定性調査の質問例|インサイトを深掘りする効果的な聞き方と注意点を解説

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2025/6/27(金)

定性調査において、対象者の深層心理から価値あるインサイトを導き出す質問設計は、担当者にとって重要な課題です。この記事では、効果的な質問例や、インサイトを深掘りするための聞き方の要点、注意点、さらには投影法についても解説します。貴社のマーケティング活動における調査の質向上のため、ぜひ参考にしてください。

参考:定性調査とは?基本から定量調査との違いや比較・メリット・手法まで解説

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Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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定性調査とは?

定性調査とは、対象者との直接対話(インタビューなど)を通じ、個々の意見や行動背景の深層心理、言葉にしにくい感情やニーズを探る手法です

数値化が困難な「なぜそう思うか」といった質的情報を収集し、消費者の生の声から理解を深め、製品改善のヒントや新たな仮説を発見します。これにより潜在ニーズの掘り起こしや、自社ブランドイメージのより正確な把握が可能になるでしょう。

定性調査のおもな質問例

定性調査では、対象者から多角的な情報を引き出すため、さまざまな種類の質問を用います。
以下で、おもな質問のカテゴリと具体例を紹介します。

「価値観・考え方」を探る質問

「価値観・考え方」を探る質問では、たとえば「この商品にどのようなイメージがありますか?」「もしこの商品がなくなったらどのように感じますか?」といった問いかけをします。これにより、対象者が普段意識していない印象や心の奥にある価値観、ブランドの想起順位や位置づけを明らかにすることが可能です

「購入の決め手・プロセス」を問う質問

顧客が商品やサービスを選び、購入に至るまでの道のりを明らかにするための質問です。
購買前の課題意識や、情報を得た経路、最終的な決定要因などを尋ねることで、意思決定の全体像を把握できます。この理解は、より響くマーケティング施策や顧客接点の改善、販促活動の最適化につながるでしょう

「利用シーン・実態」を把握する質問

製品やサービスが実際に「いつ、どこで、どのように」利用されているか、その頻度や使用後の感情を尋ねます。これにより、ユーザーが感じる真の価値を明らかにし、想定外の利用法や新たなニーズを発見できるでしょう。効果的な訴求ポイントや利用促進のヒントも得られ、より的確なアプローチが可能です

「製品・アイデアへの評価」を尋ねる質問

製品やアイデアに対し、「最初にどのような印象を受けましたか?」「どこに惹かれましたか、またその理由は何ですか?」といった質問を投げかけます。

これにより、ターゲットの率直な感想や共感度、訴求ポイントを把握し、その製品が持つ魅力や改善点を明らかにすることが可能です。企業と顧客間の認識のズレを防ぎ、より響くデザインやコンセプト開発に生かせるでしょう。

「隠れた本音・インサイト」を引き出す質問

消費者の心の奥底にある本音や、本人も気づいていないインサイトを明らかにするために、質問の工夫が不可欠です。単に事実を確認するだけでなく、初体験の感情や利用開始のきっかけ、使用状況、そしてそう感じた背景にある深層心理を丁寧に問いかけましょう。これにより、言葉にならないニーズや本質的な欲求を探り出します

インサイトの深掘りに効果的な質問例

効果的な質問でインサイトを深掘りするには、おもに以下の4つのポイントから質問を組み立てていきましょう。

「状況・エピソード」を具体的に

製品やサービスを体験した際の具体的な状況や出来事を詳細に聞きましょう。たとえば、「はじめて使ったのはいつ、どこですか?」「そのとき、何をされていましたか?」「使用後、何か印象的なことは?」「どなたかと一緒でしたか?」といった質問で、鮮明なエピソードを引き出すことで、理解が深まります。

「価値観・背景」を探る

対象者の意見や感情の根底にある価値観や、それが形作られた経緯を紐解きます。「現在の考え方に影響を与えた過去の経験は何ですか?」「以前の状況と比べて、ものの見方や気持ちに変化が生じたきっかけとなる出来事や情報があれば教えてください」といった問いで、その人固有の判断軸や大切にしていることを掘り下げましょう。

「感情・本音」に焦点を当てる

言葉にしにくい感情や隠れた本音に迫る質問は、インサイト発見の鍵となります。たとえば「はじめて利用した際、どのようなお気持ちでしたか?」「どんな気分のときにそれを求めますか?」「触れた感触や使用中の気分、使い終えたときの心境は?」「もしそれが無かったら、どう感じますか?」といった問いかけで、対象者の心の奥を探りましょう。

「理由・目的」を明らかにする

対象者の行動の背景にある動機や、その行動によって何を目指しているのかを深掘りする質問が重要です。「なぜその製品を選んだのか」「何が最終的な決定打となったのか」「利用する上で重視した点や、誰かの影響はあったか」など、行動のきっかけや判断基準を問い、本質的な理由や目的を明確にします。

インタビュー質問で押さえるべき注意点

効果的なインタビューで本音や背景を深く探るには、質問の仕方が重要です。以下の点に注意し、相手が話しやすい雰囲気をつくりましょう。

誘導せずに本音を引き出す

インタビュアー自身の意見や期待を伝えることは、相手の回答をゆがめる恐れがあります
公平な姿勢を保ち、相手の自由な発言を大切にしましょう。予断を抱かせる情報を避け、特定の人に話を集中させたり、会話を操作したりせず、自然な流れのなかで本音を引き出すよう聞き役に徹することが肝心です。

