韓国消費者の6年を追跡!パンデミック、物価高から非常戒厳まで、揺れた消費心理とは? | Macromill Weekly Index Asiaで振り返る消費者マインド【韓国編】

カテゴリー
リサーチャーコラム

公開日:2026/4/20(月)

日本にとって経済やマーケティングの観点から非常に重要なお隣の国、韓国。
本記事では、マクロミルが定点観測を続ける「Macromill Weekly Index Asia」のデータをもとに、約6年間にわたる韓国消費者のリアルなマインド変化を紐解きます。

パンデミックによる混乱や世界的な物価高、さらには非常戒厳の宣布といった激動の出来事が、人々の消費心理にどのような影響を与えたのかを追跡しました。

具体的には、「景況感」「物価変動感」「消費者気分」という3つの指標を軸に、短期的な感情の揺れ動きから中長期的なトレンドまでを詳しく分析しています。

韓国消費者の「今」の姿や社会全体のムードを、データを通じてぜひ体感してみてください。

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

【1】アジア消費者の生活観測定点調査「Macromill Weekly Index Asia」

マクロミルでは2020年以降、アジアの主要地域で「Macromill Weekly Index Asia」という消費者の生活観測定点調査を行っています(注1)。

これは、日本で2013年から日本の消費者の状況について毎週定点観測を行っているMacromill Weekly Indexという調査をベースに、その「アジア版」としてスタートしたものです。

このような消費者定点観測調査は、消費者の「今」を即時性高くとらえたり、季節変動や中長期的なトレンド変化を確認したりすることができます。近年注目が高まる「オルタナティブデータ」(公的統計を補完するデータ)としての役割も果たしています(注2)。

このシリーズでは、開始から数年間が経過した「Macromill Weekly Index Asia」データからいくつの指標を取り上げ、実施各国・地域の消費者の変化を振り返っていきます。
第1回目となる今回は、「韓国」のトレンドを振り返ります。

【2】日本にとっての韓国の位置 ~輸出額は3位、インバウンド旅行者数は1位

日本と韓国は何と言っても距離的に近く、東京(羽田/成田)からソウル(インチョン/キンポ)までは2時間半ほどのフライトです。フライト時間だけで見れば、新幹線での東京―新大阪間の移動時間と大差ありません。

そのため、古来関わってきた歴史や交流の長さも特徴でしょう。それゆえの政治・外交問題などもありますが、経済・マーケティングにとっても、相互にとって非常に重要な国であることは言うまでもありません。

日本との貿易相手国として見ても、日本からの輸出額において、韓国は米国・中国に次いで第3位。また、輸入額ランキングでも第5位となっています(図表1、いずれも2024年)。

【図表1】 日本の主要貿易相手国・地域(2024年、上位10ヶ国・地域)

図表1 日本の主要貿易相手国・地域(2024年、上位10ヶ国・地域)

日本貿易振興機構「ドル建て貿易概況」(日本の貿易相手国 TOP50)より作成。

また、国・地域別に見た2025年の訪日旅行者数では韓国は1位。しかも946万人という数は全訪日旅行者のうち22%に相当し、訪日旅行者の4~5人に1人は韓国からです(図表2)。

図表2】訪日旅行者数(インバウンド旅行者数) 国・地域別割合(2025年、上位15ヶ国・地域)

図表2 訪日旅行者数(インバウンド旅行者数) 国・地域別割合(2025年、上位15ヶ国・地域)

日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」(国籍/月別 訪日外客数(2003年~2026年))より作成。

日本でも特に2000年代以降、「韓流ブーム」としてK-POP、韓国映画・ドラマ、K文学、韓国コスメやファッション、韓国グルメなどが流行し、近年では様々な韓国コンテンツ・商品はすっかり定着したと言えるでしょう。

そんな韓国の消費者の近年の動向を振り返るため、「Macromill Weekly Index Asia」調査結果を見ていきましょう。

※韓国は2020年5月第2週から調査を開始したので、本記事では2026年3月までの6年弱のデータを振り返ります。

【3】 景況感の変化

はじめに「景況感」(消費者から見た、身の回りの景気の認識)から見ていきましょう(図表3)。

景況感は、以下の2つの指標を測定しています。

現況指数=現在の身の回りの景気について、「1.よい」~「5.悪い」で評価。
先行指数=2~3ヵ月先の身の回りの景気見通しについて、「1.よくなる」~「5.悪くなる」で評価。
※いずれも、5段階に100、75、50、25、0点を与えてインデックス化。

