【Macromill Weekly Index活用事例】政府の景気判断にも活用。2011年から継続する消費者定点観測調査データ

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2022/2/22(火)

内閣府様

2020年1月に国内初の新型コロナウイルス感染者が確認されて以来、生活者を取り巻く社会が一変。感染拡大の波に伴う外出自粛や政府の対応・発表、関連する報道などによって、生活者の消費動向やマインド、景況感も、日々めまぐるしく変化しました。

このような中、2020年4月の1回目の緊急事態宣言の発出時に、内閣府様の『月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(以下、関係閣僚会議資料)』において、経済の動きをリアルタイムでつかめる代表的な民間データの1つとして、マクロミルの消費者定点観測調査データ「Macromill Weekly Index(以下、MWI)」の活用がスタート。以降も、同資料内でMWIが継続的に用いられています。

現在、国内の消費関連のデータ分析や、毎月の関係閣僚会議資料における個人消費分野を担当する内閣府の佐藤千尋様に、MWIを活用するに至った背景やポイントについてお話をうかがいました。

内閣府

政策統括官(経済財政分析担当)付
参事官(総括担当)付
佐藤 千尋

Macromill Weekly Index(MWI)とは

マクロミルが、日本の生活者意識や消費動向を、毎週継続的に把握する、定点観測調査データです。1週間の消費金額や、消費カテゴリーのほか、内閣府が実施する消費動向調査や景気ウォッチャー調査の調査票を参考にした消費マインドや景況感などの指標を幅広く取得しています。
調査は毎週水曜に実施、データは同週の金曜に即時性高く公表。BIツール「Tableau」との連携によって、性別や年代別、地域ごとなどの動向把握が可能です。
※2021年6月から、新たにアジア6カ国版の「Macromill Weekly Index Asia」もスタート。

https://www.macromill.com/service/weeklyindex/jp/

― MWIを活用いただくに至った背景について教えてください。

私が消費担当に着任する前の話にはなりますが、例えば、2019年10月の消費税率の引上げ前後の駆け込み需要やその反動を見る際に、なるべく高頻度で消費の動きが分かるデータがないかと模索する中で、MWIも参考にしていたようです。その後、MWIの週次データを見ていく中で、消費の動きをより迅速に把握できる、という点において、部内での理解も進み、現在においても活用させていただいています。特に、昨今のコロナ禍では、状況が日々変わりうるため、週次で最新データが確認できる点がポイントでした。政府統計にも消費者の意識・マインドを把握できるデータはありますが、民間のいわゆるオルタナティブデータのうち、迅速かつ高頻度に動向を追えたことが、継続的に活用するに至った背景の一つです。

― 内閣府において、MWIは毎週どのように活用されているのでしょうか。

毎週金曜日のデータ公表の度に、私たち消費班は最新データを資料にまとめ、部内への説明を行っています。主に、「1週間の消費金額」と「購入品目」の2つの指標を使っています。また、足下では物価への注目が集まることが多いため、「値上がり品目 値下がり品目」の指標について、物価担当に共有することもあります。消費者にとって身近な生活用品の物価への意識については、報道でもよく触れられるところなので、幹部含めて関心の高いポイントです。

上記はMWIの指標の一つ、「1週間の個人消費金額」。
その他にも、消費、物価、マインド、政治意識など全部で10項目の指標をホームページ上で公開している。

また、コロナ禍においては、緊急事態宣言の発出前後での支出の変化について、部内でも注目度が高い点でした。実際に、2021年10月以降、食事会・飲み会に対する支出者割合が大きく上昇したことから、宣言解除の効果を示唆するデータの一つとして部内で確認することもありました。

このように、毎週のデータは部内でも注視されており、金曜日になると、「MWIの最新データはどう変化したか」と話題になることもあります。

実際に作成された資料で、ご活用方法を分かりやすくご説明いただきました。

― 週次でのデータ公表以外に活用いただけているポイントはありますか?