「開かれた質問」で自由に語ってもらう

「開かれた質問」とは、相手に思考や感情を自由に表現してもらうための問いかけです
たとえば「この商品を使ってみて、どのように感じましたか?」と尋ねることで、多角的な意見やエピソードが期待できます。逆に「この商品は好きですか?」のように「はい/いいえ」で答えられる質問は、相手の言葉を限定し、自由な発想を妨げてしまうため避けましょう。

「なぜ」を避けて背景を探る

「なぜ?」という直接的な問いは、相手に詰問されているような印象を与え、本音を話しにくくなる場合があります。そうではなく、行動や判断に至った状況や、そのときの気持ちを丁寧に尋ねることで、より深い背景や理由を探り出しましょう。たとえば「そのように思われたのは、どのようなご経験からですか?」といった聞き方が有効です。

インタビュー対象者の本音を引き出す「投影法」テクニックの活用例

インタビューで本音を引き出す「投影法」には、さまざまなテクニックがあります
以下に、その具体的な活用例をいくつか紹介します。

第三者投影法:他の人の意見として語ってもらう

第三者投影法は、友人や家族など「他の人」であれば、どう思うかを尋ね、その意見として語ってもらう手法です。対象者は直接的な意見よりも本音を話しやすくなり、語られる内容に投影された対象者自身の深層心理を間接的に探ることができます。

文章完成法:未完成の文を補って気持ちを表現

文章完成法は、一部が空欄の未完成の文を提示し、対象者に言葉を補ってもらう手法です。「この商品を見ると○○と感じる」といった文を用いることで、人が不完全なものを補いたくなる心理を活用し、対象者の隠れた本音と感情を自然に引き出します。

漫画完成法:漫画のセリフで本音を探る

漫画完成法は、漫画の吹き出しにセリフを記入させ、登場人物に代弁させる形で本音を探る手法です。視覚的な情報で場面が具体化されるため、特定の状況における深層心理の把握をするのに適しています。

ラダリング法:「なぜそれがよいのか?」を深掘り

ラダリング法は、「なぜ?」という問いを繰り返す手法です。商品やサービスの魅力(属性)が、どのような機能的な良さや精神的な満足感を経て、対象者自身の根本的な価値観に結びついているのかを段階的に深掘りします。

コラージュ作成法:イメージを自由に貼り付けて表現

コラージュ作成法は、対象のイメージに合う写真や絵などを自由に集め、貼り付けてもらう手法です。言葉にしにくい感覚や印象を視覚的に表現することで、対象者の内面にあるイメージをより深く理解できるでしょう。

擬人化法:モノやブランドを「人」に見立てて

擬人化法は、商品やブランドを「人」に見立て、「どのような人か」を尋ねる手法です。身近な人物を想起させることで、対象者が抱く漠然としたイメージを言語化しやすくし、その本質的な印象や感情を明らかにします。

イメージマッピング:言葉の連想からイメージを視覚化

イメージマッピングは、あるテーマに対し、参加者が思い浮かべる言葉を自由に挙げてもらう手法です。連想された言葉を関連付けながら図に落とし込むことで、頭のなかにある漠然としたイメージを視覚化します。

ビジュアル投影法:絵画や図形から感じ取る印象を問う

ビジュアル投影法は、絵画や図形などを見せ、そこからどのような印象や感情を抱くかを尋ねる手法です。対象者が言葉にしにくい感覚を視覚的な手がかりから引き出し、対象者へのイメージをより深く把握できます。

フォトソーティング:選んだ写真で気持ちを表現

フォトソーティングは、提示された複数の写真から、対象への印象に合うものを選んでもらい、それを通して気持ちを表現してもらう手法です。なぜその写真を選んだか深掘りすることで、本音や隠れた感情をより把握できるでしょう。

回答から得られるインサイト

対象者の生の声から得られるインサイトは、事業課題の解決や新たな機会発見に直結します。具体的には、以下のような点で貢献が期待できるでしょう。

商品・サービスの改善点発見

ユーザーが実際に製品やサービスを利用する場面での本音や評価を詳しく聴取します。これにより、開発者側では見過ごしがちな課題や、より顧客の期待に応えるための改善点発見につながります。

潜在ニーズ・購買動機の明確化

対象者の言葉や行動の背後にある深層心理を掘り下げることで、本人も意識していない隠れた欲求や、商品・サービス購入に至る動機の明確化が可能です。

より効果的なマーケティング施策の立案

消費者の隠れた欲求や行動のきっかけ、価値観や購買に至る道筋を明らかにします。これにより、ターゲットの心に響く的確なメッセージやプロモーション展開が可能となり、施策の成功確度を高めます。

まとめ

定性調査で消費者の深層心理に迫り、潜在ニーズを的確に捉えることは、商品開発やマーケティング戦略を成功に導く鍵となります

もし「自社だけでは最適な調査設計が難しい」「もっと質の高いインサイトを得て施策に生かしたい」とお考えでしたら、ぜひ一度マクロミルにご相談ください。

マクロミルは、多様な調査手法(オンラインオフライン海外)とデータ分析、戦略立案のコンサルティングまで、貴社のマーケティング課題解決を一気通貫でサポートします。まずはお気軽に資料ダウンロード、またはお問い合わせください。貴社の課題解決に向けた最適な一歩をご提案します。

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