インタビューの謝礼金はいくらが適切?金額相場・支給方法・注意点まで解説

公開日:2026/2/20(金)

ユーザーインタビューやグループディスカッションなど、定性調査を実施する際に避けて通れないのが「謝礼」の設計です。謝礼とは、インタビューに協力してくれた参加者に対して支払う報酬であり、単なるお礼以上の意味を持ちます。

「いくら渡せばよいのか」「どうやって渡すのが正解か」「そもそも謝礼を出すべきか」――そうした疑問に答えられるよう、この記事では、調査設計者・リサーチャー・発注側担当者の視点から、謝礼に関する実務的な論点を整理します。

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インタビュー謝礼の目的と意義

謝礼の役割は、単に“時間の対価”を提供することにとどまりません。調査設計の観点から見ると、以下のような重要な意味があります。

参加者のモチベーションを維持する

謝礼があることで、参加者は調査への参加を“依頼に応える責任ある行動”として捉えやすくなり、キャンセル率の低下や集中度の向上につながります。

責任ある回答を引き出すきっかけになる

報酬を受け取ることで、参加者自身の発言に対して責任感を持ち、思考や感情をより丁寧に言語化してくれる可能性が高まります。

無償参加による“偏り”を防ぐ

謝礼を設定しない場合、強い動機を持つユーザー(不満がある人やファンなど)に偏る傾向があります。金銭的インセンティブを設定することで、より中立的かつ多様な層を集めやすくなります。

インタビュー謝礼の金額相場と目安

謝礼の金額設定は、調査の種類、所要時間、対象者の専門性、募集の難易度などによって大きく異なります。高すぎると不自然に見え、安すぎると参加意欲を損なうため、適正な水準を見極めることが重要です。

デプスインタビュー(1対1形式)

  • 所要時間:60分〜90分
  • 謝礼相場:3,000円〜15,000円程度

専門職や意思決定権のある立場の人材(医師、経営者、研究者など)の場合は、2万円〜3万円を超えるケースもあります。

対面での実施となる場合には、謝礼の中に交通費を含めることが一般的です。

グループインタビュー(FGI)

  • 所要時間:90分〜120分
  • 謝礼相場:4,000円〜15,000円程度

拘束時間が長い分、やや高めの設定が望ましくなります。ただし、1人あたりの発言時間は少なくなるため、価格よりも“集まるかどうか”を軸に調整します

ユーザビリティテスト

  • 所要時間:30分〜60分
  • 謝礼相場:2,000円〜5,000円程度

オンラインでのテストや、アンケート付きのものでは、さらに追加報酬を設定する場合もあります。

BtoB/専門家(エキスパート)向けインタビュー

  • 所要時間:60分以上
  • 謝礼相場:10,000円〜30,000円程度

法人向けSaaS、金融商品、医療機器などの複雑・高関与なテーマでは、対象者の選定難易度が高いため、相場も高めに設定されます

謝礼の支払い方法とタイミング

謝礼の“渡し方”は、参加者の満足度と信頼感を左右します。丁寧な対応が、次回以降の協力意向にもつながります。

支払い方法の種類

  • 現金:対面調査ではもっとも一般的で即時性がある
  • ギフト券/商品券:オンライン調査や企業の内部ルールで現金が使えない場合によく利用される
  • 電子マネー(Amazonギフト、PayPayなど):若年層やオンライン調査で人気が高まっている
  • 物品提供(試供品やノベルティ):アンケートや商品モニター型調査などで併用されることも

支払いタイミング

  • 原則として「調査終了後、速やかに」が基本
  • オンライン調査では、当日〜3営業日以内の送付が理想
  • 遅延が発生する場合は、事前に明確に伝えておくことが信頼維持につながる
  • モニターを保有するパネル会社を利用する際は、当該企業の運用ルールに準拠するのが一般的

実務上の注意点

  • 名前や連絡先を確認する際のプライバシー配慮(渡し方に工夫が必要)
  • 受領確認のサインや記録を残す(特に現金の場合)
  • 謝礼額に応じた課税・帳簿処理の準備(後述)

調査の種類別:謝礼の設計ポイント

調査の形式や目的によって、謝礼に求められる設計も変わります。以下に、よく使われる調査タイプごとのポイントを整理します。

定性調査(デプス・FGIなど)

  • 発言内容の質が重要なため、参加者の集中力と信頼感を引き出す謝礼設計が求められます
  • 面談時間だけでなく、事前アンケートや移動時間など、参加者の負担全体を考慮して金額を設定するのが望ましいです

定量調査(アンケート型)

  • 回答率向上のために少額のインセンティブが使われることが多く、抽選型(ポイント付与)や全員配布型(数百円相当)に分かれます
  • 「謝礼目的で回答が雑になるリスク」への対策として、回答内容に応じたスクリーニングや注意喚起文を設ける設計が有効です

