Web-AHP(Analytic Hierarchy Process:階層分析法)

生活者にとっての「重視度」を加味した商品・ブランド評価法

「生活者が何を重視して購買行動における意思決定をしているか」に注目した手法がWeb-AHPです。生活者の商品やブランド評価、コンセプトやクリエイティブ決定、生活者のブランド・商品選択行動分析、など各種の課題を解決します。

このようなときに・・・
  • 現行商品の評価構造が知りたいとき
  • コンセプトやクリエイティブを決定したいとき
  • コンセプトやクリエイティブの決定基準やその優先順位を知りたいとき
こんなことができます
  • 生活者が選択行動において、心理的に「何を」「どのくらい」重視しているのかがわかります
  • 商品・ブランド・クリエイティブなどの強みや弱み、特徴を明らかにできます

1.評価基準の重要度を加味することの重要性

デザインでは評価の高いブランドAと、機能において評価の高いブランドBがあったとします。2つとも優れた商品であるといえそうですが、生活者がブランド選択をする際に機能を全く重視せず、デザインのみを重視していたとしたらどうでしょう。市場ではブランドAの方が圧倒的に高い支持を得ると考えられます。

そこで、生活者がブランド選択や商品評価をする際にどのような点を重視しているのかを考慮して、商品力やブランド力について分析をするという考え方が非常に重要となります。AHPはこれを踏まえて、商品やブランドを評価する際に、複数の評価基準を立て、その評価基準の重要度を加味して総合評価を行う手法です。

2.AHPを使った分析の特長

2-1.課題を階層的に整理

AHPでは商品やブランドの評価・選択といった生活者の課題を目的・評価基準・代替案(商品やブランド)という3つの階層に整理し(図1)、下記の二つを測定することで生活者の評価構造を把握します。

  • 各評価基準の重要度
  • 各代替案の各評価基準における評価
図1. AHPによる階層化の例

図1. AHPによる階層化の例

このような測定を踏まえると、例えばデザインを非常に重視する人に対しては、総合評価値に占めるデザイン評価のウエイトを大きくして、デザインがよい商品の総合評価を高くするということができます。AHPでは、各評価基準の重要度の大きさに合わせて、評価基準に重み付けを行って、総合評価値を算出するのです。試験に例えれば、各評価基準の重要度を質問することは、各教科の配点を決めることと等しく、各代替案の各評価基準における評価を質問することは、各生徒の各教科の素点を知ることと等しくなります。

2-2.重要度シェアの算出

AHPでは評価基準の重み付けを行いますが、このために回答者がどの程度各評価基準を重視しているのかを重要度シェアで表現します。例えば、ブランド選択をする際にデザインを何パーセント重視しているのかを算出できるのです。

図2. AHPにおける重要度の考え方

図2. AHPにおける重要度の考え方

3.分析実例

2003年10月に行った自主調査の結果をAHPで分析した例を紹介します。目的は4つのインターネットプロバイダのブランド比較です。ただし、比較するプロバイダの1つはNTTとしています。プロバイダ業を行っていませんが、仮にNTTブランドでプロバイダ業に進出した場合のブランド力を測定することが目的です。

代替案:下記の4つ
  • NTT
  • OCN
  • Yahoo!BB
  • @nifty
評価基準:下記の7つのイメージ
  • 革新的である
  • 将来性がある
  • 安定性がある
  • 技術力がある
  • 親近感がある
  • スケール感がある
  • かっこいい感じがする

3-1.調査画面

AHPに必要なデータは、評定尺度法のデータか一対比較評価法のデータのいずれかとなります。一対比較評価法ではより正確に測定できるが、回答負担が大きく、評定尺度法では分析の精度は落ちるが、回答負担が小さい、という特徴があります。また、当社では1セットの一対比較を複数の回答者に分担させることにより、回答者負担を軽減した一対比較評価法(『Web一対比較評価法』の項を参照)も提供しています。

今回の調査では、評価基準の重要度については評定尺度法を、各代替案(プロバイダ)の評価についてはWeb一対比較評価法を採用しています。

3-2.分析結果

今回の結果では436人の回答者全体での重要度シェアは図3のようになりました。

図3. プロバイダのイメージの重要度シェア

図3. プロバイダのイメージの重要度シェア

安定性・技術力が特に重視されており、シェアは20%を超え、その次に将来性が17%ほど重視されているということがわかります。次に、図4はそれぞれの評価基準における各プロバイダのイメージ評価です。

図4. 各プロバイダのイメージ評価

図4. 各プロバイダのイメージ評価

革新的・かっこいいではYahoo! BBが群を抜き、安定性・技術力・スケール感という評価基準ではNTTが群を抜いている結果となりました。ここで注意しなければいけないのは、重要度が高い評価基準は安定性と技術力であるという部分です。次に重要度を加味して重み付けを行うとどのように評価が変化するかをレーダーチャートで確認してみましょう。

図5. 重み付け前の評価(左)と重み付け後の評価(右)

図5. 重み付け前の評価(左)と重み付け後の評価(右)

左は重み付け前の評価になりますが、紫のYahoo! BBと青のNTTが違った項目において好評価を得ており、総合的には切迫しているように見えます。右は、評価に重要度を掛け合わせたものですが、重要視されている評価基準で高い評価を得ていないYahoo! BBは弱くなり、NTTの独壇場となります。最後に、重み付け後の総合評価を図6で確認します。

図6. 重み付け後の総合評価

図6. 重み付け後の総合評価

図6のように、AHPの総合評価は100%を代替案で分け合うかたちで算出されます。重要な評価基準において高い評価をうけるNTTが今回の結果からは総合的に高い評価を受けているということがわかりました。NTTというブランドが持つイメージはインターネットサービスプロバイダが持つべきイメージに合っているといえそうです。

4.AHPの注意点

AHPでは、何を評価基準と設定するかが、最も大きな問題となります。そもそも重要視されていない評価基準を使うと分析自体が意味のないものになってしまう危険性があるからです。そこで、事前に予備調査(スクリーニング調査)などを行いFA(自由回答)形式で評価基準を抽出するなどの対処が重要です。また、個人個人で全く違う評価基準を持っている可能性などを考慮し、ウェブならではの技術を利用して、多数の評価基準を用意し、その中で個々の調査対象者が重要とする評価基準のみを表示させてAHPに関する設問を行う、DynamicAHPという手法も提供しています。

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