
まだ寒さが厳しい2月。体調管理や感染症対策への意識が高まるこの時期、「免疫ケア」などを目的とした食品・飲料への関心は一層高まっています。特に乳酸菌飲料は、手軽な健康維持の手段として、多くの方の日常に浸透していることでしょう。
直近2022年以降の度重なる値上げにより商品購入にも慎重になる傾向が見られる中、乳酸菌飲料市場については2021年と比較しても高水準の市場規模を維持している状況です*。
本記事では、乳酸菌飲料市場の主だった商品を「睡眠改善」や「免疫ケア」等の商品訴求タイプ別に振り分け、直近2025年までの乳酸菌飲料市場の動向を分析します。
*1-1.市場推移より
- 1. 「乳酸菌飲料市場」の動向
- 1-1.直近8年間の市場推移とシェア構造
- 1-2.好不調の要因分析
- 1-3.月次トレンドで見る季節変動状況
- 2.「乳酸菌飲料市場」のユーザーの動向
- 2-1.訴求タイプ別の現在の購入層
- 2-2.訴求タイプ別の購入層の変化
- 3.まとめ
※本レポートで使用するグラフはすべて購買履歴データQPRの分析データを基にしております
※乳酸菌飲料は「乳酸・乳酸菌飲料、ヨーグルトテイスト飲料、ドリンクヨーグルト」を総称
※乳酸菌飲料市場の主だったアイテムを以下7つの特性に振り分けて分析
嗜好品・リフレッシュ/幼児用栄養補給/免疫ケア・体調管理/特定部位・疾患リスク対策/整腸・腸内環境改善/睡眠改善/栄養補給
1. 「乳酸菌飲料市場」の動向
1-1.直近8年間の市場推移とシェア構造
次のグラフは乳酸菌飲料市場全体と訴求タイプ別の市場規模(100人あたり購入金額)の8年間の推移を年次で示しています。

乳酸菌飲料市場全体の市場規模は2020年を機に伸長。「免疫ケア・体調管理」の伸長が牽引。
コロナ禍の影響も考えられます。
2021年~2023年、「睡眠改善」の台頭で市場全体は大きく成長、「免疫ケア」はやや縮小。
2025年は「睡眠改善」が少し縮小し、市場全体もやや縮小する結果となりました。
「免疫ケア・体調管理」については、2024年から再度伸び始め、2025年には2020年の水準まで回復しました。従来、市場のメインであった「整腸・腸内環境改善」は2023年より縮小を続け、2025年には「免疫ケア・体調管理」と逆転する形となりました。
次のグラフは訴求タイプ別の8年間の購入金額のシェアの推移を示しています。

各訴求タイプ別に以下変動が起こっています。
- 「睡眠改善」
2021年から市場に表れ始め、2024年には20.66%まで伸長しました。
2025年には少し微減するものの14.91%のシェアを占めています。
- 「整腸・腸内環境改善」
2018年の36.72%から2025年は22.57%にシェアが縮小しました。
- 「免疫ケア」
2018年の21.20%から2020年には24.26%と拡大しました。
その後縮小するものの、2025年に復調し23.05%のシェアを占めています。
1-2. 好不調の要因分析
次のグラフは乳酸菌飲料市場の直近5年の市場構造を訴求タイプ別に示しています。
1-1にて、直近「免疫ケア・体調管理」は伸長傾向であるものの、「睡眠改善」「整腸・腸内環境改善」については減少傾向であることがわかりました。その要因を確認します。


各商品訴求タイプは、それぞれ以下の結果となりました。
- 「免役ケア・体調管理」
2024年から2025年で購入者あたり購入金額、購入率ともに増加しており、平均金額も増加していることから、金額的な購入負荷が高まっても購入されている状況が想定されます。
- 「整腸・腸内環境改善」
2023年から購入率の減少が著しく、市場規模減少の要因として考えられます。
- 「睡眠改善」
2024年から2025年で購入者あたり購入金額、購入率ともに減少傾向。購入者あたり購入金額を細分化してみていくと、購入者あたり購入回数の減少が著しく、定期的な飲用率が下がっていることも要因の一つとして考えられます。
1-3.月次トレンドで見る季節変動状況
次のグラフでは乳酸菌飲料市場全体と訴求タイプ別の市場規模 (100人あたり購入金額)の3年間の月次推移から季節性の変動を確認します。

- 「嗜好品・リフレッシュ」
7-8月と夏場に購入量が増加。
- 「免役ケア・体調管理」
11-1月にかけて購入量が増加。3月までは高い水準を維持。インフルエンザやコロナウイルスなどの感染症の流行時期が要因と考えられる。免疫ケアアイテムはその時期だけ体調管理のために飲む人が存在することも可能性の一つとして考えられる。
- 「整腸・腸内環境」
3月、12月に購入量が増加。感染症の流行時期とも被るため、流行による健康意識の高まりによって購入されるようになるといった状況も考えられる。
- 「睡眠改善」
全体的に市場規模が減少傾向。他のタイプのように、特定の時期に購入量が伸びるといった季節の傾向が少ない。
ここまでの結果から「乳酸菌飲料市場」全体の市場規模は、2020年以降伸長し、微減・横ばいあるものの高水準の位置を維持していることがわかりました。直近では「免疫ケア・体調管理」が伸長しており、その他商品訴求タイプについては減少・横ばい傾向であることがわかりました。
次章では市場規模の増減等、動きが大きかった「免疫ケア・体調管理」「整腸・腸内環境改善」「睡眠改善」に着目し、ユーザー動向を確認していきます。
2.「乳酸菌飲料市場」のユーザーの動向
2-1. 訴求タイプ別の現在の購入層
次のグラフは乳酸菌飲料市場全体、訴求タイプ別の2025年購入者の性年代別の金額構成比を示しています。
■性年代別

