市販スイーツの8年を分析!物価高でも「中・高価格帯」商品が好調

公開日:2026/7/15(水)

長引く物価高騰の影響で、私たちの日々の生活には「節約」が浸透しています。そんな閉塞感のある日常の中で、せめて数百円~千円程度の「プチ贅沢」で癒されたい、という人も多いのではないでしょうか。そんな日常を潤してくれるちょっとした贅沢の定番と言えば、「スイーツ」です。

コロナ禍を経て、さらに歴史的な物価高に直面する現在、私たちの生活を彩るスイーツにはどのような変化が起きているのでしょうか。最新の動向を探ります。

本コラムでは、購買履歴データ【QPR-TRACE™】の集計結果をもとに、2018年から2025年までの8年間におけるスーパー、コンビニなどで市販されているスイーツカテゴリ(生菓子、半生菓子、デザート類)のトレンド変化について掘り下げていきます。

※本コラムのグラフは購買履歴データ【QPR-TRACE™】の集計結果から作成しています。
※「100人あたり購入金額」は、分析対象となる消費者(モニタ)100人あたりの購入金額を示す指標であり、人口(15-79歳)100人分の購入金額に相当します。QPRでは市場規模を表す指標です。

対象者:15~79才の消費者パネル
対象商品:
・JICFS(中分類)菓子類
・JICFS(細分類)生菓子、半生菓子、デザート類
・JANコード(流通用のバーコード)が付与された商品

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

1. 菓子類市場とスイーツカテゴリ8年間の推移

今回は、数あるスイーツカテゴリの中でも私たちの生活に密着している「生菓子」「半生菓子」「デザート類」の3つのカテゴリをピックアップし分析します。

■菓子類市場全体とスイーツカテゴリに主に含まれる商品一覧
 ※本分析における「スイーツカテゴリ」に含むのは、「生菓子」「半生菓子」「デザート類」と定義します。

菓子類市場全体とスイーツカテゴリに主に含まれる商品一覧
スイーツカテゴリ

1-1.市場ボリュームの推移

菓子類市場とスイーツカテゴリの100人あたりの購入金額の推移を確認します。

【図表1】菓子類市場とスイーツカテゴリ 100人あたり購入金額推移(2018-2025年)
【図表2】菓子類市場とスイーツカテゴリ 100人あたり購入金額増減率(前年比較)

菓子類市場とスイーツカテゴリの100人あたりの購入金額は、「菓子類」が8年間で22.9%増と堅調に拡大する中、「生菓子」と「半生菓子」は「菓子類市場」全体の成長を上回るペースで伸長し、カテゴリの成長を力強くけん引しています。一方で「デザート類」は「菓子類市場」全体の伸びに取り残され、近年は横ばい傾向となっています。

■菓子類市場:(2018年比:22.9%増)
2018年から2025年にかけて、100人あたりの購入金額は22.9%増となっています。2020年のコロナ禍を機に一段階ベースアップし、その後も物価高騰(単価上昇)などにより一度も前年を割ることなく右肩上がりで成長を続けているのが「菓子類市場」全体のトレンドです。

■生菓子:「菓子類市場」成長へ大きく寄与(2018年比:39.2%増)
2018年と比較し、39.2%増となっています。特に2019年(229,584円)から2020年(260,406円)にかけてジャンプアップしています。コロナ禍での「巣ごもり需要」により急激に伸びた後、高い水準を維持しています。

■半生菓子:規模と成長性を兼ね備えた優等生(2018年比:29.3%増)
2018年と比較し、29.3%増となっています。3つのカテゴリの中で最も100人あたりの購入金額が大きいにもかかわらず、安定して「菓子類市場」以上の成長を見せています。2024年から2025年にかけても堅調に推移しています。

■デザート類:「菓子類市場」の成長と比べると、緩やかな推移を見せる領域(2018年比:11.7%増)
2018年比11.7%増にとどまり、「菓子類市場」の22.9%増の成長ペースから遅れをとっています。2022年までは微増していましたが、それ以降は狭いレンジで増減を繰り返しており、需要が頭打ちになっています。

