インタビュー調査(定性調査)とは?手法やフローなど詳しく解説

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2025/4/4(金)

定性調査を立案するうえで、顧客理解は不可欠です。顧客の深層心理や行動の背景にある理由を深く理解するためには、定性調査、特にインタビュー調査が有効です。本記事では、インタビュー調査の基本から、その目的・種類・実施フロー・活用事例までを網羅的に解説します。

インタビュー調査(定性調査)とは

インタビュー調査は、定性調査の一種であり、調査対象者と直接対話を行うことで、言葉・行動・表情・感情などの数値化できない情報を収集・分析する手法ですアンケートのような定量調査では把握できない、個人の深い意見や考え、行動の背景にある理由や価値観、さらには潜在的なニーズなどを詳細に理解することを目的としています。

対象者の生の声に耳を傾け、その言葉の裏にある真意を探ることで、より精度の高いマーケティング戦略の立案や、商品・サービスの開発・改善につながるでしょう。

インタビュー調査の目的

インタビュー調査のおもな目的は、以下の3つです。

  1. 仮説構築:新しい商品やサービスを開発する際、顧客が何を求めているのか、どのような課題を抱えているのかといった仮説を立てるために、インタビュー調査が活用される
  2. 実態把握:顧客の行動や意識、商品・サービスの利用状況などを詳細に把握し、現状の課題や改善点を見つけるために実施される
  3. インサイト発掘:顧客自身も気づいていない潜在的なニーズや、行動の背景にある深層心理(インサイト)を発見するために、インタビュー調査が用いられる

インタビュー調査の手法

インタビュー調査には、対象者や目的に応じて、いくつかの手法が存在しますが、代表的なものとして、おもに以下の3つの手法が挙げられます。

グループインタビュー(FG)

グループインタビューは、3~8名程度の対象者を1つのグループに集め、モデレーターと呼ばれる司会者が進行役となり、テーマについて自由に話し合ってもらう形式の調査です。参加者同士の相互作用により、個人の深層心理や価値観、潜在的なニーズが引き出されやすくなります。以下でおもな特徴4つを解説します。

特徴1.深層心理や価値観の把握

グループインタビューでは、参加者同士の意見交換や相互作用が活発に行われます。その過程で、個人の発言の奥にある深層心理や大切にしている価値観、行動を決定づける潜在的な欲求などが、より明確に浮かび上がってくることが期待できるでしょう

特徴2.双方向のコミュニケーション

グループインタビューは、モデレーターと参加者間だけでなく、参加者同士の活発な意見交換も促します。この双方向のコミュニケーションを通じて、単独インタビューでは得られない、多角的な視点からの意見やアイデアが生まれることが期待できます

特徴3.本音が出にくい

集団でのインタビュー形式であるため、参加者同士の相互作用が生まれる一方、他の参加者の意見に影響されたり、周囲の目を気にして遠慮したりすることで、率直な意見や本音が出にくい場合があるという側面も考慮しなければなりません。次に紹介する「デプスインタビュー」の方が本音を探るには適しています。

特徴4.リアルタイムな反応

グループインタビューでは、モデレーターや他の参加者の発言に対する、対象者の反応をその場で観察できます。言葉だけでなく、表情や身ぶり手ぶりなど非言語的な情報からも、より深く対象者の感情や考えを読み解け、貴重な洞察を得るための手がかりとなります

デプスインタビュー(DI)

デプスインタビューは、インタビュアーと対象者が1対1で対話する形式の調査です。対象者の個人的な経験や価値観、行動の背景などを深く掘り下げて聞けます。以下でおもな特徴3つを解説します。

特徴1.詳細な情報収集

デプスインタビューは1対1の形式で、グループインタビューのように他の対象者がいないため、話しづらい内容や本音も聞きやすいでしょう。他の調査手法では得難い、質の高い情報を得られます

特徴2.潜在ニーズや新たな視点を発見

1対1の対話を通じて、対象者自身も言語化できていなかった潜在的なニーズや、これまでとは異なる新たな視点、課題解決の糸口が見つかることがあります。表面的な意見だけでなく、深い洞察を得られるのがデプスインタビューの強みです

特徴3.少数精鋭で深掘り分析

デプスインタビューは、対象者を少数に絞って実施するため、1人ひとりの意見や経験を深く掘り下げて分析できるのが特徴です。量的なデータからは得られない、個人の詳細な情報や、その背景にある文脈を丁寧に把握することで、質の高いインサイト獲得につながります。

