
質的データは、数値で測定できない情報を対象とし、分析の視点によって整理・分類されるデータの一種です。この記事では、質的データの基本的な考え方から量的データとの違い、代表的な分析手法までをわかりやすく解説します。調査や分析の理解を深めたい人は、ぜひ参考にしてください。
参考:多変量解析とは
質的データとは?
質的データは、分析の切り口によって分類されるデータの一種で、数量として測定できる数値データ以外の情報です。統計的に扱う際には「質的変数」とも呼ばれ、順序尺度や名義尺度で整理されます。
質的データには、SNSの投稿やアンケートの自由記述なども含まれます。数値化せず対象者の率直な意見として参考にするケースと、コーディングして集計するケースに分けられます。
質的データの種類
質的データの種類は、おもに以下の3つです。
- インタビューとフォーカス・グループ
- 観察とフィールドノート
- テキストデータとビジュアルデータ
インタビューやフォーカス・グループは、質的データを集める代表的な方法です。インタビューは、1対1で意見や経験を深く聞き取ります。フォーカス・グループは、参加者同士のやり取りから、多様な意見を引き出します。
観察やフィールドノートも有効な方法です。行動や状況を直接記録することで、自然な文脈を把握できます。また、文書やインタビューなどのテキストデータ、写真や映像などのビジュアルデータも、感情や意味を読み取るための重要な質的データです。
質的データと量的データの違い
質的データと量的データの違いは「数値で測れるかどうか」にあります。量的データは、数値や量で表せるデータです。定量データや量的変数とも呼ばれます。一方、質的データは、数値や量では測定できず、分類や違いを示すためのデータです。質的データは、数値データを取得できないテーマや、あらかじめ結果を予測しにくい対象に適しています。
質的データを活用するメリット
質的データを活用すると、深層的な理解や新たな発見ができます。各メリットについて詳しく解説します。
深層的な理解ができる
質的データを活用すると、インタビューや行動観察を通じて、表面的な回答だけでなく、背景にある感情や価値観まで捉えられます。発言内容に加え、行動や周囲の状況も分析することで、対象をより深く多面的に理解できます。
また、質的データは、内容の濃い示唆を得られる点が特徴で、参加者がどのように考え、何を信じているのかも深く把握できます。
新たな発見ができる
質的データを活用すると、数値分析だけでは捉えられない視点や、想定していなかった課題・ニーズを見つけられます。たとえば、若者の投票率が低い地域がある場合、量的調査では属性と投票率の関係は分析できますが、行動の理由まではわかりません。
しかし、質的データの手法であるインタビューを行うことで、政治への関心の低さや投票に対する心理的なハードルなど、行動の背景にある考え方を把握できます。
質的データを活用するデメリット
質的データを活用するメリットは多くありますが、デメリットも生じます。2つのデメリットについて解説します。
分析に手間と時間を要する
質的データは、研究者自身が調査や観察を行う必要があるため、分析に手間と時間を要します。また、研究の性質上、十分な量のデータを集めにくく、必ずしも成果が得られるとは限りません。
回答サンプルが限られる
質的データを活用する場合、回答サンプルが限られます。記述中心の質的データから傾向を読み取る必要があり、数値データに比べて共通点を見出しにくいためです。また、分析に研究者の解釈が影響したり、質問の仕方によって回答が変わったりする可能性もあります。
質的データの分析手法
質的データの分析手法は、内容分析や主題分析など、さまざまです。5つの分析手法について詳しく解説します。
内容分析
内容分析は、テキストやビジュアルデータを対象に、質的データを細かく分けて整理・分類する分析手法です。データの各部分にコードを付与しながら構造化することで、文脈を保ったまま、共通する考え方やテーマを見つけ出します。
分析を進める過程では、繰り返し現れるコードや特徴的な構造に気づき、内容を整理・解釈します。データ全体の流れを損なわずに、意味や傾向を明らかにできる点が特徴です。なお、内容分析は、以下の手順で進めます。
- データを収集して内容や文脈を把握する
- 主要なテーマに沿ってコード化し分類する
- コードやカテゴリーの関係を整理し、パターンや意味を読み取る
主題分析
テーマ分析は、データ内で繰り返し現れる要素を見つけ出し、整理・解釈する分析手法です。データを丁寧に読み込みながら重要な概念を示すコードを付与し、コードをまとめてテーマとして構造化します。
分析を進めることで、複雑な内容や多様な視点を意味のある分類に整理でき、当初は気づきにくい関係性や傾向を把握しやすくなります。なお、主題分析は、以下の手順で進めます。
- データを読み込み、重要な部分にコードを付与する
- テーマごとにまとめる
- 各テーマの内容を分析する
- 得られた洞察を整理して結果としてまとめる
談話分析
談話分析は、言葉の使われ方やコミュニケーションのあり方を対象とする分析手法です。発言内容だけでなく、表現や言い回し、語られ方、全体の文脈を通して、意味がどのように形づくられているかを読み解きます。
分析により、権力関係やアイデンティティ、文化的背景が言語にどのように表れているかの把握が可能です。使われている言葉を丁寧に検討することで、前提となる考え方や文化的な規範、コミュニケーションを通じた意味の形成過程を明らかにできます。なお、談話分析は、以下の手順で進めます。
- 分析対象となる言語データを選ぶ
- 言葉の使い方や前提を詳しく読み解く
- 繰り返し現れるテーマや力関係を文脈の中で整理する
演繹的アプローチ(演繹的推論)
演繹的推論は、あらかじめ立てた仮説や想定を出発点とし、収集したデータによって妥当性を確かめる分析手法です。演繹(えんえき)とは、複数の前提を組み合わせ、論理に従って結論を導く考え方を指します。
たとえば、過去に似た調査を行った経験がある場合、回答の傾向をある程度想定した上で分析を進めます。演繹的推論は、正しいとされているルールを前提に結論を導く考え方で、市場動向の予測や戦略に基づく企画立案、会議の進行、企画提案のロジック構築に活用できる点がメリットです。
帰納的アプローチ(帰納的推論)
帰納的推論は、事前に理論や仮説を設定せず、収集したデータから分析を進める手法です。サンプルから得た情報をもとに、データ内に見られる共通点や傾向を見つけ出します。その後は、見いだしたパターンから得られた結論を基に、理論の構築や評価、施策への活用などを行います。帰納的推論のメリットは、事例を積み重ねることで、法則や共通点を見つけ出せる点です。
まとめ
質的データとは、数値で表せない情報を対象とし、分析の視点に基づいて整理・分類されるデータです。量的データと組み合わせることで、より多角的な分析が可能になります。一方で、分析に時間がかかる点や解釈の影響を受けやすい点には注意が必要です。目的に応じて適切な分析手法を選び、質的データを効果的に活用しましょう。
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