インサイトとは?ニーズとの違いから調査方法やメリット・成功事例を解説

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2025/10/17(金)

近年はインサイトに注目し、マーケティングや商品開発などに活用する企業が増加しています。しかし、インサイトが具体的にどのようなものかを知らない人も少なくないでしょう。この記事では、インサイトの基本情報からニーズとの違い、注目される理由、メリットなどを解説します。自社の活動にインサイトを活用したいと考える人は、参考にしてください。

参考:インサイトとは?マーケティングに活用する方法やポイントなどを解説

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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インサイトとは何か解説

インサイトとは、「洞察」や「物事を見抜く力」を意味します。マーケティングにおいては、消費者自身が気づいていない深層心理や行動の根拠を指し、それを理解することで購買意欲を引き起こすきっかけを発見できます。インサイトを理解すると、消費者自身が気づいていないニーズや課題を把握することができます。インサイトを捉えた商品やサービスを開発すれば、消費者の購買意欲を引き起こすことができるでしょう。

インサイトとニーズの違い

インサイトと混同されやすい概念に「ニーズ」があります。違いを理解するため、顕在ニーズと潜在ニーズに分けて解説します。

顕在ニーズ

顕在ニーズとは、消費者が明確に自覚しており、どのような商品や機能が欲しいかを説明できる欲求のことです。身近な例を挙げると、喉が乾いたときに「水を飲みたい」と感じることが顕在ニーズです。マーケティングにおいては「製品のカラーバリエーションを増やしてほしい」や「カスタマーサポートを充実させてほしい」といった具体的な意見として表れます。

潜在ニーズ

潜在ニーズとは、消費者自身が明確に自覚していない欲求のことです。潜在ニーズは漠然としており、何らかの不満や欲求は感じているものの、言語化が難しい状態を指します。マーケティングにおいては、質問やインタビューを通じた表面化が可能です。コミュニケーション能力に優れた担当者であれば、潜在ニーズを効果的に引き出せるでしょう。

潜在ニーズは「消費者が気づいていない欲求」であり、インサイトは「その欲求の背後にある心理的背景や動機」を指します。つまり、インサイトは潜在ニーズを生み出す根本的な理由といえます。

インサイトが注目される理由・重要性

近年インサイトが注目される理由はなぜなのか、またその重要性について主な3つを解説します。

現代はモノが売れづらいため

現代は高品質かつ低価格の商品やサービスが多くあり、選択肢も豊富です。顧客のニーズも多様化しており、従来通りの広告やマーケティングでは成果が限られています。インサイトを理解したうえで商品開発やマーケティングに活用すれば、商品・サービスの改善点を把握でき、インサイトに応えられる形へと改良することができます

顧客を深く理解するため

インサイトを把握すると顧客について深く理解できるため、真のニーズに応える商品・サービスの開発が可能となり、消費者や顧客企業に高い満足感をもたらすことができます。インサイトを満たすことにより、「本質的なニーズを満たしてくれる会社」として認識され、多くの競合他社のなかから選ばれるとともに、既存顧客との信頼関係をより強固なものにできます

競合他社との差別化を図るため

インサイトを把握できると、競合他社との差別化を図れます。インサイトの把握は容易ではないため、競合他社が見落としている可能性もあるでしょう。競合の少ない未開拓市場に展開できれば顧客を囲い込め、自社の魅力や価値を高められます。現代のビジネスでは、消費者の潜在的な欲求を先取りし、それに応える商品・サービスを提供することが重要です

インサイトのメリット

インサイトに取り組むと、多くのメリットがあります。具体的なメリットを3つ解説します。

独自の商品やサービスを展開できる

インサイトを把握すると、独自の商品やサービスを展開できます。他社とは異なる魅力を持った独自商品の提供が可能になるでしょう。また、既存商品では満たせない顧客のニーズをターゲットにするため、注目を集めやすくなり、売上増加や新規顧客の獲得といった成果につなげることができます。さらに、市場にない新たな価値を生み出すことも期待されます。

効果的なターゲティングができる

インサイトで顧客のニーズを理解すると、効果的なターゲティングや的確なアプローチができます。消費者のペルソナ設定を行うことで、ターゲットの特性や嗜好に合わせた内容を提供できます。インサイトに基づいた商品やサービスを開発すれば、消費者の購買プロセスに強く影響を与えられるでしょう。

マーケティングに生かせる

インサイトを理解すると、マーケティングに生かせます。潜在ニーズを把握することで、競合他社が注目していない分野にアプローチでき、新しいビジネスモデルやサービスを生み出せる可能性があります。また、顧客の行動や心理に基づいてターゲティングを行うことで、無駄なコストの削減やリソースの効率化が可能です。

