
企業のマーケティング活動において、市場調査は必要不可欠です。市場調査の手法は多岐にわたり、そのうちの1つが電話調査です。本記事では、市場調査に電話調査を活用するメリット・デメリットや、電話調査が向いているケースを解説します。電話調査を効率化する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
参考:市場調査とは?マーケティングリサーチとの違いやメリット、代表的な9つの方法を解説
- 市場調査とは
- 電話調査とは
- 電話調査の種類
- 市場調査を電話で行うメリット
- 市場調査を電話で行うデメリット
- 市場調査に電話調査が向いているケース・向かないケース
- 電話での市場調査を効率化するためには?
- まとめ
市場調査とは
市場調査とは、市場の動向や顧客のニーズを把握するために行う調査のことです。マーケットリサーチとも呼ばれ、調査結果は新しい製品やサービスの開発、マーケティング施策の立案などに役立てられます。
電話調査とは
電話調査とは、電話を通じて質問への回答を収集する調査手法です。対象となる個人や企業などに電話をかけ、調査目的に合わせて設計した質問を通じてヒアリングを行い、回答を収集するという流れで行われます。
電話調査の活用シーンはさまざまありますが、市場調査のほかには、政府や自治体による世論調査に用いられることもあるでしょう。
電話調査の種類
電話調査は、おもに「名簿方式(リスト方式)」と「RDD方式」の2種類に分けられます。
名簿方式(リスト方式)
名簿方式(リスト方式)とは、あらかじめ用意された名簿や電話帳、住民基本台帳などに記載されている番号へ電話をかける方法です。
名簿方式では、名簿に登録されている情報に基づき、個人と法人の振り分けが可能です。そのため、調査目的に合わせた調査を実施しやすいというメリットがあります。
RDD方式
RDDとは「Random Digit Dialing」の略称で、コンピューターが数字をランダムに組み合わせて電話番号を生成し、電話をかける方法です。名簿や電話帳に番号が登録されていない層にも調査を実施でき、特に固定電話を持たない層にもアプローチしやすいというメリットがあります。
ただし、無作為に作成された電話番号を使用するため、個人と法人の振り分けは不可能です。
市場調査を電話で行うメリット
市場調査の調査手法はさまざまありますが、電話で調査を実施する場合は、以下のようなメリットを期待できます。
短時間で回答を得られる
電話調査では、対象者が応じてさえくれれば、その場で回答を得られます。質問票の送付・返送に時間がかかる郵送調査や、対象者が任意のタイミングで回答するWeb調査と比べて即時性が高く、回答を素早く集めることが可能です。
その結果、調査が短期間で完了すれば、製品・サービスの改善や施策の立案をスピーディに進められます。
具体的な内容をヒアリングできる
電話調査は、オペレーターによる対話方式で進められます。あらかじめ用意した質問票を送付するだけの場合と比べて、相手に聞きたい内容をしっかりヒアリングでき、具体的な回答を得やすい点がメリットです。
また、対面調査とは異なり互いの顔が見えないからこそ、顧客の本音を引き出しやすいという利点もあります。
コストを抑えられる
電話調査は、比較的低コストな調査手法でもあります。
たとえば、対面調査を実施するためには、会場の利用料やインタビュアーの人件費など、さまざまなコストが必要です。
一方、電話調査はオペレーターの数をそれほど必要としないため、人件費を抑えられます。また、そのほかにかかる費用は通話料のみであるため、費用を抑えた調査が可能です。
広範囲への調査を実施しやすい
電話調査なら、東京にいながら北海道や沖縄の人にも調査を実施できます。対面調査とは異なり物理的制約がなく、会場の確保も不要なため、広範囲への調査を手軽に行えるでしょう。
全国規模の調査にも適しており、地域を限定せず幅広く回答を集めたい場合や、地域差について調査したい場合などにおすすめです。
企業名を伏せられる
外部に電話調査を委託する場合は、匿名で調査を実施することも可能です。企業名を伏せた状態で調査を行えば、自社に対するネガティブな意見も含め、顧客のリアルな声を集めやすくなるでしょう。
その結果、回答の正確性が高まり、製品・サービスの開発や施策の立案にもプラスの効果を期待できます。
回収率を高めやすい
電話調査は回答者への負担が比較的少なく、電話に出てもらえさえすればその場で回答を促せるので、回収率を高めやすいというメリットがあります。
