持ち帰るか、ポイ捨てか。世界の「ゴミ捨て」事情を探る│『え、これって日本だけ?』~グローバルな視点で見えた”当たり前”の正体(6)

公開日:2026/7/8(水)

訪日旅行者が日本で困ったことの1つによく挙げられるものが、「街にゴミ箱がない」というものです(注1)。

もちろん、日本に住んでいる人でも、出かけた先でゴミを捨てたい場面はしばしば発生します。そんなとき、どうしていますか?

本コラムでは、「『え、これって日本だけ?』~グローバルな視点で見えた”当たり前”の正体」と題し、日本と世界各地の生活習慣や、さまざまな「常識」の違いを考察していきます。海外市場におけるマーケティングやイノベーションのヒントが見つかるかもしれません。

今回のテーマは・・・【外出時に出たゴミはどうする?(ゴミ箱が見つからない場合)】です。

世界の様々な国では、もし街中などの公共空間にゴミ箱が見つからなかった場合、どのように対処することが多いでしょうか。また、それにはどのような理由や背景があるのでしょうか。

ぜひ最後までご覧ください。

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Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

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【外出時に出たゴミはどうする?(ゴミ箱が見つからない場合)】

【1】 持ち帰る

●アメリカ/イギリス/フランス/ドイツ/スウェーデン/オーストラリア/中国/韓国/台湾/タイ/トルコ/UAEなど。

例えば1970年代頃は「ポイ捨て」が一般的だったアメリカでは、公共広告などで意識が高まり、各州で罰金を伴うポイ捨て禁止法が整備されました。現在では外で発生したゴミも「持ち帰る」が常識となっています。

イギリスでは「ポイ捨て」に対して厳しい罰金制度があり、公共意識として「ゴミは持ち帰るもの」という文化が根づいています。最近はゴミそのものを出さない「Zero waste lifestyle」を意識する人も少なくありません。

スウェーデンでも、「自分のゴミは持ち帰る」がより徹底しており、家庭ゴミの厳格な分別/リサイクルシステムに組み込む意識が強いです。街中のゴミ箱自体も分別型が多く、「適当に捨てる」より「きちんと分けて処理する」ことが重視されています。

トルコでは、ゴミ箱が街中に十分に設置されていないため、多くの人がゴミを持ち帰ります。その背景には、「テロ対策」の観点から繁華街など人が集まる場所にゴミ箱を置かない政策があるためと言われています。

【2】 ポイ捨てすることも多い

●ぺルー/ブラジル/ベトナム/インドネシア/インド/南アフリカなど。

公共のゴミ箱が整備されていない地域では、ゴミをその場で捨ててしまうこともよく見られます。

ベトナムでは、公共のゴミ箱の数や分別システムが十分に整っていないことや、ゴミの片づけは清掃員の仕事、という意識があることなどから、その場で捨ててしまう人も少なくありません。

公共のゴミ箱が十分に整備されていない地域が多いインドも、外出時に出たゴミを捨てる場所がないという問題があるため、多くの人は「ポイ捨て」をしてしまう傾向があります。一方で、「The Ugly Indian」などの市民運動は、街中にゴミ箱を設置し、ゴミを正しく捨てる習慣を育てる取り組みを進めており、ゴミ処理の意識向上を図っています。

南アフリカでは、ゴミ箱が見つからない場合は、「持ち帰る」かそうでなければ「ポイ捨て」することが現実です。特に低所得地域やインフォーマル居住区では、自治体の廃棄物回収サービスが行き届いておらず、ゴミを投げ捨てる違法投棄が多発しています。

【3】 代替場所を探す/その他

●イタリア/スペインなど。

スペインでは、ゴミを捨てる際に街中に設置された公営のコンテナや分別ボックスを探す人が多く、見つからないときはコンテナが見つかるまで持ち歩いたり、持ち帰ったりすることもあります。とはいえ、バル文化のあるスペインでは、飲み終わったカップや包装を次に入った店でついでに捨てたりと、「店と街のゴミ箱を状況に応じて使い分け」する人も見られます。

同じく南欧のイタリアでは、地域ごとのゴミの分別ルールは詳細に定められており、ゴミ箱が見つからない場合は持ち帰るのが望ましいとされますが、観光地などでは分別されずにゴミ箱周辺に置き去りにされることも多いです。「リサイクルの正しさ」より「とりあえず捨てる場所を探す」行動になりやすいと言えるでしょう。

【外出時に出たゴミはどうする?(ゴミ箱が見つからない場合)】、いかがでしたか?

かつては日本でも、例えば長距離列車内では車内にゴミ箱もなく、また窓からの投げ捨てを防ぐ意味で、弁当容器や読み終えた新聞などは座席の下などに置いていく(後で清掃員が片づける)ことが推奨されていましたが(注2)、後に乗客自身がゴミ箱に捨てたり持ち帰ったりすることが一般的になりました。その地域にいれば当然に思える行動も、実は相応の背景事情があり、一定の時間をかけて形成あるいは変化を遂げてきたルールや習慣が多いことに気づきます。

また、ゴミ捨てのルールなどは公共的な側面が大きいですが、一般的なマーケティングで言えば、商品・サービスにおいてなんらかの望ましい手段や結果が実現できない状況は、未充足ニーズがある状態と言えるでしょう。顧客の利便性あるいは生活の質を高めるために、一見当たり前に思える行動や習慣の背景を問い直してみると、未充足ニーズを補う新たな商品やサービスの創出につながるかもしれません。

次回も是非お楽しみに!

(注1) 観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査を実施しました ~前回調査に引き続き、旅行中の困りごとは「ごみ箱の少なさ」が最多~」など参照。

(注2) 乗りものニュース「駅からゴミ箱が消えるとどうなる? かつての鉄道はゴミだらけ! 信じ難い“マナー”も…歴史は繰り返す?」、大井川鐵道社長 鳥塚亮の地域を元気にするブログ「日本人は進化した。」など参照。

※掲載画像作成は生成AIを使用

企画・編集

マクロミル事業統括本部グローバルリサーチプロダクト部

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