【データ構築支援事例】 カゴメ株式会社様

事業を統合し全社で顧客を見るため、マクロミルと挑んだDMP構築

2025年のありたい姿として「食を通じて社会問題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」になることを定め、「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「世界の食糧問題」という3つの社会課題の解決に取り組まれていらっしゃるカゴメ株式会社様(以下カゴメ)。
2015年から始まったカゴメのDMP構築には、マクロミルも当初からともに取り組ませていただいています。近年ではマクロミルの社員がカゴメに常駐させていただき、データ利活用における連携を深めています。カゴメが目指すありたい姿を実現するため、データ利活用を進めていらっしゃる細川様に、DMP構築の背景や、データ利活用で目指すことなどについて、マクロミルで本件を担当する統合データ事業部の新井とともにお話をお伺いしました。

カゴメ株式会社

営業本部
営業推進部デジタルマーケティンググループ 主任
細川 和紀

※以下敬称略

“デジタル”や“データ”を取り入れ、現場で使えるDXを

― 2020年に細川様が所属されている「デジタルマーケティンググループ」が設立されたそうですね。
どのようなミッションをお持ちなのでしょうか。

細川:
デジタルやデータを取り入れ「現場で使えるDX」を推進していくために、生活者との距離が近い店頭や流通の情報を吸い上げ、素早くマーケティングに反映する役割として、営業本部内に『デジタルマーケティンググループ』が設置されました。
営業現場で得た生活者の情報をマーケティング部門の持つ情報とクロスしながら、生活者・小売の変化に対応し、戦略の確度をあげていくことがミッションです。

新型コロナウイルスの影響を受けて、生活者、小売・流通業ともに大きな変化が起きています。生活者に関しては、SNS、インターネットの利用拡大による「情報接点の変化」、実店舗に行かず家での買い物が増える「買い場の変化」、健康意識や美容意識などの「価値観の変化」が起こっています。
一方、小売・流通業においては、企業統合、EC化、EDLP化といった業態・販促の枠組みも変わってきています。コロナ禍で、チラシでの来店機会を促す手法が難しい中で、One to One のデジタル販促へのシフトも進んでいます。

※EDLP(Everyday Low Price)とは、年間を通じて価格変動させず、同じ低価格で販売する手法

このような変化に迅速な対応ができるよう、商品企画から営業までマーケティングプロセスに関わる全ての社員がデジタル技術の活用やその考え方を取り入れることが必要になってきています。

― そのような中で、細川様はどのようなミッションを持たれているのでしょうか。

細川:
マーケティング本部、営業本部内におけるデータ・ドリブンマーケティングの推進と定着、データに基づいた意思決定や施策実行ができる環境構築を主なミッションとしています。

― 実際にデジタルマーケティンググループでは、どのようなデータ活用施策を行っているのでしょうか。

細川:
具体的に活動しているものでは(1)マーケティング部門での活用推進、(2)店頭での活用推進、(3)データ活用を推進するための成功体験と風土づくり、の3つがあります。

「マーケティング部門での活用推進」については、我々のグループだけでなく全社のDX推進課題として「顧客情報の統合」を進めています。これによりカゴメと様々な場所で接点をもったお客様を一人の個客としてとらえ、顧客情報を起点に分析を行い、マーケティング戦略の高度化に向けて活用することが狙いです。マーケティング部門だけでは事業領域のみでの企画実行となりますが、我々のグループが社内を横断し連携するための提言・提案を行っています。

マクロミルとともに挑戦したDMP構築

― その取り組みの一つとして、マクロミルがデータを提供しているDMP構築があるかと思います。
2015年からDMP構築を開始され、業界の中でもいち早く取り組まれていらっしゃるかと思いますが、その背景について教えていただけますか。

細川:
2015年に基幹事業である飲料事業の売上が低迷したことがDMP構築をスタートしたきっかけです。低迷理由を分析すると、継続購入していた優良顧客が離脱してしまったことが分かりました。当時は糖質オフが話題となり、野菜飲料に糖質が多く含まれているといったネガティブな情報が広がったことが一因です。
創業時から、ニッチな市場で商品特性を理解されたお客様にアプローチし、長く飲み続けていただけるような優良顧客をいかに作れるかという視点でマーケティングを行ってきました。そのような経緯もあってだと思いますが、カゴメ家庭用事業の売上の約3割が2.5%の優良顧客に支えられている構造であることが分かったのです。経営へのインパクトが大きい優良顧客の離脱を防ぐこと、優良化していく過程を把握することの必要性から、「&KAGOME」というファンサイトの立ち上げやDMP構築が始まりました。

