
プロモーションミックスは、広告やPR、販促、営業など複数の手法を組み合わせ、商品やサービスの認知拡大、売上向上を目指す戦略です。この記事では、プロモーションミックスの特徴やおもな手法、効果的な進め方について解説します。成功事例も紹介しているので、プロモーションミックスを検討している人は、参考にしてください。
プロモーションミックスとは?
プロモーションミックスとは、商品やサービスの認知向上や売上拡大を目的に、複数の販促手法を組み合わせて活用する戦略です。具体的には、広告・PR・販売促進・営業活動などを組み合わせて効果を高めます。混同されやすいとされる「メディアミックス」と「マーケティングミックス」との違いについて、以下で解説します。
メディアミックスとの違い
メディアミックスは、プロモーション効果を高めるために複数の媒体を組み合わせて活用する戦略です。プロモーションミックスが「手法(広告、PRなど)の組み合わせ」であるのに対し、メディアミックスは「媒体(テレビ、Webなど)の組み合わせ」であるという点で異なります。
たとえば、テレビCMで商品のイメージを伝えつつ、「詳しくはWebで」と誘導する手法は、典型的なメディアミックスの例です。
マーケティングミックスとの違い
マーケティングミックスとは、マーケティング戦略を具体的に実行に移すための計画を指します。一方で、プロモーションミックスは、マーケティングミックスに含まれるプロモーション戦略の一部です。
プロモーションミックスの5つのおもな手法
プロモーションミックスを活用する際は、目的に応じて複数の手法を組み合わせて展開します。ここでは、ユーザーが自ら情報を求めたときに働きかける「プル戦略」と、企業側から積極的に情報を届ける「プッシュ戦略」に分けて解説します。
プル戦略
プル戦略の手法はおもに3つです。それぞれの手法について解説します。
1. 広告
広告は、テレビやラジオ、インターネットなどの媒体で情報を発信する取り組みです。コストは高めになる傾向がありますが、短期間で効果を得やすく、特定のターゲット層に的確にアプローチできる点が強みです。おもな広告媒体の例は、次の通りです。
- テレビ
- ラジオ
- インターネット
- 屋外広告(看板・デジタルサイネージなど)
- 雑誌
- 新聞
2. 広報
広報は、プレスリリースやニュースリリースを通じてメディアに取り上げてもらい、商品やサービスを広く知ってもらうことを目的とした取り組みです。「PR」や「パブリシティ」と呼ばれることもあります。
広報のメリットは、適切に活用できれば費用をかけずに宣伝効果を得られる点です。メディアで紹介されることで、広告以上の拡散力を発揮するケースもあります。ただし、企業が意図した通りに情報が伝達されるとは限らない点には注意が必要です。
3. 口コミ・SNS
口コミやSNSでの利用者の声や体験談を活用し、商品・サービスの知名度向上や信頼獲得につなげましょう。SNSでの拡散を狙った情報発信以外にも、インフルエンサーによる紹介、自社サイトへ口コミ掲載など、さまざまな方法があります。
口コミやSNSの活用メリットは、拡散次第では少ないコストで大きな効果を得られることや、実際の利用者目線の発信によって信頼性を高められることです。否定的な意見でさえも注目を集め、結果的にプロモーションに結びつく場合もあります。
プッシュ戦略
プッシュ戦略の手法はおもに2つです。以下で解説します。
販売促進
販売促進とは、割引セールや無料サンプルの配布など、消費者の購買意欲をダイレクトに高める取り組みのことで、セールスプロモーションとも呼ばれます。おもな施策には、購入の現場で行う企画や流通業者を対象とした販売コンテスト、展示会への出展などがあります。具体例としては、チラシへの掲載や店頭POPの設置、サンプリング配布などが挙げられます。
人的販売
人的販売はプッシュ型の施策のひとつで、人を介して商品やサービスを売り込む方法を指します。代表的な例としては、実演販売や訪問営業、販売イベントや展示会での提案などがあります。営業担当者が直接説明できるため、相手に深く訴求できる点が強みです。ただし、興味を持たない相手に対しては、押し付けがましく感じられてしまうかもしれません。
プロモーションミックスの効果的な進め方
プロモーションミックスを進める際には、手順を知っておく必要があります。効果的な進め方について、順を追って解説します。
1. ペルソナの設定
まず、自社の商品やサービスをどのようなユーザーに届けたいのか、ペルソナを設定します。職業や年齢、性別、収入などの基本属性に加え、趣味や家族構成を踏まえたニーズまで含めたストーリーを作るのが有効です。設定したペルソナは、後のステップで判断の基準になるため、念入りに検討しましょう。
2. 目標の設定
ペルソナの設定が完了したら、「プロモーションで何を達成したいか」といった目標を設定します。「ペルソナにどのような行動をしてもらいたいか」を具体的に考えることが大切です。設定する目標は、測定可能な内容にすることをおすすめします。KPIを必ずしも数値化する必要はありませんが、プロモーションミックスの成果を把握できる内容にしましょう。
3. 予算の設定
次に、プロモーション全体で使える予算を決めます。予算設定で重要なのは、「費用対効果があるかどうか」です。顧客生涯価値や自社の成長性、収益性、キャッシュフローを踏まえた総合的な予算設定が求められます。
4. スケジュールの設定
予算の設定が完了したら、各施策の実施タイミングを具体的に決めたスケジュールを作成します。どの施策をいつ行うかを明確にすることで、全体の流れが整い、重複や抜け漏れを防止できます。また、プロモーションの成果を適切に把握するために、評価や改善に使う指標もあらかじめ設定しておきましょう。
5. 効果測定・改善
プロモーションを実施している間は、進行状況を随時確認し、必要に応じて施策を調整します。実施後は、効果を測定し、設定した目標の達成度やROI(投資対効果)を評価しましょう。
効果測定には、KGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)がよく用いられます。KGIは重要な目標の達成状況を定量的に把握するための指標で、最終的な成果を評価する際に使われます。一方、KPIはプロジェクトや組織の進捗や業績を管理する指標で、日々の活動が目標達成にどの程度寄与しているかを確認するために活用されます。
プロモーションミックスの成功事例
プロモーションミックスを検討する際には、他社の成功事例を参考にすることが大切です。2つの事例をピックアップし、紹介します。
日本マクドナルド
日本マクドナルドは、SNS投票や季節・コラボ商品の販売に合わせたCMなど、多彩なプロモーションを展開しています。特に映画公開と連動したコラボ商品では、テレビやWebCM、SNSキャンペーンを組み合わせ、既存ファンと新規顧客の双方を巻き込み、大きな話題を生み出しました。
P&G
P&Gは、「あなたらしい髪の美しさを応援する」という理念のもと、中高生や就活生を対象にしたキャンペーンを展開しています。髪色アンケートの発表とSNSでの口コミ拡散を組み合わせ、「#HairWeGo」キャンペーンとして話題になりました。さらに、「地毛証明書」問題にも取り組み、ブランド価値と社会性を両立させた長期的なプロモーションを実施しています。
まとめ
プロモーションミックスは、目的に合わせて複数の手法を組み合わせることで効果を最大化できる戦略です。プル戦略とプッシュ戦略の手法をバランスよく取り入れ、計画的に実行・改善することで、成果につながる施策を展開できます。
株式会社マクロミルは、マーケティングリサーチやデジタルリサーチを通じて、社会や消費者の多様なニーズを分析し、企業に有益な消費者インサイトを提供しています。さらに、自社データと顧客データを組み合わせたデータコンサルティングや、広告配信・CRMなどの施策支援まで一貫して行う、総合的なマーケティング支援企業です。