アンケート調査はExcelで集計できる?集計方法の基本から応用まで徹底解説

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公開日  :2025/6/5(木)

最終更新日:2026/5/14(木)

「アンケートの回答データをExcelでどう集計すればいいかわからない」「Excelでの集計作業に手間取り、分析や報告書作成まで手が回らない」など、アンケート調査の集計で悩む担当者は少なくありません。Excelは身近なツールですが、集計しやすい設計のコツや関数の使い方を知らないまま作業を進めると、データの整理だけで膨大な時間を消費してしまいます。

本記事では、集計しやすいアンケート設計のコツやExcelでのアンケート集計方法(基本編・応用編)、アンケート結果を見やすくグラフ化する方法などを解説します。Excelでアンケート調査の集計・分析・報告を完結させたい方は、ぜひ参考にしてください。

参考:アンケート調査とは?種類や手順・進め方、ポイント、活用事例などを解説

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Excelで集計しやすいアンケート設計のコツ

アンケート集計作業を効率化できるかどうかは、調査を実施する「前」の設計段階でほぼ決まります。Excelに回答データを入力した後に構造を直すのは非常に手間がかかるため、集計を見据えてアンケートを設計することが重要です。

ここでは、Excelでの集計をスムーズにする4つの設計のコツを紹介します。

  • 1行1データの原則を守る
  • 回答形式は「単一回答(SA)」と「複数回答(MA)」に分ける
  • 自由記述(FA)は最小限に抑える
  • 数値コード(フラグ)を活用する

1行1データの原則を守る

Excelでアンケートデータを扱う際の基本は、「1行に1人分の回答データをまとめる」ことです。1行目にはヘッダー(質問項目名)を配置し、2行目以降に各回答者のデータを1行ずつ入力していきます。

よくある失敗は、1人の回答を複数行にわたって記録したり、1つのセルに複数の回答をカンマ区切りで入力したりするパターンです。こうした構造になっていると、COUNTIF関数やピボットテーブルが正常に機能せず、集計のたびに手作業での修正が必要になってしまいます。

列の並び順は「回答者ID」「属性情報(性別・年齢層など)」「各質問への回答」の順に統一しておくと、フィルターやソートをかけたときにデータを把握しやすくなります。

回答形式は「単一回答(SA)」と「複数回答(MA)」に分ける

アンケートの設問を設計する段階で、回答形式を「単一回答(SA:Single Answer)」と「複数回答(MA:Multiple Answer)」に明確に分けておくことも大切です。SAとMAでは集計の方法がまったく異なるため、区別が曖昧なままだとデータ入力後に混乱が生じます。

SAは「最も当てはまるものを一つ選んでください」という形式で、1つのセルに1つの値が入ります。一方MAは「当てはまるものをすべて選んでください」という形式で、選択肢ごとに列を分けて「1(選択)/ 0(非選択)」のフラグで記録するのがExcel集計に適した方法です。

設問を作成する時点でSA・MAのどちらにするかを決め、アンケート用紙やフォーム上にも「一つだけ選択」「複数選択可」と明記しておけば、回答者の記入ミスも防げます。

自由記述(FA)は最小限に抑える

自由記述(FA:Free Answer)は回答者の生の声を収集できる貴重な設問形式ですが、Excelでの集計・分析には手間がかかります。テキストデータは関数で自動集計しにくく、内容を一件ずつ読み込んで分類・要約する作業が必要になるためです。

集計の効率を優先するなら、自由記述は「選択肢では拾いきれない意見を補足的に収集する」目的に限定し、設問数は必要最小限に抑えましょう。たとえば「満足度」を聞く場合、5段階評価のSA設問をメインにし、「理由があればお聞かせください(任意)」という形でFAを補助的に添えるのが効率的な設計です。

どうしても自由記述を複数設ける必要がある場合は、回答の文字数上限を設定することをおすすめします。長文になるほど回答に含まれる要素が増え、分類や要約がしにくくなるためです。文字数を制限すると入力できる要素を絞り込め、後工程の分析が進めやすくなります。

数値コード(フラグ)を活用する

アンケートの回答をExcelに入力する際は、選択肢をそのままテキストで入力するのではなく、数値コードに変換して記録するとCOUNTIF関数やピボットテーブルでの集計精度が格段に上がります。

