
2025年が始まり早くも5か月が経とうとしていますが、その間にも成人式、節分、バレンタインデー・ホワイトデー、受験・卒業式、ひな祭り・お花見といった様々なイベントが催されました。
イベントの時期になると、普段よく見るお菓子がイベント仕様になっているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。昨今は様々なメーカーでイベントごとに普段とは異なるパッケージやフレーバーの、見た目にも楽しいお菓子が発売されています。
今回は、そういったイベント仕様の菓子商品について、【ハロウィン】【クリスマス】に着目し、市場動向、トレンドの変化について深掘りしていきます。
- 1. イベント仕様菓子の市場動向
- 2. ハロウィンvsクリスマス-購入商品の比較
- 2-1. 菓子カテゴリの比較
- 2-2. 価格帯分布の比較
- 3. ハロウィンvsクリスマス-購入者の比較
- 3-1. 購入者属性比較
- 3-2. 使用者比較
- 3-3. 他イベント併買状況比較
- 4. まとめ
※本レポートで使用するグラフはすべて購買履歴データQPRの分析データを基にしております
※分析条件によって分析の対象とするモニタが異なります[10年間の分析:15-69歳] [2024年の分析:15-79歳]
※通年販売されているブランドの、イベント用のパッケージやフレーバーの商品を【イベント仕様菓子】と定義して分析します
例:通年商品のハロウィンパッケージ(ハロウィン仕様)のアイテムなど
※「イベント仕様菓子市場全体」には、正月、受験、バレンタインデー、ホワイトデー、ひな祭り、イースター、こどもの日、母の日、父の日、七夕、ハロウィン、クリスマスを含みます
1. イベント仕様菓子の市場動向
次のグラフは、イベント仕様菓子全体とハロウィン・クリスマス別の市場ボリューム(100人あたり購入金額)の10年間の推移を示しています。

直近10年の【イベント仕様菓子市場全体】のボリュームは、2019-2021年はコロナ禍などにより減少・横ばい傾向であったものの、コロナ収束や値上げなどの要因もあってか2022年は伸長、その後は横ばい傾向であり、直近3年は2016-2018年の水準と比較すると微減傾向であることがわかります。
【ハロウィン】は、2017年までハロウィンブームによる拡大を続け、その後は横ばいの傾向でしたが、22年にはまた伸長しました。直近3年の動きをみると減少傾向であるものの、10年間の動きでみると高い水準にあることがわかります。
【クリスマス】は、2022年までは横ばい傾向であったものの、直近2023-2024年は伸長傾向にあります。
次のグラフは、イベント仕様菓子全体とハロウィン・クリスマス別の購入率(購入者数)、購入者あたり購入金額の10年間の推移を示しています。


ハロウィン、クリスマスの直近3年間の動きを確認すると、ハロウィンは購入率の減少、クリスマスは購入率、購入者あたり購入金額ともに増加が目立つ結果となりました。
直近3年のハロウィンの市場ボリューム減少の要因は購入率の減少によるものです。また購入率が減少している中、購入者あたり購入金額は増加していることから値上げなどにより商品単価は増加しているが、それによって購入者が減少していることも考えられます。
直近3年のクリスマスの市場ボリューム増加の要因は購入率、購入者あたり購入金額の増加の両方によるものです。
2. ハロウィンvsクリスマス-購入商品の比較
2-1. 菓子カテゴリの比較
次のグラフは、ハロウィン・クリスマスそれぞれの2024年市場構造をカテゴリ別に示しています。
横軸が「購入率(購入者数)」、縦軸が「購入者あたり購入金額(購入者の平均購入金額)」、円の大きさが100人あたり購入金額を表します。

100人あたり購入金額をカテゴリ別に確認すると、ともにチョコレート、ビスケットクッキーが上位となりました。違いとして、クリスマスはスナックが、ハロウィンはキャンディ・キャラメルが上位に挙がってくることがわかります。クリスマスのスナックは購入率をみても、高い位置にあるため、購入されやすいカテゴリであるとも考えられます。
2-2. 価格帯分布の比較
次のグラフは、ハロウィン・クリスマスそれぞれで2024年に購入されたアイテムをもとに、価格帯別の金額構成比を示しています。

