テキストマイニングとは?実施手順・注意点などをわかりやすく解説

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分析手法

テキストマイニングとは、インターネット上の口コミSNSなどのテキストを抽出・解析することで消費者の本音を把握することを言います

これにより、商品の開発やマーケティング差策の実施において、消費者インサイトをもとに意思決定することが可能です。

本記事では、テキストマイニングの基本から具体的な活用法、実施手順・方法などを分かりやすく解説します。マーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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テキストマイニングとは?

テキストマイニング(Text Mining)とは、文章やメッセージなど人間が記述した「テキストデータ」に対し、統計学や自然言語処理技術を活用して意味やパターン、洞察を抽出する手法の総称です。

テキストという非構造的な情報を整理・分析して、人々の嗜好や感情、話題・トレンドなどを把握し、社内の意思決定やサービス改善に生かします。

近年、インターネットやSNSには大量の口コミやアンケートなど、多くのテキストデータが存在しています。その膨大な情報から有用な情報を取得し、ビジネスに活かす手法として、テキストマイニングが重要視されています。

テキストマイニングの主な目的

ここでは、テキストマイニングが企業活動において重視される3つの主要な目的を紹介します。

  • 顧客の声を分析しサービス改善につなげる
  • SNSのデータをもとにトレンド・需要を予測する
  • 社内データから業務改善のヒントを見つける

具体的な活用シーンを知ることで、自社で導入する際のイメージが明確になるでしょう。

顧客の声を分析しサービス改善につなげる

顧客アンケートの自由回答やレビューといったテキスト情報を分析し、製品やサービスの改善に活かします。これは「VOC(Voice of Customer)分析」とも呼ばれます。

満足度評価だけでは分からない「なぜ評価が低いのか」といった根本原因や、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを発見できるのが大きな利点です。

たとえば、コールセンターへの問い合わせ内容を分析して「Webサイトが分かりにくい」という課題を見つけ、サイト改善によって問い合わせを削減する、といった活用が考えられます。

SNSのデータをもとにトレンド・需要を予測する

X (旧Twitter)などのSNS投稿を分析し、世の中のトレンドや消費者のニーズをリアルタイムに把握することも可能です。

SNSのデータは、消費者の率直な意見が集まりやすいのが特徴です。テキストマイニングを実施することで、新製品の発売直後の反応をすぐに確認したり、ブランドに対するネガティブな投稿を早期発見して迅速に対応したりすることが可能になります。

社内データから業務改善のヒントを見つける

データは顧客からの声だけでなく、営業日報や議事録、チャットなど社内に蓄積された文書もテキストマイニングの対象です。

これらの文書に埋もれている有益なノウハウや業務上の課題点を可視化・共有することで、属人化した業務の解消や組織全体の生産性向上につながり、リスク管理やナレッジマネジメントの強化にも役立ちます。

テキストマイニングを実施する4つの手順

ここでは、分析目的の定義から実用的なインサイトの抽出に至るまでの、標準的な4つのステップを具体的に解説します。

  1. テキストデータを収集する
  2. データの前処理を行う
  3. 構造化データに変換する
  4. データを分析する

テキストマイニングを成功させるためには、思い付きで分析を始めるのではなく、体系的なプロセスに沿って実施することが重要です。

1.データの使用目的を明確にし、テキストデータを収集する

まず「何を知りたいか」という分析目的を明確にし、それに合ったデータを集めます。目的が分析の質を大きく左右するため、データの使用用途はあらかじめ決めておきましょう。

たとえば、新製品の評判を知りたいならSNSやレビューサイト、サポートを改善したいなら問い合わせ履歴やアンケートが主な収集対象となります。

2.データの前処理を行う

収集したままのテキストには、分析の邪魔になるノイズが多く含まれています。そのため、分析しやすいようにデータを整える前処理が重要です。

とくに日本語の場合、文章を単語に区切る「形態素解析」が不可欠です。その他に、「スマホ」と「スマートフォン」のような表記ゆれの統一や、「てにをは」といった助詞など、不要な単語の除去も行います。

