金融データ分析のトップリーダーに聞く、提案型組織はいかにしてできたのか

業界・業種
金融・保険

2025/11/27(木)

ソニー銀行株式会社様

インターネットを活用した預金、住宅ローン、外貨預金、投資信託、カードローンなどの金融サービスの提供

12月5日(金)に開催される「マクロミルカンファレンス2025 インサイトを制すものはマーケティングを制す “顧客理解”と向き合うプロたちの思考と実践を学ぶ1日」にご登壇いただくソニー銀行株式会社 データアナリティクス部の伊達 修部長、同部 アナリティクス1課の杉山 陽祐課長、そして同課の出越 陽マネージャーに、ソニー銀行様のデータ分析の取り組みや体制、課題、マクロミルの意識データを分析にご活用いただいた経緯、今後の展望について、マクロミルCRM/CX事業ユニットの原田 俊と上田 裕太がお話を伺いました。

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「Connecting the Dots」でインサイトを制す

ソニー銀行 データアナリティクス部長登壇!事例を通じて、 One to Oneマーケティングの実現に向けた取り組みと、顧客理解の“解像度”がどう変わったのかをリアルにお伝えします。

2025年12月5日(金)16:45-17:45

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INDEX

ミッション、自己紹介

マクロミル原田:
本日はよろしくお願いいたします。まずは、データアナリティクス部のミッションと、皆様の自己紹介をお願いします。

伊達部長:
データアナリティクス部のミッションは「データの力でソニー銀行と社員による意思決定の質とスピードの最大化に貢献する」です。部は2課体制で、アナリティクス1課(課長:杉山)は「データ分析の高度化」、アナリティクス2課は「データ分析の民主化」を大きな役割としています。具体的には1課はAIや外部データの活用による顧客理解の深化、2課は各部門が自らデータを活用できるよう支援する役割を担っています。

ソニー銀行株式会社 データアナリティクス部の伊達 修部長

杉山課長 :
アナリティクス1課では、マーケティングを中心としたAI活用を推進しており、最近では業務効率化へのAI活用も模索しています。外部データの活用では、マクロミル様と連携し、銀行の取引データだけでは把握できない顧客の趣味嗜好や意識データを取り入れることで、顧客理解の解像度を高め、パーソナライズされたマーケティングを目指しています。

ソニー銀行株式会社 データアナリティクス部 アナリティクス1課の杉山 陽祐課長

出越マネージャー:
アナリティクス1課でAI利活用推進を担当しています。銀行データでは顧客の「行動の結果」は見えても、「行動の背景」は見えづらいと感じています。趣味嗜好や関心といった情報を活用することで個々の顧客に対して仮説を立て、より効果的なアプローチが可能になると考えています。銀行データだけでは捉えきれない個人の多様性を分析やマーケティングに活かしたいと思っています。

ソニー銀行株式会社 データアナリティクス部 アナリティクス1課の出越 陽マネージャー

データ活用の両輪である「高度化」と「民主化」

マクロミル原田:
データ分析の「高度化」と「民主化」という異なる方向性のお話がありましたが、ソニー銀行様の中で、それぞれどのような期待を背負っていらっしゃるのか、ぜひ教えてください。

伊達部長:
データアナリティクス部が設立される前は、過去の経験により施策が実施されることが多く、データに基づいた意思決定が十分に行われていない状況でした。そこで、過去の取引情報などを活用して、より根拠のある意思決定を行うことを目的として、当部が設立されました。社内の分析業務は中央集権的に当部に集約され、各部からの依頼に応じて分析結果を返し各部は分析結果から施策を企画する流れが定着しました。ただ、そうした中央集権的な運用を続ける中で各部のデータに関する知見やノウハウが徐々に失われてしまうという課題も見えてきました。現在は各部が自ら分析できるような環境整備、人材育成を進めており、我々に期待されている重要な役割となっています。

マクロミル原田:
とても興味深いです。一般的な企業では、そもそもデータ分析ができる人材が不足している中で、ソニー銀行様は非常に先進的な取り組みをされていると感じました。今のお話を伺って、アナリティクス1課と2課の役割は連携しているように思いました。

出越マネージャー:
私は「高度化」を担当していますが、「民主化」とは切り離せない関係だと感じています。簡単な分析依頼ばかりが集中すると、高度な分析に割くリソースが不足してしまいます。当部はデータ分析業務において社内で100歩前に進む必要がありますが、各部での分析も一歩ずつ進まないと全体としてデータ利活用は拡大していきません。民主化が進まなければAIにも関心を持ってもらえません。

伊達部長:
理想的には、各部からも「AIを使ってこのような分析をしたい」という依頼が来るようになると、会社としてデータ利活用の高度化が大きく前進するはずです。現状では、「AIで何ができるか」という啓蒙活動も行っています。全社的に分析やAIの民主化が進み、AIを活用した分析依頼が増えていけば、我々自身もスキルアップできますし、会社全体としてもデータ利活用の高度化が一歩ずつ前進していけると考えています。

提案型組織を支えるカルチャー

マクロミル原田:
これまでのお話を伺って、非常にプロアクティブなチームという印象を受けました。営業やマーケティングに対して「提案型」で動かれているように感じますが、実際はいかがでしょうか?

