
シニア世代の多様性を理解することで適切なコミュニケーションやサービス提供に役立ちます。この記事では、「シニア世代は何歳から?」という疑問に対し、公的な定義から現代の実態までを解説します。健康状態や意識による4つの分類や急速に進むデジタル活用の現状についても解説しているので、参考にしてください。
シニア世代は何歳から?
シニア世代に明確な年齢定義はありませんが、一般的には60代以上を指す場合が多いといえます。公的な制度や民間サービスの対象範囲によって、50歳、60歳、65歳など、異なる基準が使い分けられているのが実態です。
マーケティングの実務においては、年齢による区切りだけでなく、定年退職や子どもの独立といったライフイベントの変化を基準にシニアと定義するケースも増えています。
シニア世代の一般的な定義
公的な基準のひとつに、世界保健機関(WHO)は65歳以上を「高齢者」と定義しています。日本国内において、日本老年学会などは高齢者の定義を「75歳以上」とすることを提言していますが、現在の公的制度の多くは依然として65歳以上を高齢者と定義して設計されています。
一方で、企業の会員サービスや再雇用制度などでは、50歳や55歳を「プレシニア」と呼び、シニア層の入り口として扱う場面も少なくありません。
※参考:高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言(概要)
シニア世代の定義が変化してきた背景
シニア世代の定義が変化している要因には、日本社会の高齢化と健康寿命の延伸があります。かつての60代は「隠居」というイメージが一般的でしたが、現代では心身ともに若々しく、定年後も働き続ける意欲を持つ人が増えました。
実年齢と本人意識の乖離が進んだ結果、年齢のみでシニアを一括りにする定義は実態に合わなくなっています。そのため、身体能力や経済状況に応じた多角的な分類が求められるようになりました。
シニア世代のおもな種類と特徴
シニア世代は価値観や健康状態によって、大きく4つの層に分類されます。
アクティブシニア
アクティブシニアとは、心身ともに健康で意欲的に社会活動や趣味を楽しむ層です。退職後も自身のスキルを生かして仕事を続けたり、ボランティア活動に参加したりと、社会との接点を重視する傾向があります。
経済的な余裕があるケースも多く、旅行やグルメ、教育といった自己投資に対して積極的に支出を行います。デジタルツールへの適応力が高く、SNSでの交流も日常的に行う点が特徴です。また、自身の健康維持への関心も高く、フィットネスや予防医療などの分野においても消費を牽引する存在として、多くの企業から注目を集めています。
ディフェンシブシニア
ディフェンシブシニアは、健康面に大きな問題はないものの、将来への不安から消費に対して慎重な姿勢を持つ層です。日々の生活習慣を大切にし、無理のない範囲で現状を維持することを好む傾向にあります。
趣味や娯楽への支出は控えめで、節約志向が強く、コストパフォーマンスを重視して商品を選択します。派手な活動よりも自宅での時間を充実させることを優先するため、生活に密着した安定的なサービスや、安心感を抱かせる誠実な訴求が効果的です。
ギャップシニア
ギャップシニアとは、「自己意識(やりたいこと)」と「身体的・経済的・社会的・情報的実態(できること)」の間に乖離(ギャップ)が生じている、介護を必要とする一歩手前の層を指します。本人は「これまで通りに活動したい」という意欲を持っているものの、体力や認知機能の低下により、理想と現実にギャップが生じている状態です。
この層は、自身の衰えを補うためのサポートツールや、生活を簡便にするサービスに対して高い関心を示します。身体的な負担を軽減しつつ、自立した生活を継続したいというニーズが、意思決定の大きな要因となります。
ケアシニア
ケアシニアは、身体的あるいは精神的な理由により、日常生活において家族や外部の介護サービスを必要とする層です。外出や購買行動が制限されるため、本人による主体的な情報収集や商品選択は減少する傾向にあります。
そのため、マーケティングにおいては、本人だけでなく介護を担う家族やケアマネジャーといった「周囲の決定権者」へのアプローチが重要です。安全性や利便性はもちろん、介護者の負担を軽減できるといった付加価値が、選定における重要な基準となります。
シニア世代におけるデジタル活用の現状
シニア世代の生活において、デジタル技術は欠かせない基盤へと変化しています。
シニア世代におけるインターネットの利用実態
シニア世代のインターネット利用率は、スマートフォンの普及に伴い上昇しました。総務省の調査(令和5年通信利用動向調査)によれば、60代の利用率は90.2%、70代は67.0%とされており、高い水準にあるものの、70代の利用率は依然として7割を下回っています。
おもな利用目的は、天気の確認やニュースの閲覧といった情報の取得が中心です。かつてはパソコンでの利用が主流でしたが、現在は直感的な操作が可能なスマートフォンがおもな接点となり、日常的なコミュニケーション手段として定着しています。
シニア世代におけるSNSの利用実態
SNSはシニア世代にとって、家族や友人とつながるツールとして活用されています。特にLINEの利用率が高く、画像や動画を用いた円滑なコミュニケーション手段として幅広い年齢層に浸透しました。
また、YouTubeで趣味の動画を視聴したり、FacebookやInstagramで自身の活動を発信したりする人もいます。SNSを通じて新しい情報を得たり、共通の趣味を持つ仲間と交流したりすることは、生活の充実につながる場合があります。
シニア世代におけるネットショッピングの利用実態
ネットショッピングを利用するシニアは増加傾向にあり、利便性の高さが支持されています。重い荷物を運ぶ負担が軽減されることや、近隣の店舗では手に入りにくい専門的な商品を購入できる点がメリットです。
具体的には、飲料や米などの重い食品、日用品のほか、趣味に関連する物品の購入が目立ちます。当初はセキュリティ面への不安を感じる層も一定数存在していましたが、利用経験の蓄積により不安感が軽減されたとする傾向もあります。現在は、ポイント還元やセールを活用して賢く買い物をするスタイルも一般化しています。
シニア世代の調査における注意点
シニア世代を対象とした調査を実施する際は、身体的な特性やITリテラシーの個人差に配慮が必要とされる場合があります。視認性を確保するために大きな文字や識別しやすい配色を用いるほか、複雑な操作を避ける設計が求められることがあります。
また、シニアという言葉の捉え方は人それぞれであるため、調査の目的となる年齢層やライフスタイルを具体的に定義しなければなりません。回答者の負担を軽減し、心理的な障壁を取り除く工夫が、正確なデータ収集につながることがあります。
まとめ
シニアの定義は時代とともに変化しており、年齢だけで一括りにすることは難しくなっています。65歳以上という公的な基準はあるものの、実際には健康状態や価値観によって「アクティブシニア」から「ケアシニア」まで多様な層が存在します。
また、デジタル活用の進展により、スマートフォンやSNS、ネットショッピングはシニアの日常生活に深く浸透しました。対象者の特性を正しく理解し、それぞれのライフスタイルに合わせたアプローチを行うことが、今後のシニア市場において重要です。
株式会社マクロミルは、マーケティングリサーチやデジタルマーケティングリサーチを通じて、多様な社会・消費者ニーズを分析し、クライアントへ消費者インサイトを提供しています。
また、データ利活用支援事業(データ・コンサルティング)から、広告配信やCRMなどのマーケティング施策支援事業まで、一気通貫で支援を行う総合マーケティング支援企業です。シニア市場に向けた調査やマーケティング施策を検討している人は、ぜひご相談ください。
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