社内調査・業務調査

  • 社員や関係者に対するインタビューでは、金銭の支払いが不適切な場合があります。その場合は、就業時間内の実施や業務評価への反映といった“非金銭的謝礼”を考えることが必要です
  • 長時間拘束となる場合には、出張扱い・交通費の支給など、配慮の形で補填する例もあります

高度専門職・希少対象者調査

  • 医師、経営者、研究者、行政関係者など、リクルーティングが難しい対象には「適正な謝礼」が協力の前提となることもあります
  • ただし、あくまで調査協力の対価であり、「意見誘導」や「報酬目的参加」とみなされないよう、透明性と丁寧な説明が不可欠です

事前課題(ホームワーク)

  • 対象者がインタビュー当日を迎える前に、自宅や日常生活の中で取り組んでもらう「宿題」のことです。これを行うことで、インタビューの質が劇的に向上します。
  • 事前課題の負荷によって謝礼を設計します。あまりに重い課題だと対象者が疲弊したり、参加拒否につながるため注意が必要です。

よくあるトラブルとその対処法

謝礼に関するトラブルは、調査全体の信頼性を損ねるだけでなく、参加者との関係性を悪化させる要因にもなります。以下に、現場で起きやすいケースとその対処法を紹介します。

謝礼の金額が事前告知と違っていた

→ 対策:募集画面、同意書、リマインドメールのすべてで「謝礼内容」「支払い時期」「支払い方法」を明記し、一貫性を保つことが大前提です

謝礼の支払いが遅延した

→ 対策:社内処理に時間がかかる場合は、あらかじめ“支払い予定日”を伝える。想定より遅れる場合は、状況を丁寧に連絡し、理由を明記した上で謝罪文を添えるのが望ましいです

税務処理や報告義務に関して参加者と齟齬が生じた

→ 対策:高額謝礼(5万円以上)や反復性がある場合は、源泉徴収や確定申告の対象になる可能性があるため、事前に簡易な説明書を配布しておくと安心です

電子マネーやギフト券のリンクが無効だった

→ 対策:送付前にすべてのリンクが有効か確認し、万一のトラブルに備えて再送対応マニュアルを整備しておく。問い合わせ用の連絡先も明示しておきましょう

税務・経理上の注意点

謝礼は“調査費用”として会計処理されますが、金額や支払方法によっては税務上の義務が発生します。以下に主な注意点をまとめます。

勘定科目の分類

  • 調査会社に委託した場合:外注費または調査委託費
  • 自社で支払う場合:謝礼金、交際費、雑費など状況に応じて分類されます(経理担当者と要相談)

源泉徴収の可能性

  • 個人に対して1回5万円以上の謝礼を支払う場合、源泉徴収が必要になることがあります
  • 税務署への報告義務が発生することもあるため、事前に経理部門・顧問税理士と調整しておきましょう

帳簿・記録の整備

  • 支払者・受取者・金額・支払日を明記した一覧表を残す
  • 電子ギフトの配布実績も証憑として残せるよう、送付履歴のエクスポート機能を活用すると便利です

まとめ:謝礼は“感謝と信頼”を伝える設計である

インタビューにおける謝礼とは、単なる金銭的な対価ではなく、参加者の時間と知見に対する“敬意”と“感謝”を形にする重要な設計要素です。

調査を成功させるには、正確な対象者の募集、誠実なコミュニケーション、そして納得感のある謝礼設計が不可欠です。とくに定性調査では、参加者との信頼関係が調査結果の質を左右します。

  • 高すぎず、安すぎず、適正な水準で設定する
  • 支払い方法やタイミングに配慮し、トラブルを防ぐ
  • 調査の背景や目的と一貫性をもたせる
  • 社内の経理・法務と連携し、税務処理も抜けなく整備する

これらを丁寧に実行することは、「また参加してもよい」「他人にも勧められる」というポジティブな体験につながります。

また、調査対象者によっては「自分の意見が価値として扱われた」と感じることで、より深い意見や本音を語ってくれるようになります。謝礼は“信頼の前払い”とも言えるのです。

これから調査を設計するにあたって、もし迷ったときには「参加者がこの調査をどう受け取るか」を軸に考えてみてください。誠意ある謝礼設計は、良いデータと良い関係を同時に生み出す原動力となるはずです。

著者の紹介

鳥居 慧

株式会社マクロミル

鳥居 慧

2009年に株式会社マクロミルに入社。
10年以上にわたり定量調査から定性調査まで幅広いリサーチサービスの運用部門に従事し、10,000件以上のプロジェクトに関与。
2024年、セルフ型のオンラインインタビュープラットフォーム「Interview Zero」を立ち上げ、プロダクト責任者として従事。

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監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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