
インタビューガイドは、インタビュー調査を体系的に実施するための設計資料です。この記事では、インタビューガイドの目的や作成する手順、コツなどを解説します。インタビューガイドを利用し、調査に役立てたい人は、参考にしてください。
参考:デプスインタビューとは?1対1で深層心理を探る定性調査の手法と活用ポイント
インタビューガイドとは
インタビューガイドとは、インタビュー調査の設計資料で、引き出したい情報を得るために、質問内容や順序を体系的に整理した文書を指します。インタビュー調査は定性調査の1つで、対象者に直接インタビューをする形式です。
インタビューガイドの目的
インタビューガイドの目的は、現場との認識のズレを防ぎ、質の高いインタビューを実現することです。それぞれについて解説します。
現場とのズレを解消するため
インタビューガイドを使うと、「なぜ質問が必要なのか」「回答から得たい情報は何か」「どのような点を深掘りしたいのか」が明確になります。情報を収集する視点を細かく明記すれば、的確な情報収集につながり、現場とのズレの防止が期待できます。情報共有が不足していると、連係連携ミスや認識の齟齬が発生し、プロジェクトの失敗につながります。
インタビューの質を向上させるため
回答者に自由な発言を促すには、スムーズな質問の流れが必要です。質問に一貫性がなかったり、別の質問へと移る流れが不自然だったりすると、回答者は戸惑ってしまいます。インタビューガイドは、重要な項目を滞りなく収集する点でも有効です。インタビューガイドによるスムーズな進行は、インタビュアー間のばらつきを抑え、一定水準の回答を効率的に得やすくなります。
インタビューの種類
インタビューは、質問をどの程度まで事前に決めるかによって、3つに分けられます。それぞれの概要と特徴を解説します。
構造化インタビュー
構造化インタビューは、主要な質問項目と順序を事前に固定する形式のインタビューです。質問内容も質問する順序も同じであるため、回答の定量的な分析に適しています。インタビュアーのスキルに左右されないため、複数のインタビュアーで実施する大規模調査に有用です。
ただし、質問が事前に決まっているため、事務的な対応になりがちで、深掘りや本音の抽出が難しい場合があります。構造化インタビューは、おもに以下のような条件において実施されます。
- 比較できるデータを収集したい
- インタビュアーのスキルや主観による差異を抑えたい
半構造化インタビュー
半構造化インタビューは、質問内容の一部を事前に決めて、他の質問を適宜追加したり変更したりする形式です。事前の質問を軸に、回答や流れに合わせて臨機応変に質問できるため、回答を柔軟に引き出せます。深い洞察の獲得や深掘りに役立ちます。半構造化インタビューは、以下のような目的に適しています。
- 新商品のニーズ調査
- UX改善
非構造化インタビュー
非構造化インタビューは、質問の内容や順番を事前に決めず、当日の流れに沿って臨機応変に展開していく形式です。回答者の感情や信念を知りたいときや、感情を理解したい場面に適していることから、意識調査でよく使われます。非構造化インタビューにより、予想外の発見や内面的な動機の把握につながる可能性があります。
ただし、インタビュアーのスキルに左右されるためデータのばらつきや偏りが生じやすく、分析や比較が困難な点に注意が必要です。
インタビューガイドを作成する手順
インタビューガイドは手順に沿って作成し、質の高いインタビューの実施に役立てましょう。
インタビューの目的を明確にする
インタビューの目的の明文化が重要です。目的が曖昧なままでは質問の数が増えて、時間内に聞きたい項目まで深掘りできません。方向性が定まることで、質問設計の精度が向上します。インタビューで質問したい項目や明らかにしたい点を、一文で提示できる状態にしましょう。
対象者を決める
インタビューの対象者を決めます。その際には、年齢や性別、職業、家族構成などの基本属性のほか、ライフスタイルや価値観、商品を購入したきっかけなど、細かいペルソナ設定が大切です。ペルソナを設定することで、一般的・表層的な回答に偏るリスクの低減が期待できます。また、対象者を選定するほか、実施人数も決めます。
質問内容を決める
質問項目を洗い出して、目的達成に必要な質問をリストアップします。質問内容を決める際は、質問文をはじめから作ろうとせず、まずは論点レベルで整理し、その後に具体的な質問文へ落とし込むことがポイントです。目的の達成に直結しそうな質問を中心に構成を練り上げます。
質問の優先順位を決める
質問をリストアップしたら、優先順位を決めましょう。特に時間が限られている場合は、必ず聞くべき質問や追加で聞きたい質問などを明確にします。質問の優先順位がわかるリストを作成しておくと、インタビューの際に役立ちます。
流れを設計する
