【調査活用事例ー開発から販売まで一括支援】前例のない『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』の調査は、“マクロミルだから”一緒にできた

業界・業種
食品・飲料

2021/5/12(水)

アサヒビール株式会社様

「お客様にワクワク感のあるブランド価値を提供すること」を戦略として掲げるアサヒビール株式会社様(以下アサヒビール)。2021年4月、看板商品である『アサヒスーパードライ』に新たに加わった『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』は、缶の蓋をフルオープンでき、開栓するときめ細かい泡が発生し、飲食店のジョッキで飲むかのような味わいが楽しめる“日本初”※の商品で、発売前から大きな話題を集めました。
この『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』の開発から販売に至るまでの調査をマクロミルにて実施いただいています。“日本初”のこれまでにない商品であったことから、試行錯誤しながら進めていった一連の調査について、アサヒビール ビールマーケティング部 ブランドマネージャーの中島様と、マクロミルで調査を担当したプロジェクトメンバーにお話をお伺いしました。

※フルオープンかつ自然発泡する缶を用いた日本初の商品。(2020年9月Mintel社製品データベース及びアサヒビール調べ)

アサヒビール株式会社

ビールマーケティング部
ブランドマネージャー
中島健

※以下敬称略

株式会社マクロミル

第2事業本部 第1セールス&リサーチ部セールスユニット
波間朱莉/営業担当

株式会社マクロミル

同事業本部 第2セールス&リサーチ部 第2リサーチソリューションU
三浦健一
/リサーチャー

株式会社マクロミル

同事業本部 第2セールス&リサーチ部 第2リサーチソリューションU
小川勇也
/リサーチャー

新発売された『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』

ワクワクする商品のあり方をマクロミルと一緒に考えた

― 『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』は、発売前から非常に注目を集めていましたね。今回販売に至るまで計15回におよぶ一連の調査をマクロミルにご依頼いただいていますが、どのような調査を実施されたのでしょうか。

中島:
『生ジョッキ缶』の調査は、本当にお客様にとってこの商品が魅力的なのかどうか、実際に商品を体験いただき商品評価をいただくデプスインタビューなどの定性調査から、パッケージやネーミング、訴求コピーなどを調査する定量調査まで、幅広くお手伝いいただきました。改めて、こんなに調査をやってきていたんだなと。
アサヒビールは、お客様をワクワクさせて、お酒の良いところ、例えば、お酒を飲むことでコミュニケーションが活発になるだとか、本音で話をして人と人との距離が近づくだとか、こういったお酒のポジティブな面を、商品を通じて提供していくことを掲げています。その中で、あまりお酒に興味がない方にも商品を手にとってもらうためには、お客様のインサイトをしっかり捉え、それを反映した商品を提供できないと、お酒の価値は感じてもらえないと考えています。
マクロミルとは、かなり数多く調査をしてきましたが、「本当にワクワクしてくれるのか」というお客様のインサイトを捉えた商品を開発していくためには、これだけの調査が必要だったということだと思いますね。

※対象者とモデレーターが1対1でインタビューする調査手法

― 今回の一連の調査で、重要視したことはあるでしょうか。

中島:
お客様が、心の底から本当に買いたいと思っているかどうかをすごく重要視しましたね。元々マクロミルとは、定量調査を依頼することが多かったのですが、この商品では定性調査を多く一緒にやらせていただいたと認識しています。定量的にみんなが評価してくれるよりも、一人でもいいので、「お酒に全く興味なかったけど、これからこの商品を友達に勧めます!」って言ってくれるような、ワクワクする商品のあり方をマクロミルと一緒に、手探り状態のところからお手伝いいただいたと思います。これは、これまでの他の商品の調査とは異なる点ですね。

三浦:
定量調査をするときに苦労したのが、世の中に無い商品なので、缶の蓋がパカっと全部開いて泡が出たり、どのくらい泡が出て、その泡がどのくらい細やかなのか、などが文章だけではなかなか伝わらない点なんですよね。この商品の価値をきちんと伝えた上で、どのような反応をするのかは、定性調査しかないなと。
実際にデプスインタビューをやってみたら、サクラじゃないかって思うくらいすごい反応で、あんなにモニターの方が感動される定性調査は初めてでした。新しい価値をちゃんと確認できたっていうのは、すごく大きな成果だと思います。アサヒビールも、我々マクロミルの調査担当者も“これいけるぞ!”とテンションがあがった出来事でした。