1-2.平均単価の推移

菓子類市場とスイーツカテゴリの平均単価の推移を確認します。

【図表3】菓子類市場とスイーツカテゴリ 平均価格推移(2018-2025年)
【図表3】菓子類市場とスイーツカテゴリ 平均価格推移(2018-2025年)
【図表4】菓子類市場とスイーツカテゴリ 平均価格前年比較(増減率)

■菓子類市場:2018年比 21.5%増
前年との比較において、2022年に3.2%増、2023年には5.7%増と急上昇しており、昨今の物価高騰の影響が数値として明確に表れています。2024年以降も前年比3%台の高い水準が続いています。

■生菓子:2018年比 16.5%増(3カテゴリ中で最小)
前年との比較において、一番上昇した2023年でも4.2%の成長にとどまり、2024年にはわずか0.6%の上昇となっています。他のスイーツカテゴリと比べると、平均単価上昇のペースが抑えられていることがわかります。

■半生菓子:2018年比:19.1%増
他のスイーツカテゴリと異なり、年によって前年比の波が激しいのが特徴です。前年との比較において、2020年は変わらず、2022年に5.6%増、2023年に4.1%増と大きく上昇しました。一方で2025年は再び横ばいとなっており、段階的かつ集中的に価格改定を行っていることが考えられます。

■デザート類:2018年比 26.7%増(3カテゴリ中で最大)
2023年に前年比7.3%という突出した平均単価上昇が見られます。その後も毎年2~3%程度の増加が続いており、最も単価が上昇したカテゴリとなっています。

1-3.平均単価指数の推移

菓子類市場とスイーツカテゴリの平均単価について、2018年を100とし、各年と比較した数値(指数)の推移を確認します。
※指数でみることで、 2018年からの変動幅や推移をより明確に把握できます

【図表5】菓子類市場とスイーツカテゴリ 平均価格指標
【図表5】菓子類市場とスイーツカテゴリ 平均価格指数
【図表6】菓子類市場とスイーツカテゴリ 平均価格指標(数値)
【図表6】菓子類市場とスイーツカテゴリ 平均価格指数(数値)

■菓子類:2025年到達指数 121.5
2018年から緩やかに上昇を続け、2022年に107.5、2023年に113.7と上昇ペースを速め、2025年には121.5に到達しています。全体として、この8年間で単価が2割強も上昇していることが確認できます。

■生菓子:2025年到達指数: 116.5(スイーツカテゴリ内最小)
スイーツカテゴリの中で、最も指数の上昇が緩やかです。全体が大きく伸びた2023年時点でも指数は113.2にとどまり、2024年も113.8とほぼ横ばいで推移しました。

■半生菓子:2025年到達指数 119.1
菓子類市場全体と比較すると、指数はやや下回る水準で推移しています。2019年の101.6から2020年の101.8にかけてはほぼ据え置かれていましたが、2022年の110.7から2024年の118.5にかけて集中的に上昇し、その後の2025年は119.1と微増にとどまっています。

■デザート類:2025年到達指数:126.7(スイーツカテゴリ内最大)
菓子類市場全体の指数を大きく上回って推移しています。2021年時点で既に108.6%と高めの水準にありましたが、2023年には119.9%まで急伸し、その後も上昇を続けています。

2.スイーツカテゴリの100人あたり購入金額の推移

前章にて、菓子類市場・スイーツカテゴリにおいて100人あたりの購入金額は増加していることが分かりましたが、カテゴリ毎に傾向が異なる結果となりました。
ここからは、スイーツカテゴリに限定して確認します。

2-1. スイーツカテゴリの商品価格帯別推移

※価格帯の定義:2018年~2025年においての年間「平均単価」の最大金額を商品の価格帯として分析しています

商品価格帯の「平均単価」最大金額算出例
【図表7】スイーツカテゴリ 商品価格帯別100人あたり購入金額推移(2018-2025年)

■全体傾向:スイーツ全体の100人あたり購入金額は大幅に拡大
100人あたりの購入金額は、2018年の677,599円から2025年869,791円へと堅調に成長しています。

■価格帯別傾向:全カテゴリで「300円~699円」の伸びが顕著
すべてのカテゴリにおいて、最もボリュームのある「300円未満」も成長していますが、それを上回る勢いで「300円~699円」の中価格帯が大きく伸長しています。
「商品値上げ」や「プチ贅沢需要」「お得な大容量商品の増加」などが影響していると考えられます。

