
市場調査とは、市場の現状や動向を調査することです。この記事では、市場調査の実施を検討している人に向けて、市場調査の概要や種類、実施するメリット、代表的な方法などについて解説します。市場調査の手順や注意すべきポイントも解説しているため、ぜひ役立ててください。
- 市場調査とは?
- 市場調査は「定性調査」と「定量調査」に分けられる
- 市場調査とマーケティングリサーチの違い
- 市場調査を実施するメリット
- 代表的な市場調査の方法9選
- 市場調査の基本的な手順
- 市場調査の注意点
- 市場調査の活用事例
- 市場調査会社の比較ポイント、依頼の仕方
- 市場調査が可能な会社4選
- まとめ
市場調査とは?
市場調査とは、市場の動向やトレンドなどを理解するための調査のことです。アンケート調査やインタビュー調査などをもとに、自社商品やブランドの認知度、顧客のニーズ、競合他社や業界全体の状況などを把握するために実施します。最近では、オンラインでできる手法を用いてリサーチする企業も増えています。

市場調査は「定性調査」と「定量調査」に分けられる
市場調査は、定性調査と定量調査に分けられます。ここでは、定性調査と定量調査について解説します。
定性調査とは
定性調査とは、数値化できないデータを調査する方法のことです。商品の購入理由や不満など、回答者の具体的な意見を集めることが特徴です。数値では表せない顧客の内面的な部分を深掘りすることで、顧客の行動インサイトを得られます。
一方で、収集した言語や文章の回答は数値化できないため、結果の分析に時間がかかる、調査者によって判断が変わるなどのデメリットも生じます。
定量調査とは
定量調査とは、数値で表せるデータを収集、分析する方法のことです。全体の割合や平均値の正確性を高めるために、大人数を対象に実施されることが定量調査の特徴です。定性調査の最大のメリットは、説得力のあるデータを集められるという点で、仮説検証や需要予測を行う際に役立てられます。一方で、「回答者がなぜAを選んだのか」という理由や背景が掴みにくいことも特徴です。

市場調査とマーケティングリサーチの違い
市場調査と混同されやすい言葉として、マーケティングリサーチがあります。市場調査は「現在の状況」についてのみを調べますが、マーケティングリサーチは「未来の予測・分析」も行います。ただし明確な線引きはなく、同じ意味で使用されている場合もあります。
市場調査を実施するメリット
市場調査を実施することで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。ここでは、市場調査を実施するメリットについて解説します。
顧客のニーズを把握できる
市場調査をすることで、顧客が何を求めているのか、ニーズを把握できます。顧客に喜ばれる商品やサービスを提供するうえで、データの収集・分析をすることが大切になります。市場調査をせずに商品やサービスの開発を進めると、顧客満足度を下げてしまう恐れもあります。
参考:顧客満足度調査とは?手法、指標、手順、調査票の作成方法などを詳しく解説
競合他社との差別化を図れる
市場調査で競合他社の強みやシェアを分析することで、競合他社との差別化を図れます。特に、競合他社が多い、あるいはシェアが大きい市場に参入する際には、競合他社の分析が必須です。競合他社にはない自社の強み、オリジナリティを打ち出せるようになります。
参考:市場分析とは?必要性やメリット、5つのフレームワークについて解説
適切な意思決定、マーケティング施策の実施に活かせる
マーケティング施策を効果的に行えるようになる点も、市場調査を実施するメリットです。市場調査の結果をもとに、的確な意思決定が可能になるなど、効果的なマーケティング戦略に活用できます。商品・サービスの新規開発や改良に役立てられます。

