アンケート調査の注意点とは?アンケートの効果的な作り方のコツや進め方も解説

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2025/4/25(金)

アンケート調査は、顧客満足度の測定や市場のニーズ把握、製品・サービスの改善など、ビジネスにおけるさまざまな意思決定に不可欠な情報収集手段です。しかし、ただアンケートを実施するだけでは、期待する成果は得られません。

この記事では、アンケート調査を成功に導くための重要な注意点、効果的な作り方のコツ、そして具体的な進め方をステップごとに解説します。これらのポイントを押さえ、価値あるインサイトを獲得しましょう。

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Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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アンケート調査を成功させるための8つの注意点

アンケート調査で信頼性が高く、活用できるデータを集めるには、いくつかの重要な注意点があります。ここでは、特に注意すべき8つのポイントを解説します。

1.アンケートのゴールを定める

アンケート調査を行う最終的な目的、「ゴール」を具体的に設定することが最初のステップです。たとえば「新商品の価格設定の参考にする」「Webサイトの離脱率が高い原因を探る」など、調査結果をどのように活用し、どのような状態を目指すのかを明確にします。調査を通じて何を達成したいのかを具体化しましょう

2.アンケート調査の目的を明確にする

ゴールと連動し、アンケート調査で知りたいことを明確にしましょう。たとえば、ゴールが「顧客満足度向上」であれば、目的は「現在のサービスに対する具体的な不満点を洗い出す」「競合と比較した際の自社の強み・弱みを把握する」などが考えられます。

3.アンケートはわかりやすく答えやすい設問にする

設問文は、誰が読んでも同じ意味に解釈できるよう、平易な言葉で具体的に記述します。専門用語や業界用語、曖昧な表現は避けましょう。回答者がストレスなく、直感的に答えられるような設問作りを心がけることで、回答の質と回答率の向上が期待できます。

4.アンケートの質問はバイアスが発生しないようにする

設問の表現や選択肢の提示方法によって、回答者の答えが特定の方向に誘導されてしまう「バイアス」に注意が必要です。たとえば「〇〇(商品名)の便利な機能について、どのようにお考えですか?」といった聞き方は、便利であることが前提となっており、回答を誘導しかねません。

5.アンケート調査で取得した回答の「出口戦略」を意識する

アンケートを設計する段階で、収集したデータをどのように集計分析し、最終的にどのようなアクションにつなげるのか、という「出口戦略」を考えておくことが重要です。どのような切り口で分析したいか(年齢別、性別、利用頻度別など)を想定し、それに対応できるような属性情報を取得する設問も必要に応じて含めます。

6.アンケート調査で取得した個人情報の保護は徹底する

アンケート調査では、氏名・メールアドレス・年齢・性別などの個人情報を取得する場合があり、これらの情報は個人情報保護法に基づき、適切に取り扱う必要があります。利用目的を明示し本人の同意を得ること、収集した情報は厳重に管理し目的外利用はしないこと、保管期間を定め、期間終了後は適切に廃棄または削除することを徹底しましょう。

7.アンケート実施前の最終確認で質を高める

アンケートを作成したら、実施前に必ず最終確認を行います。誤字脱字がないか、設問の意図が正しく伝わるか、回答形式は適切か、設問数は多すぎないか、想定回答時間は適切かなどをチェックします。可能であれば、関係者や対象者の一部に事前に回答してもらい(プレテスト)、フィードバックを得て修正を加えるのが理想的です。

8.アンケートの回答者に調査のおもな目的を説明する

アンケートの冒頭で、回答者に対して調査の目的、所要時間の目安、個人情報の取り扱いなどを簡潔に説明することが重要です。なぜこのアンケートに協力してほしいのか、回答がどのように役立てられるのかを伝えることで、回答者のモチベーションを高め、より真摯な回答を得やすくなります。

アンケートの効果的な作り方における4つのコツ

注意点を踏まえた上で、さらにアンケートの効果を高めるための作り方のコツを4つ紹介します。これらの工夫で、より質の高いデータを効率的に収集しましょう。

1.アンケートで本音を引き出す「匿名性」の確保

特に意見や評価、不満点など、率直な回答が欲しい場合、匿名での回答を可能にすることは有効です。回答者が特定される心配がないとわかれば、社会的な体裁を気にせず、本音を回答しやすくなります。匿名性を確保する場合は、その旨をアンケートの冒頭で明確に伝えましょう。

2.アンケートのターゲット層に響く文章にする

アンケートの対象となるターゲット層の属性(年齢・性別・職業・興味関心など)に合わせて、言葉遣いやトーンを調整することが重要です。若年層向けであれば親しみやすい言葉遣いを、ビジネスパーソン向けであれば丁寧で的確な表現を用いるなど、対象者が違和感なく、スムーズに読み進められるような文章を心がけましょう。

3.アンケートに答えやすい設問設計にする

回答者の負担を軽減し、離脱を防ぐためには、答えやすい設問設計が不可欠です。具体的には、回答形式を選択式や段階評価を中心とし、自由記述は必要最低限にとどめるのが基本です。また、関連する質問はまとめて配置し、話の流れが自然になるように設問の順序を工夫します。

4.アンケートの設問は回答もれを防ぐMECE設計にする

選択式の設問では、選択肢がMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:相互に排他的かつ網羅的)になっているかを確認します。つまり「選択肢同士が重複しておらず(Mutually Exclusive)」かつ「考えられる全ての選択肢を網羅している(Collectively Exhaustive)」状態を目指しましょう。