3.構造化データに変換する

前処理を終えたテキストデータを、コンピューターが分析できる数値の形式(構造化データ)に変換します。

たとえば、どの文書にどの単語が何回出現したかを示す一覧表(文書単語行列)を作成するなどです。

このとき、単純な出現回数だけでなく、文書を特徴づける重要な単語をあぶり出す「TF-IDF(TF:Term Frequency/単語頻度、IDF:Inverse Document Frequency/逆文書頻度)」という指標もよく用いられます。

4.データを分析する

構造化されたデータに対して、目的に合った分析手法を適用し、ビジネスに役立つ知見(インサイト)を抽出します。

テキストマイニングの主要な分析手法

本章では、ビジネスの現場でとくによく用いられる代表的な4つの分析手法について、詳しく解説します。

  • センチメント分析
  • 共起分析
  • 対応分析(コレスポンデンス分析)
  • 主成分分析

テキストデータから価値あるインサイトを抽出するためには、目的に応じた適切な分析手法を選択することが欠かせません。

センチメント分析

テキストに込められた書き手の感情(ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル)を自動で判定する技術です。

「評判分析」とも呼ばれ、大量のレビューなどから顧客の感情を客観的に数値化し、評価の背景を深く理解できます。

分析には、単語の感情辞書を使う辞書ベースの手法と、AIに文章を学習させる機械学習ベースの手法があります。

共起分析

文章中で、どのような単語が一緒に使われやすいか(共起)を分析し、単語間の隠れた関係性を探る手法です。

単語のつながりを見ることで、顧客の思考パターンや評価の構造をより深く理解できます。分析結果は、「単語を点」「関係性を線」で結んだ共起ネットワークとして可視化することが可能です。

たとえば、ホテルのレビューで「スタッフ」という単語が「丁寧」「笑顔」と太い線で結ばれていれば、接客が高く評価されていると直感的に分かります。

対応分析(コレスポンデンス分析)

対応分析(コレスポンデンス分析)は、関係性の地図を作成するような手法で、データ全体の構造を直感的に把握できます。

複数の項目間の関係性を散布図で可視化し、似ているものは近くに、似ていないものは遠くに配置します。テキストマイニングでは、各ブランドとそれらを説明する言葉の関係性をマッピングし、市場での立ち位置を比較するのに使われることが多いでしょう。

ただし、対応分析を正しく活用し、結果を解釈するには、ある程度の統計的知識が必要です。

主成分分析

多くの情報を、なるべく意味を損なわずに少数の主要な情報(主成分)に要約する手法です。

テキスト分析では単語の数が膨大になりがちですが、主成分分析ではデータに潜む共通の「軸」を見つけ出すことで、複雑なデータをシンプルにできます

たとえば、レビュー分析から「品質を重視する軸」と「価格を重視する軸」を発見し、顧客セグメントの特徴を捉える、といった活用が可能です。

主成分分析も、結果を正しく解釈するためには統計的な専門知識が必要です。

テキストマイニングの実施方法

ここでは、主要な以下の実施方法について、それぞれのメリット・デメリットなどを解説します。

  • 自社で分析環境を構築する
  • テキストマイニングのツールを使用する
  • 専門業者にテキストマイニングを依頼する

テキストマイニングを実際に導入・運用する際は、自社のリソースや目的、予算に応じて最適なアプローチを選択しましょう。

自社で分析環境を構築する

プログラミング言語を用いて、自社で独自の分析環境を構築する方法です。

とくにオープンソースのプログラミング言語であるPythonは、テキストマイニングやデータ分析のための豊富なライブラリ(機能)が揃っており、世界中のデータサイエンティストに利用されています。

メリット・柔軟性とカスタマイズ性が高い
・既存システムと連携しやすい
デメリット・専門人材の採用する必要がある
・育成コストが高い 
・環境の構築・保守にコストがかかる
・すぐに分析を始められない 