図表3】景況感の変化(2020年5月~2026年3月)

「Macromill Weekly Index Asia」より作成。

韓国の消費者が景気をどのように感じてきたか、結果を振り返っていきましょう。
全般的には、「現況指数」は40ポイントを上回る週も少なく、比較的厳しい見方がなされています。「先行指数」は現況指数より10ポイント程度高い週が多いですが、動き(上下変動)はほぼ現況指数に連動しています。

<深刻化するコロナ禍による景況感低迷と、回復への期待(2020~21年)>
2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大が起こりました。それに伴い、韓国内では特に8月の行動制限の強化や、年末の感染者数増加の時期には特に景況感も悪化し、「現況指数」が30ポイントを下回る週も多くありました。
その後、21年は半導体輸出などの好調を受けて景況感も大きく回復し、「現況指数」「先行指数」ともに6月頃まで上昇を続けました。高い時には「現況指数」は40ポイントを超え、「先行指数」は50ポイント前後の週が増えました。ただし、21年夏や年末には感染者が再度大きく増加し、その際には景況感も低下しています。

<ロシアのウクライナ侵攻や物価上昇などで景況感低下(2022年)>
2022年は、2月のロシアのウクライナ侵攻開始以降、世界的なインフレ進行の影響などで、4~5月以降は景況感が短期間に大きく低下し、その後は若干の上下を繰り返しました。

<変化は小さくなるが、低い水準のまま推移(2023~24年)>
2023年前半は徐々に景況感が改善しましたが、半導体需要増加が一段落したことなどから大きな回復はなく、その後は比較的小幅な変化で推移しました。23年7月から24年11月までの「現況指数」平均は33.7ポイント、「先行指数」平均は40.1ポイントでした。
24年12月にはユン・ソンニョル大統領(当時)の非常戒厳宣布による混乱で、「現況指数」は20年末以来、再び30ポイントを下回り、「先行指数」も35ポイントを下回りました。しかし、混乱は短期間に収束し、翌25年1月以降は景況感が回復基調となりました。

<世界情勢の影響を受ける(2025年~)>
2025年4月頃は米国関税交渉などの影響でやや停滞しましたが、その後、輸出産業の堅調さもあり、5月以降は大きく景況感が上昇しました。6月には、イ・ジェミョン政権が発足し、「先行指数」が再び50ポイントを超える週も出てきました。
直近では、26年2月の米国のイラン攻撃によって、原油等の供給に対する世界的な不安の高まりから、再度景況感が低下している様子がうかがえます。

【4】 景況感のデータ比較

ここで「Macromill Weekly Index Asia」のデータと、韓国の中央銀行である韓国銀行が実施・発表している統計調査「消費者心理指数(CCSI)」の傾向を比較してみましょう(図表4)。

CCSIは消費者の現在の景気判断や生活状況、今後の見通しなど、「Macromill Weekly Index Asia」の現況指数・先行指数の双方を含んだような総合指標です。また、CCSIは月ごとの指標のため、毎週の「Macromill Weekly Index Asia」データも、各月の平均値に計算し直して比較を行いました。

調査内容やインデックスの単位が同じではないため単純比較は難しいですが、景況感の上下の動きは一部の時期を除き、2つの調査間で傾向はほぼ一致していることがわかります。「Macromill Weekly Index Asia」は、オルタナティブデータとしての役割も果たすと言えるでしょう。

図表4】景況感についての「Macromill Weekly Index Asia」(=左軸)と
「消費者心理指数(CCSI)」(=右軸)の比較

「消費者心理指数(CCSI)」は韓国銀行データをもとに作成。
「Macromill Weekly Index Asia」は各月の平均値を算出。

【5】物価変動感の変化

次に、消費者にとって重要な問題である「物価」に対する認識です(図表5)。
物価変動」は、以下の2つの指標を測定しています。

物価変動指数(対前月)=先月と比べた物価について、「1.とても上がった」~「5.とても下がった」で評価。
予想物価指数(2~3ヵ月先)=2~3ヵ月先の物価見通しについて、「1.とても上がる」~「5.とても下がる」で評価。
※いずれも、5段階に120、110、100、90、80点を与えてインデックス化。