DMP構築の目的は、データを統合し顧客の商品接点から優良化までの過程を可視化することでマーケティング戦略の確度を高めることです。その仕組みにより、これまでの「モノ」起点のマーケティング分析から、「ヒト」と「モノ」の両方の起点でも分析を行えることを狙いとしました。

― その中で、マクロミルにもご相談くださったのですね。

細川:
これまでもマーケティングリサーチの領域でともに取り組んできた背景もありますが、2015年のタイミングで、カゴメの考えや取り組み背景を理解・賛同し、一緒に挑戦しようと言っていただけたことが、マクロミルにお願いしようと思った大きな理由です。今やDMP構築は事業化されていますが、当時食品業界はDMP構築が活発ではない時期でした。そのような中でも、一緒にやろうと後押ししてくれたことは嬉しかったです。
構築においては、単なる調査会社という立ち位置ではなく、データのプロフェッショナルとして、各データをどう連携させるとマーケティング分析を行う上で扱いやすいのかなど、マクロミルのもつ知見を取り入れていきました。取り込むデータはマクロミルのデータだけではなかったのですが、マクロミルが各社との取り組みの中で得た豊富な知見をいかした提案を随所にいただけたことで、データを正しく取り扱った精度の高い分析、施策実行ができる環境をつくることができました。

新井:
DMP構築時は担当では無かったのですが、当時の話は代々受け継いでいますよ。当初はマクロミルが提供するQPR™(消費者購買履歴データ)と、カゴメサイトへのアクセス情報の活用からスタートしていて、どのサイトにアクセスしている方が何の商品を購入されているのか、クロス分析ができるものでした。

細川:
そうですね。現在では、年に1回アンケート調査データの紐づけや、カゴメ通販サイトへのアクセス状況、「&KAGOME」へのアクセス情報など、各会員基盤との掛け合わせができるようになっています。最近では、LINEでカゴメ公式アカウントに友だち登録をしている方なのか、過去どういったキャンペーンに参加している方なのかといった情報も掛け合わせて分析に活用しています。

― DMP構築において、こだわったポイントがあれば教えてください。

細川:
カゴメは飲料、食品、生鮮野菜など、事業領域が多岐にわたりますが、それぞれの事業で顧客を見ていくのではなく、事業を統合し、カゴメ全体で顧客がどういう状態にあるのか見えるようにしたことです。
例えば、野菜飲料だけを多く買っている人が本当にカゴメにとって優良顧客なのか、その顧客に食品を買ってもらえれば、カゴメ全体の購入金額が増えます。カゴメの商品は原材料が野菜や果実といった自然由来のものであり、購入いただければいただくほど、顧客の健康に貢献することができます。カゴメ商品の購入量を増やすことが、ゆくゆくはお客様自身の健康につながっていくわけです。

― まさに御社が掲げている、ありたい長期ビジョンにつながっていくわけですね。

細川:
そうですね、壮大な想いを掲げて作ったものではあるのですが、実際には難しさも感じました。「カゴメ全体で顧客を見ていく」といっても、マーケティング部門ではそれぞれの事業でどう売上を作るか、ブランド単位でどう顧客の間口・奥行を拡大させるかが焦点となり、事業を統合してカゴメ全体で顧客を見る視点を根付かせていく難しさがありました。

ただ、仰るように、カゴメとして「健康寿命の延伸」を長期ビジョンに掲げ、全社をあげて「野菜をとろうキャンペーン」を推進しているので、各事業部間でハレーションが起こるようなことはなく、連携はしやすかったと思います。