缶の蓋をフルオープンでき、開栓すると、きめ細かい泡が発生する

この商品は絶対に売れる。ターニングポイントとなったデプスインタビュー

― 定性調査を重要視された中で、印象に残った調査はありますか。

中島:
今、三浦さんが話してくれた2回目のデプスインタビューは、本当に感動レベルだったんです。予定には無かったのですが、それを急遽VTRにして、経営陣や全国の営業担当にも見せましたよ。こんなことをしたのは初めてです。そのデプスインタビューが、“この商品は絶対に売れる”という確信が持てたのと同時に、課題が明確になった調査でもありました。

デプスインタビューでは、モニターの方から、「缶なのに泡が出てごくごく飲める」「全部蓋が開くからいい香りがするね」という物理的な特徴を褒めていただけただけでなく、「ワクワクする」「テンションあがるね、これ!」「普段はビール飲まないけど、これは楽しい」といった、情緒的な言葉を発していただいたんですよね。過去の調査でこういった瞬間に立ち会えたことは、これまでほとんど無かったです。この言葉を自分の目の前で言っていただいているのを見ることができ、売れるという確信に繋がりました。

また、その当時はまだ開発途中だったため、泡が弱かったり、どのくらい泡が吹きこぼれるのか分からなかったり、最適な泡の出方についての課題も明確になりました。モニターの方からは、蓋を開けて、金色のビールの液面から白く泡が出てくる瞬間に先ほどの言葉が出てきていたため、泡の出方や出る量は、開発サイドにはかなり要望を出しましたね。実は、発売直前まで工場での調整は続きました。発売直前って、いつもなら僕は少し楽になるはずなんですけど、この商品は経営会議に通してからの方が大変で、全然楽にならない(笑)。そのくらい商品が未完成だったんです。他に例のない商品なので、何が完成かも分からない。その中で、その基準を作れたのがまさにこの時のデプスインタビューで、ターニングポイントとなった調査でした。

波間:
新商品の場合、その新規性から調査対象であるモニターの方に「買いたいです」と答えていただくことが多いのですが、この商品に関しては、“本当に絶対買っていただけるだろうな”というのがモニターの方の表情や身振り手振りで分かったんです。モニターの方の想いが本当に強く伝わってきて、この感動をちゃんと消費者に伝えないといけない、本当にみんなに飲んでもらいたいと本気で思いましたね。

小川:
このデプスインタビューはかなり反応が良くて、印象に残ってますね。この商品は絶対ヒットするなって自信から確信に変わりました。

デプスインタビューの様子

信頼を寄せるマクロミルに相談して調査が始まった

― 今回、マクロミルに調査を依頼いただいた理由を教えていただけますか。

中島:
「マクロミルだから」ですね(笑)。
本当に手探りの商品で、僕自身も中身は同じで容器が新しいっていう商品はあまりやったことがなくて。従来のやり方は、定量調査で購入意向をみながら定性調査を行っていくというものなのですが、それではダメなんだろうなと。三浦さんがお話してくれたように、定量調査で「泡が発生するスーパードライです」って文章で見ても、この感動は伝わらないんだろうなとも思いました。商品もまだ出来ていない中で、本当に売れるのかを確かめるやり方がまず思いつかなかったですね。なので、一緒にそれを考えて欲しいって思ったときに、マクロミルを選びました。長くご一緒させていただいていることもあり、そこの信頼が一番大きいと思いますね。

― 信頼いただけて、嬉しく思います!調査はどのように進められたのでしょうか。

中島:
試作段階ですが、まず商品を作って、1回目のデプスインタビューを実施しました。マクロミルに、試作の実物を見ていただきながら、どんな風に質問するのが良いのか相談させてもらうところから始めました。
デプスインタビューをはじめ、調査では消費者の需要性、驚きを確認して、本当にニーズがあるかどうかを何度も何度も確認しました。というのも、この商品は“缶”が新しいので、まずは缶を作るための設備を作らなければならなかったんですよね。この設備を作るのに大きな費用もかかりますし、「本当に売れます」って怖くて言えないですよね。なので、本当に消費者のニーズをつかめているのか、何度も確認する必要があったんです。いきなり定量調査を実施して、「なんとなくニーズとしては中の上くらいだから開発スタートしよう」というようなスタートではなかったですね。

