
認知度調査とは、自社プロダクトやブランドがどれだけ浸透しているかを測る調査です。認知度調査のメリットは、マーケティング戦略の立案や改善ができる点にあります。この記事では、認知度調査の手法や実施するタイミング、調査項目について解説します。認知度調査の実施を検討しているマーケティング部署の実務者は、ぜひ参考にしていただければと思います。

認知度調査の概要
認知度調査とはどのような調査を指すのか、概要を解説します。
認知度調査とは
認知度調査は、マーケティングリサーチの1つの手法です。自社プロダクトやブランドが、市場にどれくらい浸透しているのか、世間でどれくらい知られているのかを測る目的で実施されます。

認知度調査を進めるタイミング
認知度調査は、実施に適したタイミングがあります。ここでは、3つのタイミングについて解説します。
自社プロダクトの売り上げが伸び悩んでいるとき
自社プロダクトの売上が伸び悩んでいるとき、原因を特定するために認知度調査が行われます。認知度調査を実施すれば、認知や興味関心など現状のボトルネックが明確になります。そのため、どのポイントに注力して対応するべきかが判断でき、売上の改善につながるでしょう。
新規プロダクトの発売や既存プロダクトをリニューアル販売したとき
新規プロダクトを発売したときや、既存のプロダクトをリニューアル販売したときなども、認知度調査を実施するタイミングです。認知度調査を実施することにより、商品が市場にどれくらい浸透しているかが明確になり、マーケティングにおける課題点も同時に把握できます。
自社の企業ブランド施策を計画しているとき
自社の企業ブランド施策を計画しているときも、認知度調査が欠かせません。認知度調査により、自社のブランド戦略の方向性や、目標達成度を表すKPIの設定などの数値が確認できます。また、競合他社との比較を行えば、差別化のための施策検討に活用できます。

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認知度調査の実施方法
認知度調査を実施する方法は、主に、インターネット調査や郵送調査の2種類が挙げられます。それぞれの特徴と実施方法を解説します。
インターネット調査
インターネット調査は、Webサイト上やメールなどで対象者を募り、実施する調査方法です。幅広い地域や年齢の方を対象に一斉に調査ができるため、短い期間で多くの回答を得られることができるというメリットがあります。ただし、インターネットの利用率が低い高齢者や狭い地域に限定した調査などでは、適切な結果が得られないこともあるため、注意が必要です。
郵送調査
郵送調査は、手元に届いた質問票に回答し、返送してもらう調査方法です。回答者の都合がよい時間に回答できるうえ、意見や回答を選んだ理由などを、詳細に書き込んでもらいやすいことがメリットです。
インターネットを利用していない層の認知度調査に有効ですが、往復の郵送代や印紙代、回答のデータ化などのコストが発生します。また、インターネット調査に比べると、若年層の回答率が低い傾向にあります。

認知度調査の項目
認知度調査の項目は、純粋想起・助成想起・認知経路・商品イメージなどが挙げられます。それぞれの質問例とともに、特徴を解説します。
純粋想起(Unaided Awareness)
純粋想起は、「〇〇といえば、何を思い浮かべますか」と、特定の商品カテゴリー内で、思いつく商品名などを挙げてもらう調査方法です。自社プロダクトが多く回答に上がれば、他社プロダクトと比べて認知度が高いと判断ができます。実施する際は、商品名を思い出せるようなヒントは提示せず、知っている商品や思い浮かんだブランドを回答してもらいましょう。以下は、純粋想起の質問例です。
- 車のメーカーと聞いて、思い浮かぶ名前を挙げてください
- コンビニエンスストアと聞いて、思い浮かぶ名前を挙げてください
助成想起(Aided Awareness)
助成想起は、ブランド名や商品銘柄などをいくつかあげ、知っているものを選んでもらう調査方法です。自社プロダクトよりも競合プロダクトが多く選ばれた場合は、理由を分析することで、自社のマーケティング施策に効果的に役立てることが出来ます。以下は、助成想起の質問例です。
- 以下の選択肢から、知っている時計メーカーを選択してください
- 以下の選択肢から、知っている車種を選択してください
- 以下の選択肢から、知っているスナック菓子を選んでください
認知経路
認知経路は、商品やブランドを、どのような経緯で知ったかを調べる調査方法です。競合プロダクトの認知経路を知ることで、自社プロダクトを知った経緯や自社に足りない施策が明確になります。以下は、認知経路の質問例です。
- どこで、その商品を知りましたか
- この商品に興味を持ったきっかけは、何ですか
商品イメージ
自社プロダクトのイメージのうち、どのような特徴が浸透しているかを確認できる調査方法です。自社プロダクトにどのような印象を持たれているか、競合他社と比較することで差別化につながります。以下は、商品イメージの質問例です。
- 〇〇の商品に、どのような印象がありますか
- 〇〇の商品の、ポジティブなイメージとネガティブなイメージを教えてください
- ブランドに対するイメージとして当てはまる選択肢を、全てお答えください

