
多変量解析とは、複数の変数を用いてデータ間の関係性や傾向を分析し、売上予測やデータ傾向の把握などに活用される統計的手法です。この記事では、多変量解析の基礎や目的、できること、メリット・デメリットについて解説します。分析手法の種類や手順、おすすめの書籍も紹介するため、最後まで必見です。
多変量解析の基礎
多変量解析とは、複雑に絡み合った事象を分析する統計的技法の総称です。複数の変数に関するデータを活用し、関連性や影響などを明らかにできます。たとえば、価格や広告、競合他社の製品といった要素の中で、最も影響を与えるものや関連性の分析が可能です。また、科学、医療、社会科学など、幅広い分野に応用されています。
変量とは
変量とは、観察や測定、分類などの測定できる特性や要素のことです。たとえば、人の場合は身長や体重の特性、商品の場合は生産量や売上、種類などを指します。これらを数値化することで分析ができ、より多くの情報を取得できます。多変量解析では、複数の変量の関連性を分析し、パターンやトレンドなどの発見につなげられます。
多変量解析の目的
多変量解析は、データをもとに予測と要約を行う手法です。ここでは、それぞれの目的について解説します。
データをもとに予測する
多変量解析の目的は、データをもとに将来の結果を推測することです。予測の手法で扱うデータは、原因となる「説明変数」と、結果となる「目的変数」と呼ばれます。たとえば、顧客の属性や購買行動のデータを活用し、商品・サービスの購入確率を予測できます。これにより、より的確なビジネス戦略を立案できます。
データを要約する
2つ目の目的は、複数のデータを要約することです。複数のデータの類似性や構造を整理・把握するための手法ともいえます。複雑なデータセットを簡潔にまとめ、より少ない変数で説明します。たとえば、顧客の属性や商品の属性を類似するもので分けて、1つのグループとして整理します。要約により複数のデータの関連性が明確になり、特徴や傾向を理解しやすい形で提示することが可能です。
多変量解析でできること
多変量解析でできることの例は、以下のとおりです。
- 「年齢」「性別」「身長・体重」などから、病気が発症する傾向を把握する
- 商品アンケート結果をもとに、「使用感」「価格への納得感」などの改善点を抽出する
- 売上や顧客数などのデータから将来の売上を予測する
- 「宣伝方法や場所」「時間帯や曜日ごとの反応」などを用いた宣伝の効果を高める
- 「来店データ」や「過去の天気データ」などを用いて広告効果を高める
- 食品の各種含有成分を分析し、「人気の食品に共通する特性」を把握する
多変量解析のメリット・デメリット
多変量解析のメリットは、データを有効に活用できる点です。たとえば、消費者の購買データや製品データを利用した予測精度の向上や、データの効率的な要約などが可能です。また、予想外のパターン分析により、新たなビジネスの機会創出やリスクの発見にも役立ちます。
一方で、大量のデータが必要となり、処理や解析の過程が複雑になる点がデメリットです。専門的な知識やスキルが求められるため、計算にかかるコストを考慮し、適切なデータ処理や分析手法を選ぶ必要があります。
多変量解析の分析手法の種類
多変量解析には、予測と要約のさまざまな手法があります。ここでは、分析手法の種類を解説します。
予測の分析手法
予測に用いる代表的な分析手法は、以下のとおりです。
- 判別分析:複数のグループに分かれているデータがある場合に、分類の基準を解析する手法
- パス解析:パス図と呼ばれるパスで要素を結んだ図を用いて、因果関係や相関関係を分析する
- 分散分析:複数の条件間で平均値の差が統計的に有意かどうかを検証する手法で、ABテストなどに用いられることがある
- 重回帰分析:複数の変数が、目的変数にどの程度影響を与えるか解析する
- コンジョイント分析:製品の価格、デザイン等を組み合わせて提示し、消費者がどの属性を重視しているかを分析する
- ロジスティック回帰分析:複数の説明変数から、合格・不合格のような2つの結果が得られる確率を分析する
- 決定木分析:Yes/No選択チャートのように分岐する樹形図を用いて分析する
