アンケート調査をExcelで行う際の分析方法とは?集計の手順とグラフ作成方法も解説

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2025/6/5(木)

アンケート調査を実施した後、Excelでの分析方法がわからずに困っていませんか。
この記事では、分析しやすい設問の作成方法や、COUNTIF関数を用いた集計手順を解説します。さらに、伝わるグラフの作成方法、自由記述を分析するアプローチまで幅広く取り上げました。マーケティング担当者がすぐに実践できるノウハウを詳しく紹介します。

参考:アンケート調査とは?種類や手順・進め方、ポイント、活用事例などを解説

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アンケート調査分析の準備におけるポイント

効果的なアンケート分析を行うためには、調査票を作成する段階からの準備が重要です。Excelでの集計・分析をスムーズに進めるために、以下の点を意識しましょう。

分析しやすい簡単な設問にする

回答の質を高めるには、アンケートの構成や設問の順序を工夫することが重要です。設問は誰にでも理解できるよう、簡潔で平易な言葉を選びましょう。専門用語は避け、長文にならないよう注意してください。また、1つの設問で複数のことを尋ねず、必要なら項目を分けることで回答しやすくなり、正確なデータ収集につながります。

調査対象者を明確にする

アンケートで質の高い回答を得るには、調査対象者を明確にすることが重要です。対象が曖昧だと回答傾向が分散し、有益なデータを得にくくなります。性別や年齢層、関心のある分野などで回答者層を絞り込むことで、より的確な設問ができるでしょう。回答者も答えやすくなるため、効果的な調査につながります。

Excelで集計しやすいアンケートの設問形式

Excelでの集計効率を考えると、アンケートの設問形式はある程度パターン化するのがおすすめです。代表的な形式を紹介します。

単一回答

単一回答とは、設問に対して提示された選択肢のなかから、回答者が1つだけを選ぶ形式を指しますWebアンケートなどでは、選択肢の横に丸いラジオボタンが表示されるのが一般的です。「単回答」や「シングルアンサー(SA)」とも呼ばれます。

複数回答

複数回答とは、設問に対して用意された選択肢のなかから、当てはまるものを1つ以上選んでもらう回答形式のことです。回答できる数に制限がない場合と、「3つまで」のように上限を設ける場合(リミテッドアンサー:LA)もあります。Webアンケートではチェックボックスで表示されるのが一般的で、マルチアンサー(MA)とも呼ばれます。

自由記述(数値データ)の集計

自由回答で得られた数値データを分析する際は、平均値だけでなく、中央値・標準偏差・最大値・最小値といった複数の指標を用いてください。なぜなら、平均値は突出した値(外れ値)の影響を受けやすく、それだけでデータ全体を判断すると実態を見誤る恐れがあるからです。

複数の指標を総合的に比較しましょう。データの分布に大きな偏りはないか、平均値と中央値は近いかなどを確認することで、数値の背景にある意味合いをより正確に捉えることができます。データの読み違いを防ぎ、正しい解釈を導き出すためには、多角的な視点での検証が欠かせません。

属性やグループごとに数値回答の傾向を比較したい場合はクロス集計が有効

クロス集計とは、複数の設問の回答を組み合わせて分析する手法です。例えば、回答結果を性別と年代別に分けて見るなどがこれにあたります。組み合わせる項目数に応じて二重、三重クロスなどと呼ばれます。項目を増やすほど詳細な分析が可能ですが、各区分の回答数が少なくなり、結果の信頼性が低下する恐れがあるため注意が必要です。

自由記述(文章や単語)の集計

自由記述回答を分析するおもな手法には、「アフターコーディング」と「テキストマイニング」が挙げられます。それぞれの内容や特性を詳しく解説します。

1. アフターコーディング

アフターコーディングは、自由記述回答を内容ごとに分類し、コードを割り当てる作業です。これにより、言葉で表現された質的なデータを、集計可能な量的データに変換します。選択式に比べ回答数が少なく比較は難しいものの、回答者の自発的な意見の傾向を数値で把握したい場合に有効な手法です。ただし、時間と労力がかかる点には注意が必要です。

2. テキストマイニング

テキストマイニングは、形式が決まっていない大量の文章データを単語や文節に分解・解析し、有益な情報を探し出す分析技術ですSNSの投稿、アンケートの自由記述、コールセンターへの問い合わせなどがおもな分析対象となります。

この手法は、統計学やAIを用いて膨大なデータから価値ある知見を発見するデータマイニングから発展したものです。

Excelで単一回答データを集計する手順

最も基本的な単一回答形式のデータをExcelで集計する手順を以下で解説します。

1. 集計用データの整理・入力

アンケートの回答が集まったら、Excelでの集計・分析作業を開始します。その最初のステップが、回答データの入力と整理です。この段階でデータを整えておくことが、後の集計作業の効率と正確性を大きく左右します。

2. COUNTIF関数などを用いた集計

次に集計作業です。各設問の回答数を数え、結果を整理するために用意した「Count」シートに設問項目ごとの集計表を作成します。単一回答の設問はCOUNTIF関数で集計可能です。この関数を使えば、指定した範囲から条件に合うセルの数を簡単に数えることができます。

