購買データ分析の進め方を説明!どこから手を付けるべき?効率的な分析の進め方を紹介【購買データの基礎知識 第4 回】

2025/6/19(木)

第2回では購買データの分析ステップについて、第3回では集計データから傾向を読み解くコツについてお伝えしました。そして第4回となる今回は、「購買データ分析の進め方のコツ」をご紹介します。膨大なデータを前にすると、どのように分析を進めるべきか迷うこともあるでしょう。本コラムでは、意思決定に必要なデータ分析を効率的に進めるための4つの重要なポイントを解説します。

1. データ分析の前に「仮説の洗い出し」を行う

【図1】一般的なデータ活用のステップ

データ分析を始める際に、闇雲にシステムからデータを抽出して変動や特徴がないかを確認するのは非効率的です。膨大な情報の中から必要なデータを見つけ出すためには、事前に「仮説の洗い出し」を行うことが重要です。仮説とは、「このブランドの縮小の要因は何か」「このデータを分析すれば、こうした傾向が見えるのではないか」といった予測のことです。例えば、「自社商品の不調はメインターゲット層である20代女性の売上減少が原因ではないか」という仮説を立てることで、分析の方向性が明確になります。購買データを使って仮説を検証することで実態を理解し、改善アクションを検討することが、データ活用の基本的なステップとなります。

2. 大枠から分析を始めて、段階的に要因を分解する

【図2】データ分析のステップ

データ分析を進める際には、まず全体の概要を把握することが大切です。市場全体の動向や自社・競合の動向など、大枠から分析を始めることで、自社ブランドの好不調がそのブランド特有のものなのか、カテゴリ全体の動向によるものなのかを把握できます。その後、特定の期間や商品、購入者の属性に注目し、自社ブランドの購入傾向や顧客の特徴を深掘りしていきます。
このように、概要を理解してから詳細な分析を行うことで、売上変動の要因を分解し、具体的な改善策を導き出すことが可能になります。

3. 目的に応じて、「グラフ」と「数値(数表)」を活用する

データを分析する際には、分析の目的に応じて「グラフ」と「数値(数表)」を活用します。例えば、時系列の傾向を確認する場合は、グラフを使うことで視覚的に変化を捉えやすくなります。一方で、ブランドなどの項目間の伸び率を比較する場合は、数値を使うことで具体的な差異を明確に把握できます。グラフは全体の流れを把握するのに適しており、数値は詳細な比較や正確な判断をする際に役立ちます。これらを組み合わせることで、データの解釈精度を高め、より深い洞察を得ることができます。

<例1.> 時系列グラフ

時系列の変動がわかりやすい。項目ごとの大小や伸長傾向の比較がしやすい。視覚的に確認できるので、広告などに載せるのも効果的。

【図3】時系列グラフの例(高タンパク食品 カテゴリ別100人あたり購入金額の推移)

<例2.> 2期間の比較数表

伸び率等の精緻な比較がしやすい。

【表1】2期間の比較数表の例(高タンパク食品 カテゴリ別100人あたり購入金額)

4. ツール内の各機能を理解し、分析パターンを活用する

購買データの分析ツールには、時系列分析、購入者分析、業態分析など、さまざまな目的に応じた分析メニューが用意されています。これらの機能を活用することで、より多様な視点からデータを分析することが可能です。第1回で紹介した分析の切り口と組み合わせることで、さらに効率的な分析が実現します。ツール内の各機能を理解し、適切に活用することで、分析の精度と効率を大幅に向上させることができます。以下は、「消費者購買履歴データQPR」の分析メニューの一例です。

【表2】「消費者購買履歴データQPR」で提供する分析メニューの一部

5. まとめ

購買データの分析を効率的に進めるためのコツとして、「仮説の洗い出し」「概要から詳細への掘り下げ」「グラフと数値の活用」「ツールの適切な利用」という4つの視点をご紹介しました。これらを意識することで、膨大な情報を効率的に整理し、適格な分析を行うことが可能になります。第2回の「購買履歴データの分析ステップ」第3回の「集計データから傾向を読み解くコツ」と併せて活用し、購買データを最大限に活かした分析を実践できるでしょう。
データ分析は単なる作業ではなく、課題解決や新たな価値を創造するための重要なプロセスです。本コラムが、皆様の購買データの分析を円滑に進め、ビジネスの意思決定を支援する一助となれば幸いです。

・・・皆様のご参考情報としてご活用ください・・・
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著者の紹介

落合優子

株式会社マクロミル 第2事業本部 アカウントマネジメント部 パネルデータビジネスユニット カスタマーサクセスグループ

落合 優子

中途入社後、「QPR(消費者購買履歴データ)」の集計部に配属。その後カスタマーサクセスグループへ異動。年間契約企業様へのQPR利活用促進業務に加え、データ集計業務を担当する。購買データを軸に幅広い業務領域に従事する。

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