アンケート調査の効果的な進め方6つのステップ

アンケート調査を成功させるためには、計画から実行、分析・活用までを体系的に進めることが重要です。ここでは、効果的なアンケート調査の進め方を6つのステップで解説します。

1.アンケートの目的とターゲットを定める

まず、前述の通り「何のために調査するのか(目的)」を、また「誰に聞きたいのか(ターゲット)」を明確に定義します。これが全ての土台となるためです。

2.アンケート調査の方法を選ぶ

目的に応じて適切な調査方法を選択してください。Webアンケート・郵送調査・電話調査・対面インタビューなど、それぞれのメリット・デメリットやコスト、期間、ターゲットへのリーチしやすさを考慮して決定します。

3.アンケートを設計する

目的達成に必要な情報を得るための設問を作成します。注意点や作り方のコツで解説したポイント(わかりやすい言葉遣い、バイアス排除、MECE設計、答えやすさなど)を意識して設計しましょう。

4.アンケートへの回答のお礼を用意する

回答率を高めるために、謝礼(インセンティブ)を用意することも有効な手段です。金券、ポイント、割引クーポン、抽選でのプレゼントなどが考えられます。必須ではありませんが、回答の手間に対する感謝を示す意味でも検討しましょう。

5.アンケート実施とデータ集計

選択した方法でアンケートを実施し、回答を集計します。Webアンケートの場合はシステムで自動集計されることが多い一方、紙媒体の場合はデータ入力が必要です。いずれの方法においても、事前に回答期間を設定し、その進捗を適切に管理することが求められます。

6.アンケートの分析結果を報告・活用

集計したデータを分析し、グラフなどを用いて可視化します。当初設定した目的に照らし合わせて結果を解釈し、報告書にまとめてください。最も重要なのは、分析結果から得られたインサイトを具体的な施策や意思決定に生かすことです。

アンケート調査の種類

アンケート調査は、大きく「定量調査」と「定性調査」の2種類に分けられます。目的に合わせて使い分けることが重要です。

定量調査

数値や量でデータを捉える調査方法です。「はい・いいえ」や選択肢、評点(5段階評価など)で回答を求め、結果を「〇%の人が満足している」「平均〇点」のように数値化して分析します。

多くの対象者からデータを収集し、全体の傾向や割合を把握するのに適しており、Webアンケートや郵送調査などが代表的です。統計的な分析が可能で、客観的なデータに基づいた判断に役立つでしょう。

【定量調査】アンケート調査(インターネットリサーチ)を詳しく見る >

定性調査

数値化しにくい「言葉」や「行動」のデータを収集し、その背景にある理由や感情、価値観などを深く理解しようとする調査方法です。「なぜそう思うのか」「どのような点が不満か」といった自由記述形式の質問や、インタビュー形式で行われます。少数の対象者から深いインサイトを得るのに適しており、仮説構築や問題の本質を探る際に有効です。

【定性調査】インタビューを詳しく見る >

効果的なアンケート調査の選び方

最適なアンケート調査を選ぶには、まず「調査目的」の明確化が最重要です。市場シェアや満足度など、全体の傾向を数値で把握したい場合は、大量のサンプルを集めやすいWebや郵送による定量調査が適しています。

一方、商品選択の理由や潜在ニーズなど、背景や理由を深く探りたい場合は、インタビューや自由記述中心の定性調査が有効です。加えて、対象者の特性(ネット利用率など)や、アンケート調査に利用できる予算・期間も考慮すべき点です。

多くの場合、定量調査で全体像を把握し、見つかった課題を定性調査で深掘りする組み合わせが効果的です。目的、対象者、リソースを総合的に判断し、最適な調査方法を選択しましょう。

アンケート調査事例

具体的なイメージを持つために、アンケート調査の活用事例を2つ紹介します。

「広報・PR担当向け」アンケート調査事例

音楽サブスクリプションサービスを提供する企業が、広報・PRのネタ作りを目的として「音楽嗜好調査」を自主的に実施した事例です。この調査で特に注目したのは「想い出の曲を知った年齢」です。まず想い出の音楽の有無を尋ね、次に曲名とアーティスト名を自由記述で回答してもらいました。

さらに、プレスリリースの内容を豊かにするため、音楽への関与度に関する設問も設けています。集計の結果、「想い出の曲を知った平均年齢は19歳」という、メディアや生活者の関心を引きやすい具体的な数値が得られています。

「サービス・接客業向け」アンケート調査事例

レストランが、顧客満足度向上のため来店客にアンケート調査を実施した事例です。サービス品質評価で代表的なSERVQUAL(サーブクオル)モデルを採用し、「有形性」から「共感性」までの5項目を5段階評価で尋ねました。

分析すると、「スタッフの対応スピード」は高く評価されましたが、「店舗の雰囲気(特に照明)」への満足度はやや低いことがわかりました。このデータに基づき、強みは維持しつつ照明を調整するなど、改善を行い、顧客体験の向上につなげています。

まとめ

アンケート調査を成功させるには、計画段階の「目的設定」から「設問設計」「実施」「分析・活用」に至るまで、各ステップで注意点を押さえる必要があります。信頼できるデータを効率的に収集・分析したいとお考えなら、専門の調査会社へ依頼することも有効な選択肢です。

なかでも「マクロミル」は、国内最大級の圧倒的なパネル数を誇り、多様な属性の対象者から質の高いデータを収集できる強みがあります。アンケート調査の注意点をしっかり押さえた上で、確かな成果を得たいとお考えでしたら、ぜひ一度マクロミルのアンケート調査サービスの詳細をご覧ください。貴社のビジネス成長を力強くサポートします。

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監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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