ターゲット市場とは?設定方法や活用すべき指標を解説

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2024/4/1(月)

自社にとって最適なマーケティング施策を実行するためには、正しくターゲット市場を設定する必要があります。しかし、実際にターゲット市場を設定したくても、どのように取り組めばよいか悩んでいる担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、ターゲット市場を設定するメリットや考え方、必要な指標などを解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

ターゲット市場とは

ターゲット市場とは

ターゲット市場とは、自社商品やサービスの購買確率が高いと思われる消費者の市場(セグメント)のことです。

ターゲット市場を設定する理由は、「リソースを割いて勝負すべき市場」を発見するためです。企業がマーケティングに割けるリソースは限られているため、見込みある市場に絞ってアプローチをかけなくてはなりません。また、マーケティングへのリソースを節約できるほど、商品開発や人材育成などに使えるリソースが増え、企業を成長させられます。

ターゲット市場を設定するメリット

ターゲット市場を設定するメリット

ターゲット市場を設定すると、特定の市場にフォーカスして戦略を立てられるため、マーケティングコストを抑えられます。

また、消費者のニーズが多様化した現代では、万人受けする施策を講じても反響は得られません。ターゲット市場を設定すると、訴求力の高い施策により大きな利益につながります。

加えて、このようにマーケティングコスト削減と効率アップに成功すると、新しい施策を試して新規顧客を獲得する余裕ができます。

参考:市場規模とは?調べ方や算出方法、フェルミ推定の4ステップもわかりやすく解説

ターゲット市場の設定において知っておきたいSTP分析について

ターゲット市場の設定において知っておきたいSTP分析について

STP分析とは、設定したターゲット市場をもとにマーケティング施策を考案する手法です。STP分析は、S(セグメンテーション)、T(ターゲティング)、P(ポジショニング)の頭文字から名付けられました。

STP分析では、市場の細分化(セグメンテーション)を実施した後に、各セグメントから自社の商品やサービスのターゲットを選定し、具体的なアプローチ方法を検討します。

ターゲット市場の発見に必要なセグメンテーション変数

ターゲット市場の発見に必要なセグメンテーション変数

ターゲット市場の発見の前に、セグメンテーションを済ませておく必要があります。セグメンテーションに必要な4つの変数を解説します。

地理的変数

地理的変数は、地理的な側面でセグメンテーションする際に活用されます。具体的な変数には、「国」「地域」「気候」「人口密度」「文化・生活習慣」などがあります。実店舗で商品やサービスを提供する企業の場合は、地理的変数が特に重視されます。

人口動態変数

人口動態変数は、年齢や性別など消費者の属性でセグメンテーションする際に活用されます。年齢や性別以外では、「職業」「所得」「学歴」「家族構成」なども人口動態変数の一種です。自動車や金融商品、レジャーサービスなど、消費者の属性がニーズに影響しやすいものは人口動態変数に着目しましょう。

心理的変数

心理的変数とは、消費者の価値観や好みなどを反映した変数です。地理的変数や人口動態変数とは異なり、心理的変数は定量的な把握が難しくなりがちです。一方で、消費者の価値観が多様化する近年において、心理的変数は重要な変数の1つといえます。

行動変数

行動変数とは、消費者の購買行動を反映した変数です。例えば、「購買した日時」「購買頻度」「購買経路」などが行動変数として挙げられます。行動変数を把握すると、既存顧客に対して効果的なアプローチを取れる可能性があります。

参考:市場調査とは?メリットや代表的な8つの方法、実施する手順まで詳しく解説

ターゲット市場の選定におけるアプローチ方法

ターゲット市場の選定におけるアプローチ方法

セグメンテーションが終わった後は、ターゲティングに移ります。ターゲティングには以下の3つの手法があります。

  • 非差別化型マーケティング
  • 差別化型マーケティング
  • 集中化型マーケティング

非差別型マーケティングは、すべての市場をターゲットとするアプローチ方法です。多くの消費者にアプローチをかけるため、非差別型マーケティングは資金力のある企業向けのアプローチ方法といえます。

差別化型マーケティングは、複数の市場にアプローチする方法です。市場ごとのニーズを把握し、アプローチ方法を変えます。

集中化型マーケティングでは、市場を絞ってアプローチをかけます。多くの市場を意識せずに済むためユニークな商品やサービスを提供でき、マーケティングコストも削減可能です。

ターゲット市場の選定を行う際に活用すべき指標

ターゲット市場の選定を行う際に活用すべき指標

セグメンテーションが終われば、次はターゲット市場の選定のフェーズに入ります。ターゲット市場の選定に活用すべき指標を解説します。

優先順位(Rank)