また図表5には、韓国統計庁による「消費者物価指数」をもとに、各年の消費者物価の平均値とその変化もあわせて示しました。物価指数は2020年全体(1~12月)を100とした場合の各年(2025年1月~2026年2月は合算)の値を掲載しています。

図表5】物価変動感の変化(2020年5月~2026年3月)および
消費者物価指数(2020年5月~2026年2月)

「物価変動指数(対前月)」および「予想物価指数(2~3月先)」は「Macromill Weekly Index Asia」より作成。
「韓国消費者物価指数」は、韓国統計庁国家統計ポータル(KOSIS)データに基づいて計算。

<物価感は上昇が続く(2020年5月~2022年前半)>
調査開始時期からしばらくの間は、短期間のうちに極端な上下も見られます。行動制限によって「巣ごもり消費」傾向が強まった2020年秋や21年初頭には、消費が食品や日用品に限定されやすくなったことから、消費者の心理として実態以上に物価上昇感が強まったようです(この時期は悪天候や鳥インフルエンザの影響もあり、実際に食料品価格が上昇した背景がありました)。
しかし、中長期的に見ると、ほぼ一貫して体感物価の上昇が見られます。この傾向は22年2月のロシア・ウクライナ戦争勃発から数ヶ月の時期まで継続し、「物価変動指数(対前月)」を見ると、20年5月は104ポイントほどでしたが、22年7月には116ポイント近くまで上昇しました。韓国統計庁の「消費者物価指数」を見ても、22年は前年比+5.2ポイントの上昇となっており、「Macromill Weekly Index Asia」調査開始以降では最も上昇幅の高い年でした。「Macromill Weekly Index Asia」の回答者もこの変化に強く反応していることがわかります。

<物価上昇感は続くが、やや落ち着きを見せる(2022年後半~)>
2022年夏以降は、徐々に物価上昇感が落ち着き始めました。
23年初頭には電気料金の引き上げや農産物価格上昇などによる影響を受け、消費者の認識としても再び物価上昇を感じる傾向が強くなりました。しかし、それらが落ち着いた23年夏から24年にかけては、一定の物価上昇が継続しているという認識は続きますが、時期による若干の変動はあるものの、「物価変動指数(対前月)」も「予想物価指数(2~3カ月先)」も110~112ポイント前後の週が多く、極端な変動は少なくなりました。
さらに2025年になると、「物価変動指数(対前月)」が110ポイントを下回る週が多くなりましたが、25年後半からは若干ながら再度上昇する傾向が見られます。

【6】消費者気分(センチメント)の変化

最後に、回答者の「1週間の気分」を尋ねた質問の結果を振り返ります。

●1週間の気分=「うれしかった」「悲しかった」「楽しかった」「腹が立った」「落ち着いた」「憂鬱だった」「わくわくした」「不安だった」から選択(複数回答)。

図表6】消費者気分(センチメント)の変化(2020年5月~2026年3月)

図表6 消費者気分(センチメント)の変化(2020年5月~2026年3月)

「Macromill Weekly Index Asia」より作成。

「気分」を尋ねる質問ですので、回答者の個人的な出来事や状況に依存しますが、社会的に大きな事象が起こるとそれが個人の気持ちにも影響するため、回答の推移を見ていくと、社会全体の感情の動きとして解釈することもできます。

図表6は毎週の変化を示しているので、特に感情の上下変化が大きかった部分に着目しましょう。これらは、季節や特定の出来事を反映した動きであることが多いです。

<①季節や特定の出来事を反映した動き>
日本の「Macromill Weekly Index」調査でも、お正月やゴールデン・ウィーク、お盆などの休暇時期には、「楽しかった」「うれしかった」などのポジティブ気分のスコアが大きく上昇します。
こうした季節要因については、韓国では旧正月の「ソルラル」時期や、お盆にあたる「チュソク」時期などがこれに該当します。旧暦のため年によって日付は前後しますが、ソルラルは例年1月下旬~2月上旬頃、チュソクは9月中旬~10月上旬頃にあたります。図表6を見ると、これらの時期では特に「楽しかった」のスコアが大きく上がっていることが確認できます。

社会的な出来事も影響を与えます。例えば、2022年10月末のハロウィンに起きたソウル・梨泰院(イテウォン)の繁華街での雑踏事故の後では、「悲しかった」が前の週の約4倍、「憂鬱だった」も約2倍となりました。また、その半年前の22年2月末からは、ロシアのウクライナ侵攻が開始され、3月の週は「憂鬱だった」「不安だった」が2月よりも上昇しました。

