
マーケティングはさまざまな分析手法があり、それらを活用することで効果的なマーケティング戦略が可能です。この記事では、マーケティング分析のメリットや効果的に行うコツ、おもなマーケティング分析手法について解説します。自社の経営戦略にマーケティング分析手法を取り入れたいと考えている人や担当者は、参考にしてください。
参考:マーケティングリサーチとは?市場調査との違い、主な目的や手法を解説
- マーケティング分析とは
- マーケティング分析の重要性
- マーケティング分析のメリット
- 代表的なマーケティング分析手法
- マーケティング分析を効果的に行うためのコツ
- マーケティング分析に欠かせない関連用語
- まとめ
マーケティング分析とは
マーケティング分析は、商品やサービスが売れる体制を整えるために、自社のデータや市場のトレンド、顧客ニーズなどをまとめて分析することです。マーケティングは、商品やサービスを求める人に届ける仕組みを作ることを意味します。マーケティング分析において、誰がどのような商品やサービスを欲しているかを理解することが求められています。
マーケティング分析の重要性
SNSやスマートフォンの普及により、顧客が知りたい情報にアクセスできる機会が増えたことで、情報源や販売チャネルも多様化を極めています。多角化する顧客ニーズに対応し、効率的に収益を上げるために、より多くの情報を的確に分析し、戦略に役立てることが求められています。
マーケティング分析のメリット
マーケティング分析により、自社の状況把握やアイデア創出につながります。ここでは、3つのメリットについて解説します。
自社の状況を客観的に把握できる
マーケティング分析では、市場のトレンドや競合他社、自社の状況など複数の情報を収集します。多角的な分析により、自社が置かれた状況を客観的に把握することが可能です。自社の強みや課題の発見が、的確なマーケティング戦略の立案を後押しします。マーケティング分析により、客観的なデータに基づいた戦略を提示することで、稟議も通しやすくなります。
PDCAを回しやすくなる
マーケティング施策は、一度実施したら終わりではありません。マーケティング分析により収集した定量的なデータを参照しつつ、PDCAを回すことで、マーケティング戦略の精度向上に役立ちます。マーケティング分析により得られた客観的なデータを用いて、施策の前後で効果や問題点を把握しましょう。
新しい事業や商品のアイデアが生まれる
マーケティング分析により得られた情報から、さまざまな発見が得られます。今まで認識していなかった自社の強みや課題から、新たなビジネスチャンスにつながる事業や商品のアイデアが見つかる可能性もあります。
代表的なマーケティング分析手法
マーケティング分析手法のうち、代表的なものを解説します。
PEST分析
PEST分析は、以下の4つの要因の頭文字を取った言葉で、マーケティングの大家、フィリップ・コトラーが考案しました。
- Politics(政治的要因)
- Economy(経済的要因)
- Society(社会的要因)
- Technology(技術的要因)
自社を取り巻く外部環境を分析し、将来的に表出する影響を把握、予測します。
5フォース分析
5フォース分析は、5つの脅威から自社の競争力や収益性、市場の参入障壁などをミクロに分析する手法です。5つの脅威は、3つの内的要因と、2つの外的要因に分けられます。
- 内的要因:企業の競争力、競合他社同士の敵対関係、買い手の交渉力
- 外的要因:代替商品やサービスの脅威、新規参入業者の脅威
3C分析
3C分析とは、以下の3つの要素を掘り下げることで、自社が置かれたビジネス環境を把握するための手法です。
- Customer(顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
これら3つのうち、CustomerとCompetitorは外部環境、Companyは内部環境に分類されます。外部環境と内部環境の両面から見た自社の強みと弱みの理解により、自社の方向性が決まり、戦略の立案につながります。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、原材料の用意から顧客に商品やサービスが届くまでの企業活動において、付加価値とコストの流れを可視化し、自社の強みや弱みの把握、コスト削減につなげる手法です。企業活動は、主活動と支援活動に分けられます。
- 主活動:製造、販売、サービスなど
- 支援活動:インフラ管理、人事管理、開発など
SWOT分析
SWOT分析は、内部環境と外部環境に当てはまる要素を分析し、自社の現状やリスクを把握する手法です。名前は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの頭文字から取られています。
自社でコントロールできる内部環境には、Strength(強み)、Weakness(弱み)が要素となるものが含まれます。自社でコントロールできない外部環境には、Opportunity(機会)、Threat(脅威)が要素となるものが含まれます。
STP分析
STP分析は、自社商品やサービスを市場に出す前のブラッシュアップに利用されます。名前は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字から取られた言葉です。細分化に用いられる軸として、以下のとおりです。
- 人口動態変数:年齢、性別、職業
- 地理的変数:国、市区町村、人口
- 心理的変数:ライフスタイル、趣味嗜好
4P分析
