
商品やサービスへの反響を知りたい際には、量的調査・質的調査から成る社会調査の実施が有効です。実施する際は、アンケートの内容を充分に精査しましょう。本記事では、量的調査のアンケート例を紹介します。メリットや分析方法についても解説するため、量的調査について調べている人は参考にしてください。
参考:アンケート調査とは?種類や手順・進め方、ポイント、活用事例などを解説
社会調査とは
社会調査とは、人の行動や意識、生活のあり方など、社会で進んでいるさまざまな様態の変化を明らかにするために行う調査です。調査結果は、政府による政策や民間企業による商品・サービスの提供など、幅広い分野で活用されています。マーケティング分野においても、重要な調査といえるでしょう。社会調査は、大きく「量的調査」と「質的調査」に分けられます。
量的調査とは
量的調査とは、アンケート調査やデータ分析によって全体的な傾向や因果関係を明らかにするための調査手法です。例としては、性別や年齢などの属性、商品・サービスへの感想などを質問票を用いて回答してもらうといった形が挙げられます。
以前は紙ベースで回答してもらう形式が一般的でしたが、デジタル化が進んだことによりオンラインによる調査も増えてきています。
質的調査とは
質的調査とは、量的調査のように数値だけを用いるのではなく、人の深層心理にまで踏み込むことを目的とした調査手法です。数値では捉えきれない個人の経験や感情、価値観といった事柄に焦点を当てることで、これまでになかった視点での課題発見や仮説立案に役立ちます。
質的調査では、以下のような手法が用いられます。
- グループインタビュー:複数人で同じテーマについて話し合い、意見交換をする
- デプスインタビュー:1人を対象として、テーマに対する意見を深くヒアリングする
- エスノグラフィ(参与観察)調査:調査対象者の生活空間に密着し、行動を観察する
など
量的調査のメリット
量的調査の代表的なメリットは、以下の通りです。
- 客観性がある:数値に基づいて分析を行うため、調査結果に主観が入りにくく客観的なデータになる
- 結果を分析しやすい:全体の傾向や属性の違いをスムーズに分析できる
- データを一般化できる:充分なサンプル数を確保することで、結果の一般化が可能である
多くの人を対象とした調査であるため、傾向をつかみやすく、客観的な視点でのデータを抽出できる点が大きなメリットといえるでしょう。
量的調査のデメリット
量的調査の代表的なデメリットは、以下の通りです。
- 数値化できない情報に弱い:感情や価値観など、数値では表れない情報を拾うのが難しい
- 対象者の選定が難しい:サンプルを正しく選定しないと、偏りのある結果になってしまう可能性があり、分析内容の信頼性が低下しやすい
- 背景を把握できない:なぜその回答がされたのか、どのような事象が影響しているのかといった背景までは読み取りにくい
量的調査は個々の背景や感情などの情報を捉えにくいため、対象者の選定には注意しましょう。
量的調査と質的調査の組み合わせが有効
社会調査は、量的調査と質的調査を組み合わせて実施することで、より正確に調査できます。
まずは量的調査によって、商品やサービスに対する意見やニーズの傾向を拾いましょう。その後、質的調査を通じて、実際の使用感や要望などを掘り下げれば、一般的なデータも消費者の深層心理も把握しやすくなります。ひいては、商品・サービスの効果的な改善も可能です。
量的調査のアンケート例
ここでは、量的調査のアンケート例を紹介します。
顧客満足度調査
顧客満足度調査は、商品やサービスを利用した顧客がどのぐらい満足しているかを知るための調査です。満足度を定量的に評価すれば、改善施策の立案などに活用できます。
【アンケートの例】
- サービスの品質にどのぐらい満足していますか?
- スタッフの対応にどのぐらい満足していますか?
- 今後もこのサービスを利用したいと思いますか?
など
市場調査
市場調査は、消費者のニーズや行動、認知度、購買傾向などを把握するために行われる調査です。新商品の開発やマーケティング戦略の立案などに役立つでしょう。多くの人から回答を集めて分析することで、ターゲット層の属性やブランドイメージも把握しやすくなります。
【アンケートの例】
- 当ブランドを知っていますか?
