
商品やサービスの認知拡大や売上向上には、戦略的なプロモーション企画が欠かせません。この記事では、プロモーション企画の定義やPRとの違い、基本ステップ、企画書を作成する際のコツや外部リソースの活用方法などをわかりやすく解説します。他社の成功事例も紹介しているので、自社のプロモーション企画を進める際に参考にしてください。
プロモーション企画とは
プロモーション企画の定義と役割、PRとの違いについて解説します。
プロモーション企画の定義と役割
プロモーション企画とは、キャンペーン内容やターゲット、実施時期、メディアなどを計画・実行するマーケティング施策のことです。商品の売上拡大やブランド認知の向上を目的としています。
ここでいう「プロモーション」とは、単なる広告にとどまらず、ブランド価値の向上や顧客との信頼構築、競争力強化まで含む幅広い活動を指します。短期間で完結するものではなく、多くの人の協力と時間を必要とする点も特徴です。
PRとの違い
PRとプロモーションは似ていますが、目的と役割が異なります。PRは企業と公衆との信頼関係を築く活動で、ブランドイメージの向上や顧客関係の構築が目的です。一方、プロモーションは消費者の購買意欲を高め、商品やサービスの販売を促進することが目的です。PRは、マーケティング活動全体を支える要素の一部として活用されます。
プロモーション企画の基本ステップ
プロモーション企画を進める際には、まず、基本ステップを把握しましょう。以下で、順を追って解説します。
1. SWOTや3C分析で現状を把握する
まずは、マーケティング分析の基本である「SWOT」や「3C分析」を活用し、自社の現状や競合の動向、市場の変化などを客観的に把握しましょう。SWOT分析とは、自社の強み・弱み(内的要因)と、機会・脅威(外的要因)を整理し、戦略やマーケティングに生かすフレームワークです。
一方で、3C分析は、自社を取り巻く環境を「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの視点で分析する手法を指します。
2. 課題を抽出し、戦略と戦術を整理する
次に、分析の結果、明らかになった自社の課題を具体的に整理しましょう。次の施策につなげられる具体的な内容まで落とし込むことが重要です。たとえば、ブランド認知の低さやイメージの低下、リピート率の低迷などが挙げられます。
3. ゴール・ターゲット・予算を明確にする
課題を抽出し、戦略と戦術を整理したら、プロモーションのゴールやターゲット、予算を設定しましょう。目標がなければ効果の検証ができず、改善につなげられずに同じ失敗を繰り返す可能性があります。
また、「プロモーションの効果が分からない」となる場合も多いため、売上に直結しない場合でもKPIなどの中間指標を設定して、進捗や成果を可視化することが重要です。
4. スケジュールとタイムラインを設計する
最後に、全体の流れを把握し、タイムラインを作成しましょう。複数の施策を同時に進める場合は関係者も増えるため、工程や時間の管理がより重要になります。「いつまでに何を行うか」をチームで共有し、進行状況を把握しながら進めましょう。
伝わるプロモーション企画書を作成するコツ
プロモーション企画書を作成する際には、伝わりやすい内容にするよう、工夫が必要です。4つのコツについて解説します。
全体の構成を立てる
まずは、全体の構成を決めましょう。構成を決めることで、必要な作業や内容が自然と見えてきます。「ページネーション」として、このページに何を載せるかを整理する作業です。クライアント向けの企画書では、以下の流れが基本です。必要に応じて実績情報や見積書を添付しましょう。
- タイトル→現状分析→問題提起→ゴール設定→コンセプト→企画概要→プランニング→スケジュール
端的で伝わりやすい表現を意識する
プロモーション企画書を作成する際には、端的で伝わりやすい表現を意識しましょう。文字の量が多すぎたりサイズが小さすぎたりすると、初めて目にした人の関心を失いやすくなります。伝えたい内容を簡潔にまとめ、相手に届く「力強いメッセージ」を意識することで、理解や共感を得やすくなります。
視覚的なインパクトで印象づける
プロモーション企画書を作成する際には、視覚的な要素を取り入れ、印象に残りやすくすることも大切です。言葉だけでは伝えにくいイメージや概念は、画像やグラフを効果的に使い、見るだけで大まかな内容が理解できるように工夫しましょう。
データを活用する
プロモーション企画書では、内容に説得力を持たせるためにデータを活用することが有効です。数字で示す際は、必ず根拠を明確にしましょう。データの出所を示した上で、「40歳以上の75%が興味を示している」などと具体的に示すと、信頼性が高まります。
外部リソースでプロモーションを企画する方法
自社のノウハウが十分でない場合、外部リソースの活用が有効です。以下で2つの方法について詳しく解説します。
専門会社に依頼する
企画書作成を専門とする会社のサービスを活用する方法があります。専門会社に依頼すれば、商品販売や提案の目的に合わせて企画書を代行で作成してもらえます。情報整理が苦手な場合や、大画面でのプレゼン向けに見栄えを整えたい場合に特に有効です。ノウハウを学びながら利用できる点もメリットです。
クラウドソーシングで個人に依頼する
クラウドソーシングを利用して、フリーランスや個人に外注する方法もあります。クラウドソーシングでは、プロモーション企画の経験者や資料作成が得意な人を、検索機能で絞り込んで探すことが可能です。依頼する際は、納品や対応力、費用、コミュニケーションのスムーズさなどを確認しましょう。
プロモーション企画の成功事例
プロモーション企画を進める際には、他社の成功事例も参考にしましょう。以下で3つの事例を紹介します。
きのこの山
大手食品メーカーの株式会社明治は、夏に「きのこの山」を話題にすることを目的に、8月11日の山の日に合わせて「きのこの山の日」を設定しました。この日を楽しむためのプロモーションとして、夏や山にちなんだ「きのこの山びこ」イベントを公共の場で開催しました。
イベント告知では、店頭や新聞、ティザームービー、マスPRなどの複数の施策を組み合わせる計画を立てています。
パルコ&パルム
森永乳業株式会社が販売する「パルム(PARM)」は、20~30代の新規ファン獲得を目的に、「#パルコでパルム」キャンペーンを実施しました。主要都市のパルコに設置したPARMカフェを若年層に体験してもらい、SNSで拡散してもらう企画です。
サッポロ黒ラベル
飲料メーカーのサッポロビール株式会社は、サッポロ生ビール黒ラベル40周年を記念し、「大人の☆生。」というプロモーション戦略を展開しました。大人に支持されるビールとしての情緒価値を高めるため、店頭で「40種のビヤグラス」が当たるキャンペーンや、体験型イベント「the PERFECT BAR」を企画しました。
まとめ
プロモーション企画では、現状分析や課題抽出、ゴール・ターゲット・予算設定、スケジュール設計などのステップが重要です。企画書作成では、構成を整え、端的でわかりやすい表現、視覚的な工夫、データ活用が効果的です。さらに、外部の専門会社やクラウドソーシングを活用することで、自社のノウハウ不足を補いながら効率的に企画を進められます。
株式会社マクロミルは、マーケティングリサーチとデジタルリサーチを中心に、多様な社会・消費者ニーズを分析し、クライアントに正確な消費者インサイトを提供する企業です。単なるデータ提供にとどまらず、マクロミルは自社データとクライアントが保有するデータを組み合わせた活用支援(データ・コンサルティング)を行っています。