- 市場全体は女性50代以上に支えられており、男性シニア層の構成比率も高い。
モニタ構成と比較しても、これらの層は高い比率となる。 - 「整腸・腸内環境改善」についてはその他のタイプと比較して女性40代以上の構成比率が高い。
- 「睡眠改善」についてはその他のタイプと比較して、男性比率が高く男女比率が半々となり、特に男性70歳以上の比率が高い。
2-2. 訴求タイプ別の購入層の変化
次のグラフは、訴求タイプ別に市場規模が大きく増減した時期に着目し、どの性年代層の購入が変化したのか、100人あたり購入金額の推移を確認しています。
※数値は各性年代層のモニタ100人分の購入金額となります。市場の規模をそのまま表しているわけではありません。
■「免疫ケア・体調管理」(2023年以降市場規模が増加傾向)
- 性年代別

年代が上がるほど、購入金額が高くなる傾向にあります。 2023年から2025年にかけて特に伸長したのは、男性60代(+30,570円)をはじめ、女性30代(+18,924円)、50代(+17,494円)、70代(+16,628円)でした。
- 末子年齢、ライフステージ別

2023年から2025年で購入金額が特に増加したのは、同居家族内の末子が中学生(+38,832円)、高校生(+14,221円)である家庭となり、受験などのイベントとの関連性も考えられます。また、末子が未就学児の家庭(+33,188円)でも増加が確認されました。

ライフステージ別のグラフから、女性・男性DEWKS(+27,160円・+23,490円)の層でも増加していることが分かりました。末子年齢別のグラフで確認された未就学児の子供を持つ家庭での増加傾向とあわせて考えると、共働きで仕事もある中、感染症などに比較的かかりやすい未就学児がいる家庭では免疫ケア対策のニーズの高まりがあることも可能性の一つとして考えられます。
■「整腸・腸内環境改善」(2023年以降市場規模が減少傾向)

2023年から2025年では、ほぼすべての年代で購入金額が下がっていますが、男女ともに最も購入金額の高い70代以上の購入金額の減少(男性:-42,229円、女性:-49,003円)が著しく、市場規模減少の要因になっていることがわかります。
■「睡眠改善」(2021年~2023年で市場規模が増加、2024年以降減少傾向)

2021年~2023年では全体的に購入金額が増加しており、特に男性70代以上(+143,897円)・女性50代以上(50代:+94,560円、60代:+120,359円、70代:+129,431円)が大きく増加する結果となりました。
その後女性は2023年、男性は2024年をピークに減少傾向に入り、特に男女ともに40代以上の減少が大きい結果となりました。
3.まとめ
- 市場全体の動向
乳酸菌飲料市場は2020年のコロナ禍を機に免疫ケアへの意識の高まりもあってか、大きく伸長しました 。
2021年から2023年にかけては「睡眠改善」商品の台頭により、さらに市場が拡大しました。
2025年は睡眠改善の勢いが落ち着いたことで全体の市場規模もやや縮小に転じているものの、2021年と比較しても高水準の市場規模を維持している状況です。
- 訴求タイプ別の変遷
長年市場のメインであった「整腸・腸内環境改善」は2023年よりシェアを縮小し続けています。一方で「免疫ケア・体調管理」は2024年から再度伸び始め、2025年には「整腸」のシェアを逆転する形となりました。「睡眠改善」は2023年まで大きな伸長をしていましたが、2025年には購入回数の減少などにより減少傾向にあります。
- 訴求タイプ別ユーザー層の特徴、変化
市場全体は50代以上の女性や男性シニア層に強く支えられていますが 、訴求タイプごとに特徴が見られました。
「睡眠改善」は女性だけでなく男性の構成比率(特に男性70代)が高いのが特徴です。
一方で、近年伸長している「免疫ケア」は、共働きで感染症対策ニーズが高いとも考えられるDEWKS層や、受験等のイベントを控えた中高生の子供がいる世帯での購入金額が大きく伸びています。
- 今後の展望と課題
値上げによる購入負荷が高まる中でも、「免疫ケア」は購入率・購入金額ともに増加しており、健康維持への強い意欲がうかがえます。一方で、一時期ブームとなった「睡眠改善」は定期的な飲用(購入回数)の低下が市場縮小の要因となっており 、今後は習慣的な飲用をいかに定着させるかが市場維持のカギの一つになると考えられます。
著者の紹介
株式会社マクロミル 第2事業本部 アカウントマネジメント部 パネルデータビジネスユニット カスタマーサクセスグループ
谷上 菜々子
購買履歴データ「QPR」の営業として配属後、カスタマーサクセスグループへ異動。年間契約企業様へのQPR利活用促進業務に加え、データ集計業務を担当する。購買データを軸に幅広い業務領域に従事する。