自社で分析環境を構築するメリット・デメリットは以下のとおりです。
柔軟性とカスタマイズ性が高い一方で、人材確保やコストの確保など重要な課題もあります

テキストマイニングのツールを使用する

テキストマイニングの専用ツールや、BIツール(※)に搭載されているテキスト分析機能を利用する方法です。

専門知識がなくても、直感的な操作で高度な分析を実現できるため、もっともバランスの取れたアプローチと考えられています

テキストマイニングのツールを使用するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット・専門知識がなくても高度な分析が可能
・比較的、短期間で分析を始められる
・分析業務を多くの社員で分担できる(業務を平準化できる)
デメリット・ツールによっては月額・年額の費用がかかる
・提供される機能の範囲に限られる
・完全なカスタマイズは難しい

これらのツールを活用することで、分析業務をさまざまな社員で分担でき、高度な分析による意思決定が可能になります

※BIツール:企業のさまざまなデータを集めて分析・可視化できるソフトウェア

専門業者にテキストマイニングを依頼する

自社にリソースやノウハウがない場合や、一時的なプロジェクトで高度な分析が必要な場合には、専門のコンサルティング会社や分析サービス業者に依頼する方法があります。

専門業者にテキストマイニングを依頼するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット・専門家による高品質な分析が期待できる
・分析から改善提案まで一貫して任せられる
・自社のリソースを割かずに済む
デメリット・コストが高額になる傾向がある
・自社にノウハウが蓄積されにくい
・業者選定に手間がかかる

専門業者は、豊富な経験と最新の技術を持っているため、自社だけでは難しい高度な分析を短期間で実現できます。また分析だけでなく、結果の解釈やビジネスへの提言まで、包括的なサポートを受けられる点が大きなメリットです。

内製化が難しい場合は、専門家に依頼したほうが良い結果が得られるケースも多いでしょう。

テキストマイニングにおける注意点

テキストマイニングにおける2つの注意点を解説します。

  • 大量のデータがないと効果が出にくい
  • 分析結果の解釈には専門知識が必要な場合がある

大量のデータがないと効果が出にくい

テキストマイニングで信頼性の高い、再現性のある分析結果を得るためには、統計的に有意となる量のデータが必要です。データ量が不足していると、一部の極端な意見や偶然の偏りに結果が大きく左右されてしまうリスクが高まります。

たとえば、50件の製品レビューのうち3件(3÷50×100=6%)に「壊れやすい」という意見があったとしましょう。

このとき、製品全体の傾向として「壊れやすい」とするのは結論を急ぎすぎといえます。しかし、これが1,000件のレビューのうち60件(60÷1000×100=6%)であれば、レビューの母数が多いため統計的に信頼できるパターンとして、調査すべき課題であると判断できます。

安定した共起関係やトピックを抽出するためには、最低でも数千語、アンケートの自由回答の場合は300件から500件以上のデータを確保することが一つの目安とされています。

分析結果の解釈には専門知識が必要な場合がある

テキストマイニングツールを使えば、誰でも簡単に見栄えの良いグラフを作成できます。しかし、その分析結果を正しく解釈し、ビジネス上の意思決定につなげるためには、統計学や自然言語処理に関する一定の専門知識が求められる場合があります。

とくに陥りやすいのが、相関関係と因果関係の混同です。「商品Aについて言及している人は、価格に関する不満も述べる傾向がある」という相関関係から、直ちに「価格の高さが商品Aの評価を下げている原因だ」という因果関係を導き出すことはできません。

分析チームには統計学の基礎知識を持つメンバーを加える、あるいは外部の専門家と連携して結果の妥当性を検証するなどの対策を立てましょう。

まとめ

インターネットやSNSの普及により、テキストマイニングはビジネス戦略や政策立案、研究開発など多くのシーンで有用です

しかしテキストマイニングを実施するには、専門知識が必要になることが多く、社内リソースで対応することが難しいケースもあるでしょう。

マクロミルではテキストマイニングなどをはじめとした、幅広い分析手法を提供しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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