代表的な市場調査の方法9選
市場調査の方法はアンケートやインタビューだけではありません。ここでは、代表的な市場調査の方法を9つ紹介します。
1.アンケート調査
アンケート調査は、対象者に質問をして回答してもらう最も一般的な市場調査の方法です。低コストで調査を実施できるため、ブランドイメージや顧客満足度など、大規模な調査をしたいときに適しています。ただし質問する内容によっては、回答が偏ってしまう恐れもあります。
2.インタビュー(対面調査)
インタビュー(対面調査)とは、調査員と対象者が対面で行う市場調査のことです。複数人で行う「グループインタビュー」と、1対1で行う「デプスインタビュー」の2つの形式があります。回答に合わせて、臨機応変に質問ができるため、質の高い情報を得ることが可能になります。
3.電話調査
電話調査とは、電話を通じて対象者に対して意見・感想を聞き出す市場調査のことです。電話調査は、民間企業だけではなく、政府機関や自治体も活用しています。電話がつながれば、その場で回答が得られるため、比較的短期間で調査できます。また質問の仕方によっては、顧客が気づいていない本音を聞き出すことも可能です。但し、若年層を中心に電話というツールを利用しない層も増えているため、注意が必要です。
4.街頭調査
街頭調査とは、街頭で対象者を選別して、アンケートやインタビューを行う市場調査のことです。事前に準備していた対象者に聞き出すのではなく、その場で選別するため、よりリアルな意見を聞くことが可能です。ただし調査を断られてしまう可能性もあるため、想定していたより回答が集まらない恐れもあります。
5.インターネット調査(ネットリサーチ)
インターネット調査(ネットリサーチ)は、インターネット上で質問やアンケートを行う市場調査のことです。インターネット上で行えるため、全国から情報を収集できることが、最大のメリットです。集計の手間もかからないため、短期間で調査を実施できます。しかし、なかには謝礼目的で真面目に回答しない人もいるため、誤差も見据えたうえでデータを活用しましょう。
6.覆面調査(ミステリーショッパー)
覆面調査(ミステリーショッパー)は、一般の顧客を装って、商品やサービスを体験して調査する市場調査のことです。サービスを提供している店の現状を把握したいときに適している方法です。調査される側は、調査がいつ行われるのか、誰によって行われるのかを知らないため、リアルな状況を把握できます。
7.ホームユーステスト(HUT)
ホームユーステスト(HUT)は、顧客に実際に商品を使ってもらい、感想や意見を聞き出す市場調査のことです。実際に使用したうえでのリアルな意見を集められるため、商品の満足度や改善点を調査したい場合に適した方法です。主に、化粧品や食品、ペット用品、家電製品などの調査に活用されています。
8.ショップアロング調査
ショップアロング調査とは、対象者が買い物する様子を観察して、買い物後にインタビューを実施する市場調査のことです。ショップアロング調査では、対象者の購買時の心理や行動をその場で探ることが可能です。アカンパニードショッピング、顧客観察調査とも呼ばれています。
総合マーケティング企業のマクロミルでは、店頭購買分析や、視線データの定量分析も提供しています。
9.郵送調査
郵送調査は、対象者に紙のアンケートを送付し、郵便で回答を回収する方法です。会場費や調査員の人件費が不要で、コストを抑えて実施できます。Web調査が難しいシニア層や連絡先不明の対象者にも適しています。
市場調査の基本的な手順
市場調査を行う際には、具体的な手順に沿って実施することが大切です。ここでは、市場調査の基本的な手順について解説します。
【Step1】調査する目的を明確にする
まずは、なぜ市場調査をするのか目的をしっかりと定めましょう。目的が曖昧では効果的な市場調査ができないためです。自社の抱える課題、達成したいことを最初に明確にすることがポイントです。
【Step2】調査設計をする
調査する目的を明確にしたら、どのような方法で調査するのか選択しましょう。調査対象、予算、スケジュールなどを具体的に決め、計画を立てます。また、仮説を立てながら進めていくことも大切です。
【Step3】計画にもとづき調査を実施する
調査設計をしたら、決めた計画をもとに市場調査を実施しましょう。効果的な調査を実施するためには、調査対象や調査員の選定は重要です。事前にさまざまな状況を想定したうえで準備をしておくことがポイントです。
【Step4】情報を収集し、分析・検証をする
調査終了後は、情報を集計し分析をして、レポートを作成しましょう。レポートを作成する際には、事実にもとづいた情報を正確にまとめることがポイントです。レポート作成後は、仮説を検証し課題を見つけましょう。
【Step5】意思決定・アクションにつなげる
市場調査の結果をもとに、意思決定、具体的なアクションにつなげましょう。たとえば、マーケティング施策の立案、商品・サービスの開発や改良などのアクションが考えられます。実行に移して終わりではなく、その後の追跡をすることも大切です。