- これまでに何回サービスを利用したことがありますか?
- この商品を最後に利用したのはいつですか?
- 商品を選ぶ際に重視するポイントは何ですか?
など
実施したイベントの評価アンケート
イベント終了後に行う評価アンケートは、参加者の満足度や改善点を把握し、次回以降の企画に生かすために行う調査です。参加者の反応を可視化することで、現状の良い点・悪い点を具体的に把握できます。
【アンケートの例】
- イベント全体の満足度を教えてください
- イベントの長さは適切でしたか?
- スタッフの対応や案内は適切でしたか?
- 今後、同様のイベントがあれば参加したいと思いますか?
など
量的調査によるデータを分析する流れ
ここでは、量的調査によって抽出されたデータを分析する流れについて解説します。
データの整理
まず、収集したアンケートや回答用紙などのデータを分析しやすい状態に加工します。記入漏れや誤入力があるデータは除外し、集計に影響がないようにしましょう。データに誤りがあると分析結果の信頼性が落ちるため、正確なデータを集める必要があります。
データの集計・入力
データを整理したら、そのデータを集計・入力します。ExcelやGoogleスプレッドシートを活用して内容をまとめた上で、目的に応じた集計を進めましょう。代表的な集計方法としては、以下が挙げられます。
- 単純集計
- クロス集計
- 自由記述集計
たとえば、クロス集計を行えば、特定の属性による傾向を比較可能です。
データの分析
最後に、集計したデータをもとに分析を行います。ヒストグラムや標準偏差といった分析手法を通して、全体的な傾向や特徴、特定の項目間の関係性などを明らかにしましょう。わかりやすく分析結果を示すためには、グラフや表を用いた視覚的な資料が有効です。
量的調査によるデータを分析する手法
ここでは、量的調査によって抽出されたデータを分析する手法について解説します。
ヒストグラム
ヒストグラムは、数値データの分布を表したグラフです。横軸に数値の範囲(階級)、縦軸に対象の範囲に含まれるデータの頻度(度数)を表します。
ヒストグラムを活用すれば、どの項目に回答が集中しているか、分布に偏りがあるかなどを一目で把握できます。全体の傾向や極端な値の有無を確認したい際に有効でしょう。
標準偏差
標準偏差は、データが平均値からどの程度ばらついているかを示す指標です。値が小さいほどデータは平均値の近くに集中し、値が大きいほど平均値から離れているということです。
同じ平均点を持つ2つのグループがあったとしても、標準偏差を比較すれば、どちらのグループの回答がバラついているかを判断できます。
クロス集計
クロス集計とは、2つ以上の回答をかけ合わせて集計し、データの傾向を分析する手法です。アンケート調査では、性別と満足度の結果をかけ合わせれば、男性と女性で満足度に差があるかを確認できます。
クロス集計は、表計算ソフトを使えば簡単に結果を比較できる点がメリットです。また、誰がみても分析結果がわかりやすいでしょう。
ピボットテーブル
ピボットテーブルとは、表形式のデータを項目ごとに集計してくれるExcelの機能です。ピボットテーブルを使えば、クロス集計を効率的に進められるでしょう。合計や平均などを集計したい際も関数や数式が不要で、簡単に結果を確認できます。そのため、分析に慣れていない人でもスムーズにデータを扱える点がメリットです。
まとめ
量的調査を成功させるためには、自社にとって必要なデータを正確に収集しなければなりません。そのためにも、拾いたい情報を確実に拾えるアンケートを作成しましょう。
量的調査の実施を検討しているなら、マクロミルにお問い合わせください。マクロミルは、マーケティングリサーチとデジタルマーケティングリサーチを中心に、多様なニーズを分析し、クライアントに的確なインサイトを提供しています。
また、マーケティングデータの提供に加えて、当社が提供するデータと顧客が保有するデータなどを融合させる取り組みにも力を入れています。これにより、「データ利活用支援事業(データ・コンサルティング)」と、広告配信やCRMなど最終的に顧客企業のマーケティング活動と連動するソリューションを提供する「マーケティング施策支援事業」を一気通貫で提供可能です。
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