最近では、2024年12月上旬のユン・ソンニョル大統領(当時)の非常戒厳宣布による混乱で、「腹が立った」「不安だった」が急上昇し、「落ち着いた」「楽しかった」が大きく低下しました。しかし、調査結果を見る限り、この混乱による気分の変化は短期間で収束していきました。

ただし、この「1週間の気分」は選択肢も多く、毎週の動きを示した図表6はグラフが少々煩雑です。そこで次に、もう少し長期的なトレンドを確認するために、「各週の前後2週間を含む5週分の移動平均」を算出して掲載しました(図表7)。

【図表7】消費者気分(センチメント)の変化(2020年5月~2026年3月。5週移動平均)

図表7 消費者気分(センチメント)の変化(2020年5月~2026年3月。5週移動平均)

「Macromill Weekly Index Asia」より、前後2週分を含む5週分の移動平均データを算出。

図表7では、少し長い目でデータの変化を見てみましょう。

<②中長期的な変化>
何と言っても、調査開始時期はコロナ禍のインパクトが強くうかがえます。一方で、長い目で見ると新型コロナウイルス感染症の流行も徐々に収束し、それに伴って韓国の消費者の生活気分のネガティブさも少しずつ低下していく様子もうかがえます。
例えば、2020年では特にコロナ第2波・第3波の時期には「憂鬱だった」が「楽しかった」を大きく上回っていました。しかし、徐々に「憂鬱だった」は低下し、反対に「楽しかった」は上昇し、23年~24年頃には一部の時期を除いて「楽しかった」が「憂鬱だった」を大きく上回る週が多くなりました。

同様に、「不安だった」も22年頃までに徐々に低下し、一方で「うれしかった」は上昇する傾向にありました。結果として、22年末頃まではほとんどの週で「不安だった」が「うれしかった」を上回っていましたが、23年以降は「うれしかった」が上回る週も増え、両者はほぼ拮抗したスコアの週が続いています。

このような動きをデータで明確に確認できるのも、毎週調査が行われる「Macromill Weekly Index Asia」だからこその蓄積です。

まとめ

この記事では、「Macromill Weekly Index Asia」調査から、韓国の消費者定点観測調査の約6年にわたる結果を、(1)景況感、(2)物価変動感、(3)消費者気分(センチメント)という3点から振り返りました。

その週にどのようなことがあったのかがすぐに見えるという速報的側面と、5~6年などの長期的トレンドを把握できる側面の両方が分析できるのも、こうした定点観測調査データだからこそできる特長といえます。

次回は、「台湾」について結果を振り返っていきたいと思います。

(注1)「Macromill Weekly Index Asia」の詳細は下記よりご覧いただけます(毎週の結果速報など)。
https://www.macromill.com/service/weeklyindex/asia/
(注2)オルタナティブデータとしての活用例として、例えば日本の「Macromill Weekly Index」は、内閣府の「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」などでも活用されている。
https://www.macromill.com/press/info/20201222.html

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

著者の紹介

熊谷信司

株式会社マクロミル マクロミル・グローバルリサーチ・インスティテュート シニアフェロー

熊谷 信司

東京大学大学院教育学研究科修了。総合調査会社勤務を経て、マクロミル入社後はリサーチャーとして国内外の数々の調査プロジェクトを担当し、現在は海外調査の知見創出・情報発信、海外消費者定点調査、産学連携による研究・教育の取り組み、業界団体委員など多岐に活動。専門社会調査士。主著『グローバル・マーケティング・リサーチの考え方 -海外展開する企業のための調査の基本』(白桃書房、2025年)。

著者の人気記事

カテゴリーから探す

タグから探す

アクセスランキング

ナレッジブログランキング

メールマガジン

マーケティングに関するホットな話題やセミナーなどの最新情報をお届けします

おすすめコンテンツ

ナレッジブログ

マーケティングリサーチ有識者の見解を知る

コラム

マーケティングの基礎を学ぶ

マーケティング用語集

基礎的な用語を身に付ける

市場調査レポート・お役立ち資料

明日から使えるデータと活用術を手に入れる

メールマガジン

マーケティングに関するホットな話題やセミナーなどの最新情報をお届けします