要約の分析手法
要約に用いる代表的な分析手法は、以下のとおりです。
- 主成分分析:複数の量的変数が持つ情報を合成し、より少ない数の新しい指標に集約して整理する手法
- 因子分析:観測された複数の変数の背景にある、共通の要因を抽出して解析する手法
- 多次元尺度構成法:プロダクトマップをはじめとした図を作成し、データを類似性で分けて近い位置にまとめる
- コレスポンデンス分析:クロス表の分析結果をグラフ化し、関係性を視覚的に示す
- クラスター分析:異なる要素が混在するデータから、類似性の高い要素をまとめて分類する
- 潜在クラス分析:量的・質的データが混在するデータから、その背後に潜む「潜在的なグループ(クラス)」に分類する手法
多変量解析の手順
多変量解析を実施する際は、データ収集や解析などの手順を踏む必要があります。ここでは、その手順を解説します。
データを収集する
最初に多変量解析に使用するデータを収集します。分析の目的や手法によって必要なデータ量が異なりますが、一定以上のサンプル数を集めましょう。目的や用途が明確でない場合、収集するデータの種類や量が不明瞭となるため注意が必要です。また、正確な解析を行うために、不適切な回答や重複データを排除し、データの精度を高めることも重要です。
1変量解析を行う
1変量解析とは、1つの変数(変量)に着目し、その分布や代表値などの基本的な特徴を把握する分析です。別名「単変量解析」とも呼ばれており、以下のようなデータの基本的な特徴を把握するために実施します。
- 外れ値の処理:外れ値を検出・処理する
- 異常値の処理:外れ値の中でも、入力ミスや機器の故障など、明らかな誤りによる異常値を処理する
- 図による分布状況確認:外れ値や異常値を視覚的に判断して、正常値かどうか分析する
2変量解析を行う
2変量解析とは、2つの変数・変量で分析することです。1変量解析から2変量解析に続くことで、データの傾向や特徴をより詳しく解析できます。分析の内容は、以下のとおりです。
- 相関係数の計算:各測定値の相関の度合を求める
- 図による分布状況確認:散布図などを用いて、2変数間の相関関係や外れ値を視覚的に把握する
多変量解析を行う
最後に多変量解析を行います。解析に不適切なデータをクリーニングし、専門の分析ソフトを活用して解析を行いましょう。Excelでも解析できる場合がありますが、データ量や計算回数などが多くなると対応が難しくなります。解析の手間や時間をかけないためにも専用ソフトが必要です。
多変量解析入門の本おすすめ3選
多変量解析の基礎知識は書籍で学べます。ここでは、おすすめの本を3冊紹介します。
多変量解析がわかる : 多変量解析の入門書として最適具体的な例や図が豊富でわかりやすい!
多変量解析の基礎を網羅しており、考え方から解析の手法までを詳しく解説しています。本書は具体例や図が豊富で、多変量解析でできることとできないことを把握しやすい構成のため、初学者におすすめです。

例題でよくわかる はじめての多変量解析
具体的な例題が掲載されており、多変量解析の基本的な手法をわかりやすく解説している入門書です。基本問題も収録されているためイメージをつかみやすく、効率よく理論構成を学習できます。

多変量解析法入門
多変量解析の基礎が学べる入門書で、統計学の基礎から応用まで解説されています。具体的なデータを用いた実例や演習問題がまとめられており、解析結果の解釈や応用方法なども学習できます。

まとめ
多変量解析は、複雑な事象をデータで分析する統計的技法です。データ間の関連性や影響を明らかにし、商品・サービスの購買予測や宣伝の効果などの評価に活用できます。ただし、解析には大量のデータや専門的な知識、専門ソフトが必要な場合があります。業務で活用する際は、データ分析の専門企業に依頼することを検討しましょう。
株式会社マクロミルは、「マーケティング施策支援事業」を一気通貫で提供できる総合マーケティング支援企業です。多変量解析をはじめとした手法で、多様な社会・消費者ニーズを分析し、的確な消費者インサイトを提供します。多変量解析を活用したデータ分析を検討する際の選択肢のひとつとして、参考にできます。
