
アンケート調査は、企業のマーケティング活動や学術研究など、さまざまな領域で活用されている調査手法です。本記事では、アンケート調査を実施するメリット・デメリットや、代表的な調査方法などを紹介します。基本的な実施手順や、それぞれの工程におけるポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
アンケート調査とは?
アンケート調査とは、おもに選択形式の質問で構成された質問票を配布し、調査対象者から回答を集める調査方法です。1度に多くの回答を募り、対象者の傾向を分析するケースが一般的です。アンケート調査は、マーケティングリサーチや市場調査など幅広い目的で活用されており、新しい製品・サービスの開発や広告戦略の効果測定などに役立てられています。
アンケートのおもな方法
アンケート調査は、おもに以下のような方法で実施されます。
インターネット調査(ネットリサーチ)
オンライン上で回答を募る方法。アンケートのURLやQRコードを送り回答を集める
郵送調査
対象者に質問票を郵送し、回答を記入して返送してもらう方法。高齢者など、インターネット調査ではアプローチしにくい層からも回答を集められる
電話調査
対象者に電話をかけ、回答を得る方法
対面調査
用意した会場や対象者の自宅などで、直接対面して回答を募る方法。街中で道行く人に声をかけ、アンケートを実施する方法もある
アンケート調査のメリット
アンケート調査を実施するメリットは、おもに以下の5つです。
調査のハードルが低い
アンケートの実施方法にもよりますが、調査のハードルが低い点は大きなメリットといえるでしょう。オンライン上や郵送などでアンケートを募る場合、質問票を用意すれば手軽に調査を実施できます。
時間やコストがかかりにくい
調査票を一斉に配布する方法であれば、時間をかけずにアンケートの回答を集めることができます。この場合はインタビューを行うスタッフや機材なども不要なため、人件費や設備費などのコストもほとんどかかりません。なかでも、オンライン上でアンケートを実施する方法なら、時間やコストを大きく削減することが可能です。
広範囲にデータを収集できる
オンライン上でアンケートを実施する場合、SNSやメールなどの多様な顧客接点を利用して、多くの対象者から回答を募ることができます。また、インタビューの実施場所といった物理的な制限を受けないため、日本中の対象者に調査を行うことも可能です。場所や地域を限定せず、広範囲な調査を実施したい場合に適しています。
データを数値化しやすい
データを数値化して分析がしやすい点も、アンケート調査のメリットです。質問票の内容は選択式にするケースが大半なので、たとえば「Aを選んだ人は30%、Bを選んだ人は46%」というように、定量的なデータを容易に把握できます。
明確な数値を得られるため、調査結果を利用したプレゼンなどで、説得力を持たせやすいという利点もあります。
回答が安定しやすい
対象者の回答は、質問者の言い回しによって変化する可能性があります。その点、アンケート調査では質問票の内容を定型化できるため、安定した回答を得やすいところがメリットです。
データの一貫性が保たれやすく、より精度の高い分析が可能となります。また、回答を選択形式とすることで、回答者それぞれの表現の違いによるゆらぎもなくなるため、意見を整理しやすくなるでしょう。
アンケート調査のデメリット
アンケート調査にはさまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットも存在します。
回答の背景を深掘りしにくい
アンケート調査の設問は選択式を基本とするため、回答の背景を深掘りしにくいというデメリットがあります。たとえば、選択式では「Aを購入した理由はデザインが気に入ったから」という回答は得られても、具体的にどのような点を気に入ったのかまでは把握できません。自由記述式にする手段もありますが、回答者の負担が増える分、回答率が下がることが懸念されます。
調査開始後の変更ができない
アンケートの調査開始後に質問票の内容を変更すると、正確なデータを得られなくなってしまいます。たとえば、回答者によって質問の内容が違うという状況になると、「○%の人がAを選んだ」といった定量的なデータは得られません。質問内容を変更した場合、同じ相手から再度回答を得ることは難しいでしょう。あとから内容を変更しなくてもよいよう、開始前に入念な見直しが必要です。