たとえば、性別の回答であれば「男性=1、女性=2、その他=3」、満足度であれば「非常に満足=5、やや満足=4、どちらでもない=3、やや不満=2、非常に不満=1」のようにコード表を作成しましょう。

テキスト入力では「男性」「男」「Male」など表記ゆれが発生しやすく、集計時にカウント漏れが起きるリスクがありますが、数値コードなら表記ゆれによるミスを防止できます。

コード表はExcelの別シートにまとめておき、集計時に参照できるようにしておくのがおすすめです。データの入力担当者が複数人いる場合でも、コード表を共有すれば入力ルールが統一され、正確なデータを収集できます。

Excelでのアンケート集計方法【基本編】

アンケート設計のコツを押さえたら、いよいよExcelでの集計作業に入ります。基本編では、データ入力の準備から単純集計、構成比(割合)の算出、複数回答(MA)の集計まで、最初に覚えておきたい4つの基本操作を解説します。

データ入力の準備とローデータの整え方

集計を始める前に、回収したアンケートの回答データ(ローデータ)をExcelに正しく入力し、分析可能な状態に整える準備が必要です。具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 1行目にヘッダー行を作成する
  2. A列から順に「回答者ID」「性別」「年齢層」「Q1(設問1)」「Q2(設問2)」……と質問項目を並べる
  3. 2行目以降に1人1行ずつ回答データを入力する

Googleフォームなどのオンラインツールで回答を収集した場合は、CSVファイルでエクスポートしてExcelに取り込むと手入力の手間を省けます。

データ入力が完了したら、集計前に以下の3点を必ずチェックしましょう。

  • 空白セルの有無
    未回答のセルが空白のままだと関数のカウント結果にズレが生じるため、「未回答」や「99」などの統一コードを入れておく
  • 表記ゆれの確認
    テキスト入力の場合、全角・半角の混在やスペースの有無を「置換」機能で統一する
  • 異常値の確認
    5段階評価の設問に「6」以上の数値が入っていないかなど、入力ミスをフィルター機能で洗い出す

ローデータの品質が集計結果の正確性を左右するため、地味な作業ですが丁寧に取り組むことが大切です

単純集計のやり方(COUNTIF関数の使い方)

ローデータが整ったら、最初に行うのが「単純集計」です。単純集計とは、各設問の選択肢ごとに回答数をカウントし、全体の傾向を把握する基本的な集計方法を指します。

Excelでの単純集計にはCOUNTIF関数を使用します。書式は「=COUNTIF(範囲, 検索条件)」で、指定した範囲の中から条件に一致するセルの個数を数える関数です。

たとえば、Q1(満足度)の回答がC2〜C101に入力されており、「5(非常に満足)」と回答した人数を数えたい場合は「=COUNTIF(C2:C101,5)」と入力します。同様に「4」「3」「2」「1」それぞれのCOUNTIF関数を作成すれば、満足度の回答分布が一覧で把握できます。

集計表は、ローデータとは別のシートに作成するのがおすすめです。ローデータを直接加工してしまうと元データが変わってしまい、再集計が必要になった際にやり直しがきかなくなるリスクがあります。

構成比(割合)の算出方法

単純集計で回答数を算出したら、次に構成比(割合)を計算しましょう。構成比とは、各選択肢の回答数が全体に占める割合をパーセンテージで示したもので、「回答数 ÷ 総回答数 × 100」で求められます。

Excelでの計算式は、たとえばE2セルに「非常に満足」の回答数、E7セルに総回答数が入っている場合、「=E2/E7」と入力し、セルの表示形式を「パーセンテージ」に設定すれば完了です。小数点以下の桁数は、セルの書式設定から「小数点以下の桁数:1」に指定すると報告書やプレゼン資料で見やすい表記になります。

構成比を算出する際の注意点は、分母の設定を間違えないことです。単一回答(SA)の場合は総回答者数を分母にしますが、複数回答(MA)の場合は「延べ回答数」ではなく「回答者数」を分母にするのが一般的です。分母の取り方を誤ると割合の合計が100%を大きく超えてしまい、データの信頼性が損なわれるため注意しましょう。