より多くの回答を集めることで、データの信ぴょう性も向上させられるでしょう。
市場調査を電話で行うデメリット
市場調査に電話調査を活用する場合は、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。
質問数や内容を絞り込む必要がある
電話調査は長時間のインタビューには不向きであり、1回あたりの質問時間は限られます。短時間で調査を終えるために、質問の数を絞り込む必要があります。
また、質問の中身についても、テンポよく回答できるよう、簡潔でわかりやすい内容に設定する必要があります。
アプローチできる層が限られる
電話調査は名簿や電話帳などに基づき行われるため、それらのリストに電話番号が記載されていない層には調査を行えません。また、固定電話番号と携帯電話番号をどちらも所有していない層も同様です。
このように、電話調査ではどうしてもアプローチできない層が存在し、ターゲットが限られる可能性があります。
回答が偏る可能性がある
電話調査は対話方式で行われるため、オペレーターの質問の仕方によっては、調査の意図や意味合いが正確に伝わらない場合もあります。人によって質問に対する理解度に差が生じると、回答に偏りが出て、データの信頼性が低下する可能性も捨てきれません。
また、最近は「知らない番号には出ない」という人も多いため、回答者が限定される場合もあります。
市場調査に電話調査が向いているケース・向かないケース
ここからは、電話での市場調査が向いているケース・向いていないケースをそれぞれ紹介します。
電話調査が向いているケース
電話調査による市場調査は、以下のようなケースです。
- 質問事項が少ない場合
- 認知度が高い事柄について調査する場合
- 既存顧客に対して調査する場合
電話調査は質問にかけられる時間が限られているため、限られた質問に対して、詳細な回答を得たい場合に適しています。
同様の理由から、電話調査では、質問に関する説明に時間をかけられません。そのため、世間の認知度が高く、詳しい説明が不要な事柄の調査におすすめです。
また、製品やサービスについて理解している既存顧客への調査であれば、効果を発揮しやすいでしょう。
電話調査が向かないケース
電話調査による市場調査は、以下のようなケースにはあまりおすすめできません。
- 質問項目が多い場合
- 調査に詳細な説明が必要な場合
- 固定電話をもたない若年層に調査したい場合
電話調査は長時間の調査には適しておらず、質問事項が多いと回答者の協力を得づらくなったり、回答の質が低下したりするリスクがあります。
また、質問内容に対して詳細な説明が必要な場合も、電話調査には向きません。特に、図やイメージなどで視覚的な説明が必要な調査には、Web調査などが適しているといえるでしょう。
電話での市場調査を効率化するためには?
電話調査では、対象者に1件1件電話をかける必要があるため、母数が多くなるほど手間がかかります。そこで、最後は、電話での市場調査を効率化する方法を紹介します。
オートコールを導入する
オートコールとは、あらかじめ録音した音声や合成音声を利用し、自動で電話の発信ができるシステムです。オートコールを導入すれば、オペレーターがいなくても電話調査を自動で行えます。結果として、調査の効率化と人件費の削減が可能です。また、回答者によっては対人よりも、自動音声の方が回答の負担が少ないという人もいます。
調査会社に依頼する
電話での市場調査を効率化したい場合は、調査会社への依頼も検討しましょう。電話調査をプロに委託することで自社の負担を軽減でき、調査の品質も向上させられます。経験豊富なプロが回答者の意見や感想を的確に引き出し、回答の精度を高めることで、調査目的を達成しやすくなります。特に、電話調査の実施経験がない企業には、プロへの委託がおすすめです。
まとめ
電話による市場調査には「短時間で具体的な回答を収集できる」「コストを抑えやすい」など、さまざまなメリットがあります。ただし、電話調査は長時間の質問には向いていないため、質問項目が多い場合や、詳細な説明が必要な場合は、ほかの調査方法も検討しましょう。
電話調査を調査会社に依頼する際は、マクロミルをご検討ください。調査の実施からデータの利活用、マーケティング活動と連動するソリューションの提供まで、お客様のマーケティング活動を一気通貫で支援いたします。
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