンケートを作る基本的な手順
アンケートを作る際は、以下のような流れで進めるとよいでしょう。
- 集めたい情報とゴールの設定
- 質問票のタイプと回収方法の決定
- 質問項目の決定
- 各質問の回答形式の決定
- 各質問項目の文章の決定
- 質問の順番の決定
- 質問紙のサイズや質問量などの決定
- 全体の再検討
- プリテスト
- アンケートの実施、集計
- レポートの作成
- フィードバック
アンケートの実施方法
アンケートはどのような方式で実施するとよいでしょうか。用紙とWebを使用したアンケートの特徴を解説します。

用紙を使用したアンケート
専用の用紙に、回答を記入してもらう方式です。実施する側も回答する側も手軽に行えて、高齢者をはじめ、幅広い世代から回答が得られます。ただし、結果の集計や分析に手間がかかることがデメリットです。また、誰でも調査できますが、用紙を大量に用意する場合にはコストがかかります。
Webを使用したアンケート
Web上で、アンケートを実施する方式です。コストを抑えられ、集計が簡単であるため、近年注目を集めています。アンケートの作成や配信、回収、集計まで、オンライン上ですべての流れが完結します。
Webを使用すると、紙のアンケートよりも速やかな市場調査ができるでしょう。また、項目作成や回答結果の分析といった手間を減らせます。ただし、高齢者はスマートフォンやパソコンの操作に慣れていないことが多く、サービスや商品によっては適しません
得られたデータの活かし方
アンケートを実施して得たデータは、どのように活かすべきでしょうか。注意すべき2つのポイントを解説します。

全体から細部に向けて分析する
集計したアンケートの結果は、分析することが大切です。全体の傾向から分析し、カテゴリーや属性ごとの傾向など、細かな部分を分析しましょう。
参考:アンケート結果を分析する方法とは?集計方法や分析の種類、実施する手順などを解説
有意性を考慮する
有意性とは、統計的に正しく信頼できることを指します。有意性を検証するには、アンケートの回答数と回答者の代表性をみるとよいでしょう。回答数が少なすぎる場合は、1つの意見で大きく結果が変わってしまうため、有意性がないということになります。また、アンケートの対象者の割合と回答者の割合が近くないと、有意性がありません。
まとめ

アンケートは、得たい情報の知見を持つ、多数の人を対象に行うものです。目的を明確にして事前のリサーチを入念に行い、漏れや重複のない設問を用意しましょう。
株式会社マクロミルは、マーケティングリサーチとデジタルマーケティングリサーチを中心に、多様な社会・消費者ニーズを分析し、消費者インサイトを提供しています。マーケティングデータの提供に加えて、当社が提供するデータと顧客が保有するデータ等を融合させて、その利活用にともに取り組んでいます。アンケート実施の際には、ぜひご利用ください。
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