4P分析は、以下の4つの視点を組み合わせて戦略を策定する手法です。適切な価格設定や販売方法など、明確なマーケティング戦略を立てる際に役立ちます。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Promotion(プロモーション)
- Place(流通)
ファネル分析
ファネル分析は、顧客が商品やサービスを認知し、購入や申込などのコンバージョンに至るまでを細分化し、離脱しているタイミングを分析する手法です。マーケティング施策の改善点を洗い出し、コンバージョン率の向上を図ります。
商品を認識する、興味を持つ、検討する、購入するといった過程が進むごとに顧客の数が絞り込まれていく様子を漏斗(ファネル)に見立てたことで、この名称がつけられました。
マーケティング分析を効果的に行うためのコツ
マーケティング分析は効率的に行うことが重要です。3つのコツを知り、役立てましょう。
目的を明確にし、適した手法を選ぶ
マーケティング分析は、何を明らかにしたいか、結果をどのように分析するかといった目的を明確にすることが重要です。目的が曖昧なままでは、収集や分析すべきデータが不明確になり、有益な結果を得られません。市場の分析、顧客ニーズの理解、プロモーションの立案など、手法ごとの特徴を理解し、最適な手法を選ぶことで、マーケティング戦略の精度を高められます。
情報収集をする
マーケティング分析においては、客観的な根拠であるデータをもとに戦略を立てることで、より精度の高い意思決定を可能にします。マーケティング分析手法のなかには、分析のために決められたデータや情報の収集が必要なものもあります。自社で収集可能か、収集にかかる時間や人員などのリソースに余裕があるかといった状況を考慮し、現実的に活用できるものを選びましょう。
フレームワークの「得意・不得意」を理解する
マーケティングはそれぞれの手法により、分析できる範囲や視点が異なります。分析手法の特性を理解した上で、目的にあったものを選びましょう。状況によっては、複数のマーケティング分析手法を組み合わせることも有効です。マーケティング分析手法の得意・不得意を理解することで、さらに分析の価値が高まります。
マーケティング分析に欠かせない関連用語
マーケティング分析にあたり、知っておきたい関連用語を解説します。
AIDMA(アイドマ)
AIDMA(アイドマ)は、1920年代に提唱された、購買活動に至るまでの顧客の心理変化を表す用語で、以下の5つの頭文字を取ったものです。
- Attention(注意/認知)
- Interest(興味/関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
AISAS(アイサス)
AISAS(アイサス)は、前述のAIDMAの考え方をインターネット社会向けに応用した概念です。1995年に、株式会社電通によって提唱されました。AISASは、以下5つの頭文字を取ったものです。
- Attention(注意/認知)
- Interest(興味/関心)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)
ペルソナ
ペルソナとは、自社の商品やサービスを購入、利用する架空の人物像です。年齢や性別のほか、職業、居住地域、家族構成、性格なども細かく設定し、人物像を作り上げます。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスを認知してから購入、利用に至るまでの過程を旅(Journey)にたとえた概念です。行動や心理などの変化を時系列で提示し、整理することで状況に合わせてアプローチできます。
セグメント
セグメントは、区分けするという意味を持つ言葉で、顧客の年齢や業種、興味関心などに基づいてグループ分けをすることを指します。ビジネスにおいては、市場を共通のニーズや行動で分けた顧客層がセグメントです。
クリティカルマス
クリティカルマスとは、商品やサービスが爆発的に普及する分岐点です。商品やサービスは、以下の5段階を経て、普及していきます。
- イノベーター
- アーリーアダプター
- アーリーマジョリティー
- レイトマジョリティー
- ラガード
キャズム
キャズムとは、日本語で溝を表す言葉です。マーケティングでは新たな商品やサービスが普及する初期/中期に生じる障壁を指します。
LTV
LTV(Life Time Value)は、自社と取引を開始してから終了するまでの間に特定の顧客がもたらす価値です。日本語では、「顧客生涯価値」といい、マーケティング活動を進める上で、特に重要性が高いものです。
まとめ
マーケティング分析手法は多岐にわたり、特徴や得意、不得意もさまざまです。分析を行う目的を明確にし、必要に応じて複数の手法を組み合わせて、マーケティング施策に役立てましょう。
マクロミルは、マーケティングリサーチとデジタルマーケティングリサーチを中心に、多様な社会・消費者ニーズを分析し、クライアントに的確な消費者インサイトを提供しています。
マーケティングデータの提供に加えて、総合マーケティング支援企業として当社の提供データと顧客が保有するデータなどを融合させ、その利活用にともに取り組む「データ利活用支援事業(データ・コンサルティング)」を提供しています。
また、広告配信やCRMなど、最終的に顧客企業のマーケティング活動と連動するソリューションを提供する「マーケティング施策支援事業」も一気通貫で展開しています。
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