
水道水は「歯の健康にいい」!?世界の水道水事情を探る│『え、これって日本だけ?』~グローバルな視点で見えた”当たり前”の正体(3)
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公開日:2026/4/8(水)
喉が渇いたとき、蛇口をひねって出てきた水をそのままコップに注いで飲む。日本ではごく日常的な光景ですが、世界に目を向けると、この「当たり前」は必ずしも世界の共通認識ではありません。
本コラムでは、「『え、これって日本だけ?』~グローバルな視点で見えた”当たり前”の正体」と題し、日本と世界各地の生活習慣や、さまざまな「常識」の違いを考察していきます 。海外市場におけるマーケティングやイノベーションのヒントが見つかるかもしれません。
今回のテーマは・・・【水道の水は飲める?】です。
ぜひ最後までご覧ください。
【水道の水は飲める?】
【1】 そのまま飲める~ヨーロッパやオセアニア諸国

●イギリス/フランス/ドイツ/イタリア/スペイン/スウェーデン/オーストラリアなどでは、日本と同様に水道水をそのまま飲むことが可能です。
いくつかの国の事例を見てみましょう。
イギリスでは、基本的にどこでも水道水を安全に飲めます。日本と異なる点は、水に含まれるカルシウムやマグネシウムが多い、いわゆる「硬水」のため、味が少しミネラルっぽく感じられ、ケトルに白いミネラル分がつきやすいといった特徴があります。
ドイツでも水道水の安全性は非常に高く、そのまま飲めます。ただし、習慣としては炭酸入りのミネラルウォーター(シュプルーデル)をボトルで買って飲む人が多く、レストランで無料の水道水が出てくることはほぼありません。「お金を払ってでもボトル水」という嗜好が強くあります。
一方、スウェーデンは水質が非常に良く、「水道水が一番おいしい」という感覚が一般的で、家庭でもレストランでも多くの人がそのまま飲みます。ボトル水は特別な嗜好品に近く、無料の水道水を出すこともごく普通です。
オーストラリアでも、水道水はほとんどの地域でそのまま飲んでも安全とされています。ユニークなのは、公的な医療情報サイト等で「水道水はしっかり管理されており、歯の健康のためにもお勧め」と明記されている点です。
これは公衆衛生の一環として、虫歯予防のために水道水へ「フッ素」が添加されているため。日本ではあまり馴染みのない発想ですが、現地では「水道水を飲むこと」が歯の健康維持に直結するポジティブな選択肢として捉えられています。
ただし、広大な国土ゆえに例外もあります。地方のごく一部では、水源や設備の状態によって当局から「飲む前に一度沸かしてください」という通知が出ることもあります。
【2】 基本的には飲めない~米国、南米、アジア諸国など

●アメリカ/ペルー/ブラジル/中国/韓国/台湾/タイ/ベトナム/インドネシア/インド/トルコ/UAE/南アフリカなどでは、そのまま飲まないことが一般的です。
各国の状況を見てみましょう。
アメリカの多くの地域では水道水はそのまま飲みません。塩素や鉛などの問題があるため、各家庭で浄水器を設置するのが一般的な習慣です。特にフラッキング(シェールガス採掘)を行う地域では地下水汚染が報告されることや、軍施設周辺で燃料漏れによる水質汚染が問題となる例もあります。
中国では、水道水はそのまま飲むことはできないとされており、大都市であっても一度沸かすか、浄水処理をしてから飲むことが推奨されています。これは、水処理場で処理された水でも、家庭に届くまでの配管の老朽化や貯水タンクの衛生状態などにより、二次汚染が発生する可能性があるためです。多くの家庭では水を沸かして飲むか、ペットボトルの飲料水を購入しています。
タイでは、都市部でも配管の老朽化や貯水タンクの衛生状態に不安があり、多くの家庭で浄水器やボトルウォーターを使用しています。ベトナムも、都市部では浄水処理が行われているものの、古い配管や、塩素・重金属・大腸菌などの混入リスクがあるため、ほとんどの家庭では一度煮沸したり、浄水器を通したりしてから飲んでいます。ミネラルウォーターを購入する人も多いです。
インドも、一般的に水道の水はそのまま飲むのは推奨されていません。多くの地域で配管の老朽化や貯水タンクの汚れ、細菌・ウイルス汚染が問題となっており、再汚染のリスクも高いためです。
【水道の水は飲める?】、いかがでしたか?
人間の生活に欠かせない最も基本的な物質である水。しかし、水そのものが稀少な地域もあれば、広大な国土や急速な都市化などでインフラ整備が難しい地域もあることでしょう。日本ではどこでも当たり前に使え、飲用できる水道水も、世界を見るとその姿は当たり前ではありません。
それに加え、日本でもミネラルウォーター類の生産量や販売額は増加しており(※)、また浄水器を使用する家庭も多くあるように、他の国々においても水道水が単に飲用に適した水準かどうかという点以外にも、味やにおいなどに対する好みも重要な点と言えるでしょう。
世界を旅行するときには、売っている水の産地や成分に注目したり、人々の生活を支える水のインフラに思いを馳せたりすることも、現地の市場や消費者の生活を考えるヒントにつながるかもしれません。
次回も是非お楽しみに!
(※)一般社団法人全国清涼飲料連合会「清涼飲料水統計2025」による。
※掲載画像作成は生成AIを使用
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マクロミル事業統括本部グローバルリサーチプロダクト部