次に2018年と各年の100人あたりの購入金額を比較した増減率の推移を確認します。

【図表8】スイーツカテゴリ 商品価格帯別100人あたり購入金額の増減率
【図表9】スイーツカテゴリ 商品価格帯別100人あたり購入金額の増減率(数値)

■全体傾向:スイーツカテゴリ全体は7年で28.4%増
2018年を基準として右肩上がりに推移し、直近の2025年には28.4%増となっています。

■カテゴリ別:中~高価格帯が圧倒的な成長をけん引
どのカテゴリにおいても、ボリュームゾーンである「300円未満」の成長率を、「300円〜699円」以上の中・高価格帯の成長率が大きく凌駕しているのが最大の特徴です。

■生菓子
生菓子は低価格帯(300円未満)もスイーツカテゴリ全体の伸び(28.4%)を上回る成長を見せていますが、それをさらに上回る勢いで「300円~699円」の中価格帯が急成長しています。

■半生菓子
半生菓子の低価格帯はスイーツカテゴリ平均を下回る伸びで成長が鈍化傾向にあり、中価格帯(300円~699円)が対2018年の約1.7倍と、明確に成長のエンジンとなっています。

■デザート類
デザート類は、高価格帯が最も拡大しており、2021年以降2倍以上の伸びを見せています。低価格帯は過去7年間でほぼ一定水準の推移となっており、シェアが低いながら中価格帯および高価格帯ラインが躍進しています。

2-2. デザート類の業態別推移

前述のように、デザート類は他のカテゴリにない特徴的な時系列推移となっています。

■デザート類
・100人あたりの購入金額:「菓子類市場」の成長から遅れをとる停滞領域(2018年比:11.7%増)
・平均単価:「菓子類市場、スイーツカテゴリ内で最大」(2018年比:26.7%増)
低価格帯は過去7年間でほぼ一定水準の推移となっています。シェアが低いながら「300円~699
円」の中価格帯および「700円以上」の高価格帯ラインが大きく拡大しています。

【図表10】デザート類 業態別指標(2018年/2025年/2018年比増減率)

■全体傾向:100人あたり購入金額は増加
購入者一人あたりの「デザートへの支出額(奥行)」がそれを上回るペースで増加したため、トータルでの売上増に着地しています。物価高による単価上昇の寄与も大きいと推測されます。

■業態別
カテゴリ全体をけん引している業態と、大きくシェアを落としている業態に二極化しています。

■好調な業態:一般小売店、ドラッグストア、ディスカウントストア

  • 一般小売店:
    100人あたりの購入金額は小さいながら、2018年比117.0%増と飛躍的に伸びています。要因として、購入率が2018年比62.0%増と間口を急拡大させた上で、購入者あたりの購入金額も同比34.2%増と奥行きも伸ばしている「プラス成長」の業態です。
  • 薬粧店・ドラッグストア:
    100人あたりの購入金額は2018年比53.3%増。購入率(10.4%増)、購入者あたりの購入金額(38.9%増)ともに大きく伸ばしており、スーパーに次ぐ第2位のシェアを獲得しています。
  • ホームセンター、ディスカウントストア:
    100人あたりの購入金額は2018年比51.1%増と好調です。間口(7.4%増)、奥行(40.7%増)ともに拡大しています。

■不調な業態:コンビニエンスストア

  • コンビニエンスストア
    主要チャネルの中で唯一とも言える大きなマイナス成長を記録しており、100人あたりの購入金額は2018年比23.5%減と大きく沈んでいます。購入者あたりの購入金額は同比1.7%減と前期間並みを維持しているため、100人あたりの購入金額が減少した直接的な原因は、購入率が同比22.2%減と急落したことによるものと考えられます。

2-3. デザート類のライフステージ別推移

デザート類はどのようなライフステージの購入者に支えられているのか、ライフステージ別の購入状況を確認します。
※QPR-TRACEにて使用可能な「LIFESTAGE16」というセグメントを使用して分析を行いました。「LIFESTAGE16」については以下をご確認ください。

LIFESTAGE16
【図表11】デザート類購入者ライフステージ別人数構成比(2018年/2025年)
【図表11】デザート類購入者ライフステージ別人数構成比(2018年/2025年)

