“いただきます”無しでスタート?世界の「食事前の合図」事情を探る│「え、これって日本だけ?」~グローバルな視点で見えた”当たり前”の正体(7) 

公開日:2026/10/29(木)

日本では、食事を始める際に「いただきます」と合図(挨拶)をすることが多いですよね。実は、歴史的に見れば比較的最近(近代以降)に形成された習慣とされているようです。

とはいえ、食材の命や作ってくれた人への感謝が込められた日本独自の表現であるため、「いただきます」を英語に直訳するのは難しい、という話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本コラムでは、「『え、これって日本だけ?』~グローバルな視点で見えた”当たり前”の正体」と題し、日本と世界各地の生活習慣や、さまざまな「常識」の違いを考察していきます。海外市場におけるマーケティングやイノベーションのヒントが見つかるかもしれません。

今回のテーマは・・・ 【食事を始めるときに合図の言葉はあるか?】 です。

世界の様々な国では、食事の開始時にどのような合図や言葉の習慣があるのでしょうか。 ぜひ最後までご覧ください。

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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【食事を始めるときに合図の言葉はあるか?】

【1】 「いただきます」のような言葉・合図がある

●スウェーデン/ベトナム/インド/トルコ/UAEなど。

スウェーデンでは、「Smaklig måltid(おいしい食事を)」という言葉があります。ただ、家庭や学校以外ではそれほど頻繁には用いず、むしろ食卓に着いたら自然に食べ始め、会話も穏やかで控えめであることが多いようです。

アジア圏を見ると、ベトナムでは食事の前に「Mời mọi người ăn cơm」と声をかける習慣があります。これは直訳すれば「皆さん、どうぞお食事を」という少しかしこまった言い方ですが、実際は「さあ一緒に食べましょう」という温かな気持ちが込められた言葉です。食卓では、年長者や家族全員が席に揃うのを待ってから箸を取ります。

インドでは、食事を始める際の合図は宗教や家庭によって異なります。ヒンドゥー教徒はボージャン・マントラ(食事前の感謝と祈りの言葉)を唱え、食材や神への感謝を表すことが多いです。イスラム教徒は「Bismillāh (Bismillahirrahmanirrahim)」(神(アラー)の御名において)を唱えて食事を開始します。

中東~西アジアでのイスラム教文化圏、例えばトルコやUAEなどでも、食事前にこの「Bismillāh」(神(アラー)の御名において)がよく使われます。

【2】 特に言葉・合図はない

●アメリカ/イギリス/オーストラリア/韓国/タイ/インドネシア/南アフリカなど。

アメリカでは、特別な挨拶をせず黙って食べ始めることが多く、人が集まる場合でも「Let’s eat!」など軽く声をかける程度です。ただし、キリスト教の影響を強く受けているアメリカでは、特別な機会には神に感謝してから食事を始めるというイメージが定着しており、宗教を問わず信仰心の強い人々は日常の食事であっても祈りを捧げてから食べる習慣があります。

イギリスでも、食事を始める際に特別な掛け声はなく、食卓では自然に会話が始まります。家族や友人との食事では軽く「Cheers!」と言って飲み物を合わせることもあります。形式よりも、穏やかで落ち着いた雰囲気を重んじるのがイギリスらしい食事マナーと言えるでしょう。オーストラリアでも特別な合図や決まり文句はありません。

アジアのタイでは、決まった合図の言葉はありませんが、テーブルで最も年長者やゲストが一口食べ始めるまで待つのが一般的です。この習慣は、尊敬と調和を重んじる文化背景があると考えられます。

【3】 食事の「提供側」からの合図(「召し上がれ」など)

ここまでは「食事をする側」の合図の言葉を見てきましたが、「食事を提供する側・もてなす側」では、食事前に「召し上がれ」に相当する言葉をかけるケースは各国でよく見られます。

ヨーロッパを見ると、イギリスではフォーマルな場では、ホストが「Please, start」や「Enjoy your meal」と促すのが合図となります。外食では、店員が料理を運ぶ際に「Enjoy!」と声をかけるのが一般的です。フランスでは、家庭でもレストランでも「Bon appétit!」(食事を楽しんでください)が定番で、ホストや給仕が一言そう告げることで食事開始の合図になります。

中南米のペルーでは、誰かが食べている横を通る時は、「¡Provecho!」または「¡Buen provecho!」と声をかけます。スペイン語のprovecho(プロベチョ)はもともと「利益」「有用なもの」といった意味で、食事が身体にとってよい利益になりますよう、つまり「よい栄養を」「よい食事を」といった意味で使われます。ポルトガル語圏のブラジルでは、家庭や友人同士では「Bom apetite!」(よい食事を)や「Vamos comer?」(食べようか?)などの声がけをします。

アジアの中国や台湾では、もてなす側が「食べ始めていいですよ」という意味を示したい際には、「我们开始吃吧!/我們開始吃吧!(では食べ始めましょう)」と言葉をかけます。レストランなどで料理を提供するスタッフが料理をテーブルに置いた際には、特に台湾では「請慢用(どうぞごゆっくりお召し上がりください)」と声をかけることが多いようです(中国でも「请慢用」は使われます)。

他に、先ほど紹介したトルコでは、食事を出す側は「Afiyet olsun」(直訳では「健康になりますように」の意味)と挨拶することもあります。

【食事を始めるときに合図の言葉はあるか?】、いかがでしたか?

食事だけではなく、人に会ったときの挨拶言葉も、文化によって様々に異なります。
日本語では比較的早い時間に使う「おはようございます」、主に日中に用いる「こんにちは」、遅い時間に使う「こんばんは」など、時間帯によって挨拶言葉を使い分けます。しかし、そもそも挨拶言葉を使い分けるかどうか、使い分けるにしても何が基準なのか、また何パターンで使い分けるかなどは、言語や地域によって異なります。

こうした挨拶の言葉は、普段は元の意味や起源を深く考えて使うことはないので、改めて考えてみると各国・地域に根づいている文化や習慣が見えてくることがあり、より深い消費者理解やサービス提供につながることもあるかもしれません。

次回も是非お楽しみに!

※掲載画像作成は生成AIを使用

企画・編集

マクロミル海外コラム担当リサーチャーチーム

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監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

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