市場調査の依頼方法｜費用相場や会社の選定方法、依頼できる内容などを解説

新商品開発やマーケティング戦略立案のために市場調査は欠かせません。しかし、自社だけで質の高い調査を実施することは難しく、専門の市場調査会社への依頼が有効です。本記事では、市場調査の基本概念から、信頼できる調査会社の選び方、費用相場、依頼から納品までの流れまで詳しく解説します。

参考：市場調査とは？マーケティングリサーチとの違いやメリット、代表的な9つの方法を解説

• 市場調査とは？
• 市場調査のメリットは意思決定に客観性をもたせること
• 市場調査会社に依頼できる業務内容
• 調査手法の種類と特徴
• 依頼から納品までの基本ステップ
• 費用相場とコスト削減のポイント
• 市場調査会社の選び方
• まとめ

市場調査とは？

市場調査とは、企業が事業戦略や商品開発、マーケティング施策の立案などを目的に、市場環境や顧客ニーズに関する情報を収集・分析するプロセスです。

市場調査の目的

市場調査の目的は、ビジネス上の意思決定を支援するために必要な情報を収集することです。市場規模の把握、業界トレンド分析、競合動向、顧客ニーズの把握、商品・サービスの評価などが挙げられます。

新規事業参入の判断材料や既存事業の改善点を明らかにし、経営判断の質を高めることが最終的な目標です。

市場調査のデータ収集範囲

市場調査で収集するデータは多岐にわたります。一般的には市場規模や成長率、業界動向、競合企業の分析、顧客の購買行動や嗜好、商品・サービスの評価などが含まれます。データ収集方法も、公開情報を基にしたデスクリサーチから、消費者へのアンケートやインタビュー、実際の商品使用テストまで、調査目的に応じて適切な範囲と手法を選択することが重要です。

市場調査のメリットは意思決定に客観性をもたせること

市場調査の最大のメリットは、客観的データに基づく意思決定を可能にすることです。市場のニーズやトレンドを正確に把握することで、顧客が真に求める商品開発ができ、競合分析を通じて差別化戦略を立案できます。

自社の思い込みではなく実際の顧客の声に基づくため、開発リスクが軽減され、潜在ニーズの発見にもつながります。これにより、短期・中長期の経営戦略の質が向上します。

市場調査会社に依頼できる業務内容

市場調査会社は調査設計から分析、戦略提案まで専門的サービスを提供しており、外部委託によって効率的かつ高品質な調査が実施できます。

デスクリサーチによる資料収集

デスクリサーチは既存の情報源からデータを収集・分析する手法です。Webサイトや統計資料、業界レポートから市場規模や業界動向、競合情報を収集します。新たな調査実施が不要で低コスト・短期間で実施できるメリットがあり、専門知識を持つ調査会社は情報収集だけでなく分析や戦略立案に利用できる形で提供してくれます。

アンケート調査の設計と実施

アンケート調査は定量的データを収集する代表的手法です。調査会社は質問設計から対象者選定、実施、分析までを一貫して担当します。ネットリサーチ、郵送調査、会場調査などの方法があり、質問は単一回答や複数回答など目的に合わせて設計されます。

特にネットリサーチは短期間・低コストで大量データ収集が可能で、専門ノウハウに基づく効果的な調査ができます。

インタビュー調査の設計と実施

インタビュー調査は消費者の深層心理や価値観など数値化しにくい定性情報を収集する手法です。市場調査会社はインタビュー協力者の選出・募集から質問設計、実施、分析までをサポートします。

調査会社に依頼する利点は、熟練したインタビュアーによる質の高い対話進行や専門的な質問設計が挙げられます。また業界経験に基づく分析や結果解釈までの一貫したサービスが強みです。

調査報告書・プレゼン資料の作成

調査会社はデータ分析からわかりやすい報告書作成まで担当します。単なるデータ羅列ではなく、戦略的提言を含めた資料を作成します。グラフや表の効果的活用、客観的事実と専門家所見の区別など、理解促進の工夫がされています。

レポートは「目的」「方法」「結果」「分析・提言」という構成で作成され、意思決定に直接活用できる形式で提供されます。

マーケティングの支援

市場調査会社はデータ収集だけでなく、そのデータを活用した具体的な戦略提案も行います。新商品開発の評価や既存商品の改良点分析、効果的な販促策の立案などがおもな支援内容です。

顧客層の特定から競合分析、消費者の潜在ニーズ発見まで幅広くカバーし、データに基づく意思決定をサポートします。これにより、より効果的なマーケティング活動の実現が可能です。

調査手法の種類と特徴

市場調査手法には定量・定性調査があり、目的や予算に応じた選択が重要です。各手法の特徴を理解して最適な調査設計を行いましょう。

ネットリサーチの特徴

ネットリサーチはインターネットを通じて実施するアンケート調査で、短期間で大量のデータを低コストで収集できる点が特徴です。スマートフォンからも回答可能なため幅広い層の意見が集められる一方、インターネット利用者に限定される点や回答の信頼性確保が課題となっています。特に定量データの収集に適しており、地域や時間に縛られずに調査できるメリットがあります。

インタビュー調査の特徴

インタビュー調査は対象者との対話を通じて深層心理や行動背景を探る手法です。1対1で行うデプスインタビューと複数人で実施するグループインタビューがあります。個別では踏み込んだ質問が可能である一方、グループでは参加者同士の相互作用で新たな意見が生まれやすい特徴があります。消費者の本音を引き出せる点が強みで、新商品開発などに効果的な調査方法です。