インタビューを滞りなく進められるように、インタビューの流れを設計します。質問を聞く順番は、必ずしも優先順位の通りではありません。先に聞いた質問があとの質問に影響を与えるため、回答に影響を与える順序効果や誘導が生じない構成設計も重要です。全体をいくつかのパートに分けて時間配分を決めておくと、インタビュー内の調整もスムーズです。
インタビューガイド作成のコツ
インタビューガイドの作成は、引き出したい情報の獲得に必要な工程です。作成時に意識すべき4つのコツを解説します。
作り込みすぎない
半構造化インタビューや非構造化インタビューにおいては、想定外の話題や意外なエピソードがきっかけで、深い洞察を得られることも少なくありません。インタビューガイドの流れや必ず質問すべき事項は重要であるものの、柔軟な対応も必要です。厳格に作り込みすぎると、柔軟な深掘りが難しくなる場合があります。
時間配分を意識する
インタビューガイドを作成する際は、時間軸を意識します。回答者が答えやすいように、流れに沿って質問を進めると、自然にストーリーが生まれます。回答を羅列するのではなく、時間軸やストーリーに沿って質問を配置すると、回答者が答えやすくなります。
「過去→現在→未来」や「きっかけ→選択→結果→振り返り」のような流れで構成して、ペースと順番を決めておきましょう。回答者に深く考えてもらう質問と、自然に話しやすい質問が両立できる設計がポイントです。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分けも大切です。オープンクエスチョンとは自由に回答できる質問を指し、クローズドクエスチョンは「はい」「いいえ」で答えられる質問のことです。
オープンクエスチョンは、回答者の感情や思考を引き出し、意見の幅を広げたいときに有効です。一方、クローズドクエスチョンは前提確認や内容を絞り込みたいときに適しています。両者を目的に応じて使い分けることで、情報の網羅性と深度を両立できます。
一問一答になるように意識する
一問一答形式の「ワンクエスチョン・ワンアンサー」となるように設計します。複数項目を一度に質問すると、回答が曖昧になりかねません。漏れなく回答を収集できなくなるリスクにもなります。1つの質問で複数の項目を聞き出そうとしていないかを確認して、必要に応じて質問を複数に分けたりシンプルにしたりします。
インタビューガイドを使用する際のポイント
インタビューガイドは、インタビュアー間の実施品質の均質化に寄与します。ここでは、インタビューガイドを使用する際に役立つ3つのポイントを解説します。
臨機応変に対応する
インタビューは、インタビューガイドのとおりに進むとは限りません。想定外の展開になった場合は、新しい質問を追加して話を拡げたり、質問の順番を入れ替えたりして柔軟に対応しましょう。
インタビューガイドに固執すると、回答のなかで生まれる興味深いトピックを見逃します。また、不自然な会話が続いて、回答者の本音を引き出せない可能性もあります。予期せぬ展開も重要なデータ取得の機会と捉える姿勢が重要です。
リラックスできる雰囲気づくりに努める
回答者の率直な意見や感情、思いを引き出す環境づくりも重要です。リラックスした雰囲気は、回答者の答えにも、よい影響をもたらします。取材の冒頭に世間話や雑談などのアイスブレイクを導入し、質問をしながら相槌を打つことがポイントです。共感的な姿勢を示すことで、本音や率直な意見を引き出しやすくなります。
先入観を持たずに進める
インタビュアーは、要約や代弁、先回りしない姿勢が大切です。「つまり、〇〇ですね」と誘導したり「〇〇と考える人が多いですが」と不要なコメントを述べたりすると、回答者の自由な発言や意見が妨げられる可能性があります。
インタビュアーが共感する姿勢は、その場の活性化に有効です。しかし、インタビュアーの主観や予測が入ると、質問をミスリードしたり、回答者が回答を控えたりしかねません。インタビュアーの自己主張が強くならないように、バランスを考慮することが大切です。
まとめ
インタビューガイドは、回答者が安心して話せる進行を支援し、的確な情報収集に役立ちます。インタビューを実施する目的を明確にして、対象者と質問内容、優先順位、流れを設計します。インタビュー調査をはじめとする定性調査は、数値に現れない行動の動機や心理の分析に有効です。
株式会社マクロミルでは、デジタルマーケティングリサーチを中心に、多様な社会と消費者ニーズを分析し、新たな消費者インサイトを提供しています。複数のデータを融合させて利活用することで、「データ利活用支援事業(データ・コンサルティング)」と「マーケティング施策支援事業」を一気通貫で支援します。
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