優先順位は、自社の状況や戦略を考慮しながら各セグメントの優先度を決める指標です。例えば、SNSで拡散してくれそうな消費者、自社の強みを理解し満足してくれそうな消費者などは、優先順位が高くなります。

規模の有効性(Realistic Scale)

規模の有効性とは、これから参入しようとする市場規模の大きさに関する指標です。市場規模が大きく十分な収益を見込めるときは、ターゲット市場の候補となります。

一方、市場規模が小さければ、商品やサービスにマッチしても十分な売上・利益を期待できません。市場規模が小さいセグメントをあえて選ぶときは、相応の理由が必要になります。

到達可能性(Reach)

到達可能性とは、顧客への届けやすさに関する指標です。例えば、消費者との物理的な距離が遠いほど、品質を保ちながら商品を届けることは難しくなり輸送費もかかります。つまり、生産拠点や各事務所などから離れたところに住む消費者は、ターゲット市場に選定するメリットが少ないといえます。

到達可能性を重視すると、マーケティングにかかるコストを抑えながら、売上を効果的に伸ばせます。

測定可能性(Response)

測定可能性とは、施策の影響・反響の判断しやすさに関する指標です。例えば、マーケティング施策としてメールマガジンを配信したときは、開封率などを調べると施策の効果を測定可能です。施策の影響・反響を測定しにくいセグメントを選んでしまうと、施策を見直しにくくなります。

成長性(Rate of Growth)

成長性とは、市場の成長見込みに関する指標です。成長性は長期的な視点で判断しましょう。現時点で現状市場の規模が小さい場合でも、将来的に規模が拡大する見込みがあれば、参入により利益を生み出せる可能性があります。

また、成長性に加え、規模の有効性や、以下で解説する競合状況も見てセグメントを選定してください。

競合状況(Rival)

競合状況とは、競合となる企業や商品に関する指標です。基本的に、競合が多い場合は市場に参入すべきではないと判断できます。ただし、市場規模が十分大きい、地理的要因などで競合の商品やサービスを利用できていない消費者がいる、という場合は参入すると成果を得られる可能性があります。

ターゲット市場の設定における注意点

ターゲット市場の設定における注意点

ターゲット市場は定期的に見直しましょう。また、コストを抑えて成果を上げるなら集中化型マーケティングがおすすめです。

ターゲット市場を設定したままにしない

いったんターゲット市場を設定しても、施策を実行したあとは必ず検証や評価を行う必要があります。例えば、商品が売れなかった場合は、原因を分析しましょう。当初設定したターゲットのニーズに商品がマッチしていなければ、商品を受け入れてくれる市場を設定し直さなくてはいけません。

また、トレンドは常に変化するため、売れ行きのよい商品でも定期的にターゲット市場を見直しましょう。

すべての人をターゲティングの対象としない

ターゲット市場を設定してマーケティングする場合は、集中型マーケティングがおすすめです。前述のように、集中型マーケティングは、マーケティングコストを削減できます。

一方、非差別化型マーケティングはコストがかかるうえに、自社の戦略が顧客に届かない恐れもあります。多くの消費者にアプローチして利益を増やしたい、ターゲット市場の設定に手間をかけたくない、などの理由で、ターゲット市場の設定にネガティブな人もいるかもしれません。しかし、効率よくマーケティングするためには集中型マーケティングが向いています。

参考:市場細分化とは?必要性やメリット、実施する際の注意点を解説

効果的にターゲット市場の発見・選定を行うには?

効果的にターゲット市場の発見・選定を行うには?

セグメンテーションした後に最適なターゲット市場を選定するためには、客観的な根拠にもとづく判断が必要です。例えば、消費者の属性や行動パターン、価値観、トレンドなどを入念にリサーチすると、客観的な根拠の手がかりとなるデータを得られます。

消費者や市場動向をリサーチする際は、マーケティングリサーチ会社への依頼をおすすめします。株式会社マクロミルは、マーケティングリサーチ会社です。インターネットリサーチの対象は約130万人で、偏りのないデータを提供します。目的に合うリサーチができるように、専任のスタッフが調査票設計・集計・分析など各工程をサポートします。

まとめ

まとめ

ターゲット市場の設定は、コストを抑えた効率的なマーケティングに欠かせません。市場を細分化してターゲット市場を設定しましょう。また、ターゲット市場は、マーケティングの成果やトレンドを反映して適時見直してください。

マーケティングリサーチについて詳しく知りたい場合は、マクロミルが作成した下記の資料をぜひ、ご参照ください。

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