インサイトを見つける方法

消費者が自覚していない意識であるインサイトを、どのようにして見つけるのでしょうか。主な3つの方法・手順を解説します。

データ収集

インサイトを明確にするには、定量的・定性的なデータの収集が必要です。定量的データとは数値や統計データなどの形で表される情報で、定性的データとは消費者が言葉やイメージで表現する主観的な情報です。これらは、アンケート調査やユーザーへのインタビュー、ソーシャルリスニング、行動観察などで収集できます

データ分析

データを収集したのち、分析を実施します。収集したデータは、定量データと定性データに分けて分析します。大量の収集データを効率的に処理し、精度の高い分析を行うために、データ分析ツールを活用するとよいでしょう。分析ツールには、アクセス解析ツールやカスタマーデータプラットフォーム、データマネジメントプラットフォームなどがあります。

フレームワーク活用

インサイトを可視化し活用するために、ペルソナや共感マップを作成しましょう。分析したデータをもとに、年齢や性別・地域・職業・年収・家族構成などの「ペルソナ」を設定します。ペルソナを設定すると自社のターゲット層を深掘りでき、商品やサービスの開発・改善に役立ちます。

また、共感マップを作成することで顧客の課題や解決策、ニーズを把握でき、顧客に適したマーケティングが可能です

インサイトの抽出方法

インサイトを抽出・発見するためには、多くのデータを得る必要があります。その方法を4つ解説します。

インタビュー調査

インタビュー調査では、消費者や顧客に直接話を聞いて深層心理や潜在ニーズを探ります。インタビュー調査は、個人面談やグループインタビューなど形式がさまざまで、質問内容や聞き方を工夫すると本音や背景にある思いを引き出せます。対面での聞き取り調査の場合サンプル数に限りはあるものの、表情や身振り手振りなどの非言語的な情報も収集可能です。

行動観察調査

行動観察調査はエスノグラフィとも呼ばれ、対象者の日常生活を観察し、行動から調査・分析を実施します。インタビューでは得られない、無意識下の消費者の行動や心理からインサイトを発見できます。ただし、手間とコストを要し、調査員の分析力により結果が左右される点がデメリットです。

SNS分析

SNS分析では、SNSの投稿から消費者の属性や購入動機、利用状況を分析します。SNSは匿名で発信できることから本音が書かれている可能性が高く、その内容を分析することでインサイトを見つけられます。分析する場合は、調査対象の製品をキーワードとして検索しましょう。

MROC

MROCは「Marketing Research Online Community」の略称で、近年注目されているデータ収集方法です。オンラインコミュニティを一定期間設け、参加者の書き込みから調査し分析します。この方法はオンラインならではの利便性と柔軟性がありますが、参加者の属性が偏る可能性がある点に注意しましょう。

インサイトの成功事例

実際にインサイトを発見し、従来とは異なる視点から成功に導いた3つの事例を解説します。

日清食品「カップヌードル リッチ」

ロングセラー商品であるカップヌードルを販売する日清食品ホールディングス株式会社では、60代以上の購入率が下がることを課題としていました。シニア向けの商品は健康志向の強い商品が多いものの、調査によって健康志向に加え、美味しさを求める人が多いことがわかりました。

健康志向と美味しさにこだわった「カップヌードル リッチ」を発売し、新たなターゲット層からの支持を得ました。

和食チェーン店「大戸屋」

和食のチェーン店「大戸屋」を運営する株式会社大戸屋ホールディングスでは、女性客の少なさを課題としていました。「1人で店に入るところを見られると恥ずかしい」という女性のインサイトを発見し、人目につきにくい立地を選ぶといった環境を整備しました。店内の雰囲気やメニューも女性客の好みに合わせ、売上向上に成功しています。

ライオン「トップ スーパーNANOX」

ライオン株式会社が2010年に開発した洗濯用液体洗剤「トップ スーパーNANOX」は当初、洗浄力の高さをアピールしていました。ところが十分な訴求につながらず、インターネット調査により日本では毎日洗濯する人の割合が高いことがわかりました。

そこで、においで判断する人が多いと仮説を立て「ニオイまで落とす洗濯用コンパクト液体洗剤」と銘打つことでヒット商品となりました。

まとめ

インサイトとは、消費者が気付いていない購買意欲を高めるきっかけです。インサイトを発見できると消費者について深く理解でき、同業他社とは異なる視点から購買意欲を高められるでしょう。

株式会社マクロミルでは、マーケティングリサーチデジタルマーケティングリサーチを中心に、多様な社会・消費者ニーズを分析し、クライアントに的確な消費者インサイトを提供しています。調査だけでなく、データ活用の支援や広告・CRMなどの実行施策まで、マーケティング全体をサポートするサービスを一貫して提供しています。インサイトを活用したいと考えている場合、まずはお気軽にご相談ください。

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監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

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