アンケート調査の回収率とは?一般的な回収率と回収率を向上させる方法を徹底解説

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2025/6/27(金)

アンケート調査において回収率は調査の成否を決定する最も大切な指標です。回収率が低ければ調査結果の信頼性が損なわれ、データに基づく意思決定に重大な影響を与えかねません。本記事では回収率の基本概念から実践的な向上手法まで詳しく解説します。

参考:アンケート調査とは?種類や手順・進め方、ポイント、活用事例などを解説

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Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

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アンケート調査は回収率(回答率)が重要

アンケート調査において回収率の高さは調査品質を左右する不可欠な要素です。

回収率とは

回収率とは、アンケート調査票の配信数に対して、実際に回答を得られた割合を示す指標です。たとえば、1,000通のアンケートを配信し450通の回答を得た場合、回収率は45%と計算されます。この指標は調査結果の代表性や信頼性を判断する重要な基準として活用され、調査の成功度を測る最も基本的な指標として用いられます。

回収率の計算式

回収率は「回答数÷配信数(調査対象者数)×100」という計算式で求められます。具体的には、10,000人を対象としてアンケートを配信し、5,000人から回答があった場合、回収率は50%です。

配信数に対してどれだけの回答を回収できたかを把握することが重要で、この数値により調査の達成度を客観的に評価できます

回収率と有効回答率

回収率と似た概念として有効回答率があります。それぞれの意味を明確に理解しておくことで、調査結果を正確に評価できるようになります。

有効回答率とは

有効回答率とは、調査配信数に対して分析に利用できる回答の割合を示す指標です。アンケートに回答を得ても、必要な項目が未記入だったり、明らかに内容が整合しないものであったりする場合は無効回答として扱われ、有効回答からは除外されます。この指標は、調査データの品質を測定する上で重要な役割を果たしています。

回収率と有効回答率の関係

回収率は配信数に対する回答獲得の割合を示し、有効回答率は回収した回答から分析可能なデータの割合を表します。回収率が高くても無効回答が多ければ有効回答率は低下するため、両指標は必ずしも比例関係にありません。

ただし、一般的には回収率が高いほど有効回答率も向上する傾向があるため、質の高い調査データを得るには回収率向上が不可欠です。

アンケート調査における回収率の重要性

回収率の高さは調査の成功を左右する指標です。データの信頼性確保と調査コストの最適化という2つの観点から、その重要性を詳しく見ていきましょう。

回収率はデータ信頼性を決める要素

回収率は、調査結果の信頼性を決定する大切な要素の1つです。回収率が低い場合、特定の層の意見が過度に反映され、調査結果に偏りが生じる可能性が高まります。たとえば、商品満足度調査で1,000件の回答を得た場合でも、回収率が10%と低ければ、未回収のアンケートに異なる意見が含まれている可能性があり、結果の代表性に疑問が生じるでしょう。

コスト削減にもつながる

回収率向上は調査コストの大幅な削減に直結します。回収率が低い場合、必要なサンプル数を確保するために追加調査が必要となり、印刷費や郵送費、人件費などのコストがかさみます。

一方、高い回収率を実現できれば、少ない配信数で十分なサンプル数を確保できるため、調査期間の短縮と全体的な効率向上が期待できるでしょう

アンケート調査での平均回収率と目安

アンケート調査の回収率は調査方法や対象者によって大きく異なります。効果的な調査設計と目標設定のため、調査手法別の傾向を把握しておきましょう。

一般的な回収率

アンケート調査における一般的な回収率は約33%です。この数値はさまざまな調査手法を統合した平均値で、100人にアンケートを配信した場合、およそ33人から回答を得られることを意味します。

ただし、実際の回収率は調査内容や対象者の特性によって10%から80%まで幅広く変動するため、この数値はあくまで基準として活用しましょう。

調査方法別の平均回収率の違い

調査方法によって回収率には顕著な差が現れ、適切な方法の選択が調査成功の鍵となります。最も高い回収率を示すのは対面調査で57%、続いて郵送調査が50%です。一方でデジタル調査では29%と相対的に低い傾向が見られます。