複数回答(MA)の集計方法

複数回答(MA)の集計は、単一回答(SA)とはデータ構造が異なるため、集計方法も変わります。MAの場合、前述したとおり選択肢ごとに列を分け、「1(選択)/ 0(非選択)」のフラグ形式で記録しているのが前提です。

集計方法はシンプルで、各選択肢の列に対してSUM関数を使い、「1」の合計値を算出するだけです。たとえば「利用しているSNS(複数選択可)」の選択肢が「X(旧Twitter)」「Instagram」「Facebook」「LINE」の4つで、それぞれD列〜G列にフラグが入力されている場合、D列の合計「=SUM(D2:D101)」がXの選択者数になります。

構成比を出す際は、分母を「総回答者数」に設定します。MAでは1人が複数の選択肢を選ぶため、すべての選択肢の構成比を合計すると100%を超える場合があります。報告書やグラフに「複数回答のため合計は100%を超えます」と注記を添えておくと、データを見る側の誤解を防げるでしょう。

COUNTIF関数を使う場合は「=COUNTIF(D2:D101,1)」でも同じ結果が得られるため、SUM関数とCOUNTIF関数のどちらを使っても問題ありません。チーム内で関数の使い方を統一しておくと、ファイルの引き継ぎ時に混乱が起きにくくなります。

Excelでのアンケート集計方法【応用編】

基本的な単純集計を習得したら、応用テクニックに進みましょう。

応用編では、属性ごとの傾向を比較できる「クロス集計」、大量データを効率的に処理できる「ピボットテーブル」、テキスト回答を整理する「自由記述の分析方法」を解説します

クロス集計のやり方

クロス集計とは、2つ以上の質問項目を掛け合わせて回答傾向の違いを分析する手法です。たとえば「満足度」の結果を「性別」や「年齢層」ごとに分けて比較することで、「男性は満足度が高いが女性はやや低い」「20代と40代で評価が分かれている」といった単純集計だけでは見えなかったインサイトを発見できます。

Excelでクロス集計を行うには、COUNTIFS関数を使用します。COUNTIFS関数は複数の条件を同時に指定できる関数で、書式は「=COUNTIFS(範囲1, 条件1, 範囲2, 条件2)」です。

たとえば、B列に「性別」、C列に「満足度」のデータが入っている場合、「男性かつ非常に満足(5)」の人数を数えるには「=COUNTIFS(B2:B101,1,C2:C101,5)」と入力します。性別(男性・女性)×満足度(1〜5)の組み合わせ分だけ関数を作成すれば、クロス集計表の完成です。

クロス集計表を作成する際は、行に「分析軸(性別・年齢層など)」、列に「集計対象(満足度の各選択肢)」を配置するのが一般的なレイアウトです。回答数だけでなく構成比も並べて表示すると、母数が異なるグループ間の比較がしやすくなります。

ピボットテーブルを使った集計方法

ピボットテーブルは、Excelに標準搭載されている集計・分析機能で、関数を使わずにドラッグ&ドロップの操作だけで単純集計やクロス集計を自動生成できます。設問数が多いアンケートや、回答者数が数百件を超えるデータセットを扱う場合、COUNTIF関数を一つずつ入力するよりも効率的です。

ピボットテーブルの作成手順は以下のとおりです。

  1. ローデータの任意のセルを選択し、「挿入」タブから「ピボットテーブル」をクリックする
  2. データ範囲が自動認識されるので確認し、出力先を「新規ワークシート」に設定して「OK」を押す
  3. 右側に表示される「ピボットテーブルのフィールド」パネルで、集計したい項目をドラッグ&ドロップで配置する

たとえば、「行」エリアに「性別」、「列」エリアに「満足度」、「値」エリアに「回答者ID」をドロップし、値の集計方法を「データの個数」に設定すれば、性別×満足度のクロス集計表が瞬時に完成します。

ピボットテーブルの大きな利点は、分析軸の入れ替えが自由にできることです。「行」と「列」のフィールドを差し替えるだけで集計の切り口を変えられるため、さまざまな角度からデータを分析できます。ただし、元のローデータに空白セルや表記ゆれがあると正しく集計されないため、基本編で解説したデータクレンジングを事前に済ませておくことが必要です。

