新商品コンセプト調査でマーケティング戦略等が明確化。売り上げ絶好調な人気商品の誕生へ

業界・業種
家電・電機

2023/10/24(火)

パナソニック株式会社様

エアコンや洗濯機などといった白物家電分野をはじめ、照明器具・配線器具などの住宅設備分野や、リチウムイオン二次電池などの車載分野などに重点を置く。

抱えていた課題
  • 新商品「ラムダッシュ パームイン」でコンセプト調査(受容性調査)を行いたい
目的
  • 商品販売に向け今後の施策の示唆を得たい
成果
  • インタビュー調査をもとに商品戦略とマーケティング戦略の方向性が決定
シェーバー事業を長年展開され、2023年9月に「ラムダッシュ パームイン」(以下、パームインシェーバーと称する)を発売されたパナソニック株式会社様。今回はビューティ・パーソナルケア事業部パーソナル国内マーケティング課主幹の山本健司様、同じくパーソナル国内マーケティング課の田中亨様、メンズグルーミング商品企画課主務の北村友資様にマクロミルで行ったコンセプト調査についてお話を伺いました。

新しいシェーバー文化の創造へ

―今回手のひらに収まる「パームインシェーバー」という新しい商品を作った背景について教えてください

パームインシェーバーは今までのシェーバーの進化の方向性とは異なる切り口になっています。これまで弊社は70年近くシェーバー事業を展開しているのですが、刃の枚数だけ見ても1枚刃から始まり、今では最大6枚刃にまで進化を遂げました。このような機能進化を進めていくと共に、電動シェーバーでの深剃りやスキンケアシェーバーといった新しいシェービング文化を提供することに強い意義と誇りを持ってシェーバー事業に携わってきました。

しかし昨今、成熟したシェーバー市場において、機能については、すでにお客様の満足度も高い状態にありました。そこで我々は、シェーバーとして新たな価値の定義付けを行うフェーズであると考えるに至りました。今回の商品ではシェービングの行為や機器自体をもっとポジティブにすることをテーマとしています。

技術観点で言えば、弊社のシェーバーは高速かつ小型でパワフルなリニアモーター(※)がヘッドに搭載されており、パームインシェーバーの形にしやすかったという基盤がありました。一般的なシェーバーでは、ヘッドではなく手で持つ部分にモーターが搭載されることが多い中、このような技術的アドバンテージを生かしてもっとコンパクトなものはできないかという思想もありました。

そういった背景から、パームインシェーバーは5枚刃というシェーバーとしての機能価値を持ちながら、同時に心に訴えかける感性価値という両面を兼ね備えた全く新しいシェーバーを生み出したいという思いで企画をスタートしました。

  • 回転運動ではなく直線運動で刃が左右に動くタイプのモーター。

ペルソナ再定義によるマーケティング施策明確化

―今回マクロミルへご相談いただいた経緯についてお聞かせください

弊社の商品企画担当がカテゴリー問わず長期にわたってマクロミルさんへお世話になっていたのがきっかけです。私自身も以前別の調査に関わった際に、モニタの量、質と、リサーチャー、モデレーター、営業の方の仕事のプロセスやクオリティに非常に満足していました。また、営業やモデレーターの方がパナソニックの経営方針や商品戦略をはじめ、担当商品についての理解が深く、プロジェクトをトラブルなく円滑に進めていただけたことが印象的でした。

当プロジェクトはかなり大規模な調査依頼となることが想定され、私が調査の企画をメインで進めるのは初めてだったということもあり、迷うことなくマクロミルさんにお願いしました。

―ありがとうございます。インタビュー調査を経てどのような示唆を得られたでしょうか?

まず我々はペルソナを、①30~40代リッチおしゃれ層、②20~30代おしゃれ層、③50~60代エグゼクティブビジネス層の3グループに分け、それぞれの層に該当するマクロミルモニタを集めて調査を行っていただきました。調査前の仮説では、最もお金にゆとりがあるエグゼクティブビジネス層が購入してくれるのではないかと思っていたのですが、そういった方もお金の使い方にルールがあり、お金に余裕があるという理由で容易に購入はしないことがわかりました。反応が良かったのが30~40代のリッチおしゃれ層でした。良いものを選びたいという購買意欲が高く、パームインシェーバーが目指した世界観との親和性が高かったためです。これはインタビューをしてみなければ分からなかった予想外の発見でした。

インタビューをしていく中で「この方の場合、商品のこの特長が琴線に触れるのか」ということが分かってペルソナの中身がより鮮明になり、ターゲット層の輪郭を改めて定義することができました。

また、調査の結果、パームインシェーバーはもっと分かりやすく「良いもの」であるという定義付けを進めないと、レイトマジョリティ層にとって、魅力的に感じづらいということも見えてきました。今回のような未知の商品については反応が目まぐるしく変わります。インタビューを受けた方が商品を「とても良い」と感じたとしても、インタビュー時の質問順や受け答えのラリーを変えるだけで商品に対する解釈が変わり、全く違う結果になることもありました。

加えて、ネガティブなご意見があったからこそ、信じて進めて良いことと、軌道修正しないといけないことが明確になり、今後のオフライン施策への軌道修正の参考にもなりました。

シェーバーは日用品のため、あまり冒険せずに今使っている同じメーカーを買い続ける傾向にあります。ただ、今回のインタビューでは、弊社の商品をすでに使っている方もそうではない方も、買い替えの際に検討してみたい!と回答いただける方が多くいらっしゃいました。パームインシェーバーのようにメーカーありきではなく、機能価値と感性価値の両立により新しい商品選定基準を提供できる可能性があることが分かったため、今後の商品開発においても新たな示唆を得ることができました。

曖昧な課題感の中からインサイトを引き出す力

―今後やってみたいことや展望についてのメッセージと、同じように商品企画においてインタビュー調査を検討している他社に向けてアドバイスなどがあればお聞かせください

パームインシェーバーの調査は規模が大きく、我々としても曖昧な課題感を抱えていたのですが、マクロミルさんに要望や課題点を全て汲み取っていただき、インタビュー調査に反映いただきました。マクロミルさんはたくさんの人(モニタ)を集めることができるだけでなく、その人たちの年齢、職業、趣味嗜好など様々な情報も持っているので、世の中の大きな流れや情報の深さを見ることができます。自分たちが信じた仮説が正しいのか正しくないのかを定性的に見られる調査を組むことができたのは、マクロミルさんによる最適なインタビュー手法の提案やインサイトを引き出す力があったからこそなので、相談ベースでもお願いしてみると良いと思います。

パームインシェーバーの売上はおかげさまで絶好調です。今後は、パームインシェーバーの購入者はどういう方なのか、パームインシェーバーというカテゴリー事業を今までの既存事業とどう住み分けしていくのかなど、パームインシェーバーの可能性を広げていくフェーズになっているので、ぜひそのあたりも継続してお手伝いしていただけると嬉しいです。

ビューティ・パーソナルケア事業部パーソナル国内マーケティング課 田中亨様、主幹 山本健司様、メンズグルーミング商品企画課 主務 北村友資様

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