企業が顧客のニーズを把握し、マーケティングや商品開発に活かすためには、ニーズ調査が欠かせません。ニーズ調査とは、顧客が持つ要求や不満などを明らかにするために、意見などを調べる調査です。
本記事では、ニーズ調査の概要や目的、手法、メリット、注意点などを解説します。ニーズ調査の実施を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ニーズ調査とは
ニーズ調査とは、ターゲット顧客が持つ要求や課題を明らかにするために、意見や行動を調べることを言います。企業が顧客のニーズを把握し、マーケティングや商品開発に活かすための重要な手段の一つです。そのため、企業のマーケティング戦略や商品開発において重要な役割を果たします。
ニーズ調査を行う理由
ニーズ調査を行う理由は、大きく分けて以下が挙げられます。
新商品の開発、サービスの改善
ターゲット顧客が抱える課題やニーズを把握することで、ニーズを満たす商品やサービスを開発することが期待できます。
マーケティング戦略の策定
ターゲット顧客のニーズを把握することで、効果的なマーケティング戦略を策定することができます。
ニーズの種類
顧客のニーズは「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」に分けられます。ここでは、それぞれについてご紹介します。
顕在ニーズ
顕在ニーズとは、顧客自身が明確に必要なものがあり、欲しているものが具体化されている状態のことです。
たとえば、
- 健康維持のための運動器具が欲しい
- 容量がいっぱいになったため新しいスマホが欲しい
などが例として挙げられます。
顕在ニーズを持った顧客は、そのニーズを満たす商品やサービスを探しており、購買行動につながる可能性が高いため、企業にとっては重要なターゲットとなります。
潜在ニーズ
潜在ニーズとは、顧客自身が自覚・理解していないニーズのことであり、欲しい商品や、やりたいことが明確になっていない状態です。
たとえば
- 健康になりたい
- 気分転換になる趣味を見つけたい
などが例として挙げられます。
潜在ニーズを持った顧客は、満たす商品やサービスを探していないため、すぐに購買行動につながる可能性は低いです。ただし、潜在ニーズを引き出すことで、新たな顧客への商品価値の提供に繋げることができるでしょう。
ニーズ調査のメリット
では、ニーズ調査には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、メリットをご紹介します。
新商品開発の効率化や効果向上につながる
ニーズ調査によって、ターゲット顧客が抱える課題やニーズを把握することができます。これにより、新商品の開発の方向性を明確にすることができ、開発期間の短縮やコスト削減につながります。
また、顧客に受け入れられやすい商品を開発でき、開発の成功確率を高めることができるでしょう。
商品の品質や性能を向上させるのに役立つ
ニーズ調査によって、顧客の不満や要望を把握できます。これにより、商品の品質や性能を向上させるための改善点を見つけることにつながり、顧客満足度の向上や売上増加につながるでしょう。
また、顧客の期待やニーズを把握することができ、商品の品質や性能を向上させるための新たな可能性を見つけられます。
想定外のニーズに気づける
顧客の意識や行動を深く理解できるニーズ調査では、顧客が自覚していないニーズや、企業が想定していないニーズに気づくことができます。そのため、新たな市場を開拓し、ビジネスチャンスの拡大につながります。
また、顧客の意識や行動の変化を把握することも可能です。顧客の変化に対応した商品やサービスを提供することで、長期的な購買を促すこともできるでしょう。
ニーズ調査の種類
ここでは、「定量調査」と「定性調査」という2つのニーズ調査についてご紹介します。
参考:定量調査と定性調査とは?定性調査の基本や方法、定量調査との違い、使い分けを解説
定量調査
定量調査とは、数値化できるデータを収集し、分析する調査手法のことを指します。市場の実態・傾向を量的に把握したいときに向いています。具体的には、アンケート調査(Webアンケート)や会場調査などがあります。
収集したデータは、統計学的な手法を用いて分析することで、対象者の属性や行動の傾向を把握することが可能です。
定性調査
定性調査とは、数値化が難しいデータを収集し、分析する調査手法のことを指します。インタビューやフィールド調査などがあります。企業が課題解決のアイディアを発見するときなどに向いているでしょう。
収集したデータは、内容分析などの手法を用いて分析することで、対象者の意識や価値観、行動の背景などを深く理解することにつながります。
ニーズ調査の手法
ここでは、一般的に行われている4つの手法についてご紹介します。