自由記述(テキスト回答)の分析方法

自由記述(FA)のテキストデータは、数値データのように関数だけで自動集計することが難しく、分析に最も手間がかかる回答形式です。ただし、手順を体系化しておけばExcelでも十分に対応できます。

基本的な分析の流れは、「分類(コーディング)→ 集計 → 傾向の把握」の3ステップです

まず、自由記述の回答を一件ずつ読み込み、内容に応じてカテゴリーを割り振る「アフターコーディング」を行います。たとえば「価格に関する意見」「品質に関する意見」「対応・サービスに関する意見」「その他」のように分類カテゴリーを設定し、ローデータの隣の列にカテゴリー名または数値コードを入力していきます。

分類が完了したら、カテゴリー列に対してCOUNTIF関数で件数を集計しましょう。「価格への不満が全体の35%を占めている」「品質への評価は肯定的な意見が多い」といった傾向を数値で把握できるようになります。

回答件数が多く一件ずつ読み込む時間がない場合は、Excelの「検索」機能やCOUNTIF関数のワイルドカード(「=COUNTIF(範囲,”*価格*”)」)を活用すると、特定のキーワードを含む回答を効率的に抽出できます。ただし、ワイルドカードによる検索はあくまで簡易的な手法であり、文脈を考慮した正確な分類をするには目視での確認が必要です。

Excelでアンケート結果を見やすくグラフ化する方法

集計結果を数値のまま報告書に並べても、読み手には傾向やポイントが伝わりにくいものです。グラフを活用すれば、データの全体像や比較結果を視覚的に伝えられ、意思決定のスピードも上がります。

ここでは、アンケート集計で使用頻度の高い5種類のグラフと、それぞれの適した使い方を紹介します。

円グラフ:各回答の割合を可視化する

円グラフは、全体に対する各選択肢の構成比を直感的に伝えたいときに最適なグラフです。「非常に満足:40%、やや満足:30%、やや不満:10%、不満:5%、どちらでもない:15%」のように、合計が100%になる単一回答(SA)の集計結果を表示する場面に適しています。

Excelでの作成手順は、集計表の選択肢名と構成比のセル範囲を選択し、「挿入」タブから「円グラフ」を選ぶだけです。データラベルを追加してパーセンテージを表示すると、各項目の割合がひと目で読み取れるグラフに仕上がります。

ただし、選択肢が7つ以上あると各パーツが細かくなりすぎて視認性が落ちてしまいます。選択肢が多い場合は、回答数の少ない項目を「その他」にまとめるか、棒グラフへの切り替えを検討しましょう。

棒グラフ:複数項目の数値を比較しやすくする

棒グラフは、複数の選択肢や項目の回答数・構成比を横並びで比較したいときに適しています。円グラフでは表現しにくい選択肢数の多い設問や、複数回答(MA)の集計結果を見せる場面で有効です。

Excelでは「挿入」タブから「縦棒グラフ」または「横棒グラフ」を選択して作成します。選択肢名が長い場合は横棒グラフにすると、ラベルが読みやすくなります。回答数の多い順(降順)にデータを並べ替えてからグラフを作成すると、優先度の高い項目が一目で把握でき、報告書の説得力が増すでしょう。

さらに、棒グラフは「集合縦棒」を使うことでグループ間の比較にも対応できます。たとえば男性・女性の回答を色分けして並べれば、性別による回答傾向の違いを視覚的に示せます。

帯グラフ:属性ごとの回答の違いを一覧で見る

帯グラフ(100%積み上げ横棒グラフ)は、クロス集計の結果を属性ごとに比較する際に有効です。各属性の棒が同じ長さ(100%)で表示されるため、母数が異なるグループ間でも構成比の違いを正確に比較できます。

たとえば、年齢層別の満足度をクロス集計した結果を帯グラフにすると、「20代は”非常に満足”の割合が50%だが、50代では25%にとどまっている」といった属性間の差異がひと目でわかるのです。