【人数構成比での比較】
■モニタ構成の時系列変化:共働き子育て世帯(DEWKS)の存在感が急拡大
2018年から2025年にかけて社会的に「DEWKS」が増加したことで、モニタ構成においても同層の割合が拡大し、市場全体の売上や消費トレンド への影響が大きくなっています。

■市場全体との比較:女性の「共働き子育て世帯」と「シニア」が市場をけん引
2025年ではモニタ数と比較して、デザート類市場は以下の層に支えられていることがわかります。

  • 女性_DEWKS(共働き子育て世帯):モニタ数が全体の14.4%であるのに対し、デザート類全体ではシェア17.9%と上回っています。
  • 女性_60歳以上非就業:モニタ数が全体の9.9%であるのに対し、デザート類全体では11.9%と上回っています。
  • 男性_ワーキングシングル:モニタ数が全体の11.8%に対し、デザート類全体では9.7%にとどまっています。

女性を中心とした特定のライフステージに需要が偏っていることが確認できます。

【図表12】デザート類3価格帯 購入者ライフステージ別人数構成比(2018年/2025年)
【図表12】デザート類3価格帯 購入者ライフステージ別人数構成比(2018年/2025年)

【金額構成比での比較】
価格帯別の比較:高価格帯ほど「女性_DEWKS」への依存度が高い
2025年ではモニタ数と比較して、各価格帯で顕著な特徴が見られます。

  • 300円未満(低価格帯):「女性_DEWKS」が22.0%、「女性_60歳以上非就業」が14.8%と、ほぼデザート類全体の傾向と同じ構造です。
  • 300円~699円(中価格帯):「女性_60歳以上非就業」が17.2%と、他の価格帯よりもシニア層の比重が高くなっています。少しリッチな定番デザートとしてシニア層に支持されていると考えられます。
  • 700円以上(高価格帯):「女性_DEWKS」が27.7%と極めて高く突出しています。高単価なデザート類は、経済的にゆとりのある共働きの子育て世帯(特に女性)が主要な買い手です。

3. まとめ

  • 「菓子類市場」の100人あたりの購入金額は堅調に増加しており、7年間で22.9%増と成長しています。「生菓子」と「半生菓子」は「菓子類市場」の成長を上回るペースで伸長、一方で「デザート類」は「菓子類市場」の成長と比べると緩やかな推移を見せています。
  • 平均単価は、「菓子類市場」が2018年比21.5%増。「生菓子」と「半生菓子」は「菓子類市場」の成長を下回る一方、「デザート類」は同比26.7%増と最も高くなっています。
  • 価格帯別の傾向としては、菓子類市場・スイーツカテゴリ共に、最もボリュームのある「300円未満」も成長していますが、それを上回る勢いで「300円~699円」の中価格帯が大きく伸長しています。「商品値上げ」や「プチ贅沢需要」「お得な大容量商品の増加」などが影響していると考えられます。
  • 「デザート類」の購入者別推移では、「DEWKS(共働き子育て世帯)」のモニタ数が増加しており、デザート購入への影響が大きくなっています。特に高価格帯ほど「女性DEWKS」の金額構成比が高くなっており、仕事や家事・育児と忙しい日々の中での“自分へのご褒美”や、子どもを含めた“家族で楽しむちょっとした特別感”として選ばれているようです。

監修

Macromill News 事務局

監修:株式会社マクロミル マーケティングユニット

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

20万人以上が登録するマーケティングメディア「Macromill News」を起点に、マーケティング知見や消費者インサイトに関わる情報を発信。

※冒頭画像およびスイーツイメージ画像作成は生成AIを使用

著者の紹介

石田典弘

株式会社マクロミル 第2事業本部 アカウントマネジメント部 パネルデータビジネスユニット カスタマーサクセスグループ

石田 典弘

2003年株式会社インフォプラント入社、その後マクロミルに統合。カスタムリサーチの運用、QPR(消費者購買履歴データ)」の集計・メンテナンスを経験し、現カスタマーサクセスグループへ異動。年間契約企業様へのQPR利活用促進業務に加え、データ集計業務を担当する。購買データを軸に幅広い業務領域に従事する。

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