ホームユーステストの活用法

ホームユーステストは商品サンプルを対象者の自宅で使用してもらう調査です。実際の生活環境での使用感を把握できるため、食品や化粧品、家電など日常的に使用する製品の評価に適しています。

おもな活用法には、新商品開発時の最適品選定や既存商品の改良点把握、競合製品との比較などが含まれます。使用過程の変化も調査できる点が大きな強みとなっています。

依頼から納品までの基本ステップ

市場調査を外部委託する際の基本的な流れと各ステップのポイントを押さえて、効果的な調査を実現しましょう。

調査目的の明確化

市場調査の最初のステップは目的とゴールの明確化です。なぜ調査を行うのか、どのような情報を得たいのか、結果をどう活用するのかを具体的に整理します。目的によって調査設計が変わるため、曖昧な設定では有効な結果を得られません。調査会社には自社の背景や目的を簡潔に伝えましょう。

調査会社の選定

調査目的が明確になったら、それに適した調査会社を選定します。会社ごとに専門分野や得意手法が異なるため、自社のニーズに合った会社選びが重要です。実績、専門性、調査手法、パネルの規模と質、業界知識などを確認します。複数社に問い合わせて対応の質や理解度を比較することが効果的です。

見積もり取得と比較

複数の調査会社から見積もりを取得して比較検討します。見積もりには調査範囲、手法、サンプル数、スケジュール、費用内訳などが含まれています。価格だけでなく、調査内容の質や範囲、情報の深さなども含めて総合的に判断することが大切です。不明点は追加質問し、安価な見積もりの場合には品質が担保されているか確認しましょう。

進捗管理と調査結果報告

発注後は調査の進捗状況を定期的に確認します。調査設計から関与して質問項目や対象者条件を確認し、実施中も中間報告を受けて問題に早期対応しましょう。完了後は詳細な報告書が提出され、不明点は質問や追加分析を依頼できます。

報告会で直接説明を受け、結果理解と具体的な活用方法の議論により調査の投資効果を高められます。

費用相場とコスト削減のポイント

市場調査の手法別費用相場と効果的なコスト抑制策を紹介します。予算計画を立てる際の参考にしてください。

調査手法別の費用相場

例としてマクロミルの費用を確認してみましょう。マクロミルの料金体系では、100サンプル・10問で11万円、質問数・サンプル数が増えると費用も上昇し、1,000サンプル・30問では73万円になります。

コスト・工数削減のテクニック

市場調査費用を効果的に削減するには、まず調査の目的と優先順位を明確にすることが重要です。具体的なテクニックとして、まず調査規模の最適化があります。質問数を10問以内に抑え、サンプル数も必要最小限にすることで、費用を削減できます。簡易分析や事前調査など、調査の一部を自社で行う内製化も、コスト削減に有効な手段です。

市場調査会社の選び方

市場調査会社選びでは、専門性やコスト、サポート体制など複数の要素を比較検討することが大切です。

手法の種類と専門性

調査会社選びで最初に確認すべきは、各社の得意とする調査手法と専門分野です。ネットリサーチ、グループインタビュー、海外調査など、自社の課題解決に必要な手法に対応しているかを確認しましょう。

過去の実績や業界知識も重要な判断材料となります。専門性の高い会社を選ぶことで、調査の質と効率が向上します。

見積もり比較のポイント

見積もり比較では、単純な価格だけでなく内容とのバランスを総合的に判断することが大切です。同じ調査内容でも会社によって最大4倍ほどの費用差が生じることもあります。調査実施費用だけでなく、調査設計や分析、報告書作成などの付帯サービスが含まれているかも確認しましょう。

納期・スケジュール

調査にかかる時間やレポート提出までのリードタイムは会社によって異なります。同じ調査方法でも数週間の差が生じることがあるため、プロジェクトのタイムラインに合わせた選択が必要です。特に時間的制約のあるプロジェクトでは、事前に詳細なスケジュール確認が不可欠となります。

業界別事例とパネル規模

調査会社が保有する回答者の規模と質は、調査の信頼性を左右します。たとえば、マクロミルでは3,600万人の回答者ネットワークを有しています。必要なサンプル数が確保できるか、特定のターゲット層に十分リーチできるかを確認しましょう。また、自社の業界における調査実績も重要な判断材料となります。

コミュニケーション・サポート体制

市場調査の成功には、調査会社との円滑なコミュニケーションが不可欠です。調査の背景や本来の目的を理解し、課題解決に向けた提言ができる会社を選びましょう。打ち合わせ対応の質や質問への回答スピード、担当者の専門知識から判断できます。

まとめ

市場調査の依頼は、ビジネス判断の質を高める第一歩です。本記事では、市場調査の基本概念から依頼方法、費用相場、調査会社の選び方まで幅広く解説しました。調査会社選びでは、専門性、パネル規模、価格、納期、コミュニケーション体制などを総合的に評価することが重要です。

また、自社の課題に適した調査手法を選択し、明確な目的設定のもとで調査を進めることが成功のカギとなります。

マクロミルは、3,600万人の国内最大級パネルネットワークを保有し、リサーチからデータ活用支援、マーケティング戦略立案まで一気通貫でサポートする総合力が強みです。もし市場調査でお悩みがあれば、ぜひ一度マクロミルにご相談ください。