杉山課長 :
データに基づいた施策の提言をしています。情報が集まる立場にあるので、部署間の情報共有や成功事例の展開など、情報のハブとしての役割も担っています。

伊達部長:
杉山も私も、マーケティングや経営企画など様々な部署を経験してきたので、現場の課題や思考を肌感覚で理解できる部分があり、分析提案にも活かせています。

マクロミル原田:
そうした経験とデータドリブンな視点があるからこそ、的確なアドバイスができるのですね。ところで、御社のチャレンジングな姿勢は、どこから生まれるのでしょうか。

伊達部長:
ボトムアップの文化が根付いていることが理由の一つだと考えています。トップダウンではなく、ボトムアップで「こういうことをやりたい」と提案すると「やってみよう」という会話はよく見られる光景です。

なぜマクロミルとのPoCにチャレンジいただけたのか?

マクロミル原田:
行動ログ分析チームとマーケティングリサーチチームが分かれている企業が多い中で、意識データの活用に前向きな姿勢を示していただいたことに感謝しております。なぜPoCにチャレンジしていただけたのかをぜひ伺いたいです。

マクロミル上田:
また、銀行業界では、過去の取引実績や他社事例が重視される傾向がある中で、今回の取り組みに至った背景をぜひ教えていただきたいです。

杉山課長 :
社内では「顧客360度ビュー」という、顧客理解をデータで深めるという試みがあり、社内データだけでは把握できない顧客の趣味嗜好や意識を補完するために、外部データの連携が必要だと考えておりました。「顧客360度ビュー」は、マスマーケティングから顧客ごとのマーケティングへのシフトを背景に始まりました。取引データだけでなく、価値観や意識といったデータも必要とされていたのです。

伊達部長:
PoCにはソニーグループとのデータ連携の可能性も背景にありました。グループ間データ連携には、システム・法的課題もあります。今回、当社とマクロミル様との取り組みの中で、法的整理でも新たな知見が得られました。PoCで具体的にデータ連携が実現できたことは非常に大きな成果だと感じています。

「ファミリーアプローチ」をとる理由

マクロミル上田:
多くの金融機関では富裕層を中心にアプローチする傾向がある中で、今回のPoCでは「ファミリーアプローチ」という観点もいただきました。なぜそのような戦略を選ばれたのかを伺いたいです。

伊達部長:
この戦略はソニーフィナンシャルグループ全体の方針にも沿ったものです。顧客のライフステージに応じてグループ各社がサポートできるよう、「家族」というセグメントが重要視されました。家族向けの商品開発とデータ活用のために、マクロミル様にご協力いただきました。フィナンシャルグループ全体としては「グループライフタイムバリュー」の最大化を目指しており、「ファミリーアプローチ」はその一環となります。

自社でのクラスタリングへの取り組み

マクロミル上田:
金融機関ではクラスタリングに懐疑的な企業が多い中、御社がクラスタリングに取り組まれている背景について伺いたいです。

伊達部長:
機械的にクラスタリングされた情報について社内での説明が難しい点が課題です。ただし、家族や住宅ローン顧客など明確なビジネスセグメントをクラスタとして捉え、ライフタイムバリューを高めるための分析は有効だと考えています。

杉山課長 :
クラスタリングを営業施策に活かすには各部での理解度が重要だと考えています。理解度が低い状況では施策評価が難しく、現状では納得感のあるアウトプットが出せていません。顧客の趣味嗜好を含む外部データを活用することで各部への理解を深めたいところです。

マクロミル原田:
最終的には使う側の視点に立ったアウトプットが重要だとわかりました。今回のPoCで意識データを掛け合わせることで、納得感のある結果や新たな気づきが得られるようにしたいです。

ソニー銀行 データアナリティクス部が、マクロミル CRM/CX事業ユニットと一緒に行った意識データ活用PoCの詳細は、12月5日(金)のマクロミルカンファレンスにてお話いただきます。ご興味ある方は、ぜひご登録およびご視聴のほどよろしくお願いいたします。

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ソニー銀行 データアナリティクス部長登壇!事例を通じて、 One to Oneマーケティングの実現に向けた取り組みと、顧客理解の“解像度”がどう変わったのかをリアルにお伝えします。

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