多くの情報を共有いただき、チームが一体となり取り組めた

― 特にこの商品は、消費者ニーズがあるのか確認する必要があったのですね。
これまでにない商品で、調査で苦労されたこともあったのではないでしょうか。

中島:
そうですね。手探りの部分がかなり多く、開発プロセスも違いますし、通常実施する調査の順番も違う。例えばパッケージ調査に関しても、画だけ並べても蓋がフルオープンすることは気づかないだろうから、どこまで情報提供するのかなど、本当に細かいところから広いところまで、考えなくてはならないことが多かったです。規定フォーマットに流し込むだけの調査は今回少なくて、調査票の提示の仕方や順番など、そういった一つ一つを詰める必要がありました。マクロミルとはディスカッションを重ね、本当に丁寧な対応をしてもらいました。そういうところを信頼してお願いした、というのがスタートにありましたが、それにまさに応えていただいて、商品を一緒に作り上げていったという感覚がありますね。

小川:
すごく褒めてくださって・・・(笑)。
最初は大変でしたね。大変だったのですが、やり取りしていく中で、中島さんが「今求めていること」を考え、提案していくようにしました。それに対して中島さんからもフィードバックいただいて、フランクにお話いただけたので、設計、分析、報告書作成など、スムーズに進めることができました。

波間:
調査はまだ終わっていませんが、全体通してすごく楽しかったと感じています。関わっていく中で、私自身もすごくワクワクした商品ですし、実際に飲ませていただいたときの感動も覚えています。中島さんから色々と共有いただきながら、アサヒビール様担当チームが一体となって作り上げることができたと感じています。チームメンバーは、自ら調べて商品に関する情報をキャッチアップし、共有してくれていました。

小川:
パッケージ調査のときも、メンバーから「私はこのパッケージが好きです」という意見が沢山出てきて、盛り上がっていましたね!

三浦:
我々が請け負う調査では、開発から販売までの一部分を依頼いただくことも多いのですが、この商品は一連の調査にずっと携わらせていただきました。中島さんから一緒に作り上げたと評価いただきましたが、中島さんが社内のプレゼンや承認タイミングなどを共有してくれたので、そこに向けてやっていくことを社内の共通認識として進められたと思いますね。我々も、一緒に携わって作ることができたことを嬉しく思います。

中島:
次に何をやらなければならないのか、何を証明しなければならないのか、開発の中でどういうステータスなのか、どれくらいの熱量の商品なのかって、分かっていただいた方が良いと思うんですよね。でもそれはもちろん、お互いの信頼があって、マクロミルには色々お話しています。ベースに人間関係の近さがあるから、色々コミュニケーションをとれていると思いますね。

三浦:
今回、コロナ禍での調査となり、オンラインで打ち合わせすることがほとんどでしたが、元々の信頼関係があったので、オンラインでも以前と同じようにやれたのかなと思います。

波間:
私は2020年4月から担当したので、実は中島さんとは数回しか直接お会いしていないんです。それでもコミュニケーションがとれているのは、中島さんが普段から色々お話しいただいているおかげだなと。

中島:
やっぱり「マクロミルだから」ですね(笑)。

― ありがとうございます!
最後に、今後マクロミルに期待することがあれば、教えてください。

中島:
マクロミルは相談できるパートナーです。今後もこういった新商品が出てきた場合には、検証の仕方から相談したいですね。いつもと同じ聞き方をしているだけじゃいけないと思いますし、お客様のインサイトをどう把握するのか、どう掘り下げていくのか、一回の定性調査じゃ分からないこともあると思うので。マクロミルに助けてもらいながら、またゼロベースからの相談に協力いただきたい、そんな風に思っています。

波間:
ありがとうございます!この商品は発売後も購入いただける方を増やしていくべきですし、増えていくはずの商品だと思っているので、さらに加速度高く、マクロミルとしてできることを考えながら取り組んでいきたいという想いがより強まりました。

小川:
今僕たちができることを全力でやっていきたいですね。

三浦:
この商品がまさにそうですが、今までの考え方でやってきたら、生まれないものってあると思うんですよね。いい意味でこれまでの型を壊しながらやっていきたいなと。新しい型、新しい視点を常に提案していきたいなと身が引き締まりました。これからもよろしくお願いします。

― 本日はありがとうございました。

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