市場調査の注意点
市場調査を行う際には、注意すべき点があります。ここでは、市場調査で気をつけるべきポイントについて解説します。
調査前に仮説を立てる
市場調査を行う際には、調査前に仮説を立てるようにしましょう。あらかじめ仮説を立てることで、効果的な調査ができるようになります。たとえば、「平日の夜に外食する人は独身が多いのではないか」のように仮説を立てておくと、効率的に調査結果を得られるでしょう。
必要なコスト・調査期間を意識する
市場調査を実施する際には、コストや時間がかかります。その点も留意して実施計画を立てましょう。事前にどれくらいの予算や時間を費やせるのか想定したうえで調査方法を選び、計画を立てることが必要です。
調査対象者の目線に立つ
市場調査を行う際には、調査するターゲットを明確にしたうえで、調査対象者の目線に立った質問設計をすることなどが必要です。質問文がわかりやすい表現になっているか、質問内容は抽象的ではないか、アンケートは負担にならない量であるかなどを意識して設計しましょう。

市場調査の活用事例
仙台市と仙台観光国際協会は、観光戦略の立案に必要なデータを得るため、市場調査としてアンケートを実施しました。これにより、データにもとづいた施策立案と効果検証が進み、関係者間でデータ活用の重要性が浸透しました。
参考:定点把握調査により観光KPIを策定。データに基づいたマーケティングを意識づけ、施策立案に活用
市場調査会社の比較ポイント、依頼の仕方
市場調査会社を選ぶ際の比較ポイントや依頼の仕方について解説します。
調査会社の種類を確認する
調査会社によって、得意とする手法や領域が異なるため、調査内容に合わせた種類を扱っているか、調べる必要があります。調査会社は、主に5つに分類されます。
・総合型
・ネットリサーチ特化型
・BtoB特化型
・専門型
・コンサルティング型
専門分野を確認する
調査の専門分野は、会社によって異なります。多くはサイトで特徴を紹介しているため、調査目的やニーズに合うか確認しましょう。公開されている研究レポートも、専門性を判断する重要な指標です。
海外市場を調査する場合は海外調査に強みがあるかを確認する
海外の市場調査を検討している場合は、海外調査に強みがあるかも確認しましょう。グローバル展開や海外競合の分析、リサーチ、マーケティング調査を目的とする企業は、海外の市場調査に適しています。
市場調査が可能な会社4選
市場調査が可能な会社を4つピックアップし、紹介します。
株式会社マクロミル
株式会社マクロミルは、ネットリサーチ実績国内No.1※の会社です。独自の130万人の自社パネルと、国内提携の約1,100万人のパネルを活用し、幅広いマーケティングデータや時系列データを提供します。さらに、オプションサービスやオーダーメイドリサーチにも対応しています。
※オンラインリサーチ市場シェア=当社単体及び(株)電通マクロミルインサイト、(株)H.M.マーケティングリサーチのオンラインリサーチに係る売上高(2023年6月期)÷一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)によって推計された日本のMR業界市場規模・アドホック調査のうちインターネット調査分(2022年分)(出典:一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)2023年6月27日付第48回経営業務実態調査)
株式会社ネオマーケティング
株式会社ネオマーケティングは、独自のフレームワーク「4K」を活用し、マーケティング支援を行う会社です。豊富なモニターを活用したネットリサーチをリーズナブルに提供し、調査から施策実行まで一貫してサポートします。一般的な定量・定性調査に加え、新商品開発や既存商品の拡販に特化したリサーチも行っています。
株式会社インテージ
株式会社インテージは、マーケティングリサーチとデータ分析を行う会社です。消費者行動や購買パターンを把握するためのデータを活用して企業の意思決定をサポートしています。海外市場の調査において、特にアジア市場に強みを持っています。
株式会社クロス・マーケティング
株式会社クロス・マーケティングは、マーケティングリサーチを通じて企業の課題解決を支援する会社です。企業パネルや自動車保有パネル、飲酒パネル、化粧品パネルなど、目的別のパネルを保有しています。特定の条件で分類されており、属性情報に限らず、詳細な条件での絞り込みも可能です。
まとめ
市場調査とは、市場の動向やトレンドなどを調査し、分析結果を活用することです。アンケート調査やインタビュー、電話調査、街頭調査、ネットリサーチなど、方法はさまざまです。自社の目的に合った市場調査を選択しましょう。
株式会社マクロミルでは、マーケティングリサーチとデジタルマーケティングリサーチを中心に、多様な社会・消費者ニーズを分析し、消費者インサイトを提供しています。マーケティングデータの提供に加えて、当社が提供するデータと顧客が保有するデータ等を融合させて、その利活用にともに取り組んでいます。市場調査を検討している人は、ぜひご利用ください。
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