
アンケートを実施して得たデータは、分析してはじめて役立つものになります。知りたいデータに応じて適切な分析手法を活用すると、データを最大限活かせるでしょう。この記事では、アンケートで得たデータの集計方法や分析手法を解説しています。データ分析について知りたい人は、参考にしてください。
目次
3つのアンケートの集計方法
アンケートの集計方法には、どのようなものがあるのでしょうか。おもなアンケートの集計方法を、3つ解説します。
単純集計
もっとも基本的な集計方法です。選択式の設問の回答を合計して、割合や平均値を算出します。足し算で素早く計算でき、調査の全体像や、設問ごとのおおまかな傾向をつかめます。ただし、全体的な傾向しかわからないため、細かな部分を知るには他の集計方法が必要です。選択肢が多い場合は、表や円グラフを活用するとよいでしょう。
クロス集計
データを複数の項目と掛け合わせることで、性別・年齢・居住地といった、属性ごとの傾向がわかる集計方法です。単純集計よりも、詳しいデータを得られます。
クロス集計を活用すると、たとえばどの年齢層の満足度が高いのか、男性と女性でどちらがサービス・商品に興味を抱いたのかなどがわかります。ニーズに合わせて商品・サービスを開発したり、改良したりするための、戦略を立てやすくなるでしょう。
自由記述集計
自由記述式のアンケートには、「数値」で回答している場合と「文章」で回答している場合があり、そのためおもに2つの集計方法があります。数値はExcelなどを活用して平均値・中央値・標準偏差・最小値・最大値などを集計し、文章は一覧表を作り集計します。
具体的には、類似の回答をまとめてカテゴリーごとに分類するアフターコーディングと、文章を区切りワードの出現頻度や関連性を解析するテキストマイニングの2つの方法です。
アンケートの分析方法
アンケート結果には数多くの分析方法があり、知りたい内容によって適した方法が変わります。おもな、5つの分析方法を解説します。
クラスター分析
データや回答者を特定のグループに分類して、分析する手法です。クラスターとは、同種や類似性のあるものの集まりのことです。クラスター分析には、大きくわけて2種類あります。
データの類似度が高いものをまとめ大きなクラスターへとまとめていく階層クラスター分析と、前もってクラスターの数を決め類似度が高いものを集めてクラスターとする非階層クラスター分析です。どちらも、おもに自由記述式の回答を分析する場合に利用できます。
主成分分析
数多くの変数を少ない変数に要約して、特徴や構造を把握しやすくする手法です。多くの場合、1~3の変数に要約して分析します。少ない変数にするため、アンケートから得たデータの全体像を理解しやすくなるでしょう。おもに、顧客満足度や購買動機、商品・サービスの評価などを調べるときに役立ちます。
決定木分析
樹木図を使用して仮説を繰り返し多数の予測を立て、結果に影響を与え物事の原因になっている変数を明白にする手法です。樹木図を使うことで、セグメントごとの優先順位をつけられます。アンケートのデータから、おもに商品のターゲット層や、消費者の行動などを視覚的に把握できます。
時系列分析
時間や日数が経つにつれどのように変化したかを、時系列で分析する手法です。トレンド分析とも呼ばれます。定期的に同様のアンケートを行い、データを蓄積して時系列の推移を見ることで変化があった時期や要因を探れるでしょう。おもに、認知度や顧客満足度などの推移がわかります。
アソシエーション分析
データ間の関連性を分析して、一見関係なさそうなデータ同士の相関関係を発見する手法です。購買行動を予測したり、マーケティング施策を策定したりする際に利用できます。たとえば、同時に購入される商品を調べて近くに配置したり、店舗とネットショップの差を比べたりできるでしょう。
アンケート分析における手順
アンケート分析は、どのような手順で行えばよいのでしょうか。4つの流れにわけて、解説します。
全体像から先に捉える
はじめに単純集計を活用して、アンケートから得られたデータ全体のおおまかな傾向を捉えましょう。その後、クロス集計を活用して、カテゴリーや属性ごとの傾向を分析します。はじめから細かな部分に注目すると、全体の傾向を軽視しがちになるためです。自由回答の設問も同じように、大きなくくりから見ることが大切です。
有効回答の基準を満たすか確認する
集計する以前に、回答を確認して有効と無効の回答をわけておきましょう。無効のものを集計に加えると、偏ったデータが抽出されてしまいます。基準を決めておき、有効の基準を満たしているか確認しましょう。
データの有意性について考慮する
有意性とは、信頼でき、統計的に正しいことです。アンケートの結果が信頼性の低いものでは、活用できません。回答数が一定以上あり、回答者が全体の意向を反映できているかを確認しましょう。
結論を出す
データの有意性が確認できれば、結論を導き出します。その際に、「因果関係」と「相関関係」に気をつけましょう。因果関係とは、原因とそれが生み出す結果との関係です。相関関係とは、一方が関係性を欠いては意味をなさなくなる関係です。
たとえば、夏になるとアイスとエアコンの売り上げが上昇することに相関関係はありますが、因果関係はありません。相関関係を因果関係と間違えると、誤った結論になるため注意が必要です。
アンケート分析を成功させるためのポイント
アンケート分析を成功させるためには、ポイントがあります。重要な2つのポイントについて解説します。
アンケートを実施する目的を定める
目的に適した選択肢や設問を用意して、知りたいデータが得られるようなアンケートを作成します。たとえば年齢・性別・職種といった属性に合わせて、設問を用意しましょう。目的に適した設問を並べることで、分析する際に悩むケースが減少します。
設問は必要なデータを得られる最小限の数にする
短時間で回答できるように、設問の数や選択肢は最小限にします。選択式は回答しやすいため、選択式の設問を中心に構成しましょう。質問の流れも、時系列順に並べるなど工夫が必要です。選択式の設問からはじめて、末尾に自由記述式の設問を置くなど、悩まずに回答できる構成にしましょう。
アンケート分析を行う際の注意点
アンケートを分析する際には、注意しなければならない事柄があります。2つの注意点を解説します。
平均値・中央値・最頻値を使いわける
自由記述式の設問を分析する際は平均値に注目しがちですが、中央値も重要です。少数の極端な数値があった場合に、平均値は大きな影響を受け変動してしまうためです。平均値と中央値の両方を確認しましょう。また、最頻値はもっとも頻度が多い数値で、この3つを確認することで有効な分析結果を得られます。
適切な形のグラフを選ぶ
データは表にまとめることに加え、理解しやすいグラフにしておくとよいでしょう。それぞれのグラフの特徴を認識しておき、集計方法や設問の形式などに応じてどの形状のグラフを選択するかが大切です。
まとめ
アンケートの集計方法や分析の手法にはさまざまな種類があります。それぞれの手法の特徴を理解しておき、知りたい内容に応じて使い分けることが大切です。成功させるには、適切な手順で行うようにしましょう。
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