3. 回答割合(パーセント)の計算

各回答項目の構成比率(%)を算出します。集計表の隣に割合列を作り、「個別回答数 ÷ 合計回答数 × 100」と入力してください。式のコピー時に合計回答数のセルがずれないよう、絶対参照(例:$C$5)で固定するのがコツです。これで各項目の割合を簡単に求められます。

4. 集計結果のグラフ化

計算した割合をグラフで表現すると、集計結果が一目で理解しやすくなります。特に、選択肢から1つだけを選ぶ形式(単一回答)のデータをグラフ化する場合、各項目の比較や全体に占める割合を示すために、棒グラフや円グラフを用いるのが効果的です。

Excelで複数回答データを集計する手順

複数回答形式のデータ集計は、単一回答よりも少し複雑になりますが、以下の手順で進められます。

1. 選択肢ベースでのデータを準備する

はじめに、選択肢ごとの回答状況を整理するために用意した「Data」シートへ回答データを入力します。列は設問ごとではなく、提供された各選択肢に対して個別に設定してください。その上で、回答者が該当する選択肢を選んでいれば「1」を、選んでいなければ「0」を記録し、データを整理します。

2. 関数を適用して集計を実行する

次に「Data」シートに入力したデータを集計するための「Count」シートを用意します。「Count」シートでの複数回答集計は、SUM関数とINDEX関数の組み合わせが便利です。INDEX関数でデータ範囲を指定後、SUM関数でその範囲の値を合計すれば、選択肢ごとの回答数を算出できます。

3. 各選択肢の割合を求める

次に各選択肢の割合を算出します。「割合」列を設け、「回答数 ÷ 全体人数 × 100」の計算式で求めましょう。全体人数は、直接数値を入力するか、合計人数を計算したセル番地を指定すると便利です。

4. 集計データをグラフ化する

算出した割合をグラフ化すると、集計結果を視覚的に理解しやすくなります。特に複数回答では、項目比較に棒グラフ、時系列変化に折れ線グラフが有効です。これによりデータの傾向を直感的に捉え、分析結果をわかりやすく伝えられます。

Excelを使ったアンケート調査結果のグラフ作成方法

アンケート結果をExcelでグラフ化することは、データを視覚的に捉え、より深い分析を行ううえで有効です。まず、回答データをExcelシートに整理します。設問項目を列見出しにし、各回答をセルに入力することが一般的です。グラフ化したいデータを選び、「挿入」メニューから目的に合った形式を選びましょう。

グラフ作成後は、タイトル・軸の名称・凡例・配色などを適切に調整し、内容が一目で理解できるように体裁を整えることが重要です。この基本的な手順に慣れることで、Excelを用いた集計・分析作業をよりスムーズに進められるようになります。

アンケート調査結果に適したグラフの種類

アンケート結果を示す際の代表的なグラフとその特徴を以下で解説します。

円グラフ

Excelで円グラフを作成すると、アンケートデータの集計・分析が効率化できます。設問と回答数のデータ範囲を選び、「挿入」タブから円グラフを選ぶだけで作成可能です。回答比率などを視覚的に表現し、直感的な理解を助け、より的確なデータ分析につなげられます。

棒グラフ

棒グラフは項目間のデータ量比較に適しています。Excelでの作成は、データ選択後に「挿入」タブで棒グラフを選ぶだけと簡単です。棒の長さで数量の違いが一目でわかり、アンケート結果の全体像把握に有効なグラフです。

散布図

散布図は、満足度とリピート意欲など、アンケートで得た2つの数値データの関連性を視覚化するグラフです。Excelで簡単に作成でき、点の分布から相関や傾向を直感的に把握できます。分析精度を高め、専門家でなくても傾向を掴みやすいことが利点です。

アンケート調査結果を分析しやすくする方法

Excelで集計・グラフ化した結果を、より深く、正しく分析するためのポイントを解説します。

全体像と詳細データの段階的な確認

アンケート結果の分析では、まず全体像を捉え、大まかな傾向をつかむことが大切です。回答者数や属性の比率といった基本情報を確認しましょう。Excelのピボットテーブル機能は、データの集計やグループ分けを素早く行うのに役立ちます。また、グラフなどで視覚的に示すことで、注目すべきパターンが見つけやすくなり、より深い洞察を得る分析へとつなげられます。

集計結果の有意性を確認する

分析結果の信頼性を高めるには、それが偶然の結果ではないか、統計的に意味のある差かを確認することが重要です。回答者数が充分か、回答に偏りがないかを見極めます。Excelの検定機能(t検定など)で検証し、極端な値(外れ値)の有無もチェックしてください。必要に応じて外れ値を除外することで、より確かな分析につながるでしょう。

分析目的に最適な集計方法の選択

アンケート集計では目的に応じた手法選択が重要です。全体の傾向把握にはSUM関数などを用いた単純集計、属性別の詳細比較にはピボットテーブルでのクロス集計が適しています。時間経過による変化を見たい場合は、折れ線グラフなどを用いた時系列分析でトレンドを視覚化します。

まとめ

Excelはアンケート調査のデータ分析に役立つツールです。COUNTIF関数やピボットテーブルを使えば集計やクロス集計が効率化でき、グラフで結果を可視化することも容易です。Excelでの基本的な分析方法を習得することは重要ですが、より大規模で質の高い調査や高度な分析を行いたい場合、マクロミルのような専門サービスの活用も有効な選択肢となります。

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