リサーチャーとは?調査のプロフェッショナルが果たす役割と価値を徹底解説

公開日:2025/12/12(金)

「リサーチャーって、アンケートをつくる人?」
データ分析する人?」
「ひたすら調べる職人?」
そんな印象を持っている方も多いかもしれません。しかし、現代のリサーチャーは、単なる“調べる人”ではありません。

ビジネスにおいて、何をつくるか、誰に届けるか、どう伝えるか――そのすべての判断の土台となる「問いを立て、データで読み解き、意味を構築するプロフェッショナル」、それがリサーチャーの役割です

このコラムでは、「リサーチャーとは何か?」という基本的な定義から、仕事内容、求められるスキル、調査の種類、キャリアパス、リサーチの価値、リサーチャーが社会に果たす役割までを、丁寧に解説します。

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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リサーチャーとは?定義と基本的な役割

リサーチャー(researcher)とは、あるテーマや課題に対して、定量定性の調査を通じて事実や意見を集め、それを分析・考察し、意思決定に役立つ知見として提供する専門職です
マーケティングリサーチの領域では特に以下のような活動を担います。

  • 問題の明確化(調査課題の言語化)
  • 調査設計(アンケート/インタビューの企画)
  • 実査の管理(対象者の抽出・配信・実施)
  • 集計・分析(統計処理・パターン抽出・ストーリ化)
  • 報告・提案(レポート作成・プレゼンテーション)

つまり、リサーチャーは「情報を拾ってくる人」ではなく、「問いを立てて、解を導く人」であり、「情報をどう読むかの視点」を提供する専門家なのです

リサーチャーが関わる調査の種類

リサーチと一口に言っても、その種類は多岐にわたります。主に以下の2軸で分類できます。

手法:定量調査と定性調査

手法概要目的
定量調査数字・統計で傾向を見る何人がそう思っているか?全体の構造はどうか?
定性調査言葉・行動で深く理解するなぜそう思うのか?どんな文脈でそう考えるのか?

例:

  • 定量調査:オンラインアンケート(n=1000)で商品評価を集計
  • 定性調査:デプスインタビュー(1on1)で購買行動の背景を探る

領域:マーケティング/UX/ビジネスリサーチなど

  • マーケティングリサーチ:商品開発、広告評価、ブランド理解など
  • UXリサーチ:Webやアプリの操作性・体験価値を可視化
  • ビジネスリサーチ:業界分析、競合調査、トレンドの把握
  • 学術・政策系調査:意識調査、世論調査、社会課題の可視化
  • 社内調査:従業員満足度、組織診断、エンゲージメント分析

リサーチャーはこれらの領域で、「問いを明確にし、調査という手段で答えを探し、意味づけて届ける」ことを担います。

リサーチャーの仕事内容とプロセス

リサーチャーの仕事は、「調査を回す」ことではありません。「調査を通じて意味ある知見を生み出す」ことです。そのためには、以下のようなプロセスが必要です。

ヒアリングと課題整理

  • クライアントや社内関係者と「なぜ調査をするのか?」を共有
  • 仮説や背景、現場の文脈を丁寧に聞き取る

調査設計

  • 対象者、サンプルサイズ、質問内容、分析方法を設計
  • アンケートやインタビューフローの構成、分岐、選択肢設計など細部を詰める

実査(データ取得)

  • パネル調査会社への依頼
  • インタビュー実施・録音・文字起こし
  • ローデータの回収とチェック

分析・解釈

  • 単純集計、クロス集計、自由回答のテキストマイニング
  • 共通点の発見、仮説との照合、ストーリー化

報告・提案

  • PowerPointやNotionなどでレポートを作成
  • 分析結果だけでなく、「ではどうするべきか」の提案を行う

調査結果は単なる“数字”ではなく、“解釈された意味”にして初めて価値を持ちます。それを行うのがリサーチャーです。

求められるスキルとマインドセット

論理力と構造化思考

  • 複雑な問いを分解し、シンプルな設計に変換する力
  • 「なぜ?」「それはどういうことか?」を言語化する力

仮説思考と柔軟性の両立

  • 自分なりの仮説を持ちつつ、調査結果が逆だったときに受け止める冷静さ
  • 思い込みを手放し、データに“耳を傾ける姿勢”

言語力とストーリーテリング

  • 調査結果をわかりやすく、意味ある「ストーリー」として伝える力
  • 数字と文章を“つなぐ翻訳力”

倫理観と客観性

  • 回答者のプライバシー・心理的安全に配慮した設計
  • クライアントの都合ではなく、生活者の声に誠実に向き合うスタンス

リサーチャーとは、知識よりも“姿勢”が問われる職種でもあるのです。

なぜいま、リサーチャーが求められているのか?