認知度調査の結果による対処方法の違い
認知度調査の結果は、自社のマーケティング施策に活用できます。ただし、認知度の高さや消費者の興味関心の有無などにより、方法は異なります。
認知度は高いが、消費者の興味関心が低い場合
商品やブランドの認知度は高いものの、消費者の興味関心が低い場合は、消費者の好奇心をそそる訴求方法を探すことが大切です。興味関心を高める具体的な方法として、例えば、現状の訴求内容をブラッシュアップしたり、消費者の行動や意識に基づいたキャッチコピーやパッケージなどの変更を行う、などが挙げられます。
認知度が想定よりも低い場合
商品やブランドの認知度が自社が想定よりも低い場合は、まず初めに、男女別や世代別など、カテゴリーごとの認知度を確認します。その結果をもとに、認知度が低いターゲットに刺さる企画を立案することが大切です。あわせて、もし商品やブランドについての広告を出しているなら、そちらの効果についても検討してみても効果的です。
認知度・興味関心度は高いが、購入に結びつかない場合
認知度も興味関心度も高いものの、購入数が伸び悩んでいる場合は、価格や販売経路が適切でない場合があります。価格調査を行い、適切な価格に修正し、販売経路を改善するなどの対策が必要です。

認知度調査のメリット
認知度調査を実施することで得られるメリットを、2つの視点から解説します。
市場における占有率がわかる
認知度調査を実施すると、市場における自社プロダクトの占有率が明確になるため、自社プロダクトと競合プロダクトの立ち位置が把握できます。分析した指標をもとにマーケティング戦略を立てれば、シェア拡大への戦略を練ることができるでしょう。
マーケティング施策の改善点が把握できる
商品の売り上げが伸び悩んでいる場合も、認知度調査を実施することで対策することができます。そのことにより、問題点とその改善点を把握し、対策をすることで、売上の向上が期待できます。

認知度調査を実施する際の注意点
認知度調査は、長期的に行うことが大切です。認知度調査を実施する際の注意点を解説します。
認知度調査は定期的に実施する
認知度調査は、一度の実施で終了とはなりません。なぜなら、自社のマーケティング施策や競合他社の展開により、商品やブランドの認知度は大きく変化していくからです。定期的に認知度調査を実施して、自社プロダクトやブランドの立ち位置を常に把握しつつ、マーケットの変化を察知して、時代に合ったマーケティング戦略を進めましょう。
キャンペーンなどの施策を実施した前後で調査を行い、調査結果の変化を把握することも大切です。

まとめ
認知度調査は、インターネット調査や郵送調査などの手法を用いて、自社プロダクトやブランドがどれだけ浸透しているかを測る調査方法です。
認知度調査での質問では、自社プロダクトが競合他社のプロダクトと比べてどれだけ認知されているかを計る純粋想起・助成想起や、どのような経路で商品を知ったのかを調べる認知経路などの質問を行います。その際、現在の課題や施策に応じた質問項目を検討が必要になります。認知度調査で得た結果をもとにボトルネックを明確にし、売上や認知度向上のための改善を進めることが重要になります。また、認知度調査は、定期的に実施することが大切です。
株式会社マクロミルは、オンラインリサーチとデジタルマーケティングリサーチを中心に、多様な社会・消費者ニーズを分析し、クライアントに的確な消費者インサイトを提供する会社です。認知度調査を実施する際に、ぜひご利用ください。
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