オンラインインタビュー

オンラインインタビューは、インターネットを介して、ビデオ通話などで行うインタビュー調査です。以下でおもな特徴3つを解説します。

特徴1.場所を選ばない柔軟な実施環境

オンラインインタビューの最大のメリットは、実施場所と時間の柔軟性です。インタビュアーと対象者双方にとって、自宅やオフィス、カフェなど、都合のよい場所から参加できます。移動時間や交通費の削減はもちろん、早朝や夜間など、従来の対面式インタビューでは難しかった時間帯での実施も可能になり、スケジュール調整の負担を大幅に軽減します。

特徴2. 低コストで幅広い対象者へのリーチ

オンラインインタビューは、地理的制約を克服し、これまで接点を持つことが難しかった対象者層へのアプローチが可能です。遠隔地の居住者、高齢者や障害を持つ人、育児や介護で外出が難しい人など、多様な背景を持つ人々から意見を収集しやすくなります。その結果、特定層に偏らない、より広範で多彩な意見に基づいた、深いインサイトを得られるでしょう

特徴3. 効率的なグループインタビュー

オンラインインタビューは、グループインタビューを効率的に実施できる点も大きなメリットです。移動時間や会場費などのコストを削減できるだけでなく、遠隔地にいる参加者も集めやすく、スケジュール調整も容易になります。結果として、よりスピーディかつ低コストでグループインタビューを実施可能です

インタビューフロー作成のポイント

効果的なインタビュー調査を行うためには、適切なインタビューフローの作成が重要です。以下でおもなポイントを2つ解説します。

調査目的に合った質問設計

インタビュー調査の目的を明確にし、その目的に沿った質問を設計することが重要です。たとえば、新商品の開発が目的なら、顧客のニーズや不満、既存商品の評価などを尋ねる質問を設計します。

効果的な質問の順序立て

インタビューの質問の順序は、対象者から質の高い情報を引き出すために重要です。年齢や職業・趣味など、答えやすい質問やアイスブレイクになるような話題から始めて、徐々に対象者の考えや意見・経験など、核心に迫る質問へと進めていくことが理想的です。この流れを作ることで、対象者が警戒心を解き、リラックスして本音を語りやすくなります。

インタビュー調査の活用例

インタビュー調査は、数値データだけでは把握できない、調査対象者の行動原理や心の奥底にあるインサイトに深く切り込めるため、多様な目的や課題解決に活用されています

例えば、顧客が商品を購入するまでのプロセスや、その時々の感情の動きを含むカスタマージャーニーを詳細に把握したい場合に有効です。また、特定の生活者層やターゲットとする顧客層のインサイトを理解し、彼らが本当に求めているものを探りたいときにも活用されます。

さらに新たなニーズを発見したり、既存の商品を改善するための具体的な手がかりを得たり、新商品のアイデア創出のヒントをつかみたい場合にも、インタビュー調査は効果を発揮します。定量調査を実施する前の段階で、仮説を構築するための情報を集めたい場合にも有効な手段となるでしょう。

マーケティングリサーチにインタビュー調査を取り入れる

インタビュー調査は、アンケート調査のような定量調査と組み合わせることで、より精度の高い、効果的なマーケティングリサーチを実現できます。定量調査によって得られた数値データは、全体の傾向を把握するうえでは有効です。しかし、その数値の裏側にある、顧客1人ひとりの深層心理や行動の背景にある具体的な理由までは見えてきません。

インタビュー調査を実施することで、数値データだけでは把握できない顧客の生の声や感情、価値観といった定性的な情報を収集できます。そして、なぜそのような行動をとったのか、その背景には何があるのかが明らかになるでしょう。

定量と定性の両面からアプローチすることで、より深い顧客理解につながるため、マーケティング戦略の立案や施策の実行に役立ちます

まとめ

インタビュー調査は、顧客理解を深め、ビジネス課題を解決するための有効な手段です。本記事で解説した内容を参考に、ぜひ貴社のマーケティング活動にインタビュー調査を取り入れてみてください。

「マクロミル」は、貴社のビジネス課題解決をサポートする、高品質なインタビュー調査を提供します。さまざまな業界・マーケティングシーンで豊富な実績を持つ専門スタッフによる調査の企画から実施、分析までスムーズな運営が可能です。

また、他のリサーチ手法やホームユーステスト(HUT)会場テスト(CLT)などとの組み合わせも可能で、経験豊富なリサーチャーがお客様の課題に最適な調査プランを一貫してサポートします。定性調査・インタビューに関するご相談など、マクロミルまでお気軽にお問い合わせください。

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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