Excelでの作成は、クロス集計表の構成比データを選択し、「挿入」タブから「100%積み上げ横棒」を選択します。凡例の色は、ポジティブな回答を暖色系、ネガティブな回答を寒色系に設定すると、視覚的に傾向が伝わりやすくなります。

折れ線グラフ:時系列の変化や推移を確認する

折れ線グラフは、同じアンケートを定期的に実施している場合に、時系列での変化や推移を可視化するのに適しています。「顧客満足度が前年比で上昇傾向にある」「特定の施策を実施した月からNPS®(推奨度)が改善した」など、時間軸に沿った変化を示す場面でおすすめです。

Excelでは横軸に調査時期(月・四半期・年度など)、縦軸に数値(平均スコアや構成比)を設定し、「挿入」タブから「折れ線グラフ」を選択して作成します。複数の指標を1つのグラフ上に重ねて表示すれば、指標間の連動や乖離も確認できます。

折れ線グラフを使う際は、縦軸の目盛り設定に注意が必要です。目盛りの最小値・最大値を自動設定のままにすると、わずかな変動が大きな変化に見えてしまうことがあります。意図的にスケールを操作していると受け取られないよう、0を起点にするか、目盛りの範囲をグラフの注記に明記しておくと誠実な印象を与えられます。

散布図:2つの項目の相関関係を明らかにする

散布図は、2つの数値データの相関関係を分析したいときに使用するグラフです。横軸と縦軸にそれぞれ異なる指標を設定し、回答者1人を1つの点としてプロットすることで、2つの変数の間にどのような関係性があるかを視覚的に確認できます。

たとえば、横軸に「商品の利用頻度」、縦軸に「満足度スコア」をとった散布図を作成すると、利用頻度が高いほど満足度も高い「正の相関」があるのか、利用頻度と満足度に明確な関連が見られない「無相関」なのかをパターンとして捉えられるのです。

Excelでは2列の数値データを選択し、「挿入」タブから「散布図」を選択して作成します。相関の強さを客観的に示したい場合は、グラフ上で右クリックして「近似曲線の追加」を選び、「数式をグラフに表示する」「R-2乗値を表示する」にチェックを入れると、決定係数(R²)を併記できます。

散布図は他の4つのグラフに比べると使用頻度は低いものの、「どの要因と満足度に関連があるか」といった相関関係の仮説を立てる際に役立つ分析ツールです。アンケートに数値回答の設問が複数含まれている場合は、散布図での分析を検討してみましょう。

Excelアンケート調査のメリット

アンケートの集計・分析には専用ツールを導入する方法もありますが、Excelには手軽さや汎用性の面で独自の強みがあります。ここでは、Excelでアンケート調査を行う4つのメリットを紹介します。

  • 追加コストをかけずに今すぐ始められる
  • 関数やピボットテーブルで柔軟に集計・分析できる
  • グラフ作成から報告書作成まで一貫して対応できる
  • 社内での共有・引き継ぎがしやすい

追加コストをかけずに今すぐ始められる

Excelは多くの企業でMicrosoft Officeの一部としてすでに導入されているため、新たにソフトウェアを購入したり月額費用を支払ったりする必要がありません。予算の確保や社内稟議を通す手間なく、アンケートの集計作業にすぐ着手できる点は大きなメリットです。

専用の調査ツールやBIツールは高機能な反面、導入コストが数万〜数十万円規模になるケースも珍しくありません。回答者数が数十〜数百人規模の社内アンケートや顧客満足度調査であれば、Excelの機能で十分に対応できます。

関数やピボットテーブルで柔軟に集計・分析できる

Excelには、COUNTIF・COUNTIFS・SUMIF・AVERAGEIFなど集計に活用できる関数が豊富に用意されています。さらにピボットテーブルを使えば、ドラッグ&ドロップの操作だけで分析軸を自由に切り替えながらクロス集計も可能です。

専用ツールはテンプレートに沿った分析には強い一方、独自の集計軸を追加したり、特殊な条件でデータを抽出したりするなどの柔軟性ではExcelに劣るケースもあります。「急に上司から別の切り口での分析を求められた」といった突発的な依頼にも、関数やピボットテーブルを組み合わせることで即座に対応できます。

