インターネット調査とは、インターネットを通じてアンケートを実施する方法のことです。1990年代から広まった方法で、現在では主要な調査方法として定着しています。この記事では、インターネット調査について、概要やメリット、デメリット、注意点、実施例を解説します。
- インターネット調査とは?
- インターネット調査のメリット6つ
- インターネット調査のデメリット
- インターネット調査の流れ
- インターネット調査にかかる費用は?
- インターネット調査を実施する際の注意点
- インターネット調査の活用例
- まとめ
インターネット調査とは?
インターネット調査とは、文字通りインターネットを通じて何らかの調査をする手法のことを指します。ここではインターネット調査の詳細を解説します。
インターネットを使った調査方法
インターネット調査では、インターネットを通じてアンケートを配信します。アンケートの対象者は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末から回答します。Webアンケート調査とも呼ばれ、インターネットが普及した1990年代から広がり始めた調査方法です。
幅広い層からの情報収集が可能で、現在ではマーケティングリサーチの主要な調査手法として定着しています。ターゲット層の実態を把握したい人、市場機会を明らかにしたい人などにおすすめです。
インターネット調査には2つの型がある
インターネット調査には「クローズ型」と「オープン型」があります。「クローズ型」とは、調査会社に登録しているモニターや顧客リストを使って実施する調査方法です。調査会社は多種多様な属性のモニターを持つため、様々な調査を実施することができます。
「オープン型」とは、誰でも回答できる公開型の調査です。Web広告や自社サイトを用いて、調査対象者を集める方法です。自社の登録会員や商品購入者向けの調査はもちろんのこと、従業員の満足度調査もオープン型に該当します。
インターネット調査のメリット6つ
インターネット調査の導入には、6つのメリットがあります。それぞれのメリットについて、ここで解説します。
1. 低コストで調査ができる
調査費用に含まれる人件費や事務費用を抑えられます。調査結果はデータ化することが容易で閲覧しやすいため、調査にリソースを割けない場合も手軽に実施できます。
2. 視覚情報を盛り込んだ調査ができる
調査モニターは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどを通じて回答します。調査の画面上に、画像や動画といった視覚情報を盛り込むことができます。質問項目に関連したサンプルや動画などを提供できるため、ユーザーが商品やサービスを理解したうえでアンケートに回答できる仕組みです。
3. 条件を絞り込んだ調査ができる
調査対象となるモニターについて、細かな対象者条件が設定できる点は大きなメリットと言えます。特定条件とは、以下のような例です。
- 特定の商品を「知っている人」または「購入経験がある人」
- インターネット広告に触れた経験のある人
また、年齢や性別、結婚や子どもの有無、職業、居住地などの項目で絞り込んだ調査が可能です。
4. アンケート配信から回収までが速い
インターネット調査は、アンケートの配信から回答の回収をインターネット経由で実施することで、スピーディーに行える調査手法です。郵送によるアンケートの配布・回収に比べると、調査にかかる時間をより短縮できるため、スピード感のある調査が可能です。
5. 大量の回答者に調査ができる
回答データの回収をインターネット経由で実施するため、大量の回答者を必要とする調査でも、紙のアンケートのように、回答データの入力にかかる時間を削減することができます。また、回答内容をリアルタイムに確認できるサービスもあるため、経過を細かくチェックすることも可能です。
6. 回答者が参加しやすい
回答者の視点においても、回答に対する負担が少ないというメリットがあります。それに対して紙によるアンケートの場合、回答の記入・封入・返送などの手間がかかります。
インターネット調査は、パソコンやスマートフォンを使用して手軽に回答できます。アンケートは、回答が面倒だと思われてしまうと、回答率が下がるため、できるかぎり手軽に参加できるものが好ましいでしょう。
インターネット調査のデメリット
インターネット調査には、デメリットも存在します。デメリットを踏まえて導入することで、より大きな効果を期待できるでしょう。
インターネットを使用しない人には調査ができない
インターネット調査の場合、回答者はインターネットを使用している人のみに限られます。調査結果には、インターネットを使用しない人の回答が含まれないことを理解したうえで導入しましょう。
インターネット調査の流れ
インターネット調査は、以下の流れで進めてください。各ステップの詳細やポイントを解説します。
1. 企画・設計