回答の真偽を判断しにくい
アンケート調査の回答は、事実確認が困難です。回答者が自由に答えを選べるため、なかには嘘の回答が紛れ込んでいる可能性もあります。そのため、アンケート調査の結果と実情には、ある程度の誤差があると考えた方がよいでしょう。
世論調査や統計学の知識を求められる
アンケート調査は、個別の回答を確認するだけではなく、全体を分析することではじめて真価を発揮します。ただし、集めたデータを分析するためには、世論調査や統計学の知識が必要です。これらの知識がない場合はデータを正確に分析できず、調査結果を十分に活用できない可能性があります。また、アンケート調査を行う対象のテーマについて、実施側の経験則が求められる場合もあります。
綿密な計画が必要
効果的なアンケートを行うためには、調査の目的や内容、質問の順番などの計画・設計が欠かせません。実施計画が不十分なままアンケートを行うと、知りたい事柄に関する実態を把握できず、アンケート実施側にとって恣意的な結果を導き出してしまうリスクもあります。
アンケート調査の実施手順
ここからは、アンケート調査の具体的な実施手順について解説します。
調査目的を明確化する
まずは、アンケート調査の目的を明確化しましょう。「新製品の開発」や「顧客満足度の向上」などのゴールを設定し、そこから調査の目的を導き出します。
たとえば最終的なゴールが「顧客満足度の向上」なら、アンケート調査の目的は「現状の顧客満足度を把握する」「満足度が低い顧客に対して、その理由を把握する」などが考えられます。
調査内容を設計する
調査目的が明確になったら、調査内容を設計しましょう。どの層を調査対象とするか、どのような方法が適切かなどを考慮し、調査全体の設計図を描きます。
このとき、統計的信頼性を保つために、サンプルサイズを適切に設定することも大切です。サンプルサイズとは、簡単にいうと「何人に調査を実施するか」ということです。サンプルサイズが適切でないと、信頼性のある結果を得づらくなります。
また、調査対象に合わせた調査方法を選定することも重要です。たとえば、若年層がターゲットなら、郵送や訪問よりもオンライン調査が適しているといえます。
アンケートを作成する
次に、実際に回答者に配布するアンケートを作成します。インターネットや郵送など、それぞれの調査方法に合わせて適切な方法で作成しましょう。
このとき、設問の内容が、アンケートの目的を達成できるものになっているか確認します。また、回答者が設問の内容を理解できるよう、質問文には平易かつ明確な表現を選ぶことが大切です。設問や選択肢の順番にも注意しましょう。
アンケート調査を実施する
質問票が完成したら、アンケートを実施します。計画段階で選定したターゲット層に向けて、質問票を配布しましょう。たとえばインターネット調査なら、SNSでアンケートのURLを送付するといった方法や、調査会社に委託して調査専用パネルに呼集をかける方法が考えられます。
全ての対象者が回答に応じるとは限らないので、回答率を高められるよう、インセンティブの提供などの工夫も検討しましょう。
データを集計・分析する
アンケート期間が終了したら、回収した回答データを集計し、グラフや表などで結果を視覚的に表現しましょう。そして、専用ツールなどを活用しつつ調査結果を分析し、調査の結論を導き出します。
最後は、分析結果を調査報告書にまとめます。調査のゴールを達成するための意思決定に用いられる資料なので、正確かつ明確な内容になるよう注意しましょう。
まとめ
アンケート調査には「調査のハードルが低い」「時間やコストがかかりにくい」など、さまざまなメリットがあります。アンケート調査を上手に活用すれば、製品開発や顧客満足度向上などに役立つデータを効率的に集めることが可能です。
ただし、アンケート調査を成功させるためには、綿密な計画とデータ分析の専門知識が必要です。
アンケート調査の効果を高めたいとお考えなら、ぜひマクロミルまでご相談ください。アンケート調査の実施・データの提供から、データの利活用、マーケティング活動と連動するソリューションの提供まで、お客様のマーケティング活動を一気通貫で支援します。
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