グラフ作成から報告書作成まで一貫して対応できる

Excelは集計・分析だけでなく、グラフの作成や報告書のレイアウトまで一つのソフト内で完結可能です。集計結果からグラフを作成し、同じファイル内に考察やサマリーを記載すれば、データと報告書が一体化した資料として仕上げられます。

PowerPointやWordへのグラフ貼り付けもコピー&ペーストで簡単に行えるため、社内プレゼンや経営報告用の資料作成もスムーズです。ツール間でデータをエクスポート・インポートする手間が省ける分、作業全体の効率が上がります。

社内での共有・引き継ぎがしやすい

Excelは国内企業でのソフトウェア普及率が非常に高く、ほとんどのビジネスパーソンが基本操作を習得しています。集計ファイルを共有した際に「ソフトの使い方がわからない」という問題が起きにくいため、部署をまたいだデータ共有や担当者の異動・退職に伴う引き継ぎがスムーズに進むでしょう

OneDriveやSharePointと連携すれば、複数人での同時編集やバージョン管理も可能です。集計ルールやコード表を同じファイル内の別シートにまとめておけば、引き継ぎ時の説明コストも最小限に抑えられます。

Excelアンケート調査のデメリット

Excelは手軽で汎用性が高い反面、アンケート調査の規模や運用体制によっては限界を感じる場面もあるでしょう。導入前に以下3つのデメリットも把握しておくことで、ツール選定の判断を誤らずに済みます。

  • 関数やピボットテーブルの知識が必要になる
  • 大量データの集計には向いていない
  • データが属人化しやすく管理が煩雑になりやすい

関数やピボットテーブルの知識が必要になる

Excelでアンケートを集計するには、COUNTIF・COUNTIFS関数やピボットテーブルなど、一定レベルの操作スキルが求められます。基本的な表計算はできても、クロス集計やグラフのカスタマイズになると手が止まってしまう担当者も多いでしょう。

専用の調査ツールであれば、回答データを取り込むだけで自動的にグラフや集計表が生成される機能が備わっているものも多く、Excel操作に不慣れなメンバーが多いチームでは専用ツールのほうが結果的に生産性が高くなるケースもあります。

Excelでの集計を継続する場合は、チーム内で操作マニュアルやテンプレートファイルを整備し、スキルの底上げを図る取り組みが必要です。

大量データの集計には向いていない

Excelのワークシートは最大約105万行のデータを扱えますが、数万行を超えるデータセットでは処理速度が著しく低下し、関数の再計算やピボットテーブルの更新に長い待ち時間が発生します。ファイルサイズが大きくなるとクラッシュや保存エラーのリスクも高まり、作業中にデータが失われる可能性も否定できません。

回答者数が数千人を超える大規模調査や、複数の調査データを統合して分析する場合は、ExcelよりもSPSS・Rなどの統計解析ソフトや、専用のアンケート集計ツールを利用することをおすすめします

データが属人化しやすく管理が煩雑になりやすい

Excelファイルはローカル環境に保存されるケースが多く、担当者個人のPCにしかデータが存在しないという「属人化」が起こりがちです。ファイル名の命名規則が統一されていないと「アンケート集計_最終版」「アンケート集計_最終版(2)」のように類似ファイルが乱立し、どれが最新データなのか判断がつかなくなるリスクもあります。

さらに、複数人が同じファイルを編集する場合、誰かが誤って関数やデータを上書き・削除してしまう事故も発生しやすくなります。ファイルの保存先をクラウドストレージに統一する、編集権限を設定する、バージョン履歴を有効にするといった運用ルールを事前に策定し、データの散逸や破損を防ぐ仕組みを整えておくことが重要です。

アンケート調査結果を分析しやすくするポイント4つ

集計作業が完了しても、分析の進め方を誤ると正確なインサイトを導き出せません。ここでは、アンケートの集計結果をビジネス上の意思決定に活かすために押さえておきたい4つのポイントを解説します。

  • 調査対象を明確にする
  • 目的に最適な集計方法を選択する
  • 全体像と詳細データを段階的に確認する
  • 集計結果の有意性を確認する

調査対象を明確にする

分析の精度を高めるうえで最も重要なのは、「誰から集めたデータなのか」を明確にしておくことです。調査対象の定義が曖昧なまま集計を進めると、本来比較すべきでない属性のデータが混在し、分析結果にノイズが入ってしまいます。