※2019年より、国民の野菜不足をゼロにすることを目的に、野菜不足の自覚を促し摂取意欲を高めるための活動に取り組まれています。

広告費用対効果305%を達成

― 実際にDMPを構築されて、どのような効果があったでしょうか。

細川:
事業を横断しカゴメ全体で顧客を見たときに、ブランドがカゴメにとってどのような貢献をしているかが分かるようになりました。例えば、毎年夏のシーズンに発売している「トマトジュースPREMIUM」はカゴメの優良顧客の皆様に愛飲されている、カゴメのファンづくりにかかせない商品であることが分かっています。
また、現在デジタルマーケティンググループで、優良化へのプロセスの課題解決手段としてSNSアカウント運用によるCRM推進を行っていますが、DMPの仕組みを作らなければ、このようなCRM推進戦略を描くことができなかったかもしれません。企業のSNSは、媒体別にKGI、KPI が設定され、そこに向けて運用されていることが多いと思いますが、カゴメの場合は、顧客優良化のために各SNSを統合した運用をしています。例えばTwitterは購入のきっかけづくりとして、LINEは継続的に購入頻度を高めるためのツールとして、役割を明確にして運営をしています。2019年から取り組みはじめ、2020年はROAS305%を達成しました。

※ROAS(Return On Advertising Spend)とは、広告経由による売上成果を計る指標。広告の費用対効果を示す

― 大きな効果が出ているのですね。

細川:
とは言え、まだ店頭での購買接点を中心にお客様の情報を取りためている状態なんです。全社のDX推進の中で、カゴメ通販サイトでの購入履歴や、これまで取り込めていなかった株主情報、カゴメの工場見学への参加経験など、ありとあらゆるカゴメとの接点歴、行動歴を統合して、全社で顧客を一人の「個客」として見ることに取り組んでいます。

新井:
現在、カゴメにマクロミル社員が常駐させていただいており、これまではデータを提供しているところまでで終わっていたのですが、どのように活用していただいているかを側でお伺いできるようになりました。常駐できる関係性をとてもありがたく思っています。今後さらに、カゴメが“全社で顧客一人ひとりを見ていく”過程においても、マクロミルならではの貢献をしていきたいですね。

― 今後データ利活用で実現させたいことはあるでしょうか。

細川:
現在“野菜摂取の習慣化”に向けた取り組みを全社で推進しています。習慣にはステージがあると言われているのですが、カゴメと接点をもった顧客が、野菜摂取におけるどのステージにいるのかを把握し、そのステージに沿った提案をしていきたいと思っています。そのために、“野菜接点”の多様化と多点化を進めていく方針です。多様化とは、ステージにあわせた、商品やメニュー提案、情報発信で、野菜の摂り方を提案していくことで、多点化とは、生活者がコンビニでも外食でも、いつでもどこでも野菜を摂れる機会を創出していくことを指しています。
そのエンジンとなる仕組みを統合するシステムと、促進するデータの紐づけをやっていきたいと思っています。これも野菜の摂取を促進し、カゴメの商品を買い続けることで健康になっていくモデルを構築したいという思いの具現化です。「カゴメと接点をもてば健康になる」とお客様に思ってもらえるような商品・サービスを提供していきたいなと思っています。

データのプロフェッショナルである“マーケティングパートナー”として関わってもらいたい

― これからマクロミルに期待することがあれば教えてください。

細川:
カゴメが掲げるあるべき姿を達成するためには、データの集約、データの利活用は切り離せないものです。これから構築していくものについても、マクロミルのお知恵をお借りし、一緒に開発を進めていきたいと思っています。
あわせて、“パートナー”として、構築して終わりではなく、活用する仕組みを社内に浸透させていくところまで一緒に進められるといいですね。そのために、カゴメが持つ情報はさらにオープンにしていこうと思いますし、マクロミルからも新しい提案、切り口をいただけると嬉しいですね。

新井:
DMP構築に続いて事業部ごとに市場データを管理するダッシュボードも構築しています。構築にあたっては何度もお打ち合わせをさせていただきましたが、完成後はデータ更新に留まってしまっていたため、どのタイミングでどの方がどのように活用されているのか、さらに深掘りして、こちらからご提案をしていきたいですね。

細川:
ぜひお願いします!
最後に少し大きな話となりますが、今後のデータ活用社会で「競争から共創への転換」を目指したいと思っています。今後、縮小する国内市場の中で、各社がネガティブキャンペーンにより差別性、優位性を際立たせる時代ではないと考えています。メーカー同士だけではなくメーカーと小売・流通も、相互のリソースを重ね合わせて生活者にとって価値ある社会課題を解決していくべきだと思っています。「共創」のためのキーワードとして、データやデジタルプラットフォームは切っても切り離せません。その中で、マクロミルには、これからもデータ利活用の領域において、データのプロフェッショナルである“マーケティングパートナー”として環境の構築、情報の提供、支援などを期待したいですね。

― 本日はありがとうございました。


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