
鳴り響くのが当たり前!?世界のクラクション事情を探る│『え、これって日本だけ?』~グローバルな視点で見えた”当たり前”の正体(2)
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- 世界の”当たり前”比較 リサーチャーコラム
公開日:2026/3/18(水)
静かに整然と車が流れる日本の道路。クラクションの音を耳にする頻度は、あまり多くないのではないでしょうか。日本では「むやみに鳴らさないこと」が一般的なマナーですが、世界に目を向けてみると、必ずしもそれがスタンダードではありません。
本コラムでは、「『え、これって日本だけ?』~グローバルな視点で見えた”当たり前”の正体」と題し、日本と世界各地の生活習慣や、さまざまな「常識」の違いを考察していきます 。海外市場におけるマーケティングやイノベーションのヒントが見つかるかもしれません。
今回のテーマは・・・【車の運転中にクラクションを鳴らすことはよくあるか。どんな時に鳴らすか】 です。
ぜひ最後までご覧ください。
- 【1】 危険回避のための必要最小限のケース~制限が厳しいヨーロッパやオセアニア
- 【2】 比較的頻繁なケース~東アジアやアメリカなどでは、周囲への意思表示にも
- 【3】 非常に頻繁なケース~中国や東南アジア、中南米などでは、交通の日常音に
【1】 危険回避のための必要最小限のケース~制限が厳しいヨーロッパやオセアニア

●イギリス/フランス/ドイツ/イタリア/スペイン/スウェーデン/オーストラリア/UAEなどでは、本当に必要な時だけに使用するケースが多いです。
これらの国々では、クラクションは「危険の警告」「危険の回避」といった目的で避けられない場合にのみ使用されるケースが多いです。
ドイツでは、クラクションは法律上「危険回避のためのみ」と定められており、イギリスでも夜間や住宅街での使用は法律で制限されています。オーストラリアでも、「前の車がなかなか発進しないから鳴らす」「友人に“着いたよ”と知らせる」「怒りのままに連打する」といった使い方は、ほとんどの地域で法律違反となり、数百ドルの罰金を科されることもあります。
こうした国々では、クラクションを鳴らすのは、前方の車が危険に気づいていない場合や、交差点で接触の恐れがある時、他の車や歩行者・動物との衝突を防ぐ場合などに限られます。
ドイツやスウェーデンなどでは、高速道路でも注意や感謝などの意思表示はクラクションではなく、ライトやウィンカー(ハザードランプ)などで行うことが多いようです。
【2】 比較的頻繁なケース~東アジアやアメリカなどでは、周囲への意思表示にも

●アメリカ/台湾/韓国/タイ/トルコ/南アフリカなどでは、ある種の合図や意思表示にもしばしば用いられます。
アメリカでは、怒りの合図だけでなく、道路脇でデモや抗議活動をしている人々に賛同や応援の意を示す目的や、ハイスクールや大学におけるホームカミングや卒業式のシーズンに祝福や励ましの気持ちを込めてクラクションを鳴らすなど、共感や祝福を表す手段として使われる光景も見られます。
韓国では運転中にクラクションを鳴らすことは一般的で、特に交差点や進路変更など、他の車に注意したい際に使われます。特に首都ソウルは交通渋滞や高密度な道路環境、また右折や合流が多く、クラクションを鳴らすことで「私はここを行く」「注意して」という信号になるという声もあります。また、「パルリ・パルリ(早く早く)」というスピードを重視する国民性も影響していると言われます。
南アフリカでも運転中にクラクションを鳴らすことは比較的よくあり、注意喚起だけでなくて、挨拶や感謝の意味で使われることもあります。歩行者や他車への存在通知、タクシー同士の合図、祝いや喜びの表現としても鳴らされます。
【3】 非常に頻繁なケース~中国や東南アジア、中南米などでは、交通の日常音に

●ペルー/ブラジル/中国/ベトナム/インドネシア/インドなどでは、ある種の合図や意思表示として頻繁に用いられます。
中国では、ヨーロッパに比べて約40倍も頻繁にクラクションが使用されるというデータもあります。交通量が多く道路状況が複雑なため、クラクションは周囲への注意喚起として受け入れられています。交差点で歩行者や他車が信号に気づいていないときの短い警告、追い越しや車線変更時の「ここにいます」という合図、さらに渋滞中や違法駐車で道が塞がれた際の催促や不満の表明など、様々な場面で使われます。
ベトナムでは、街を歩くとクラクションの音があちこちから聞こえてきて、初めて訪れる人は、その頻度に驚くかもしれません。その背景には、バイクが主役の交通事情や、まだ整備の途上にある道路インフラも多く、互いに音で知らせることが、暗黙のマナーとして受け継がれてきたようです。
インドでも運転中にクラクションを鳴らすのは非常に頻繁で、むしろ重要なコミュニケーション手段とされています。信号が青に変わっても前の車が動かない場合、狭い道で歩行者やバイクに自分の存在を知らせたい時、追い越す時の合図などの用途です。インドの都市交通は混雑が多く、道路インフラも未整備な部分が多いため、クラクションで「今、ここにいる」「これから通る」という意思表示をする文化が根づいていると言えるでしょう。
【車の運転中にクラクションを鳴らすことはよくあるか。どんな時に鳴らすか】、いかがでしたか?
同じ「自動車のクラクション」という機能でも、世界各国で用いられる目的や範囲が異なり、その背景にはそれぞれの国・地域での理由や背景があり、ある種の「文化」が形成されていることがわかります。
自動運転やコネクテッドカーなどモビリティ製品の姿も変わりつつありますが、製品の変化と共に、それを使う消費者や文化の変化の有無にも着目して、より安全性や快適性を高めていくことも重要なことだと言えるでしょう。
次回も是非お楽しみに!
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マクロミル事業統括本部グローバルリサーチプロダクト部