まずは自社が抱えている課題と調査の目的を明確にします。具体的には、以下の項目を決めておきましょう。
- 調査背景
- 調査目的
- 地域
- 対象者
- 手法
- 時期
- 聴取項目
- 費用
2. アンケート(調査票)を作成する
次に調査企画・設計内容に沿って、アンケートを作成します。作成したアンケートは、配信する前に細部までチェックしましょう。具体的な設問文のチェックポイントは、例えば以下のような内容です。
- 主語が入っているか
- 専門用語・略語が入っていないか
- 1つの質問に、複数の要素が入っていないか
- 人によって解釈が異なる表現を使っていないか
- 回答を誘導する設問になっていないか
3. アンケート実施
アンケートが完成したら、回答者へ調査を行う前に、身近な人でテストを行います。テストでは、設問文にわかりにくい点がないか、選択肢に矛盾がないかをチェックします。アンケートの作成者は、内容の不備に気づきにくいため、テストを行うことでアンケートの精度を高めることができます。テストを実施し、不備がないことを確認してから、本番の調査を行います。
4. 集計・分析・レポート
回答データを集計・分析し、レポートを作成しましょう。選択式の質問における集計方法は、単純集計とクロス集計の2種類があります。単純集計とは、設問ごとに回答者の人数や割合、平均値を算出する方法です。一方でクロス集計とは、2つ以上の設問や属性を掛け合わせて、数値を出す方法です。クロス集計の目的は単純集計からさらに細かく、層ごとに回答傾向の違いがあるかを確認するために行います。例えば性別などの属性情報と、認知度の質問を掛け合わせ、全体と男女間で回答内容に違いがあるかどうかを深掘りします。
自由記述回答の集計については、「アフターコーディング」という処理で定量化できます。アフターコーディングとは、自由記述の選択式化をすることです。また、専用のツールを用いて多く回答されたワードや回答の傾向を確認できる「テキストマイニング」という方法もあります。詳細は、以下の記事をご参考ください。
インターネット調査にかかる費用は?
インターネット調査にかかる費用は、セルフ型と外注型で異なります。それぞれの費用について解説します。
セルフ型
セルフ型は、サービス提供会社が保有するモニターを活用する方法です。アンケートの作成、配信・回収、分析は、自社で実施します。無料で使用できるフォーマットもあるため、コストをかけずに実施したい人におすすめです。
外注型
外注型は、専門家に相談しながら進めることができる反面、設問数とサンプルサイズによって、費用が変わる料金体系が多い傾向にあります。アンケートの設計やスクリーニング調査、集計・分析は別途オプション費用が発生する会社も多いでしょう。
インターネット調査を実施する際の注意点
インターネット調査を実施する際は、注意点もあります。ここでは特に注意したいポイントとして、「マルチデバイスへの対応」と「調査できる対象の把握」の2点について解説します。
マルチデバイスへの対応
スマートフォンの普及に伴い、インターネット調査においても、スマートフォンから回答する人が増えています。回答率を高めるためには、スマートフォンやタブレットなど、マルチデバイス対応が必要です。スマートフォンは画面が小さいため、誤操作が起きにくいUI(ユーザーインターフェース)であるかを確認しましょう。
調査できる対象の把握
インターネット調査は、インターネット利用者に限定されます。インターネット利用率が低い層のデータ収集には不向きです。対象とする層に応じて、郵送調査・電話調査など、他の調査方法とも組み合わせて調査を実施しましょう。
インターネット調査の活用例
インターネット調査を活用した代表的な事例として「消費者の意識調査」と「デザインのABテスト」の2つをご紹介します。
消費者の意識調査
消費者の意識調査は、インターネット調査の代表例で、対象となる商材について、消費者の意識を把握するために行います。商品やサービスへの関心度・購入意向などについて、事前に立てた「仮説」をベースに検証できるため、商品開発やマーケティングの担当者におすすめです。
デザインのABテスト
デザインのABテストも、インターネット調査を活用できます。複数のデザイン案やコンセプト案を提示し、それぞれのイメージや受容性に関するアンケートを行います。消費者が好むコンセプトやクリエイティブを判断できるため、広告代理店やデザイナーにおすすめです。
まとめ
インターネット調査は、インターネットを通じてアンケートを配信する方法です。インターネット調査の導入には、視覚情報を盛り込める、低コスト・条件を絞り込んだ調査ができるといったメリットがあります。可能なかぎりリソースを抑えた上で質の高いインターネット調査を実施したいのであれば、外注型がおすすめです。
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