アンケート調査
アンケート調査とは、質問票を対象者に配布・回収し、回答を収集する調査方法です。「定量調査」にも「定性調査」にもなり得ます。
郵送やインターネットなど、さまざまな方法で実施できるため、大規模な調査を実施することができ、広範囲の対象者の意見や行動を把握することができます。把握したい情報をしっかり得られる質問を設定することが重要です。
インタビュー調査
インタビュー調査とは、調査員が対象者に直接質問を行い、回答を収集する調査方法です。顧客の考えを深掘りしたいときや商品の評価を詳しく知りたいときに向いてます。
また、対象者の意見や行動の背景を探ることができます。そのため、問題の根本的な原因を理解し、解決策を検討することが可能です。
行動観察調査
行動観察調査とは、対象者の行動や言動を、直接観察して記録する調査方法です。自宅への訪問や店舗での買い物同行などが挙げられ、潜在ニーズやインサイトの発掘に適しています。
対象者の行動を直接観察することで、対象者の本音や潜在ニーズを把握することができます。そのため、定量調査やインタビュー調査では見えにくい、対象者のニーズを深く理解することが可能です。
ソーシャルリスニング(SNS調査)
ソーシャルリスニング(SNS調査)とは、ソーシャルメディア(SNS)から、生活者の生の声を収集・分析し、マーケティングに役立てる手法です。
SNSでどのように取り上げられているか、どのような投稿がされているかなどの調査を行います。SNSでは、最新の情報を収集することができるため、市場の動向やトレンドを把握するのに役立ちます。
ニーズ調査のコツ
ここでは、ニーズ調査におけるポイントやコツなどをご紹介します。
目的を明確にしておく
ニーズ調査は、対象者のニーズを把握するための調査です。調査目的を明確にしておくと、以下のメリットがあります。
- 適切な調査手法を選択できる
- 必要な情報を収集できる
- 調査結果を有効活用できる
調査目的を明確にしておくことで、商品やサービスの開発・改善に役立つ結果を得られやすいです。
先入観を持たない
先入観を持たないことは、非常に重要なポイントです。先入観を持つと、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 調査対象者のニーズを正確に把握できない
- 調査結果に偏りが出る
- マーケティング戦略や商品・サービスの開発に誤った情報が反映される
先入観を持たないことで調査結果からフラットに判断することが出来ます。
ニーズ調査における注意点
メリットの多いニーズ調査ですが、注意点もあります。ここでは、ニーズ調査における主な注意点をご紹介します。
設問の内容は1つに絞る
1つの設問で複数の情報を収集しようとすると、回答者の混乱や誤解を招き、正確なニーズを把握することが難しくなります。
たとえば、「商品やサービスについて満足していますか」という設問では、「商品」と「サービス」のどちらについての設問かが分かりにくくなります。そのため、ニーズ調査では、1つの設問で1つの情報を収集するようにしましょう。
設問数を設けすぎない
設問数を設けすぎないことも重要です。設問数が多いとユーザーが負担に感じ、回答率が下がる可能性があります。これは、設問数が多いと、回答者は設問を読み解くのに時間がかかり、回答に集中できなくなる可能性があるためです。そのため、ニーズ調査では、設問数を適切に設定するようにしましょう。
抜けや漏れがないようにする
調査対象者のニーズをすべて把握するために、調査項目を漏れなく設定することが重要です。抜けや漏れがあると調査結果に不足が発生してしまう可能性があります。不足事項があると、正確なニーズを把握することができず、マーケティング戦略や商品・サービスの開発に悪影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。
曖昧な表現を避ける
本来の意図と異なる回答につながる恐れがあるため、曖昧な表現は避けましょう。たとえば、「この商品は使いやすいと思いますか?」という設問は、曖昧な表現です。この設問では、使いやすいとは具体的にどのようなことを指すのかが明確ではありません。
そのため、回答者は自分の解釈で使いやすいと答えてしまう可能性があるため、質問はなるべく具体的に設定するようにしましょう。
まとめ
ニーズ調査は、企業のマーケティング戦略や商品開発において重要な役割を果たします。ニーズ調査を実施する際には、目的や対象者を明確にし、適切な手法を選択することが重要です。また、調査結果を正しく解釈することで、マーケティングや商品開発に活かすことができます。
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