公的調査では、国勢調査で70~80%と高い回収率を実現しており、調査主体の信頼性や社会的意義が回収率に大きく影響することがわかります

回収率を向上させるための8つのポイント

回収率向上には体系的なアプローチが必要です。以下の8つのポイントを実践することで、効果的な改善が期待できるでしょう。

対象者を絞り込む

適切なターゲティングは、回収率向上の基盤となります。興味や関心が薄い層にアンケートを配信しても、回答率は期待できません。商品購入履歴やサービス利用状況、年齢や職業などの属性情報を活用し、調査テーマに関連性の高い対象者を厳選することが重要です。

たとえば、化粧品に関するアンケートを実施する場合、過去に関連商品を購入した顧客に絞り込むことで、回答意欲の高い層にリーチできます。

つながりのある回答者を選

企業や組織との関係性が深い回答者ほど協力的な姿勢を示す傾向があります。既存顧客や会員、過去に取引実績がある企業の担当者など、何らかのつながりを持つ対象者を優先的に選定することが効果的です。

このような回答者は調査目的に対する理解も深く、質の高い回答を得られる可能性が高まります。新規開拓よりも既存関係の活用が回収率向上の近道となります。

回答者の負担を減らす

回答負担の軽減は回収率に直結します。質問数は5~10問程度に抑え、「3分程度で完了」といった回答時間の明記が効果的です。自由記述項目を最小限にとどめ、選択式回答を中心とした構成にすることで、回答者のストレスを軽減できます。

また、スマートフォンやタブレットでも回答しやすいモバイル対応は現代では必須の対応となっています。

回答者のモチベーションを高める

魅力的なインセンティブの設定は回答意欲を向上させます。ギフト券やポイント付与、クーポン配布、抽選プレゼントなど、対象者にとって価値のある特典を用意することが重要です。BtoB調査では、無料サポート延長や製品割引といった業務に直結するメリットも効果的です。

ただし、インセンティブの内容は調査予算とのバランスを考慮して設定しましょう。

回答してもらいやすいタイミング・形式にする

配信タイミングと形式の最適化により回収率は大きく変わります。一般消費者向けであれば平日夜間や週末、ビジネス関係者向けであれば平日の日中が効果的とされています。メール配信では件名の工夫が必要で、「フィードバックのお願い」といった親しみやすい表現が開封率向上につながるでしょう。

ブランドの認知度を用いる

知名度の高い企業や組織であれば、そのブランド力を活用することで信頼性を高められます。企業ロゴや公式な文書形式を用いることで、回答者に安心感を与え、回収率向上に寄与します。一方で認知度が低い場合は、業界団体との連携や第三者機関による推薦といった権威付けが有効です。ブランド価値の活用により、アンケートの信頼性を大幅に向上させることができるでしょう

信頼できる調査であることを伝える

調査元の明確化と調査目的の丁寧な説明は回収率向上に寄与します。企業名や担当部署を明記し、個人情報の適切な取り扱いを約束することで、回答者の不安を解消できるでしょう。「サービス改善に活用します」「結果は今後の商品開発に反映いたします」といった具体的な活用方法の説明により、回答することの意義を感じてもらえます。調査の透明性が信頼獲得の鍵です

フォローアップを徹底する

フォローアップの実行により回収率は大幅に改善されます。初回配信から1週間後のリマインドメール送信や、電話でのリマインドは特に効果的とされています。ただし、過度なフォローアップは逆効果となるおそれがあるため、2~3回程度にとどめることが重要です。継続的なアプローチにより、最終的な回収率を大きく向上できるでしょう。

まとめ

アンケート調査における回収率は、データの信頼性と調査コストの両面で重要な指標となります。一般的な回収率は33%程度ですが、調査方法によって大きく異なり、対面調査で57%・郵送調査で50%・オンライン調査で29%という傾向が見られます。

回収率向上には、対象者の絞り込み・回答負担の軽減・インセンティブの設定・信頼性の確保・効果的なフォローアップといったアプローチが必要でしょう。これらの施策を組み合わせることで、質の高いデータ収集と調査コストの削減を同時に実現できます。

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監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

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