3つほど挙げられるかと思います。

1つ目は、アンケート実施から公表までの期間が短いことですね。毎週木曜日から水曜日までの結果が調査開始日(水曜日)の翌々日の金曜日には公表されます。例えば、緊急事態宣言がある週の月曜日に解除された場合、その週末には、宣言解除後の数日間を含むデータを早速確認できます。経済情勢に対し対外的な説明責任を持つ政府としては、この迅速性は重要なポイントとなります。

2つ目は、長期間のデータが蓄積されていることです。具体例を挙げるとすると、新型コロナの感染が確認された以降に始められた調査では、その時点の状況は把握することが可能ですが、時系列的な変化や比較という観点では解釈が難しい面もあります。長期間のデータが蓄積されている場合、例えば、2019年の消費税率引上げの影響を考える際、前年からの比較という観点でも確認できますし、2014年の税率引上げ時との比較も可能となります。データの蓄積は、経済分析において大変有効だと思います。また、「このスコア上昇は、増税の影響?それとも毎年繰り返される季節要因?」などといった週次のデータの振れについても、過去の同時期のデータの変化のクセをもとに評価することができるため、長年にわたってデータが蓄積されていることは、経済分析においては大切なことです。

3つ目は、指標の分かりやすさかなと思います。「〇〇指数」や「GDP」のようなやや専門的なものとは違って、「あなたはこの1週間にいくら使いましたか」、「何にお金を使いましたか」といった問いへの回答がシンプルな数字として示されるので、データの解釈がしやすいと言えます。アンケート調査の強みかとも思いますが、複雑な算出過程を経ることない、単純明快な結果は、対外的に説明を行う立場の私たちとしても、足下の変化をよりわかりやすく説明する際に大いに活用しています。

― 最近、注目しているMWIのデータは?

足下では、原油や日用品の価格が上昇しているため、「物価」の指標に注目しています。総務省統計局の消費者物価指数(CPI)は調査翌月に公表されますが、それよりも前に、生活者の物価に対する肌感覚を把握できます。

物価は「物価変動」と「値上がり・値下がり品目」の2つの指標を公開。それぞれ生活者の身の回りの意識を指標化している。フィルター機能を使って選択肢を絞り込むことや、調査日、アンケート回答者の地域(居住地)、性別や年代も絞り込むことができる。

また、消費担当の中でよく話題になっているのは「1週間の個人消費金額」と「購入品目」ですね。経済の中でも消費の占める割合は大きいため、足下で上向き・下向きのどちらに変化してきているのかは気になる点です。平時であれば、週次の消費の変化は天候要因くらいでしか左右されないとも思いますが、コロナ禍において、外出自粛といった人の行動に働きかけるものが大きい場面では、週次レベルでの消費動向に関心が高まり、班内でもよく話題に挙がります。

― 内閣府における景気判断に、MWIが使われた例はありますか?

私たち消費班の仕事は、月1回の月例経済報告で消費の判断をどう考えるか、という所になります。景気判断に使った一つの事例を挙げると、2021年4月末の緊急事態宣言発出後、5月の判断の際です。4月後半以降から5月頭にかけての政府統計は、この時点ではもちろんまだ発表されていないタイミングでした。その際、足下の状況や変化を確認する際に活用した主要データの一つがMWIでした。結果、消費の判断を下方修正するという判断に至り、5月の関係閣僚会議資料にMWIを掲載しました。またこの時の資料では、MWIの個人消費金額の平年水準からの変化率を示すことで、分かりやすく直感的に理解できるように見せ方にも工夫をしました。判断の際には、もちろん他の統計も参考にしましたが、毎週確認できるMWIの即時性を最大限活用しながら、景気判断の議論を行ったことが、非常に思い出深く印象に残っています。

― 今後のご要望や期待することがあれば教えてください。

挙げるとすれば、データの使いやすさ、アクセスのしやすさという点でしょうか。MWIは無料で公表されていますよね。このアクセスのしやすさについては部内でも驚きの声があります。

また、経済分析だと、例えば、政府統計の家計調査を使って消費の分析をスタートしよう、という人も多いかもしれません。しかし、どうしても今の状況では、政府統計では2~3カ月前の調査結果なので、即時性が求められる場面では扱いにくいこともあるかと思います。そうした場合には、オルタナティブデータも確認してみる必要があるでしょう。そのデータの1つにMWIもあると思います。なお、1,000人へのアンケート調査ではありますが、政府統計である家計調査の支出額とMWIの推移を比較し、おおむね同様の傾向を示しているかを丁寧に確認しつつ、足下の動きを推し量る貴重なデータの1つとして私たちは活用しています。

そういった中で、データの使いやすさ、アクセスのしやすさという点を工夫いただき、様々な立場の人がデータを使用することで得られる多様な意見を基に、より良く改善されていくことで、さらに確固たるデータに変化していくのでないかと思います。

― 今後も、社会でより良く活用いただけるMWIを目指し、調査を継続していきたいと思います。本日はありがとうございました。

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