近年、あらゆる業界で「リサーチャー的な視点」の価値が急速に高まっています。その背景には、以下のような構造変化があります。

“ユーザー中心”が全業界に広がった

マーケティングに限らず、プロダクト開発、サービス設計、人事、行政、メディアまで、あらゆる分野で「相手の視点に立つ」「ニーズを掘り起こす」ことが求められています。リサーチャーはその“視点”を体現する存在です。

“感覚では動けない”時代に入った

変化が早く、競争が激しく、ステークホルダーが多様化している現代において、「なんとなく」「たぶん」で意思決定するリスクは高まっています。“仮説を立て、検証する”というサイクルは、もはや一部門の仕事ではなく、全体戦略の基本です

“ノイズの中から本質を拾う”力が重要になった

SNS、ログ、口コミ、社内チャット…情報は溢れています。しかし、「聞こえていること」と「本当に大事なこと」は必ずしも一致しません。リサーチャーは、“言葉にならない声”に耳を澄まし、“偏りなく、深く”読み解く力を提供します

どこで働く?リサーチャーのキャリアパスと職種の広がり

リサーチャーという仕事は、かつては“調査会社の専門職”というイメージでしたが、現在では多様なキャリアパスがあります。

マーケティングリサーチ会社

  • 調査の設計・分析を専門とする“プロ集団”
  • クロミル、インテージ、クロス・マーケティングなど
  • 多様な業界・テーマに携われる一方、納期プレッシャーも大きい

事業会社(インハウスリサーチャー)

  • 自社の製品・ブランド・顧客を深く理解し、長期的視点でリサーチを活用
  • UXチーム、マーケティング部門、商品企画などに所属
  • 「調査をやる人」ではなく「意思決定を支える戦略人材」としての役割

コンサルティング会社や広告代理店

  • プランニングの前提として「市場の理解」や「顧客インサイト」が求められる場面で活躍
  • 戦略提案にデータ・調査が不可欠になるにつれ、リサーチャーの視点が重宝される

フリーランス/リサーチユニット

  • 特定分野に強みを持ち、柔軟な働き方を実現
  • インタビュー設計やモデレーター業務に特化する人も

リサーチャーという肩書きでなくても、“リサーチ的スキルを持った人”はあらゆる現場で求められています

リサーチャーの仕事が企業にもたらす価値

“納得できる意思決定”をつくる

「なんとなく進めたけど、うまくいかなかった」ではなく、「生活者の声に基づいて判断したからこそ、説明できる」という納得感が組織に生まれます

“問いの質”を高める

よいアウトプットは、よい問いからしか生まれません。リサーチャーが入ることで、「そもそも何を知るべきか?」という“問いの立て方”が深まります

“意見ではなく、仮説で話す文化”が根づく

リサーチがある組織は、「誰が言ったか」ではなく「何に基づいて言っているか」が重視される文化になります。これは、再現性のある成長にとって重要な基盤です。

まとめ:リサーチャーとは“問いを読み解き、意味をつくる”専門職である

リサーチャーとは、データを集める人でも、集計をする人でもありません。
それは、「問いを立てて、意味を探し、他者と共有できる形にする」という仕事です。

  • 顧客の声に耳を澄ませる
  • 社会の変化に感度を持つ
  • 仮説と直感を往復する
  • データと人間のあいだを橋渡しする

そして何より、組織や社会が「確信を持って前に進む」ための土台をつくる。
リサーチャーとは、意思決定の“安心材料”ではなく、
意思決定の“深さ”と“広さ”をつくる、問いの編集者なのです

監修

Macromill News 事務局

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