たとえば、既存顧客の満足度を測る調査なのに、無料トライアルのみ利用したユーザーの回答が含まれていると、満足度スコアが実態より低く出る可能性があります。集計前に「購入経験が1回以上ある顧客」「過去6か月以内にサービスを利用した顧客」など、対象条件を明確にしておきましょう。

Excelでの実務では、ローデータにフィルターをかけて対象外の回答を除外したうえで集計シートにデータを反映する手順を踏むと、分析対象のブレを防げます。除外したデータは削除せず別シートに退避させておけば、後から対象条件を変更して再集計する際にも対応可能です。

目的に最適な集計方法を選択する

アンケート集計には単純集計とクロス集計の2つがあります。しかし調査の目的に応じて適切な方法を選択しないと、必要な情報が得られないまま分析工数だけが膨らんでしまいます。

全体の傾向をざっくり把握したい段階では単純集計が適しています。「回答者の70%が”満足”と回答した」という全体像を掴むにはCOUNTIF関数で十分です。一方、「どの属性の顧客が満足しているのか」「不満を感じているのはどの層か」といった深掘りが必要な場合はクロス集計を選択します。

すべての設問に対してクロス集計を行うと膨大な集計表が生成され、かえって重要なポイントが埋もれてしまいます。クロス集計は「仮説を検証したい設問」に絞って実施し、仮説のない設問は単純集計にとどめるのが、効率よく分析を進めるポイントです

全体像と詳細データを段階的に確認する

アンケート結果の分析は、「全体→部分」の順番で段階的に進めるのが基本です。最初からクロス集計の細かい数値に入り込んでしまうと、全体の傾向を見失い、細かい差異に引きずられ誤った解釈をしてしまうリスクがあります。

まずは単純集計の結果で全体像を把握し、「満足度の平均スコアは前回調査から低下している」「特定の設問だけ否定的な回答が集中している」など、大きな傾向や異変を捉えましょう。全体の傾向を掴んだうえで、気になるポイントに対してクロス集計やピボットテーブルで深掘りしていくと、分析の方向性がブレにくくなります

報告書を作成する際も、冒頭にサマリー(全体傾向)を提示し、詳細データは後半に配置する構成にすると、読み手が結論を素早く理解できる資料に仕上がります。

集計結果の有意性を確認する

クロス集計で属性間の差異が見つかった場合、「偶然の誤差ではなく統計的に意味のある差なのか」を確認する視点が重要です。たとえば、男性の満足度が75%で女性が70%だった場合、回答者数が少なければ5ポイントの差は誤差の範囲にすぎない可能性があります。

統計的な有意性を厳密に検証するにはカイ二乗検定やt検定といった統計手法が必要です。しかしExcelでも簡易的なチェックは可能です。各セルの回答数(n数)を併記し、n数が少ないグループについては解釈に注意が必要です。

また、構成比だけを見て判断するのではなく、実数(回答件数)もあわせて確認する習慣をつけましょう。「90%が満足と回答」と聞くとインパクトがありますが、回答者がわずか10人であれば9人の意見にすぎません。数値の見せ方に惑わされず、データの信頼性を冷静に評価することが、正確な分析の土台になります。

適切な「設計」と「仕組み化」でExcelでのアンケート集計を完璧にしよう

アンケート集計は、高額な専用ツールを導入しなくても、Excelを正しく活用すれば十分に価値のある分析が可能です。しかしそこで得られるデータの質を左右するのは、集計スキル以上に次に挙げるような「事前のデータ設計」といえます

  • 1行1データの原則を守ったデータ構造
  • 集計効率を最大化する数値コードの活用
  • 目的に応じたSA・MA・FAの的確な使い分け

しかしマーケティングのご担当者のなかには「効果的なアンケートを設計する自信がない」「事前準備に工数が割けない」などのお悩みを持つ方も多いでしょう。当社ではアンケート設計から分析手法の選定までサポートしています。お気軽にご相談ください。

※NPS®、ネット・プロモーター・スコア® は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。

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