ハロウィンは100-200円、200-300円の低価格帯商品のシェアが大きく全体の約80%を占めています。クリスマスはハロウィンと比較すると低価格帯のシェアが少なく、100円刻みの単位で最もシェアが大きいのが 500-600円の商品となりました。600円以上の商品シェアも15%を超えており、ハロウィンと比較して高額の商品が購入されやすいようです。
3. ハロウィンvsクリスマス-購入者の比較
3-1. 購入者属性比較
次のグラフは、ハロウィン・クリスマス商品の2024年購入者の性年代別/末子年齢別の購入率を示しています。
※末子年齢区分別:モニタの世帯内で最も年齢が低い同居者の年齢区分


ハロウィン商品の購入者は、性年代区分で最も購入率が高いのが女性30-40代、末子年齢区分では小学生低学年が多く、小学生低学年までの子供がいる30-40代の女性が購入しやすい傾向があると言えそうです。
クリスマスについては、女性30-40代の購入率が比較的高いものの、ハロウィン程特徴がなく、まんべんなく色々な属性の方に購入されていることが考えられます。
3-2. 使用者比較
次のグラフは、ハロウィン・クリスマス商品の2024年の使用者別購入金額構成比を示しています。
※QPRでは誰が使用するために商品を購入したのかを聴取しており、その情報を使い分析を実施

購入商品の使用者の構成として、ハロウィン、クリスマスともに共有目的での購入が多い結果となりましたが、クリスマスはハロウィンに比べ、本人使用目的での購入者も多いこともわかります。
3-3. 他イベント併買状況比較
次のグラフは、2024年ハロウィン、クリスマスそれぞれの商品購入者による、他イベント商品の併買状況を示しています。
※ひな祭りのみ、通年商品ではない「ひなあられ」などの商品も含む
※リフト値:指定した商品の購買者が併買対象の商品を購入する確率が、全体のモニタと比べて何倍高いかを示す指標


クリスマス商品購入者のほうが、ハロウィン商品購入者に比べて「併買なし」 の比率が低く、クリスマス以外のイベント商品も購入しやすい傾向であることがわかります。
内訳を見ると、クリスマス商品購入者のうち約33%がハロウィン商品を購入、約17%がひな祭り商品を購入しています。
一方で、正月、こどもの日、バレンタインデーは、併買率(=クリスマス商品購入者が他イベント商品を購入する割合)は低いものの、リフト値が比較的高く、全体のモニタと比較してクリスマス商品購入者が買いやすい商品と言えます。
4.まとめ
- 直近3年の市場ボリュームを確認すると、イベント仕様菓子市場全体は横ばい傾向となり、「ハロウィン 減少傾向」「クリスマス 伸長傾向」とイベント別ではトレンドがわかれました。
- ハロウィン商品は小学校低学年までの子供がいる30-40代の女性層がよく購入する傾向があり、一方でクリスマス商品は、まんべんなく色々な属性の方に購入されていることがわかりました。
- ハロウィンは低価格帯商品のボリュームが大きく、クリスマスは低価格帯のボリュームもあるものの、高価格帯(500円-)のボリュームも大きい結果となりました。
- ハロウィンは共有目的での購入が多く、クリスマスは本人使用の目的での購入者もハロウィンに比べ多かったことから、ハロウィンは子どものために低価格帯のボリュームのある商品を購入している人がいる、クリスマスは自分用にご褒美的に高価格帯の商品を購入している人がいることも考えられます。
食品の大幅な値上げも起きている中、よりお財布のひもは固くなっているとも考えられる子あり世帯がハロウィン購入層に多いことも、クリスマスに比べ、ハロウィンが減少傾向である要因とも考えられます。直近でも値上げが起きているため、今後も生活者のお財布のひもはより固くなるのではとも考えられます。値上げになどによる生活者の消費変化など、今後のイベントアイテム市場の動きにも注目したいところです。
・・・皆様のご参考情報としてご活用ください・・・
消費者購買履歴データ「QPR™」
全国3万人のモニタにバーコードリーダーを貸与し、日々の購買履歴データを収集・分析し、商品購入実態をリサーチ。アンケートの実施により、なぜ購入したのかという意識も掛け合わせて聴取することができます。
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著者の紹介

株式会社マクロミル 第2事業本部 アカウントマネジメント部 パネルデータビジネスユニット カスタマーサクセスグループ
谷上 菜々子
購買履歴データ「QPR」の営業として配属後、カスタマーサクセスグループへ異動。年間契約企業様へのQPR利活用促進業務に加え、データ集計業務を担当する。購買データを軸に幅広い業務領域に従事する。
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